著者
峪口 有香子
出版者
四国大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、瀬戸内海域をフィールドとした方言研究の先駆的な業績である藤原与一・広島方言研究所編(1974)『瀬戸内海言語図巻』のデータベース構築を目指し、総計241のデジタル言語地図を完成させる。また、実時間上の言語変容を解明するため、申請者が実施した瀬戸内海域での追跡調査結果のデジタル言語地図化を併せて行う。大量の方言データを包括的に分析できるツールとして、地理情報システムの分野で開発されたGISを導入し、空間的補間の方法を時空間にまで拡張することによって言語変化の状況を探る。方言の衰退の実態や共通語化の進行状況を把握するとともに、瀬戸内海域言語伝播のパターンを解明する。
著者
原 彩佳
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では、膠芽腫の診断が得られた患者の末梢血および手術時に摘出された腫瘍組織を用いて、NKT細胞を中心とした各種免疫細胞の機能解析を行い、腫瘍局所における抗腫瘍効果発揮メカニズムを明らかにする。そして、膠芽腫に対するNKT細胞を用いた免疫療法有効性の検討のため、重症複合免疫不全マウスにCD1d陽性膠芽腫患者検体を同所移植した膠芽腫patient-derived xenograft(PDX)モデルを用いて、NKT細胞および樹状細胞を投与する免疫治療実験を行う。さらに、膠芽腫におけるCD1d発現制御メカニズムを解析し、NKT療法の有効性を評価するコンパニオン診断の開発を目指す。
著者
吉本 尚
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

日本では24時間アルコール飲料の購入が可能であったり、多くの飲食店において飲み放題サービスが提供されるなど、未だにアルコールに対して寛容な環境がある。本研究は前向きコホートによって飲み放題システムの1回飲酒量に与える影響を明らかにする。本研究によって、アルコールと上手に付き合いながら社会で活躍するための大学生への教育や、大学生自身の飲み放題の利用が自分たちの飲酒量に与える影響を知り、自己選択を行うことが可能となる。また、飲み放題サービス提供者に対する提供方法等についての議論にも発展する可能性がある。
著者
勘米良 祐太
出版者
浜松学院大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、大きく2つの問いを設定する。(1)植民地朝鮮における文法教育は、内地の教育内容に対しどのような内容の加除を行ったか。また、その目的はなにか。(2)(1)による変更は、内地の教育内容にどのような影響を与えたか。また、その目的はなにか。植民地における「国語」教育は、および内地における国語教育から影響を受け、また逆に影響を与えながら展開していたことが予想される。植民地を包み込んだ考察を行うことで、「国語」教育史を新たな視点から照らし直すことをめざす。また相対的に数が不足している、植民地朝鮮における言語施策の実証的な考察(教科書や授業記録などの史料を用いた考察)を行うことをめざす。
著者
高橋 力也
出版者
日本大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、国際連盟における国際法の法典化事業に深く関与した米国の国際法学者ハドソン(Manley O. Hudson)の残した個人文書や、米国政府の外交記録等を海外の公文書館・図書館で渉猟し、これらの分析をすることで、連盟を中心に行われた国際法の発展に対する米国の関わりを史的に明らかにするものである。
著者
平野 亮
出版者
兵庫教育大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

骨相学は,19世紀前半の西洋世界を席巻した「脳科学」であり,その社会的・文化的影響については欧米を中心につとに研究の蓄積をみる。しかし,開化期以降の日本にも教育分野を含めた様々な領域でその流入が認められるにも拘わらず,これまでまとまった検討はなされてこなかった。そこで本研究では,①骨相学の流入・受容・展開についての広く文化的な概説史,②その理論が骨相学と知りながら受容した教育分野の歴史,③そうとは知らずに影響を被っていた教育分野の歴史,の3つのアプローチでこの主題に取り組む。近代以降の日本の教育学・思想の源流を探ると同時に,「啓蒙」時代の日本の一つの文化史を描き出すことを目指す。
著者
籔谷 祐介
出版者
富山大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、集約化が計画されている公的集合住宅団地において、団地の共用空間マネジメントを団地居住者と団地周辺居住者が協働で行うことで、団地内外居住者がネットワークされた拡張型団地コミュニティが形成可能か検証し、それによる団地居住者への効果を明らかにすることを目的とする。具体的には、団地の集会所やオープンスペース等の共用空間を活用して、活用方法を話し合うワークショップとそれを試行する実証実験を繰り返し実施することによって共用空間のマネジメントの主体形成を支援し、拡張型団地コミュニティが形成可能か試行する。その後、団地居住者へのアンケート調査により、本手法が団地居住者に与える効果を解明する。
著者
國分 航士
出版者
九州大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、近代日本において議会政治が定着する過程を、統治機構としての天皇と議会の関係に注目して、明らかにすることを目的とする。そのために、以下の観点から分析を進める。(1)衆議院・貴族院の二院制を採る議会と、「第三院」として作動する枢密院や天皇との関係は、どのように変遷したのか。緊急勅令・緊急財政処分などの運用過程から考察する。(2)憲法に規定された権限を議会がどのように定着させたのか。天皇・内閣・議会の関係、天皇と議会との間の儀礼などとあわせて考察する。(3)議会の持つ国家・国民の代表性・象徴性が、天皇(君主)のそれとどのような関係にあったのか。御料地問題および国民の請願から考察する。
著者
福田 一史
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

FRBRは資源の内容とキャリアの区別を提案したが、その中で著作は属性と関連を精密に記録するための機能を持つ実体として明確化され、目録作成の主要な論点の一つとなった。本研究は、ボーンデジタルであり伝統的図書館資料と異なる特性を有する資料であるビデオゲームを対象に、その著作目録の構築・公開を目指す。そのために、以下を展開する。1) 事例調査とインタビュー調査を通じて、内容を記述する書誌的実体の定義・解釈・記述単位などの情報要求を抽出する。2) サンプルの分析を通じて、著作目録に必要な属性や関連など仕様を確立する。3) 著作目録を公開し、目録に対するユーザ評価の収集ならびに有効性検証を実施する。
著者
志村 佳名子
出版者
信州大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、日本の古代・中世に行われた官職の任命儀礼である除目(じもく)の儀式内容とその作法を記す史料(除目書)の形成過程の検討から、古代・中世における朝廷の政治制度を解明することを目的とする。除目は複雑な作法を伴う儀式で、その作法を記す除目書も難解なため、内容の検討も写本の整理も不十分である。そこで本研究では、近年高い学術的価値が見出された三条西家の除目書を整理し、九条家などの摂関家が有する除目書と比較・検討し、重要な未翻刻史料の翻刻・解釈を行うことで、除目研究の基盤を構築する。さらに、除目儀式を政治制度として位置付け直すことで、古代・中世の朝廷の政治構造を解明する新たな研究視角の確立を図る。
著者
黒須 友里江
出版者
東京大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

摂関政治と院政についてはその連続性がたびたび指摘されるが、両分野の研究状況の違いから、このことは院政期研究の立場から論じられることが多かった。しかし近年摂関期研究は大きく進展し、摂関政治と院政の連続性を摂関期研究の側から捉え直すべき段階に到達している。この課題へのアプローチとして本研究では移行期にあたる藤原頼通以降の摂関期を重点的に扱い、史料の調査・検討および政治構造についての研究を行う。
著者
北村 安裕
出版者
岐阜聖徳学園大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では、従来「初期荘園」としてとらえられてきた8世紀中期~9世紀の荘園について、近年の大土地所有研究や地域史研究の進展をふまえて、7世紀以前の大土地所有との比較や、官衙・交通路に関する周辺地域の情報の集約・利用を通じて、形成過程・分布・特性・機能・経営様態を総合的に復原し、「律令制下の荘園」として再定義することを最大の目標とする。