著者
池田 隼 熊谷 仁 畠山 廣之 井口 祐貴 島嵜 佑 内藤 久士 吉村 雅文 福 典之
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集 第68回(2017) (ISSN:24241946)
巻号頁・発行日
pp.132_1, 2017 (Released:2018-02-15)

【背景】αアクチニン3遺伝子(ACTN3)のR577Xやアンジオテンシン変換酵素遺伝子(ACE)のI/D多型は運動能力に関連する。サッカー選手において、瞬発的および持久的な能力はポジションごとに異なるが、遺伝子多型とポジションの関連は不明である。【目的】サッカー選手におけるACTN3 R577XおよびACE I/Dとポジションの関連について検討した。【方法】対象者は、日本のJリーグ、なでしこリーグおよび大学トップレベルチームに所属するフォワード(FW)、ミッドフィルダー(MF)およびディフェンダー(DF)とした(男子:159名、女子:75名)。唾液からDNAを抽出し、TaqMan法によりACTN3 R577X(rs1815739)およびACE I/D(rs4340)の遺伝子型を分析した。【結果】男子選手においてのみ、ACTN3多型の頻度はポジションごとに有意に異なり(P<0.05、カイ二乗検定)、FW>MF>DFの順にRR型が多く、XX型が少なかった。一方、ACE多型は、男女に関係なくポジションとの関連は認められなかった。【結論】男子サッカー選手において、ACTN3 R577X多型はポジション特性に関連する可能性が示された。
著者
松尾 知之 平野 裕一 川村 卓
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.343-362, 2010 (Released:2010-12-28)
参考文献数
43
被引用文献数
4 2

The purposes of this study were to elicit experiential knowledge from expert baseball pitchers and baseball coaches, to elucidate key coaching points related to movement in baseball pitching, to classify them into categories, and to investigate any commonality among them. Semi-structured interviews were conducted with four former Japanese professional baseball pitchers and seven expert high-performance (national level) Japanese baseball coaches. Each interviewee was requested to comment on the pitching of 25 amateur baseball pitchers (11 junior high school, 8 high school, and 6 collegiate baseball pitchers), which had been videotaped beforehand. The comments were recorded, dictated literally, and divided into segments on the basis of meaning unit. Based on the properties of the various meaning units, some were gathered and classified into categories. For this process, we conducted a member check and triangulation to improve reliability and validity. We extracted 3283 units and classified them into 14 general categories and 71 specific categories. The most frequent category was “trunk open and quick turn during the stride and arm cocking phases”. However, this accounted for only 5.5% of the total meaning units. The next most frequent categories were “weighting on the pivot foot in the balanced position and during the stride phase” (4.7%) and “the throwing arm movement during the stride phase” (4.6%). The contents of all categories covered various aspects of movement. Among the relatively frequent categories, a few elicited the same opinion among the interviewees, but some had different opinions even about the same pitcher. These results suggest that there is a diversity of coaching points among coaches, and that it is important to know the categories that are determinative and those that should be chosen selectively.
著者
亀谷 真知子
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.68, pp.290_2, 2017

<p> 日本の舞踊文化は、その希有な歴史性と多彩性とで世界的にも注目されている。中でも、水田稲作農耕に根ざした地域の舞踊は人々の絆を強める機能を果たしてきた。演者は、一般体育に位置づけられた「民族舞踊」の種目で、日本の伝統舞踊をとおして文化を実践的に学ぶための指導を二十五年間続けている。多様な身体運動・身体表現を持ち、学生が身近に触れる機会のある盆踊りを取り上げ、踊りを実践しながら舞踊文化についての理解を深め、学生同士が協力して踊りを盛り上げられるようにカリキュラムや指導法を工夫した。その結果を検討しつつ報告する。</p>
著者
河野 隆志 清水 聖志人 島本 好平 久木留 毅 土屋 裕睦
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.67, pp.242_1-242_1, 2016

<p> 日本レスリング協会では、「インテリジェントレスラーの育成」を理念にアスリートとしてのキャリアと人としてのキャリアの両立(Dual Career)の支援を目指した新たな発掘・育成システムの構築を推進している。本事業の一環にて、カデット世代(U-18)の国内育成プログラムに参加している最も優秀なタレントを選考し、海外育成プログラムへ派遣した。同プログラムにおいては、ライフスキル(以下、LS)の獲得を促すためGROWモデル(Goal・Reality・Options・Will)による個別ミーティングを複数回実施した。2015年度においては、男子フリースタイルのタレント3名をロシア(クラスノヤルスク)、男子グレコローマンスタイルのタレント3名を韓国(釜山)、女子のタレント4名をアメリカ(コロラドスプリングス)へそれぞれ派遣した。本研究ではLS評価尺度を用いて、海外育成プログラムの出発時点と帰国時点のLS獲得レベルを比較することで、GROWモデルを用いた海外育成プログラムがLS獲得に与える影響を検討した。分析の結果、特に「コミュニケーション」(t(9)=1.87、p<.10)と「礼儀・マナー」(t(9)=1.65、p=.13)において、他のLSに比べ平均値の大幅な上昇が見られた。</p>
著者
波照間 永子
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.68, pp.289_3, 2017

<p> 琉球芸能の世界で重要視される言葉に、「『かぎやで風』に始まり『かぎやで風』に終わる」がある。『かぎやで風』とは、琉球王国時代、国王や国賓の御前で上演した『御前風』五曲の一つで、今日では芸能公演や祝宴の座開きに踊られる。また、古典舞踊の教授過程においては、入門時に学ぶ演目でありながら、人間国宝級の演者がその技量を示すべく上演するものでもあり、古典の基本が凝縮されているとされる。『かぎやで風』の技法研究に関しては、振りの記録(儀保・西平、金城)や作品構成の研究(小橋川・花城)等を目的に研究がなされてきたが、「扇」の扱いに着目したものはない。</p><p> 本研究では、「扇」の操作性を指標に技法の動作を分析するとともに、その象徴性を抽出・考察することを目的とする。あわせて、本研究の分析指標を日本舞踊・韓国舞踊・中国舞踊等の東アジア地域の舞踊にも適用し比較する一助としたい。</p>
著者
都築 直哉
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.68, pp.18_3, 2017

<p> 今年度、静岡県では「スポーツの聖地づくりとスポーツ王国しずおかの復活」を戦略の一つに掲げており、県体育協会や各競技団体等と連携し、これまで以上に、将来を担うジュニア世代の育成を推進していきたいと考えています。県では、これまでも各競技団体が実施するジュニア世代の育成・強化活動に対する支援を行ってきました。しかし、各競技団体は、練習環境や競技の普及、指導者の養成といった点でそれぞれ違った課題を抱えており、競技団体だけで解決していくことが難しい課題もあります。そこで、比較的競技人口が少なく、ジュニア期における選手育成体制がまだ十分に確立されていない競技をターゲットとし、新たに「ジュニアアスリート発掘・育成事業」を実施することとしました。「ジュニアスポーツ体験」、「ジュニアアスリートアカデミー」、「スポーツ指導者資質向上」で構成する本事業により、子供に様々な競技の中から自身の能力に適した競技を選択する機会を提供するとともに、優れた指導者を養成していくことで、ジュニア世代のより一層の競技力向上を目指していきます。</p>
著者
冨永 哲志 土屋 裕睦 豊田 則成
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.723-740, 2020

Using a qualitative approach, the present study of college soccer players (N=9) was conducted to clarify the psychological impact of scoring or losing points in additional time (AT). The participants had all played in official games in which their teams had scored or lost points in AT. Semi-structured interviews were conducted to collect narrative data, which were then analyzed by applying the Modified Grounded Theory Approach. The results suggested that before points had been scored or lost in AT, the players were in an unstable psychological state as they reached their mental and physical limits, and used emotion to evaluate their situational superiority or inferiority. In the case of scoring points, this situation created an intensified urge to become aggressive in order to maintain the team's superiority, encouraging the players to attack more strongly. On the other hand, in the case of losing points, this situation triggered an impulsive urge to defend excessively and become passive, trying to defend the goal further while becoming subordinate to the opposing team. Based on the major findings of this research, 3 points were discussed: 1) the psychological state before scoring or losing points in AT, 2) the psychological state when scoring or losing points in AT, and 3) the metamotivational state of players in AT.
著者
田中 彰吾
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.70, pp.10_2, 2019

<p> パフォーマンスの速さと正確性、チームワーク、他者との身体的相互作用などが競われる点で、eスポーツはそれ以外のスポーツと多くの共通点を持っている。ただし、すべてのパフォーマンスがコンピュータに媒介されている点(computer-mediatedness)は、他とは異なるeスポーツの顕著な特徴である。コンピュータ媒介性は、次の2点で競技者の身体活動のあり方に変化をもたらすと思われる。第一は「道具使用」である。競技中のほぼすべての活動は、手元のデバイスと眼前のモニターを利用してなされる。ボールゲームや体操における道具使用と比べて、eスポーツにおけるそれは、目と手の協調を限定的かつ極端に推進する。第二は「仮想現実」である。競技が行われる場所は、現実のフィールドではなくモニター上に展開される仮想現実である。競技者は一人称視点でフィールドに入り込んだり、俯瞰しつつフィールド全体にかかわったりするが、いずれにしても、仮想現実における仮想身体を利用しつつパフォーマンスが行われる。当日の報告では、以上の2点について、現象学的な観点からさらに踏み込んで読み解いてみたい。</p>