著者
相原 憲一 佐藤 和枝
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2011年秋季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.69, 2011 (Released:2011-12-01)

資本主義経済・合理主義最優先の時代が終焉を迎えて社会の仕組みはどうあるべきかが問われている。地域資源を組み合わせることで地域経済が進展することを良しとした考え方は姿を消している。すなわち個々の資源が無駄なくマネジメントできる組み合わせで全体価値が実現できるとは限らない。右肩上がりの時代はそれでよかったが今は違う。「全体は部分の和ではない」世界を如何にデザインできるが地域活性の源泉につながる。本研究発表は、特にヘーゲルの弁証法による全体デザインの考え方に沿って全体価値は時間的関係性を含むことが重要でそこにレジリアンスが望まれることを論じる。事例として富良野のラベンダーを採り上げる。
著者
神岡 太郎 細谷 竜一 張 嵐
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2006年度春季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.41, 2006 (Released:2007-08-10)

日本のソフトウェア開発の大きな特徴の一つは、開発の前工程では要求仕様や設計に曖昧性を残しつつ、後工程へと進むにつれて最適な設計を前・後工程の開発チーム間で調整を行いながら実施する「刷り合わせ型ソフトウェア開発」にある。この開発スタイルには長所と短所あるが、日本のユーザ企業を対象とした業務系アプリケーションの開発においては、避けて通れないという側面がある。近年急速にすすめられている中国でのオフショア開発においても、この刷り合わせ型ソフトウェア開発が適用されており、それがオフショア開発であるがために生じる言語や文化の差を背景に、開発過程におけるコミュニケーション量増加をはじめとする様々な課題を引き起こしている。
著者
石井 充
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2019年春季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.261-264, 2019-08-31 (Released:2019-08-30)

現在のIT関連ビジネスにおいては、ネットワーク外部性が大きな効果を有する事例が多数みられる。それらの現象を理解するため、エージェントモデルによる解析が進んでいる。最も簡単なイジング型のモデルでは、解析的な計算が可能であり、2次相転移現象が存在し、パラメータによって巨視的な量が定性的に大きく変化することが知られている。しかしながら、格子状にエージェントを並べたイジング型のモデルは現実を必ずしも的確に表現しておらず、スケールフリーネットワークの方がより適切であることが知られている。本発表では、スケールフリーネットワークにおける相転移現象と市場における成長曲線との関係を数値的に調査した結果を報告する。
著者
中田 行彦
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2019年秋季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.34-37, 2019-12-25 (Released:2019-12-23)

イノベーションの創出のためにはリスクマネーの供給が必要である。このリスクマネーの供給源の一つが、主に政府の出資等により設置されたのが「官民ファンド」である。その一つである産業革新機構が、出資し3社の中小型液晶事業を統合しジャパンディスプレイ(JDI)が設立された。しかし、JDIは頓挫し、当初も技術流失防止の目論見から外れ、台中連合の金融支援で生き残ろうとしている。「官民ファンド」は、JDIの事例のほか、シャープへの出資、ルネサスの経営陣交代、産業革新機構の組織脱皮等で失敗を繰り返している。これらの事例から「官民ファンド」の功罪を分析した。
著者
木村 誠
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会誌 (ISSN:09187324)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.59-76, 2022-09-15 (Released:2022-09-22)
参考文献数
33

本稿は,AI対応プラットフォームにおけるデータネットワーク効果に焦点を当てた循環モデルを開発する.そのために,プラットフォーム理論の新潮流である統合的アプローチの先行研究とデータネットワーク効果概念間の接続を試みる.先行研究の整理から,ネットワーク効果の4分類を行い,特性の違いを確認する.これらの検討に基づき,データネットワーク効果の循環モデルを,データの規模およびデータの範囲に関わるネットワーク効果を組み合わせた多重ループ構造モデルとして提示する.データネットワーク効果の好循環として,AI対応プラットフォームにおけるデータ対応学習の深化とプラットフォーム境界の拡大が共に進行するメカニズムを指摘する.データネットワーク効果の悪循環として,AI対応プラットフォームが機械学習を通じて提供する顧客経験が既存顧客に過適合し,新規顧客に向けた機械ベース・イノベーションが阻害される危険性を指摘する.
著者
江口 彰 領家 美奈
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会誌 (ISSN:09187324)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.89-104, 2021-09-15 (Released:2021-09-29)
参考文献数
32

許可のない情報の持ち出しを原因とするインシデント事例が多く報告されている.本研究の目的は,不正のトライアングル理論を用いて,ISO/IEC 27001の要求事項のうち,「認識」の向上により,逸脱行動の正当化が抑制できることを実証することである.筆者らは,方針,自らの貢献,逸脱行動による影響の3つの認識に関する潜在変数が,いずれも逸脱行動の正当化を抑制する効果があるものと仮定した.そのうえで仮説の設定および仮説検証モデルを構築し,質問紙調査により収集したデータに対して共分散構造分析ならびにISO/IEC 27001の認証取得組織と未取得組織の構成員集団による多母集団分析をおこなった.その結果,仮説が部分的に検証でき,また認証取得の有無により向上させるべき認識が集団ごとに異なることが明らかになった.
著者
金井 康弘 阿部 圭司 関 庸一
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会誌 (ISSN:09187324)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.167-186, 2021-12-15 (Released:2021-12-24)
参考文献数
23

電子部品の売り手においては,利益最大化を目標とした価格設定業務へシミュレーション導入の実現が期待されている.本論文では,個別製品の販売データから得られる価格–累積販売量分布を生成するメカニズムと整合性の期待できるモデルを提案する.本モデルは,その価格–累積販売量分布が,高粗利率では対数正規分布を生成し,粗利率が低下するにつれてベキ分布に当てはまりの良い分布が生成され,さらにそのベキ分布のベキ指数の絶対値が,新製品のリリース時点の粗利率が小さいほど増大することを示唆している.特定の個別製品のスタート価格や原価を想定しシミュレーションを実行することにより,本モデルは価格-累積販売量分布だけでなく平均価格や分布と粗利率の関係性の将来的な推移も与えてくれる.そのため,新製品設計業務や価格設定業務へのシミュレーション活用を実現するために,本モデルによるアプローチは有効なものと考える.
著者
吉田 和樹
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会誌 (ISSN:09187324)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.211-244, 2022-03-22 (Released:2022-03-23)
参考文献数
19
被引用文献数
1

本稿では,ビジネスモデル創出のためのプロセス(吉田,2021)において,複数のビジネスモデルパターンを適用する場合に行わなければならないことを,上記プロセスに新たに導入するタスクや規約として提案する.具体的には,概念設計プロセスでは,ビジネスモデルキャンバスの各ブロックの状態を因果関係で結んだ図と,パターン間の相互作用を識別するための図を作成するタスクを提案する.検証プロセスでは,システムダイナミクスモデルの定式化において,一つの要素に対して因果関係や相互作用による効果が与えられる場合に,主効果と促進/抑制効果の区別や,効果の統合についての規約を提案する.さらに,因果関係や相互作用に不確実性を取り込み,シミュレーションを実行するタスクを提案する.そして,複数のビジネスモデルパターンを適用する状況で,検証が適切に行えることを確認した.
著者
岩本 大輝 鈴木 秀男
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会誌 (ISSN:09187324)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.245-258, 2022-03-22 (Released:2022-03-23)
参考文献数
42

世界中で女性の労働参入が進んでいる.日本でも女性活躍は進んでいるが,女性管理的職業従事者割合は世界と比して極めて低い.この課題の要因としてワーク・ライフ・バランス(WLB)問題がある.企業はWLB支援施策を採用,もしくは採用を検討しているが,施策が階級別女性比率に与える影響や施策間の影響関係が不明瞭であり,検討困難な現状がある.本研究はWLB施策の組合せ効果や施策間関係が女性活躍に与える影響に注目し,日本企業604社のWLB支援施策情報にベイジアンネットワーク分析を行った.結果として,従業員女性比率には残業時間の削減策,管理職女性比率には在宅勤務,部長以上職女性比率には在宅勤務と保育設備・手当の採用が有効であるとともに,これらの施策の採用に影響を与える基礎的な施策(例えば,有給休暇取得の奨励策など)から順を追って採用し,労働環境を整えることが施策の有効化につながるという示唆をえた.
著者
西村 文亨
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会誌 (ISSN:09187324)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.161-178, 2020-12-15 (Released:2020-12-23)
参考文献数
25

本研究は,九州電力株式会社配電部門の企業内ネットコミュニティへの投稿データを用いた組織学習プロセスの分析,およびネットコミュニティ利用者への質問票調査結果を用いたネットコミュニティへの参加要因分析を行ったものである.ネットコミュニティを利用した組織学習プロセスにおいては,知識探求を契機として提供された知識を吸収する「問答型」学習,知識提供を契機に提供された知識を偶発的に吸収する「偶発型」学習,複数投稿の文脈から包括的に知識を吸収する「包括型」学習といった現象がみられ,場合によってはそれらが併行的あるいは連鎖的に生起されることが分かった.また,専門知識の蓄積,職場で同じ業務を行う人数,職場特性を先行要因とした個人特性などがネットコミュニティへの参加に影響を与えることを明らかにした.さらに,実際の職場学習とネットコミュニティによる組織学習とが補完関係にあることが示唆された.
著者
中村 雅子
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会誌 (ISSN:09187324)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.179-198, 2020-12-15 (Released:2020-12-23)
参考文献数
20

クラウドファンディングはすでに新しい資金調達手段として多様な実践者および研究者の注目を集めている.本研究ではオンライン調査によってクラウドファンディング利用者の多様性について実証的に検討した.日本の調査会社のオンラインモニターを用いて,支援者または提案者として購入型または寄付型のクラウドファンディングを使ったことがある者を対象に2018年5月に回答を依頼した.本論文の目的は以下の二点である.第一に日本のクラウドファンディング支援者の実態を明らかにした.また支援者の多様性を明らかにすることを第二の目的とした.25項目の変数を用いてクラスター分析を行い,五つの類型を抽出した.これらの類型間では支援理由や今後の利用意向などにも違いが見られた.
著者
菊地 剛正 國上 真章 高橋 大志 鳥山 正博 寺野 隆雄
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会誌 (ISSN:09187324)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.199-214, 2020-12-15 (Released:2020-12-23)
参考文献数
14

組織研究では,実在のビジネスケースと組織シミュレーションのログとを比較対照するアプローチがある.両者の実効性のある接地のため,個々のエージェントの行動の詳細な記録を指すミクロ・ログではなく,ミクロ・ログの類型を対象とした分析手法が提唱されている.しかし,当該手法は,分析者のモデルに関する知識が前提であり,あらかじめログの類型を設定する必要があるなど,改善の余地がある.そこで本稿では,組織シミュレーションのミクロ・ログ分析にクラスタリング手法を適用することで,以下の2点を拡張した方法論を提案する:a)分析者がシミュレーションログの類型を事前に設定する必要がないこと,b)シミュレーションログの分析粒度を変えうること.組織の外部環境認識に係る意思決定プロセスを表現するエージェント・モデルを構築し,ミクロ・ログの類型化を行うことで,提案手法の要件が満たされることを例示した.
著者
柳田 浩孝 倉橋 節也
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会誌 (ISSN:09187324)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.251-271, 2021-03-15 (Released:2021-03-30)
参考文献数
26

本研究の目的は,スタートアップ企業のパフォーマンスと彼らに対する外部支援の関連性について調査を行うことである.分析に際しては,2,897件(第1回調査時点)のスタートアップ企業から回答を得られたアンケート調査を用いた.分析手段としては,因果推論手法の1つである傾向スコアマッチングを採用した.まず外部支援とパフォーマンスを分類したうえで個々の支援ごとに効果を検証したところ,大半の支援ではスタートアップ企業のパフォーマンスを改善する因果効果を認めることができなかった.次に,一部の外部支援を採り上げ,その他支援との組み合わせ効果を検証したところ,非公的資金と公的資金支援の組み合わせで売上が有意に成長したなど新たな因果効果が確認された.これらの結果から,目指す自社の将来像に基づき,受け入れる外部支援やその組み合わせを慎重に模索していくことの有効性が示唆された.
著者
吉田 和樹
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会誌 (ISSN:09187324)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.273-294, 2021-03-15 (Released:2021-03-30)
参考文献数
9
被引用文献数
3

新しいビジネスモデルを構想段階で概念設計し,検証するためのプロセスを提案する.このプロセスでは,ビジネスモデルキャンバス(BMC)上でSWOT分析を通して自社の強みや弱みを明確にし,ビジネスモデルパターン(BMP)を選択して新しいビジネスモデルの創出に向けた方針を策定する.その方針に沿って,アクションフレームワーク(AF)を適用して新しいビジネスモデルを創出するための施策を決定する.そして,この施策を通して,新しいビジネスモデルに移行していく過程について,システムダイナミクス(SD)によるシミュレーションを実行して,その実現性,収益性,成長性を検証する.この提案における新規の点を以下に記す.・概念設計から検証までの一連の作業をプロセスとして定義・BMPを取り入れて方針を策定・BMCのブロックごとにSDモデルの作成方法を定型化・BMCのブロックごとにAFの適用結果に合わせてSDモデルの拡張部分の作成方法を定型化・BMPごとにSDモデルとして定型化できる部分を部品化本論文のあらすじは,1章が序論,2章が概念設計プロセスの説明,3章が検証プロセスの説明,4章が今後の課題,5章が本論文のまとめである.
著者
吉村 喜予子 木野 泰伸
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会誌 (ISSN:09187324)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.1-29, 2021-06-15 (Released:2021-06-30)
参考文献数
17

製薬企業のコールセンターには,薬についての問い合わせが多く寄せられる.その内容は多岐に渡ることから,新製品発売準備に経験値がない場合は対応の困難が想定される.本研究では,発売初期の製品の問い合わせ内容の汎用性に着目し,発売初期の製品問い合わせ内容を入力データとして,テキスト分析することにより,問い合わせ内容の種類を概念として抽出し,構造化し,可視化した.さらに,抽出した概念を用いて同じ製品の期間別のデータと,疾患領域が異なる別製品のデータに対して適用し,汎用性を検証した.その結果,発売初期の製品から抽出した概念は,発売初期以降の期間と疾患領域が異なる製品においても包括的に適用可能であることが確認された.抽出した概念には期間によって増加傾向や減少傾向の特徴を示すものがあり,異なる2製品に増減傾向の共通性と特異性が確認された.このことから,新製品発売準備における実務的な示唆を得られた.
著者
大川 順也 雲居 玄道 後藤 正幸
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会誌 (ISSN:09187324)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.31-46, 2021-06-15 (Released:2021-06-30)
参考文献数
25

一般的な質問応答システムでは,ユーザから与えられた質問を解析し,情報源となる文書集合から,質問に対する適切な回答を検索するモデル(回答文書検索モデル)を構築することで回答候補を抽出し,回答の自動化を実現している.コミュニティQAサイト(cQAサイト)における質問・回答文書に対して,回答文書検索モデルを構築する場合,基本的な手法として質問文書の類似度による手法が考えられる.しかし,cQAサイトで見られるような,質問ごとに存在する回答文書の多様性を的確に掴みながら,適切な内容の回答文書を提示することは困難であると考えられる.そこで本研究では,トピックモデルの代表的な手法であるLatent Dirichlet Allocation(LDA)を用いることで,従来手法では対応できなかった回答文書の多様性を考慮可能な回答文書検索モデルの構築手法を提案する.最後に,提案モデルの有効性を検証するため,実際にcQAサイトに投稿された質問・回答文書を用いた検証実験を行い,検索結果の性能を評価するとともに,得られた結果に基づいて考察を行う.
著者
金澤 真平 楊 添翔 後藤 正幸
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会誌 (ISSN:09187324)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.47-64, 2021-06-15 (Released:2021-06-30)
参考文献数
12

中古ファッションアイテムの買取・出品・販売を行うECサイトではアイテムのブランドやカテゴリ,コンディションなど,商品情報が非常に多様であるため,出品価格の決定は重要かつ難しい課題の一つである.本研究の提案モデルでは,出品システムによって設定された出品価格を変更した場合の販売結果を観察するため,価格変更テストを設計する.一方,販売価格の予測精度を高めるため,アイテムの特徴と予測精度に関する情報をもとにアイテムのクラスタリングを行い,価格変更テストの結果データをモデルの検証データとして活用することで,高い精度で予測可能なアイテム群を発見する.そして,クラスタリングによって高い精度で予測可能であると特定されたアイテム群を提案モデルに適用可能なアイテム群と捉え,それらのアイテムに関して出品価格を変更した場合の販売価格を予測する.また,その予測結果に基づいてアイテムごとの出品価格と販売価格の関係性を捉え,適切な出品価格設定に関する分析を行う.
著者
大川 順也 雲居 玄道 後藤 正幸
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会誌 (ISSN:09187324)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.39-54, 2020-06-15 (Released:2020-07-03)
参考文献数
27
被引用文献数
1

近年,多くの企業で,システムやサービスに関する問合せをオンラインで受け付けるシステム(質問応答システム(Question Answering (QA) systems))が導入されている.この質問応答システムにおいて,Webフォームやメールなどが取り入れられ,電子文書形式で問合せの送信が可能となっている.その際,送られてくる問合せ文書に対する回答文書は人手で作成されているのが現状である.そのため,過去の問合せ・回答履歴データを活用することで,回答文書作成作業の自動化ができると,企業内の業務効率化にとって有益であると考えられる.しかし,問合せ文書の内容は自動対応が可能な案件や,人手による個別対応が必要な案件など,多岐にわたっている.そのため,最初からすべての問合せ・回答文書を学習し,回答文書作成の自動化をすることは困難である.そこで本研究では,問合せ・回答文書の関係性を分析するモデルを構築する.最後に,本手法の有効性を示すために,某大手企業の質問応答システムに蓄積された問合せ・回答文書の実データに対して提案モデルを適用して検証を行う.
著者
向 正道 横田 明紀 栗山 敏 鎗水 徹 黄 婷婷
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会誌 (ISSN:09187324)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.105-127, 2020-09-15 (Released:2020-09-28)
参考文献数
32
被引用文献数
1

IT戦略は経営戦略に沿って策定されるべきである,または,IT戦略は経営戦略の一部であるという議論がある.しかしながら,経営戦略とIT戦略ではそれぞれの戦略に沿って整合すべき構成要素が異なり,情報システム刷新時にそれらの構成要素間が適切に調整できず,不整合を生じた「ねじれ構造」による問題を誘発しやすい.本研究では,情報システム刷新時にプロジェクトの納期遅延を起こしやすい構造的要因を分析するための「経営戦略とIT戦略のねじれ構造モデル」を提案する.このモデルに基づき,基幹系システム構築プロジェクトの計画納期達成/未達要因を考察することで,本モデルの妥当性と有効性を実証する.
著者
伊東 俊之 廣松 毅
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2010年秋季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.20, 2010 (Released:2010-11-15)

企業における情報漏えいの要因は内部者の人的要因による情報漏えいが大半であるため、リスクマネジメントの観点から検討を行った。リスクマネジメントについては2009年に国際規格としてISO31000が発行され、あらゆる分野への活用される流れとなっている。リスクマネジメントを推進していく上でリスク評価者と対象組織との間のリスクコミュニケーションが重要であり、各々の特性を把握する必要がある。リスク評価者はゼロリスク原則に陥りがちである。対象組織のリスク認知に関する理論としてプロスペクト理論があげられる。リスクコミュニケーションを有効に機能させるためにはリスク評価者が対象組織から信頼獲得を図る事が必要であることから信頼モデルについて検討を行った。