著者
石黒 駿 村上 じゅん 大山 恵弘
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.11, pp.1-8, 2013-05-22

OS ノイズは,高性能計算アプリケーションの性能低下の大きな要因の一つである.OS ノイズの実体は,割り込み処理などの OS カーネルによるサービスの実行や,メモリ管理デーモンなどの各種デーモンの実行である.これらの動作は,アプリケーションによる計算を中断させ,計算時間を増大させる.OS ノイズは,多くのプロセスやスレッドが頻繁に同期するアプリケーションで大きく性能を低下させる.本論文では,メモリページの回収処理に伴う OS ノイズに着目し,その OS ノイズによる影響を低減する手法を提案する.Linux のディスク I/O では,通常はファイルデータはメモリ上にキャッシュされる.大量のディスク I/O を行った結果,キャッシュ用のメモリが足りなくなると,OS は特別なカーネルスレッドを起動し,近い将来に利用されないと思われるページを回収させる.このカーネルスレッドが頻繁に動作すると,その OS ノイズによりアプリケーションの性能が低下する.提案手法は,大量のディスク I/O が行われている場合に,ページ回収のカーネルスレッドに先行して,さらに大きな単位でページを回収する.これによりページ回収の回数が減り,OS ノイズによる影響が小さくなる.我々は提案手法に基づくシステムを実装し,実験を行った.その結果,その OS ノイズによる性能低下をほぼなくすことに成功した.OS noises are one of the major causes of performance degradation in applications of high performance computing. OS noises are execution of services by the operating system kernel such as interrupt handling or execution of various daemons such as a memory management daemon. These execution interrupts the computation of an application and increases the execution time. OS noises significantly degrade the performance of an application in which many processes or threads frequently synchronize with each other. In this paper, we focus on a OS noise caused by reclamation of memory pages and propose a method of reducing the effect of the OS noise. The disk I/O of Linux usually caches file data on memory. When numerous disk I/O occur and the OS runs out of memory for caching file data, the OS activates a special kernel thread that reclaims memory pages that are unlikely to be used in the near future. If the kernel thread is frequently activated, the performance of an application is degraded due to its OS noise. The proposed method reclaims memory pages in advance of the kernel thread for page reclamation. It reclaims more pages than the kernel thread, and thus reducing the frequency of page reclamation and the effect of the OS noise. We implemented a system based on the proposed method and conducted an experiment. Results of the experiment showed that the proposed method could almost eliminate the performance degradation caused by the OS noise.
著者
山田 真大 林 和宏 鈴木 章浩 岡本 幸太 小林 良岳 本田 晋也 高田 広章
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.18, pp.1-7, 2013-07-24

組込み向け機器に利用されるハードウェアの高性能化に伴い,組込み OS として Linux などの汎用 OS が搭載されるようになった.組込み機器では,リアルタイム性が重要視されるため,Linux を採用する場合,カーネルに改良を施すことでリアルタイム性を確保している.また,マルチコア CPU を搭載する組込み機器では,Linux が持つ CPU affinity の機能を用いることで,シングルコアでは不可能であった高負荷時におけるリアルタイム性も確保することが可能になった.しかし,CPU コア毎に存在するカーネルスレッドは CPU affinity を適用することができず,また,この処理がまれに引き起こすタイマのカスケード処理には多くの処理時間を必要とし,リアルタイム性を阻害する原因となる.本論文では,マルチコア CPU の各コアを,リアルタイム性を必要とする CPU コアと不要とする CPU コアに分割し,リアルタイム性を必要とする CPU コアでは,タイマのカスケード処理を発生させないよう事前に対策を施すことで,リアルタイム性を確保する手法を提案する.With the increase in hardware performance of modern embedded systems, general-purpose operating systems (OS) such as Linux are commonly used as embedded OSs. Furthermore, the use of multi-core CPUs enables Linux to improve its real-time performance even on high-load scenarios which is rather hard to achieve on single-core CPUs thanks to its "CPU affinity" functionality. However, we found two issues in the current version of the Linux kernel: the CPU affinity of some kernel threads cannot be specified; and the use of timer cascading (use of multiple hardware timers to count time) increases the worst-case response time of real-time tasks. In this paper, we classify the cores in a multi-core CPU into 2 different groups: cores which require real-time performance guarantees; and cores which do not require such guarantees. Then, we propose and evaluate a method that improves the real-time performance of the system by disabling timer cascading on cores which require real-time performance guarantees.
著者
中尾 司ピエール 坂下 善彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.32, pp.1-5, 2012-09-06

Kernel-based Virtual Machine (KVM) により構築した仮想化環境においてホスト OS の Linux カーネルによって提供される Kernel Samepage Merging (KSM) を利用することによりホスト OS のメモリが節約されることが分かった。特に KSM はゲスト OS が多く存在するシステムにおいて有効である。本研究では, KSM を利用することによりマージされるメモリ容量に注目し, VM に搭載されているゲスト OS の仮想メモリ管理における実メモリの実行制御が,ホスト側の OS の実メモリ管理の箇所で実施される状況を観測し,マージされるメモリ容量がシステム全体に寄与する効果を観測した。In a virtual environment was constructed by (KVM), that the memory of the host side will be saved by taking advantage of (KSM) are expected to Kernel Samepage Merging be provided by the Linux kernel on the host OS Kernel-based Virtual Machine(VM). In particular, KSM is effective in this system there are many guest OS. In this study, we focused on the amount of memory that can be merged by taking advantage of KSM. Control the management of real memory in guest OS virtual memory execution is installed in the VM, is carried out in place of real memory management of OS on the host side. We observed the effect of the amount of memory that can be merged to contribute to the overall system.
著者
和田基 塚本潤 小林弘明 高橋昭宏 坂本龍一 佐藤未来子 天野英晴 近藤正彰 中村宏 並木美太郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.5, pp.1-8, 2013-04-18

細粒度 PG (Power Gating) 制御を行うプロセッサでは,温度やキャッシュのヒット率などの動的なスリープ要因を適切に反映した命令列を実行することが重要である.本発表では,JIT コンパイラの生成するコードに対して,動的要因として実行時のチップ温度を考慮した細粒度 PG 制御を最適化する方式を提案する.筆者らが研究している Geyser アーキテクチャの細粒度 PG 方式を QEMU ベースである AndroidEmulator によってシミュレートした評価実験において,PG 制御を行わない場合と比較し,VM と JIT コンパイラおよび生成されたコードを実行するプロセス全体で平均 6%,最大 22% でリーク電力を削減することができた。
著者
根本 香絵 Simon Devitt W.J.Munro
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.702-709, 2014-06-15

本稿では近年の量子コンピュータ・アーキテクチャーとその制御系についてまとめる.具体的な例として光モジュールを用いて,量子コンピュータがモジュールからどのように組み立てられるのか,またそのような誤り耐性のある量子情報システムはどう制御されうるのかについて解説する.さらに,量子情報処理と古典情報処理の融合によって生じるさまざまな新しい課題についても紹介する.
著者
小久保 翔平 河野 真治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.4, pp.1-7, 2014-05-07

当研究室では、PS3, Linux 及び MacOS X 上で動作する並列プログラミングフレームワーク Cerium を提案している。MacOS X 上で GPGPU を行うには、OpenCL または CUDA を用いる方法が考えられる。OpenCL, CUDA の API に対応した API を Cerium に用意することでデータ並列に対応した。タスク並列で実行する場合、データ転送がオーバーヘッドになる。このオーバヘッドを解決するためには、kernel の実行中にデータ転送を行うことでデータ転送をオーバーラップする必要がある。OpenCL では CommandQueue、CUDA では Stream を複数用いることでデータ転送や kernel の実行を並列に行うことができる。複数の CommandQueue, Stream を用いて、自動で並列実行を行うスケジューラーを実装した。実装したスケジューラーを WordCount、FFT を例題に測定し、考察を行う。We are developing parallel programming framework Cerium, that is running on the PS3, Linux, Mac OS X and GPGPU. As GPGPU support on Mac OS X, OpenCL or CUDA can be used in an API set. Data Parallel on GPUGPU is also working on CPUs. In Task Parallel, data transfer causes overhead. To resolve this, pipeline data transfer is used both on GPGPU and Many Cores. OpenCL and CUDA have slightly different behavior on Data Parallel and out of order task execution. In WordCount and FFT examples, we show the different and its analysis.
著者
荻野 裕也 杉本 直也 片桐 滋 大崎 美穂
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.13, pp.1-8, 2014-01-16

遠隔地間の利用者同士に同室感を与え共同作業を支援することを目的とした 「t-Room」 では,Windows 特有のメディア処理遅延の大きさを軽減させるために新たに Linux を OS とするミドルウェアの開発が進められている.新ミドルウェアによって制御される Linux 版 t-Room では,先行研究により開発済みの映像伝送システムと音響サーバをカメラなどのデバイスを制御するデバイスサーバとして使用するが,現状ではそれぞれ独立しており t-Room として機能させることはできない.t-Room として動作させるために,これらのデバイスサーバを制御するデバイス制御システムが必要であり,本研究にてその設計と実装を行った.本稿では,デバイス制御システムの設計と実装,3 地点間通信などの実際に想定される状況における動作確認の結果について報告する.To alleviate the processing delay of a remote collaboration support system called "t-Room" on Windows, we develop a new middleware on the Linux operating system. In previous research, video transmission system and acoustic server are developed on Linux and these work as device servers for video and sound transmission within the new middleware framework. To control these device servers as t-Room, we develop a device control system. In this paper, report its design and implementation result, and show its validation in various environment, like 3 points connection.
著者
中塚裕志 池田貴一 吉瀬謙二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告計算機アーキテクチャ(ARC)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.5, pp.1-2, 2014-01-16

一般に,動作周波数は,パイプライン段数を増やすことで向上させることができる.FPGA は再構成可能な LSI であるがゆえに,ロジックとフリップフロップの接続に制限がある.我々は,この制限に着目し,パイプラインステージを決定することで,コンテストで配布された汎用プロセッサのデザインの動作周波数の向上を図る.
著者
小高 剛 中野 啓史 木村 啓二 笠原 博徳
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.9, pp.2311-2325, 2005-09-15
被引用文献数
11 6

PC,PDA,携帯電話などで静止画像,動画像,音声などを扱うマルチメディアアプリケーションを利用する機会が近年ますます増えている.このためマルチメディアアプリケーションを効率良く処理できる低コスト,低消費電力かつ高パフォーマンスなプロセッサの必要性が増している.このような要求を満たすプロセッサアーキテクチャの1つとして複数のプロセッサコアを1チップ上に搭載したチップマルチプロセッサアーキテクチャが注目されている.しかしながら,チップマルチプロセッサアーキテクチャで効率の良い処理を行うには,アプリケーションの特性を解析し,並列性を抽出し,生成したタスクをバランス良くプロセッサに配置するなどのチップマルチプロセッサ用最適化が必要となる.また,近年のメモリウォール問題の深刻化により,プログラムの持つデータローカリティの有効利用やデータ転送オーバヘッドの削減などの最適化技術も効果的な並列処理のために必須となっている.本論文では,MPEG2エンコードに対する,チップマルチプロセッサ上でのメモリ利用最適化およびデータ転送最適化手法からなる並列処理手法の提案を行うとともに,OSCARチップマルチプロセッサ上での性能評価を行う.性能評価の結果,データローカリティの利用およびデータ転送オーバヘッド隠蔽手法からなる提案手法を適用したMPEG2エンコードは,動作周波数400MHz時で逐次実行に対し,1プロセッサ利用時1.24倍,2プロセッサ利用時2.46倍,4プロセッサ利用時4.57倍,8プロセッサ利用時7.97倍,動作周波数2.8GHz時で逐次実行に対し,1プロセッサ利用時1.36倍,2プロセッサ利用時2.61倍,4プロセッサ利用時4.46倍,8プロセッサ利用時6.54倍の速度向上率の速度向上率が得られることが確認できた.With the popularization of multimedia applications like image and audio processing on PCs, mobile phones and PDAs, development of low cost, low power consumption and high performance processors for multimedia applications has been expected. To this end, chip multiprocessor architectures that allows us to exploit multi-grain parallelism such as coarse grain level parallelism, loop level parallelism and instruction level parallelism have been extensively researched. However, to realize efficient parallel processing on chip multiprocessor architectures, sophisticated techniques are required for decomposition of a program into adequate grain of tasks, analysis of parallelism and scheduling of the tasks onto processors considering data locality. This paper describes a parallel processing scheme for MPEG2 encoding using data localization which optimizes execution efficiency assigning coarse grain tasks accessing the same array data on the same processor consecutively on a chip multiprocessor and data transfer over apping technique which minimize the data transfer overhead by overlapping task execution and data transfer. Performance of the proposed scheme is also evaluated. As the evaluation result on an OSCAR chip multiprocessor architecture, when the clock frequency is assumed as 400 MHz, the proposed scheme gave us 1.24 times speedup for 1 processor, 2.47 times speedup for 2 processors, 4.57 times speedup for 4 processors and 7.97 times speedup for 8 processors against sequential execution without the proposed scheme respectively. Similarly, when 2.8 GHz, the proposed scheme gave us 1.36 times speedup for 1 processor, 2.61 times speedup for 2 processors, 4.46 times speedup for 4 processors and 6.54 times speedup for 8 processors against sequential execution without the proposed scheme respectively.
著者
中尾 健治 土屋 和夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.39, no.8, pp.805-809, 1998-08

ここ1, 2年, パソコン・メーカの電話サポート窓口が雑誌や新聞の紙上を賑わせています.『安心できるPCメーカはどこだ』というような特集が毎月のように組まれています.箱からパソコンを出し, 組み立てるのが初めてのお客様, パソコンをご使用になるのが初めてのお客様, また, 電話サポート窓口にお問合せをするのが初めてのお客様.Windows95の爆発的な普及に伴って生まれたこういった『パソコン利用が初めてのお客様』をご支援させていただくために, メーカ各社は電話サポート窓口の充実を図っています.そこで, 日本アイ・ビー・エム(株)お客様相談センター(以下では, 英語の部門名, Customer Information Centerの頭文字をとり, CICと略します)を例にとり, パソコン・メーカの電話サポート窓口の現状を, 使用している業務システムを含めて紹介します.なお, CICではパソコン関連以外の製品についてもお問合せを承っています.また, 無償の電話サポート窓口のほかに, 有償の会員制電話サポート窓口も開設していますが, 以下はパソコン関連の無償電話サポート窓口の内容に絞らせていただきます.
著者
鈴木直人 廣井富 藤原祐磨 黒田尚孝 戸塚典子 千葉祐弥 伊藤彰則
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告音声言語情報処理(SLP)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.9, pp.1-6, 2013-12-12

英会話練習をする際は対話相手が必要であり,相手との会話がテンポ良く行えるようになる練習が求められる.CALL (Computer-Assited Language Learning) システムにおいて,学習者の応答のタイミングを向上させるような枠組みは無いのが現状である.英会話練習の際には発話内容を想起し,それを英語で表現する 2 重の認知的負荷がかかるため,交代潜時が長くなりがちであるが,対話の最初から意識的に交代潜時を短くしていくためには学習者に対して明示的な方法を用いるべきである.そこで本研究では対話相手として AR (Augmented Reality) キャラクタを設定し,タイムプレッシャー表現をかけたときに応答タイミングの練習として有効であるかどうかを実験により検証することを試みた.実験参加者にはタイムプレッシャーの有無で 2 通りの対話を行い,最後に主観評価のアンケートを行った.本稿では以上の結果と主観評価を踏まえた考察を報告する.
著者
屋代 智之 ThomasF.LaPorta
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.12, pp.2952-2962, 2005-12-15
被引用文献数
9

モバイルエージェントはLBS(位置情報サービス)分野において重要な役割を担うと考えられている.本論文では,モバイルエージェントがアドホックネットワークを用いて端末間を移動することにより,特定の物理的エリア内にエージェントがとどまる手法について提案を行い,その有効性を評価する.この手法を用いることで,エージェントはインフラを使用せずに,特定のエリアに十分な時間にわたって存在し続けることが可能となり,特定の位置に依存したデータ収集および提供を行うことができるようになる.著者らは利用者の密度に応じてこれらのエージェントの生存時間と,対象エリアからの位置誤差を評価した.また,エージェントの通信範囲を動的に変化させることで電力消費量を抑える手法であるDRC(Dynamic Radius Control)を提案し,その有効性を示した.Mobile agents are expected to play a large role in providing location based services. In this paper we define and evaluate algorithms that enable mobile agents to move between hosts on adhoc network so that the agent may stay within a close proximity of its target area. Using this method, an agent can be deployed for a sufficient term without fixed infrastructure and remain in one area to gather and disseminate data depends on the area. We quantify the lifetime of these agents for several migration policies considering varying user densities. Furthermore, we applied DRC (Dynamic Radius Control) which the agent can change the radius of the transmission area dynamically to reduce power consumption without reducing agent lifetime and the effectiveness of DRC is shown.
著者
佐藤聡 小川智也 新城靖 吉田健一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.17, pp.1-6, 2014-05-15

筑波大学に割り当てられている IP アドレスの中で運用していないセグメント宛の通信は運用上破棄していた.この破棄されたパケットのうち TCP/22 番ポート宛のパケットをハニーポットにて処理することにより,筑波大学の IP アドレス内に設置されている ssh サーバにどのような攻撃があるかの解析を行ったのでその結果を報告する.Packets to IP addresses which are not used in University of Tsukuba was dropped at campus-central routers for normal operation. Among these dropped packets, the packets to TCP/22 port are processed with a honeypot. And we analyzed what kind of trend for unsuitable access to ssh servers with the IP address of University of Tsukuba is. In this paper, we report the results of analysis.
著者
中村 宏 天野 英晴 宇佐美 公良 並木 美太郎 今井 雅 近藤 正章
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.55, pp.79-84, 2007-06-01
参考文献数
9
被引用文献数
17

我々は、科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業(CRESTタイプ)の「情報システムの超低消費電力化を目指した技術革新と統合化技術」領域において、平成18年度より「革新的電源制御による次世代超低電力高性能システム LSI の研究」の研究課題を実施している。本プロジェクトは、回路実装、アーキテクチャ、システムソフトウェアの各階層が真に連携・協調し、革新的な電源制御を実現することで高性能システム LSI の消費電力を格段に低下させることを目指している。本稿では、本プロジェクトの構想と目標達成への戦略について述べると共に、現在実施している各研究項目の一部について概要を述べる。We have started a research project of "Innovative Power Control for Ultra Low-Power and High-Performance System LSIs" since 2006 supported by Japan Science and Technology Agency as a CREST research program. The objective of this project is drastic power reduction of high-performance system LSIs. We are planning to achieve this goal by innovative power control realized by tight cooperation and cooptimization of various design levels including circuit, architecture, and system software. In this paper, we present the plan, the strategy, and the current status of our project.
著者
吉井 和佳 後藤 真孝 駒谷 和範 尾形 哲也 奥乃 博
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.82, pp.91-96, 2005-08-05

本稿では、認識誤りを含むドラム音の発音時刻列からドラムパターンを推定し、認識誤り補正を行う手法について述べる。本稿におけるドラムパターンとは、バスドラム音およびスネアドラム音の発音時刻列のペアで構成される周期的な時間構造のことを指す。まず、我々が提案したドラム音認識手法を音楽音響信号に適用してドラム音の発音時刻列を得る。次に、発音時刻列を短時間フーリエ解析しても止まる周期長に基づき、ドラムパターンを切り出す。ここで、同じドラムパターンは連続して反復されやすいという仮定をおき、各ドラムパターン区間における実際の発音時刻列を推定する。最後に、切り出されたドラムパターンと推定された発音時刻列との比較により、認識誤りの可能性が高い時刻を検出し、再検証を行う。ポピュラー音楽50曲を用いたドラム音認識実験で、補正手法により認識率が77.4% から80.7%に改善することを確認した。may include recognition errors and corrects them by using the drum patterns. In this paper, drum patterns are defined as periodic temporal structures which are pair of onset-time sequences of bass and snare drum sounds. First, we apply our drum sound recognition method to musical audio signals, and obtain onset-time sequences of drum sounds. Next, we calculate the period length of those sequences by applying short-time Fourier transform, and extract drum patterns from them. Under the assumption that the same drum patterns tend to be repeated, we estimate an actual onset-time sequences in duration of each drum pattern. Finally, by comparing each drum pattern with its corresponding estimated onset-time sequences, we detect time points where recognition errors may have been made, and verify those points. The experiments of drum sound recognition with 50 popular songs showed that our correction method improved the recognition accuracy from 77.4% to 80.7%.
著者
片岡 祐介 岩口浩章 佐治 斉
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.87, pp.109-116, 2001-09-13
被引用文献数
1

本論文では、より細かな表情認識を目的として、笑顔に着目し、快・不快・社交的の3つの笑顔に分類する方法を提案する。まず、目・口・眉の構成要素の追跡を行い、次に、表情筋の6グループの動作と追跡結果を適合させる。最後に、どの表情筋の動作により各笑顔が表出されるかを観察することにより、笑顔の分類基準を検討する。In this paper, we propose the method of classifying a smile into pleasantness, unpleasantness, and sociability for recognition of facial expressions in detail. First, we track the facial components, such as the eyes, mouth and eyebrows. Second, we match the tracking result with the motions of the six groups of facial muscles. Finally, we investigate the criterion for classifying the smile by observing which musule motion creates the smile.
著者
横山 真男 青山 一美 菊池 英明 帆足 啓一郎 白井 克彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.487-496, 1999-02-15
被引用文献数
16

人間型ロボットのコミュニケーション能力を人間のそれに近付けるために 人間同士のコミュニケーションにおいて重要な役割を持つ視線や手振りなど非言語情報の利用を検討した. 本論文では まず人間同士の対話において 各種非言語情報の出現タイミングについての分析を行う. さらに ロボット側の非言語情報の出力タイミングによる対話への影響を分析する. 分析の結果 非言語情報の種類による発話交替における制約としての強さや自然性の違いが明確になった. また 非言語情報の出力タイミングとして 人間同士と同様に発話開始直後あるいは終了時が自然かつ円滑な対話の実現にとって適切であることが確かめられた. 最後に ロボットへの視線情報制御の適用を行い インタフェース評価実験の結果より ロボットの対話インタフェースにおける非言語情報制御の有効性について述べる.In this research, we consider the use of non-verbal information in human-robot dialogue to draw the communication ability of robots closer to that of human beings. This paper describes analysis of output timing of non-verbal informatin in the dialogues between human beings. Moreover, we analyse infuluences of the output timing by controlling it in the dialogue of a CG robot. As the result, we clarify the strength of constraint and naturalness of various types of non-vervbal information. Also, we confirm that appropriate output timing of non-verbal information is during or at the end of utterances, which is the same as in human-human dialogue. At last, we applied non-verbal information to the humanoid robot and made similar experiments. As a rsult, non-verbal information made speaker-changing more smoothly for the humanoid robot than in the case of the CG robot.
著者
五味 雄一 万井 真理子 森田 圭紀 寺田 努 東 健 塚本 昌彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.5, pp.97-104, 2009-01-19
被引用文献数
1

入院中の患者の娯楽の手段・時間は治療上の制約やプライバシの問題から自宅での生活に比べて大きく制限される.しかし,治療や入院生活における身体的・精神的苦痛や退屈の緩和のためには,患者が自宅と同様に周囲を気にせず娯楽を楽しめる環境が必要である.本稿では,頭部装着型ディスプレイ (HMD: Head Mounted Display) で映像コンテンツを提供することによる苦痛や退屈の緩和の効果を調査し,入院生活における QOL の向上において,HMD による映像コンテンツ視聴の効果を明らかにすることを目的とする.アンケート評価の結果より,入院中の HMD によるコンテンツ視聴が精神的苦痛や退屈の緩和に有効であることがわかった.The entertainment for patients in hospital is strictly limited because of remedial limitations and look at privacy compared with that at home. However, it is important to provide an environment that the patients enjoy entertainment without concerning for reducing the physical pain and tedium of patients in hospital. In this paper, we investigate the effect of offering video contents with HMD (Head Mounted Display) to improve QOL (Quality Of Life). The result of experiment clarified the effectiveness of browsing contents on HMD for relaxation of mental pain and tedium of patients in hospital.
著者
川島 隆徳 徃住彰文
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.61, pp.17-24, 2008-06-25

オントロジーの知識を持った専門家だけが構築できる伝統的なオントロジーに対して,専門的知識無しで構築できるオントロジーは,オントロジー構築の敷居を下げるばかりでなく、新しい機能や用途を持つ可能性がある.フォークソノミーの手法を応用したオントロジーとしてフォークオントロジーを定義し,その概念的な枠組みの特徴づけをおこなった.1) 多義性を許し,2) 大規模性を前提とするフォークオントロジーの,大人数による協調構築をサポートする GUI エディタとして, Folk Ontology Workspace (FOWS) を設計し実装した.A major obstacle for ontology construction is that it requires high levels of both domain expertise and ontology skills to maintain internal consistency. In this paper, we propose a conceptual framework for a folk ontology which people can construct with only the appropriate domain knowledge. In order to realize this collaborative ontology construction, we have developed the Folk Ontology Workspace (FOWS), which is an ontology editor for distributed environments implemented in Java.
著者
横田 隆史 斎藤盛幸 大津 金光 古川 文人 馬場 敬信
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.46, no.16, pp.1-13, 2005-12-15
参考文献数
20
被引用文献数
23

LSI の高集積化にともない,計算機システムで利用可能なハードウェア資源の量は拡大の一途をたどっているが,一方でクロック速度の向上が飽和する状況になっており,命令レベル・スレッドレベルの並列性を活かした効果的な実行方式が求められている.本論文は,実行頻度の高いホットループに対して,次のイテレーションで行われる実行経路(パス)を予測して投機実行するパスベースの投機的マルチスレッド処理に関して,スレッドレベル並列性を得るための現実的かつ効果的な方法を検討する.パスを投機の対象とすることで,スレッド間依存の問題の緩和や,スレッドコードの最適化が図れるメリットを享受できるが,その一方で,効果的なパスの予測方法・投機方法が課題となる.本論文では,一般的なプログラムでは多くの場合,予測・投機の対象を実行頻度の高い2 つのパスに絞っても実質上問題にならないことを示し,2 つのパスに限定して投機実行する2 パス限定投機実行方式を提案する.実行頻度の上位2 つのパスが支配的である場合は,最初のパスの投機に失敗しても次点のパスが高確率で成功するために実行効率を上げられる.本提案方式をモデル化し解析的に性能見積りを行うとともに,2 レベル分岐予測器をもとにしたパス予測器を用い,トレースベースのシミュレータにより評価を行い有効性を示す.Modern microprocessor systems take their advantages by exploiting large hardware resources in a single chip and by accelerating clock speed. However, in near future, LSI integration will be continued while clock speed be saturated. Thus efficient instruction- and thread-level parallelism is required to achieve higher performance. This paper addresses a path-based speculative multithreading, where frequently executed path is predicted and executed speculatively. We propose a practical speculation method for path-based speculative multithreading. Most practical programs execute only one or two paths in hot-loops, while there are many possible paths according to many branches. We show most frequent two paths are practical candidates to predict and speculate, and thus we propose the two-path limited speculation method. Analytical performance estimation and trace-based simulation results show effectiveness of the proposed method.