著者
松本 勉 岩村 充 佐々木 良一 松木 武
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. DPS,マルチメディア通信と分散処理研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.97, pp.13-17, 2000-03-21
参考文献数
4
被引用文献数
15

計算量的仮定に基づく暗号による電子署名方式は, 技術環境が変化すれば, 十分な安全性をずっと保ち続けられるとは限らないという性質を持つ.よって, 本来自分だけが持つはずの暗号的署名生成機能を他のエンティティが持っているという状況が生じえる.このため, 自分が署名した覚えのない電子文書が提示されたとしても, 自分は署名していないことを調停者に対して証明できること, すなわち「電子署名アリバイ(電子署名の非生成証明)」を実現する機構が求められる.我々は, 署名生成者の署名履歴-これには他のエンティティの署名履歴との交差が含まれる場合もある-に依存して署名生成を行うという「ヒステリシス署名」とそれを基礎とする電子署名アリバイ実現機構を提案する.
著者
三野陽子 小林一郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.583-585, 2011-03-02

今日,メタボリックシンドロームや生活習慣病の有病者が増加し,国民の健康改善への意識が向上している.また,医食同源という考え方があるように,バランスのとれた食事を取ることが健康な生活につながる.そこで本研究では健康管理の一つとして,食事に注目し, 個人のスケジュールを考慮したレシピ推薦手法を提案する.提案手法では,初めにスケジュールを基にカロリー摂取量を制限したレシピの候補を選択し,更に線形計画法を用いて栄養バランスが良い健康面に配慮したレシピを推薦する.また,推薦された食事を食べなかった場合や使用したい食材がある場合など様々な状況にも柔軟に対応し,レシピ推薦を行う.
著者
大沼 義孝 北形 元 菅沼 拓夫 木下 哲男 白鳥 則郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.56, pp.1-6, 1999-07-15
被引用文献数
1

スケジュール管理システムを用いたスケジュール調整を行うには,ユーザのスケジュール予定を表現するイベント情報が予め入力されていることが必要不可欠である.しかしながら,多くの情報の中から自分に関連するイベント情報をもれなく抽出し,それらを管理システムの要求する形式に変換,入力する作業は利用者にとって大きな負担となっている.そこで我々は,電子的に通知される電子メールや電子ニュース内の文書を対象に,知的ユーザエージェントであるイベント取得エージェントが,スケジュール関連文書の選別を行い,更に不足情報を補うことでスケジュール管理システムに入力できる定型文書を生成するシステムを提案する.本稿では,個人プロファイルを利用した選別判断機能と情報補完機能に焦点をあて,その基本的概念について述べる.An event scheduler needs event information. Event information has become electronically available in different sources i.e mailbox, netNews etc. Filtering necessary information from these sources and inserting them to the scheduler, manually by a user itself is a troublesome routine work. We propose a system wherein an agent automatically gathers necessary information on the user behalf by checking the prospective mailbox, Net News etc, arranging them to the given standard format, and finally conveying to the scheduler. And thus, reduces the user overloads. This paper also discusses the necessary issues involved e.g decision making, information-completion functions by referring user's personal profiles.
著者
伊藤靖章 高橋 圭 蔡東生
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.105, pp.1-6, 1999-12-10

生体の複雑な動きを生成するために、個々が簡単なルールに従い、群れ全体として複雑な動きを生成するというボイドのアルゴリズムを基に生体の群れを作成した。そのボイドに、自己組織化臨界現象のモデルである砂山モデルを用い、生体の群れが外敵に襲われる際の非定常状態に適用し、群れの崩れる様子を作成した。また、人に心地良いといわれ、インテリアデザインなどの分野にも応用されている1/fゆらぎを群れの個体のパラメータに適用し自然な振る舞いをする群れの作成を試みた。また、カオスゲームを群れの飛び立ちに適用することで人に自然に群れだと感じさせるだけではなく、複雑で見栄えがある群れの生成を試みた。Natural creatures like birds, butterflies often display very complex grouping behavior. Reynolds reported that such grouping behavior can be expressed via some simple rules, and called them "boids". However, many more complex grouping behaviors are beyond the description of simple "boids". We report some more complex "boid" using SOC (self-organized criticality) and chaos game algorithm.
著者
松下
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会グル-プウェア研究会
巻号頁・発行日
pp.4-1, 1993
被引用文献数
2

本論文では,人間のかかわりを階層化することによって,そのかかわりの深度を明確化しようと試みる.同じ場所にいる2人の間で「道を教える」ような場合と,遠隔にいる複数人が連立政権樹立のために「政策調整を行う」ような場合とを比較し,前者がコミュニケーションであり,後者がコラボレーションであることを述べる.ここでは,コミュニケーションとコラボレーションの違いを明確化し,遠隔のコラボレーションのために臨場感のあるコミュニケーションが要求されることを述べる.コラボレーションのためにCommunication, Awareness, Copresenseという下位の階層が存在し,それらの層がコラボレーションのためのインフラストラクチャの役目をはたす.
著者
東本 遼太郎 森 崇志 中井 仁大 星野 准一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.80, pp.1-6, 2014-03-06

実体験を伴った経験は学習にとって効果的で,学校教育などでは実際に学習対象に触れるような学習が推奨されている.しかし過去の歴史や文化について学ぼうとした場合,実際に体験をすることで知識を得ることは難しい.本稿で提案するシステム,EFfEct: Experiential Foundation for Education では,歴史的な事象を定義でき,プレイヤは登場人物の 1 人として場面に参加することで,様々な視点から多面的に事象を理解できる.システムは様々なゲームコンテンツの基盤となるもので,学習したい場所,時代に対応する.今回は過去の生活習慣や文化に着目し,町を再現したヴァーチャルな 3D 空間の中で人々の暮らしを観察,体験できるゲームコンテンツを制作可能とした.評価として,日本の江戸時代の町における人々の生活を体験できるゲームコンテンツを制作,実現した体験的学習に学習効果があるのか,どういった要素が効果的であるのかを確認した.Experience is effective for learning. Learning with observing or touching on the object actually is recommended, such as school education. However, if we try to learn about the history or culture of the past, it is difficult to learn it from actual experience. In this paper, We developed a game system called EFfEct (Experiential Foundation for Education) using Episode System that allows players the historical and cultural experiential learning. Users as the characters of scenes can actively learn contents with experiencing the time, the place and the change with them. System is foundation, so creators of game contents can produce them representing various age or place with this system. We performed experiments to evaluate the system by getting users to play game content can experience the life of people and entertainments in the town of the Edo period of Japan. In these experiments, it was confirmed whether there is a learning effect and what element is effective.
著者
來迎直裕 小笠原直人 佐藤究 布川博士
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.15-17, 2013-03-06

携帯電話は私たちの生活で情報を取得する手段として欠かせない存在であり、情報を取得するには携帯電話の着信音等のインジケータの存在に気づかなければならない。しかし、携帯電話はポケットやかばんに収納されているため、環境や行動によっては着信に気づかない場合がある。そこで、帽子のつばにLEDを取り付けてLEDの点滅によって通知情報を提示する帽子型インジケータを提案する。これは、視覚から通知情報の有無を知ることができるため、周囲の環境に左右されずどのような場所でも通知情報を受け取ることができると考えた。そして、有用性の評価のために帽子インジケータと携帯端末との比較実験を行い、実験結果について評価を行った。
著者
梶山 朋子 中丸 幸治 大野 義夫 神門 典子 佐藤真一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.918-928, 2007-02-15
被引用文献数
3

本稿では,マルチメディアデータのような多次元属性情報を対象とし,初心者ユーザでも利用可能なリング状検索インタフェースConcentric Ring View F+を提案する.一般的な検索システムでは,ユーザの操作によりシステムが検索結果を出力するというクエリ中心であるため,ユーザが属性や属性の意味を直感的に把握し,最適値へ調整することは難しい.そこで我々は,ユーザが検索結果を評価することは可能であるということに着目し,検索結果中心という考えで設計した.ユーザは,検索結果から現在の状況を把握して属性や属性値を操作したり,自分の情報要求に適合している候補を選択したりすることにより検索を進める.本手法はリング状構造で,ユーザのリング操作により,リング内部の検索結果が瞬時に表示される仕組みである.有効性の検証では,本手法を用いて画像検索システムを構築し,ユーザビリティテストを行った.This paper proposes a new search interface, named Concentric Ring View F+, applying to multi-faceted information for novice users. Because general retrieval systems are queryoriented they just display retrieved results by users' operation, it is difficult for users to grasp the meaning of attributes or their values intuitively and adjust optimum values. We designed a new search interface based on a result-oriented concept because we recognized that users could evaluate retrieved results. Users can continue to search by seeing retrieved results and grasp the present conditions, operating the attributes and their value, and selecting the relevant information. This proposed interface is ring-structured and retrieved results are displayed by ring operations in real time. We constructed an image retrieval system and performed usability tests to verify its effectiveness.
著者
齋藤 毅 後藤 真孝 鵜木 祐史 赤木 正人
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.12, pp.25-32, 2008-02-08
被引用文献数
7

本稿では,歌詞の朗読音声(話声)を歌声に変換する歌声合成システムSingBySpeakingについて述べる.このシステムは,音声分析合成系STRAIGHTによる分析/合成処理過程において,基本周波数(F0),スペクトル,音韻長を制御するモデルによって歌声特有の音響特徴を操作することで話声を歌声に変換する.F0 制御モデルは,楽譜情報から得られるメロディの遷移の概形に対して,4種類の動的変動成分(オーバーシュート,ヴィブラート,プレパレーション,微細変動)を付与することで歌声のF0変化パターンを生成する.スペクトル制御モデルは,話声のスペクトルに対して,歌唱ホルマントとヴィブラートに同期したホルマントの振幅変調を付与することで歌声のスペクトル形状を生成する.音韻長制御モデルは,楽曲のテンポに基づいて,話声中の各音韻長を歌声の音韻長に伸長する.システムで合成された音声を聴取実験によって評価した結果,各種音響特徴を制御することで話声から歌声に変換され,すべての特徴を制御した合成音の音質は原音声と同程度であることを示した.This paper describes a novel singing voice synthesis system SingBySpeaking that can synthesize a singing voice, given a speaking voice reading the lyrics of a song and its musical score. The system is based on the speech manipulation system STRAIGHT and comprises three models controlling three acoustic features unique to singing voices: the fundamental frequency (F0), phoneme duration, and spectrum. Given the musical score and its tempo, the F0 control model generates the F0 contour of the singing voice by controlling four types of F0 fluctuations: overshoot, vibrato, preparation, and fine fluctuation. The duration control model lengthens the duration of each phoneme in the speaking voice by considering the duration of its musical note. The spectral control model converts the spectral envelope of the speaking voice into that of the singing voice by controlling both the singing formant and the amplitude modulation of formants in synchronization with vibrato. Experimental results show that the proposed system can convert speaking voices into singing voices whose naturalness is almost the same as actual singing voices.
著者
尾崎 敦夫 古市 昌一 阿部 一裕 中島 克人 田中 秀俊
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.2810-2818, 1999-06-15
被引用文献数
5

渋滞解消のための実時間信号制御や 広域な交通網整備などの用途への活用を目指した大規模交通シミュレータを開発した. 本シミュレータは提案した時空間オブジェクトモデルを基礎にインテル社製のMIMD型高並列計算機Paragon上に開発したものである. 本シミュレータの性能評価の一環として 並列処理の単位となる粒度に関して 高性能を得る最適な粒度を求めるための負荷バランス方式の実験を行った. 負荷バランス方式は 道路網を細かく分割して 各プロセッサヘラウンドロビンに割り振る多重マッピング方式を採用した. 横浜市の中心部4km×2km四方の領域の実データを使用し Paragonの32プロセッサを用いて 多重マッピング方式を適用した場合に 約3 000台の車と約1 400の信号付き交差点を実時間実行できることが分かった. このケースでは 負荷バランスを考慮しない単ーマッピング方式と比べて約2倍の性能向上が達成できている.We developed a large scale car traffic simulator based on a Space-Time Object model. The target application of this simulator is real time traffic lights control, design of road network and so on. In this paper, we discuss issues in implementation and the performance evaluation of the simulator. We also present the results of static load balancing. Two mapping schemes have been applied for estimation of the performance of load balancing. One is a one-to-one mapping scheme, in which one sub-road is mapped onto one processor. Another is multiple mapping scheme, in which more than two sub-roads are mapped onto one processor. The simulator based on multiple mapping can simulate about 3,000 cars and 1,400 traffic lights at real time speed on 32 processors of Intel Paragon using the actual road map of a 4km × 2km area in the heart of Yokohama city. The performance of the simulator based on multiple mapping is about two times faster than that of one-to-one mapping in this case.
著者
合志 和晃 松永 勝也 黒木 大一朗 志堂寺 和則 松木 裕二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.7, pp.1754-1761, 2001-07-15
被引用文献数
7

自動車の運転事故による交通事故死者の数は,世界で年間50万人以上といわれている.これらによる損失は非常に深刻な問題となっている.そのため,近年,ITS(高度道路交通システム)をはじめとする自動車運転事故防止のための技術開発,研究が進められている.我々は,新しい交通事故防止の理論に基づく自動車運転事故防止のためのITSとして安全運転管理教育システム(ASSIST)を設計し開発を行っている.事故類型別の交通事故件数では,追突と交差点での出合頭の衝突の事故が多い.追突事故防止には,進行方向空間距離(当該車両からその進行方向にある最も近い障害物までの距離)を停止距離よりも大きくとることが必要である.また交差点での運転挙動の改善は,本人の運転挙動の問題点を客観的に分からせることが効果的であった.ところが,これまで,自動車は,閉じられた空間であり,運転者の運転挙動を知るには同乗するほかに方法がなかった.しかし,近年の情報通信技術の発達にともない自動車に搭載した装置によって運転者の運転挙動を取得し通信で外部に知らせることが可能になってきた.運転者の運転挙動を把握し,危険な運転をした場合に,その場で随時教育すれば教育効果も高いため,交通事故を大幅に減少できると予測できる.そこで,交差点での一時停止に関する管理・教育の実験によってASSISTの有用性を確認した.It is reported that more than half a million souls are lost per year by traffic accidents in the world.These losses are a very serious topic today.Our research team is therefore developing and designing an Assistant System for Safe driving by Informative Supervision and Training (ASSIST),a system created to prevent accidents based on our safe driving theory.One important element for safe driving is that drivers should leave more headway distance than stopping distance.The results of our research revealed that understanding the efficiency of adequate speed and recognizing their own driving behavior are very effective for drivers to create sufficient headway distance.Until now, with a driver in a closed space inside the car,no one could understand and supervise his driving behavior unless a supervisor is with him in the same car.However, recent computer and communication technologies have made it possible to obtain the driving behavior and send it to the supervisor outside of the car.It is believed to be efficient to teach safe driving whenever a driver has driven dangerously.We therefore conducted experiments regarding temporary stops at intersections as well as understanding driving behavior through communication,and then confirmed the effectiveness of ASSIST.
著者
福留 恵子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.13, pp.193-198, 1997-01-30

()「協調作業の支援」においては、設計者とユーザ(協調作業の当事者)の間に共有される解決課題が必要である。それは、協調作業支援が協調的行為の当事者に対する一種の操作であるために、その操作の正当性が求められることに基づいている。この、設計者とユーザの共有する課題が、同時に設計者の間で共有される課題でもあり、また、GWシステムの評価基準の根拠ともなる。()これまでGWがイメージしてきた望ましい協調作業像は、大きく「コスト削減」と「パフォーマンス向上(特に創発性向上)」の二要因で捉えることができ、特に日本においては、後者が不可欠な要因となってくる。しかし、「創発性」という概念は、ブレークスルーの成功の原因として結果から遡及的に定義されていると考えられ、このことが「創発性向上」の共有課題化を困難にしている。()上記のジレンマを回避する課題設定として、「多様性の保持」、特にそのためのコスト削減を提示。実際の協調的行為の中で発生したコミュニケーションの齟齬の観察からも、提示した課題が成立する可能性が認められる。(1) In GW/CSCW, shared tasks are needed between system designers and the users of that system. The reason is that collaboration support is one kind of operation for others and we generally need some justifiability for that kind of operation. And those shared tasks lead tasks shared by system designers, and give some basis for utility evaluation criteria. (2) GW tasks can be classified into cost-reduction and performance-improvement (specially that with creativity-augmentation) of cooperative-action in some group, and particurarly in Iapan, the latter is thought to be indispensable. But the word of "creativity-augmentation" is defined by the success of creation, in the other words, the result of the word itself. And that makes it difflcult that "creativity-augmentation" is shard as GW tasks by designers and users. (3) For "creativity-augmentation", we can have a shared-task "Keeping diverse ideas", in particular, "cost-reduction for keeping diverse ideas". And we can observe some facts that support this deduction.
著者
古谷博史
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.43, no.10, pp.35-45, 2002-11-15
被引用文献数
5

遺伝的アルゴリズム(GA )の成功にもかかわらず,その理論的基礎付けに関する研究は少ない.スキーマ定理はそれらの中で歴史も長く重要な理論であるが,有効性について様々な批判があり,多くの欠点が指摘されている.最近,我々は突然変異と交叉について厳密なスキーマの進化方程式を導出する方法を見出した.このことにより,突然変異と交叉によるスキーマの変化を理論的に調べることが可能となった.本論文では,線形の適応度を持つOne-Max 問題を例にとり,選択の役割も加えたスキーマ理論の立場から進化の解析を行う.1 次のスキーマについて厳密なスキーマ定理を導き,数値実験と比較する.In spite of the success of genetic algorithms (GAs), there are only a few theories on the foundation of GAs. The schema theorem is a long standing and important theory among them. However, there are a variety of criticisms on it, and have been pointed out many shortcomings. Recently, we have obtained a method for deriving exact evolution equations of schemata under the actions of mutation and crossover. This makes it possible to study theoretically the changes of schemata by them. In this paper, we analyze the roles of these operators and selection in the One-Max problem, which has a linear fitness function, by means of the new schema theory. We derive an exact schema theorem for the first order schemata, and compare the theory with numerical experiments.
著者
財満 久義 山本 強
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.70, pp.49-54, 1999-08-23

マルチメディア、テレコミュニケーション分野で待望視されている三次元オブジェクトの生成方法と表現方法について提案を行う。三次元オブジェクトは、そのニーズが高い一方、データの作成方法やデータ容量など解決すべき問題が多く残されており、広く普及しているとは言い難い現状にある。三次元オブジェクトをマルチメディアのコンテンツとして位置付けた場合、その生成方法はユーザフレンドリーであることが望まれ、そのデータ構造はインフラフレンドリーであることが望まれる。本研究は、既存物体をいかに簡易にモデリングし、いかに低コストで配信、利用するかに焦点をあてる。提案手法では三次元オブジェクトを双方向レイトレースモデリングという生成方式を用いてモデル化する。この生成方法によりフリーハンドで撮影した複数枚の画像より三次元の幾何情報の推定を行う。また、Screened Voxelという表現形式により簡易にデータを記述する。この表現方法では、コアとなるデータ容量が小さいため、現行のネットワーク環境下で低コストの配信が可能となる。We propose an approach for the generation and distribution of three-dimensional scenes that is practical on existing networks. In spite of needs and expectations from many fields, three-dimensional visualization is not yet commonly used. Our approach is based on the idea that multimedia data should be both infrastructure-friendly and user-friendly. We represent three-dimensional objects using screened voxel expressions. This representation keeps the data size small enough so that existing network bandwidth is sufficient, and can be rendered efficiently enough (using the 3DDDA algorithm) so that low cost client computers can be used. In this paper we explain how to represent scenes using screened voxel expressions and give some examples.
著者
立石 健二 福島 俊一 小林 のぞみ 高橋 哲朗 藤田 篤 乾 健太郎 松本 裕治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.93, pp.1-8, 2004-09-16
被引用文献数
14

本稿では、Web文書から意見を抽出し、それらをレーダーチャートの形式で要約/視覚化する意見抽出分類システムを提案する。Webの意見は、商品購入の際の情報収集、市場調査等のマーケティング、企業のリスク管理等、さまざまな目的での利用が考えられる。Webの意見の収集/分析に関する研究には2つの課題がある、対象とするWeb文書から意見に該当する箇所を抽出すること、抽出した意見を要約/視覚化することである。本システムは、この2つの課題を3つ組{対象物 属性 評価}のモデルと情報抽出の手法を用いて解決する。本システムを車に関するレビューサイトの100記事を対象として評価したところ抽出精度が適合率82% 再現率52%であり、システムが出力したレーダーチャートと人手で作成したレーダーチャートが類似することを確認した。This paper proposes an opinion extraction and classification system, which extracts people's opinions from Web documents and summarize/visualizes them in the form of "radar charts". People's opinions on the Internet are available for many purposes such as surveys before purchasing products, market research and risk management for enterprises. There are two issues on this area. One is to locate opinion sentences from Web documents, and the other is to summarize/visualize the extracted opinions. The proposed system solves them by employing an opinion model {object name, attribute expression, evaluative expression} and information extraction techniques. The experimental result conducted with 100 articles on the car domain showed that the system performed 82% on precision and 52% on recall, and that both radar charts created by the system and by the hand are similar to each other.
著者
野田 五十樹 太田 正幸 篠田 孝祐 熊田 陽一郎 中島 秀之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. ICS, [知能と複雑系] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.131, pp.31-36, 2003-01-29
被引用文献数
5

利便性の高い公共交通手段としてデマンドバスは注目されているが、現状では小規模な運営にとどまっており、採算性の問題を抱えている。本稿ではデマンドバスの大規模運営の可能性を探るため、シミュレーションによりデマンドバスと従来の固定路線バスの利便性と採算性の関係を解析した。その結果、次のようなことが示された。(1)デマンドバスはデマンドの増加に従い急速に利便性が悪化する。(2)デマンド数とバスの運用台数を一定に比率に保つ場合、規模の拡大に従いデマンドバスの利便性は固定路線バスより早く改善する。(3)十分な利用者がいる場合、同じ採算性でも固定路線バスよりデマンドバスの利便性をよくすることができる。
著者
西田 雅太 星澤 裕二 笠間 貴弘 衛藤 将史 井上 大介 中尾 康二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.21, pp.1-7, 2014-02-27

近年増加しているドライブバイダウンロード攻撃では,JavaScript を介して攻撃を行うものがあり,悪意のある JavaScript を検出する手法が希求されている.本稿では,難読化が施された JavaScript の文字出現頻度が一般の JavaScript とは異なる傾向があることに着目し,スクリプトの文字出現頻度を機械学習のパラメータとすることで,悪意のある難読化スクリプトを検出する手法を提案する.また提案手法の検証として,一般サイトの JavaScript と MWS データセット内の D3M 攻撃通信データの JavaScript を入力として学習した結果を示す.Today the number of Drive-by-Download attacks using JavaScript has increased. Therefore we need an efficient method to detect malicious JavaScript. In this paper, we focus our attention on a bias of character frequency of obfuscated malicious JavaScript. We will propose the use of machine learning with character frequency to detect obfuscated malicious JavaScript. This paper will also evaluate the proposed method by using various JavaScript in benign web sites and D3M pcap of MWS dataset.
著者
森川 大補 本庄 勝 山口 明 大橋 正良
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.115, pp.219-224, 2003-11-18
参考文献数
6
被引用文献数
1

本稿では,ユーザ自身に関わる情報,ユーザ周辺の環境に関する情報などをユーザ状況に応じて集約し,体系化するサービスプラットフォームについて検討した結果を報告する.まず,本稿で取り扱う情報を,ユーザ自身にかかわるプロファイル情報(ユーザプロファイル情報)と,ユーザ周辺環境を表す情報(ユーザ環境プロファイル情報)に分類する.なお,本研究では,センサ装置から得られる情報に加え,サービス加入情報,電子決済・ブラウジング・メールの履歴等,ユーザの日頃の情報活動に関わるプロファイル情報を取り扱う.続いて,集約したこれらのプロファイル情報を個人環境プロファイルとして体系化するとともに,個人環境プロファイルを活用するためのプラットフォームの要求と基本設計について述べる.具体的には,プロファイルアグリゲータ,プロファイルコレクタおよびコレクタリゾルバを定義し,その構成と機能を示す.最後に,本プラットフォームを活用したサービスシナリオを示す.This paper presents a framework of a service platform, in which various kinds of profiles related to a user are aggregated and integrated according to the user's situation. Profiles dealt in this study are classified into two categories, "Personal Profiles" and "Environmental Profiles". In particular, "Environmental Profiles" have various information sources including not only sensor-based context information but also profiles acquired from user's activities such as shopping, browsing and e-mailing. In order to integrate these aggregated profiles as a "Personal Integrated Profile", functions in this proposed platform, "Profile Aggregator", "Profile Collector" and "Collector Resolver" are described. And service scenarios activated on the proposed platform are also represented.
著者
柴田 英貴
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.2, pp.31-36, 2003-01-16
被引用文献数
1

UAV(Unmanned Aerial Vehicle:無人航空機)の研究開発は、世界各国の大学、研究機関等で進められている。ヤマハ発動機(株)では、自社製品である産業用無人ヘリコプタRMAXをベースに、GPSセンサと慣性センサを利用した高精度な飛行制御を実現した。回転翼UAVの制御の難易度は非常に高く、現実的に可視外運用が可能な機体は世界にも数種類しか存在しない。 UAVと画像処理との関係は大まかに2種類に分けられる。一つ目はUAVの飛行そのものを制御するために必要なデータを収集するための航法センサ、二つ目はUAVに搭載したカメラを用いて撮影を行い、それを処理して被写体について何らかの情報を得るリモートセンシングである。 ヤマハ発動機は2000年春まで、東京工業大学との共同研究で前者の飛行制御のための航法センサを開発してきた。AIS(ActiveImageSensor)と名づけられたその画像センサは機体搭載カメラのチルト・パン・ズームをアクティブに制御し、積極的に画像情報を得て必要な情報を取り出すことができる。本稿ではこのAISを中心に解説する。UAVs(Unmanned Aerial Vehicle) are a focus of research and development efforts by universities, research organizations and other entities in countries all over the world. At Yamaha Motor Co., Ltd., we took the RMAX, our own proprietary industrial-use unmanned helicopter, as a starting point and developed sophisticated flight control that operates using a GPS sensor and an intertia sensor. Rotary wings UAVs are extremely difficult to control, and there are only a few types of these machines worldwide that can actually be operated outside the range of visibility. Generally, there are two different ways in which the UAV and image processing work together; with the first, a navigational sensor compiles the data necessary in order to control the flight of the UAV itself. The second involves remote sensing, in which a camera mounted on the UAV takes photographs which are then processed to obtain various information concerning the object being photographed. By the spriong of 2000, Yamaha Moter Co. had developed the former, a navigational sensor for flight control, though collaborative research with the Tokyo Institute of Technology. This image sensor, called the AIS (Active Image Sensor), actively controls the tilting, panning and zooming of the camera mounted on the machine so that the necessary data can be obtained through the assiduous acquistion of image information. This paper describes our development achievements, focusing primarily on the AIS.
著者
吉田 翔 金井 秀明
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.52, pp.1-8, 2014-03-06

本研究は,食事中のそしゃく癖の改善を目的としたそしゃく状況通知手法に関する研究である.共食の場において周囲に悪影響を及ぼす 「クチャラー」 を対象とし,聴覚遅延フィードバックを用いたそしゃく状態の通知を行った.被験者のそしゃく音を遅延させて再生することで,自分のそしゃく行為が周囲からどのように認識されているかを通知する.構築システムでは通知だけでなく,被験者の顎の動きを検出することで,そしゃく状態を測定することが可能である.このシステムを用いた実験により,遅延時間を大きくした場合,被験者は自らのそしゃく状態を認知でき,そしゃく行為を控えようとする傾向が確認できた.In this paper, we propose a notification system of a state of mastication in order to improve a habit of mastication during the meals. The system senses user's mastication state, and uses the delayed auditory feedback to notify the user of the state. The system does the feedback of user's mastication sound depending on the mastication state in order to make sense of the state. We carried out user experiments in order to investigate the effects of the system and how to change user's behavior of masticating using the system. From the experiments, we found that the subjects tend to change their masticating action depending on the delayed auditory feedback.