著者
佐々木 重信 菊池 久和 朱 近康 丸林 元
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.77, no.11, pp.655-664, 1994-11-25
被引用文献数
5

本論文では,筆者らがこれまで検討してきた並列組合せSS通信方式の一方式として,差動並列組合せSS(DPC/SS)通信方式を提案する.並列組合せSS方式は,複数のデータビットを+,-の状態をもつ拡散系列の組合せに変換して送信することで周波数利用効率を高めたSS方式である.本論文で提案する方式は,送信する系列にかかる+,-の状態データに送信側で差動符号化を施し,受信側で<は拡散系列の組合せを包路線検波により復調し,また+,-の状態データを遅延検波を用いて復調する.このため,受信側で搬送波の位相を再生する必要がなく,伝送路における位相変動が激しい移動体通信に有効と考えられる.本論文では,DPC/SS通信方式の基本的な性能として,白色ガウス雑音のみの伝送路,レイリーフェージング伝送路における誤り率特性,またレイリーフェージング伝送路においてダイバーシチを適用した場合の効果を明らかにした.その結果,本方式を従来のDPSKやBPSK方式と同等のデータ伝送速度で加法性白色ガウス雑音伝送路に適用した場合,ビット誤り率10^<-8>における情報ビット当りの所要SN比を,DPSKやBPSK方式に比べて,1dB以上削減できることが明らかになった.またレイリーフェージング伝送路において受信側にダイバーシチを適用した場合,ブランチ数の増加に伴うビット誤り率の改善効果が従来のDPSKによる直接拡散SS方式に比べて大きいことが明らかになった.
著者
味八木 崇 山崎 俊彦 相澤 清晴
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.129, pp.49-53, 2007-07-02

広域分散カメラシステム上で動作する人物追跡のためのセンサーフュージョン手法として,既存の映像によるパーティクルフィルタでの追跡と無線LANアクセスポイントからの電波信号強度を利用した位置推定手法とを統合する方式を提案する.推定位置情報をパーティクルの尤度評価に取り入れることで,重複しないカメラ撮影エリア間でも追跡が可能であることを屋外環境での実験から確認した.
著者
井上 真杉 大西 真晶 森野 博章 実藤 亨
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. USN, ユビキタス・センサネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.252, pp.99-104, 2008-10-15
被引用文献数
13

経路制御・接続管理機能を有する無線メッシュネットワークに基づいたセンサ情報によるサービス・アプリケーション提供プラットフォームに関して論じる。センサ情報を活用した、個人、家族、地域、コミュニティ向けの多彩な通信サービスとアプリケーションを実行可能なプラットフォームとし、センサ及びアプリケーションインタフェースをオープン化することで、インフラコストを相対的に低減し、地域ユビキタスサービスの実現を目指すものである。同プラットフォームは、物理無線メッシュネットワーク上に設定する多対多の論理経路を複数のサービスドメインがサービスに応じて選択できる環境を提供するとともに、ネットワークに接続されるセンサや端末の接続認証等を提供する。プラットフォーム化の意義、マネージド無線メッシュの概要、同プラットフォームを活用したセンサ情報アプリケーション提供モデルを示す。
著者
岩垂 司 小銭 正尚 野口 迪子 折登 一彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, 1997-08-13

研究業績は人事、予算配分、プロポーザル採択などの際の重要な判断材料であるが、その評価に関し現状では確たる基準があるとは言い難い。我々は研究業績評価のための基礎作業として、論文の自己評価を被引用度と対比して内容を検討し、更に自己評価と被引用の理由の調査から、研究当事者と他者との評価の異同の解明を試みた。
著者
宮下 哲哉 斎藤 一賢 内田 龍男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EID, 電子ディスプレイ
巻号頁・発行日
vol.98, no.107, pp.23-28, 1998-06-12

筆者らは、メイクロカラーフィルタを使わずにフルカラー表示を行うカラーシーケンシャル方式の液晶ディスプレイを提案した。この方式は赤緑青の三色が高速で順次切り替わる光源と、広視野角・高速応答特性を有するOCBモードの液晶素子によって構成されている。本発表では、この表示原理と設計方針および表示特性について述べる。
著者
西川 通則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EID, 電子ディスプレイ
巻号頁・発行日
vol.95, no.442, pp.11-16, 1995-12-19

今回のアジアディスプレイでの液晶技術に関連した発表の概要について報告する。配向膜に関する報告が4件、液晶材料に関する報告が2件、二色性色素に関する報告が1件、配回分割に関する報告が1件、STNに関する報告が1件行われた。
著者
Yi-Wen Zhu 山口 高弘 志賀 智一 御子柴 茂生 上田 壽男 苅谷 教治 篠田 傳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EID, 電子ディスプレイ
巻号頁・発行日
vol.97, no.519, pp.137-142, 1998-01-29

蛍光体の残光と動画偽輪郭の関係を定量的に求めた。蛍光体残光の減衰時定数が長いほうが偽輪郭は目立たなくなるが、一方乱れの幅は広くなる。また、残光により画像が尾を引く。発光デューティを低くすることにより、ある程度偽輪郭を防ぐことができる。乱れの量は蛍光体の時定数に依存するため、時定数の異なるR, G, B三色を混合すると、色ずれが発生する。
著者
内堀 千尋 リー マイケル ザン シフォン ホー ポール 中村 友二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SDM, シリコン材料・デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.428, pp.45-49, 2009-02-02
被引用文献数
1

フリップチップ実装(FCBGA)において実装基板とチップの熱膨張係数の違いにより生じる熱応力が低誘電率層間膜と銅を用いた多層配線の機械的信頼性に与える影響を調べた。有限要素法(FEA)を用いた応力計算と仮想亀裂進展法(MVCC)により求められるエネルギー開放率(ERR)を用い、特定の界面に加わる剥離駆動力を求め機械的信頼性を評価した。均一な層間膜を用いた場合ERRは上層の界面で高いが、異なる物性値をもつ層間膜の組み合わせることでERRの大きさを制御できることが明らかになった。また剥離面より上部に形成された層の物性値や膜厚の組み合わせがERRの大きさに影響することや、剥離長とともにERRが高くなることも明らかになった。これらの結果を基に、65nm世代以降のCu/low-k多層配線の機械的信頼性向上技術について議論する。
著者
冨田 元將 星野 聖
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EID, 電子ディスプレイ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.223, pp.9-12, 2009-10-01

カメラによる手指形状推定を情報入力に用いることを考えた場合,その入力画像には,「手指」と「前腕」が撮像されることになる.そのため,撮像された画像から「手指」領域のみを抽出し,推定する必要がある.本研究では,入力画像から「手指」のみを切り出すアルゴリズムを提案する,さらに,前腕の傾きを推定するアルゴリズムと組み合わせることで,手指がカメラにどのように撮像されて推定が可能なシステムを実現した.評価実験では,全指関節の平均誤差の平均値-2.11度,標準偏差±14.14度と高精度な推定を実現した.
著者
鶴丸 弘昭 城戸 健雄 日高 達 吉田 将
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション
巻号頁・発行日
vol.95, no.429, pp.47-54, 1995-12-15
被引用文献数
1

本稿は国語辞典の語義文に現れる機能表現について調査・整理したものである。機能表現は,語義文の末尾に現れ,語義文から定義語,および,定義語と見出し語との間の階層関係を求める際に意味情報(ρ_<FE>)を与えるものである。調査対象は主として新明解国語辞典^<(1)>の語義文であるが,他の同様な辞典(旺文社^<(2)>,岩波^<(3)>,角川^<(4)>)も参考にしている。約一万の語義文^<(1)>のなかて,機能表現を含んでいる語義文は約1,500文であった。調査結果は,表1,表2,表3にまとめて示している。
著者
小西 孝史 前田 義信 田野 英一 牧野 秀夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.170, pp.25-30, 2008-07-20

我々は視覚障害者の歩行を補助する目的で,適応ファジィ推論ニューラルネットワーク(AFINN)を用いて現在位置を音声案内する「GPS-GIS位置案内システム」を開発した.開発した案内システムでは,地理情報システム(Geographic Information System:GIS)はユーザの周囲に存在するランドマークの知名度,正面方向,面積,重心(経度・緯度),ユーザの現在位置(GPSからの経度・緯度)と進行方向を取得する.これらは知名度,相対正面方向,ユークリッド距離,面積,相対進行方向,基準データの6つの要素に変換される,AFINNは以上の6つの要素より,認知距離に対応させるランドマーク重要度を算出する.このランドマーク重要度を用いることにより,現在位置案内を実現する.AHPを用いてユーザの嗜好を反映させた学習データをAFINNに導入することにより,汎用性の高い案内を得ることが可能となった.シミュレーションを用いてAFINNがユーザにとって有効な案内を出力することを統計的に示唆した.また実際に視覚障害者に案内システムを適用し,ユーザの観点から,システムの評価を得るとともに,意見を聴取した.
著者
吉井 英樹 白井 隼人 佛圓 俊一朗 小松 尚久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LOIS, ライフインテリジェンスとオフィス情報システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.39, pp.109-112, 2009-05-14

都市部などにおいて衛星測位による位置情報を用いる場合,マルチパスの影響などにより大きな測位誤差が含まれるため,速度や加速度から静止状態,歩行状態を判断することは困難である.筆者らは,以前,この測位誤差の影響を小さくする手法として区間速度を開発した.本研究では,この区間速度の特性について詳細に述べ,静止状態と歩行状態を判別する手法を示す.また,この区間速度を用いて滞在区間の検出を試みる.
著者
石原 達也 中村 幸博 武藤 伸洋 阿部 匡伸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LOIS, ライフインテリジェンスとオフィス情報システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.160, pp.87-92, 2009-07-23
被引用文献数
3

近年,ユビキタスコンピューティング技術等の進展により,様々なセンサを用いて取得されたユーザの状況をライフログとして蓄積し,それを利活用することで個々のユーザの状況に応じたサービスを実現するライフログサービスが現実味を帯びてきている.ライフログの中でも,ユーザとユーザ周辺の人物やモノなどの空間配置と時刻情報が取得できれば様々な新しいライフログサービスの展開が期待できる.我々は,モノにセンサを取り付けることを前提に,局所座標系上でのそれら位置とユーザ位置を同時に推定する手法を提案してきた.本稿では,ユーザの移動に伴って逐次形成されていくそれら局所座標系における位置情報の統合手法を提案し,実環境における実験結果について報告する.
著者
小山 直子 増永 良文
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.177, pp.153-158, 2004-07-07

我が国は男女共同参画社会の実現に向けて大きく動き出しているが,それに呼応して社会のジェンダー意識が急速に高まっている.また1960年代に始まったジェンダー研究も次代の流れに呼応して,その姿をめまぐるしく変えながら発展している,我々は,このような現象がインターネット上に展開するジェンダー関連Webサイトがなすコミュニティを分析することにより,的確に捉えることができるのではないかと考えた.そこで,本研究では,東京大学生産技術研究所喜連川研究室で開発されたWebリンク解析アルゴリズムCompanion-を用いて,ジェンダー研究関連Webコミュニティの抽出と分析を行い,そのコミュニティが時代の流れと共にどのように変遷しているか,そして,ジェンダーが社会的・文化的な所産であるがゆえに,ジェンダー概念が社会的・文化的なさまざまな事象により受けるインパクトのもと,どのように揺れ動き,その活動を社会に還元させようとしてきたかを明らかにすることを試みた.一方,Webリンク解析アルゴリズムはHITS法,リンクの強連結性に基づく方法,Max-Flow法などさまざまな手法が提案されているが,いずれも,アルゴリズムをリアルな応用分野に適用した場合に,その分野の専門家がそれらを分析ツールとして使用に耐えうるものと評価するか否かに,非常に関心がある.本報告では,ジェンダー関連Webコミュニティの分析にHITS法に基づいたCompanion-を選択したことでいくつか有益な分析が行えたと評価すると同時に,Webコミュニティの発展過程を読むにあたっては,コミュニティ発展過程ビューアの特性を熟知しておくことが必要であることを明らかにした.
著者
三苫 寛人 内田 誠一 迫江 博昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.657, pp.13-18, 2004-02-13
被引用文献数
1

DPマッチングなど,いわゆる弾性マッチングに基づくオンライン文字認識においては,合わせ過ぎによる誤認識が発生する.例えば入力パターンが「1」であっても,マッチングによって水平部が非線形伸縮された結果,「7」に誤認識される場合がある.本報告では,こうした誤認識の低減手法を提案する.合わせ過ぎの発生原因には,弾性マッチングが本来そのカテゴリでは起こりえないような変形も吸収の対象としていることが挙げられる.そこで本手法では,あらかじめ各カテゴリに生じ易い変形(固有変形)を統計的手法により求めておき,認識の際のマッチングの結果が,その固有変形からどれぐらい逸脱しているかを評価する.その逸脱量が大きければ,そのマッチングにより合わせ過ぎが起きていると判断できる。オンライン数字データを用いた認識実験により,本手法の有効性を確認した.
著者
国信 真吾 藤崎 博志 富永 浩之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.437, pp.55-60, 2006-12-08
被引用文献数
2

本研究室では,授業中の多様な試験に対応する記入式Web試験DrilLs-Fを開発している.DrilLs-Fでは,小問形式の大量の問題から,分野と難易度を指定して,ランダムに出題する.これまで,情報数学やC言語演習など,情報系学科での基礎科目で数年に亘って運用してきた.実施履歴を分析すると,大量の同時アクセスによる試験実施の遅延,マルチメディア出題におけるデータ転送の負荷,ページ遷移の不備による不適切な受験などの問題点が認められた.現在,これらの検討課題に対応するため,サーバ側の機能のモジュール化による試験実施の垂直分業に取り組んでいる.本論では,垂直分業のモデルを提示し,セッション管理とモジュール間通信の手法について述べる.また,クライアント側への処理の移行として,スタンドアロン対応の自宅試験を実装した.
著者
福本 聡 新井 雅之 岩崎 一彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DC, ディペンダブルコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.352, pp.11-13, 2008-12-05
被引用文献数
1

本稿では,著者らの提案した,耐故障プロセッサの性能を解析的に評価するための確率モデルに関する追加的な議論をおこなう.はじめに,著者らの用いた評価尺度である相対性能比の意味を,Pradhanらの関連研究における評価尺度との関係から述べる.つぎに,相対性能比の平均と分散に関するより厳密な解析を示す.