著者
安田 明生 鈴木 治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.97, no.554, pp.17-24, 1998-02-20

船舶の運航に人工衛星は無くてはならないものになってきている。GMDSSは特殊な通信技術を廃し、衛星通信を駆使して簡単な操作で必要な通信が可能となる。遭難時には効率の良い救難体制が準備される。また衛星を使ったテレビ放送のサービスエリアは海上に広く及んでおり、筆者らはこれらを船上の受信するシステムの開発を続けてきた。その装置を世界の静止気象衛星の受信に適用した。また、日本の静止衛星を使った測位システムに関する研究を続けておりこれらについて紹介した。船舶では測位にGPSが導入されているが、さらに高精度の測位が可能とする中波ビーコンDGPS補正データ放送の精度評価、RTK-GPSを使った船舶の三次元姿勢測定についても紹介した。
著者
浅田 峯夫 岡田 敏美
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.89, no.7, pp.1318-1324, 2006-07-01

山岳遭難者の探索システムとして,登山者が携帯する400MHz帯小型発信器(ビーコン)から発信される電波を利用して捜索する方法が提案されている.そこで,遭難時を想定してビーコンを大地付近に設置あるいは積雪中に埋設した場合の伝搬距離と電波の減衰の関係について理論的な検討及び実証実験を行った.その結果,無雪時において400MHz帯ビーコンを地上高約1.7λあるいは0.4λ付近に設置した場合は,大地反射の影響によって電界強度は12dB/octで減衰し,一方,やや湿った均質な積雪中にビーコンを埋設した場合は約16dB/octで減衰することを実証し,更に,雪の誘電率,ビーコンの埋設深さなどによって周期的に変動することを見出した.
著者
富田 光博 畔柳 功芳 大竹 孝平 小澤 智 末広 直樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IT, 情報理論 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.710, pp.55-60, 2004-03-08

送信機はガード系列により保護された包装拡散系列を用いてスペクトル拡散したシンボルを送信し、受信機はコア系列部分のシンボルをデコリレータ、またはMMSEを弔いて復調するCDMA方式において収容局数を減らすことなく性能の向上が図れる順次検出形受信機を提案する。この方式は相関分離方程式を解くことにより得られる全ユーザの軟出力の中で、最も尤度の高いユーザのみを判定し、その成分を受信シンボルから除く手法を用いる。この処理を順次繰り返すことにより全ユーザを検出する。計算機シミュレーションにより、順次検出方式の誤り率が従来方式に比べ著しく低減し得ることを明らかにしている。
著者
工藤 知宏 横山 知典 周東 福強 清水 敏行 天野 英晴
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム
巻号頁・発行日
vol.98, no.234, pp.1-8, 1998-08-05
被引用文献数
6

我々は、ビル内やフロア内などで商用のパーソナルコンピュータやワークステーションを接続し、高速な並列処理を可能にするためのネットワークインタフェースを開発している。このネットワークインタフェースは、マルチユーザ環境における保護されたユーザレベル通信を実現する。プログラマブルロジックデバイスを用い、複数のメモリバンクを持つことにより高速処理を可能にしている。このネットワークインタフェースの実機上の計測とシミュレーションによる評価結果について報告する。
著者
上杉 充
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.465, pp.55-58, 2002-11-15
被引用文献数
9

OFDMにおいてガードインターバルを超える遅延波は致命的な性能劣化をもたらす.そこでこれを克服するため,適応信号処理を用いた干渉キャンセラを提案する.
著者
鈴木 偉元 西村 一敏 阪本 秀樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-コンピュータ (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.80, no.3, pp.300-308, 1997-03-25
被引用文献数
13

本論文では, 高速応答性, 大容量性および経済性に優れたビデオサーバの構築をねらいとして, 磁気ディスク装置とMSS(Mass Storage System)を用いた階層化蓄積ビデオサーバの性能解析を行う. 本解析は, ビデオファイルをアクセス頻度の高いものから順に磁気ディスク装置へ配置する場合に, ビデオストリームの平均頭出し遅延に関するシミュレーション評価結果が目標値以下となるようにハードウェア構成とビデオファイル配置の最適値を明らかにする. 数値例を用いた解析では, ビデオファイルの先頭部を磁気ディスク装置, その後続部をMSSへ分割して蓄積するファイルを設けた場合, ビデオファイル配置にはビデオストリームの平均頭出し遅延を最小にする最適値が存在することが明らかにされた. また, 磁気ディスク装置のみで構成された蓄積装置と比較して, 階層化蓄積が経済性に優れるための磁気ディスク装置とMSSの蓄積単価比が定量的に示された.
著者
八木 宏樹 小川 恭孝 大鐘 武雄 伊藤 精彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム
巻号頁・発行日
vol.96, no.212, pp.9-14, 1996-08-08
被引用文献数
9

高速陸上移動通信おいては, 所望波とともに周囲の環境による反射, 散乱, 回折が原因で遅延時間差を持った多重波が発生する. 多重波抑圧をアダプティプアレーで行うことが提案されているが, アンテナ高が低い場合には, 周囲の建物等が原因で, これらの多重波が広い範囲にわたって到来する. このような状況下ではパタンの自由度を超える数の多重波が到来することが予想される. 自由度を超えた多重波が到来するときのアダプティブアレーの特性を主としてシミュレーションにより考察し, 0.1〜0.3シンボル長以内の遅延時間差を有する多重波はほぼ1つの信号とみなされ, 自由度が消費されることによる重大な特性劣化は起きないことが明らかになった.
著者
間邊 哲也 長谷川 孝明 福田 朗
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ITS (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.51, pp.1-6, 2007-05-17
被引用文献数
13

本稿では,タイルカーペットを用いることで屋内環境に適したM-CubITS歩行者WYSIWYASナビゲーションシステムの実現に向けた見通しを得ている.従来のM-CubITS歩行者WYSIWYASナビゲーションシステムで使われている視覚障害者誘導用ブロックの代わりに建物内に広く普及したタイルカーペットをM-CubITS素子として用いたM-CubITS歩行者WYSIWYASナビゲーションシステムを提案し,タイルカーペットをM-CubITS素子として機能させるための色と配置方法の検討および汎用モバイル機器への実装を行なっている.さらに,本システムを実装した汎用モバイル機器の勲作確認を行ない,一部の照明条件を除いて本システムが正常に動作することを確認している.
著者
國武 勇次 佐藤 寿倫 山口 誠一朗 安浦 寛人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. VLD, VLSI設計技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.298, pp.85-89, 2008-11-10

半導体製造技術の進展に伴い,プロセスばらつき,電源電圧のゆらぎや温度変化などが回路遅延に与える影響が増加している.我々はこれらの回路遅延の変化により発生するタイミングエラーを予報する機構としてカナリアFFを提案している.カナリアFFは通常のFFを二重化する構造をもつため,適用するにあたって面積の増加が問題となる.本論文では,面積増加を抑制するためにカナリアFFの挿入位置の限定方法を提案しその評価を行う.
著者
岩田 治也 廣部 厚紀 榎本 忠儀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.2, 1995-09-05
被引用文献数
7

既存のGaAsディレイフリップフロップ(D-FF)に比べ、動作速度、消費電力の優れたH+L+型(1POP型)D-FFを報告した。1POP型D-FFは図1に示す様にCMP(Compare)gateでClockを受けている。所望の高性能特性を得るには高駆動能力のクロックドライバー(Clk Drv)が必要となり、これを含めるとD-FFの消費電力は増大する。今回、この問題を解決した改良型D-FF(改良1POP型)を開発し、0.5μmGaAs MESFET技術を用いて電源電圧(V_<dd>)0.5Vで最高動作周波数2.20GHz、消費電力0.61mWが得られた。1POP型に比べ、周波数は13%の改善、電力は2/3以下に減少した。
著者
門地 忠夫 田湯 智 金子 峰雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. VLD, VLSI設計技術
巻号頁・発行日
vol.98, no.624, pp.27-34, 1999-03-03

デジタル集積回路の動作速度はFFからFFまでの最大信号伝播遅延にてきまる。遅延制御を行なうことでより動作速度を速めることが可能である。本稿では、エルモア遅延モデルを用い、与えられた回路入力によりシンクの最大値延最小化を目指す配線アルゴリズムを提案する。本手法はまず配線の初期界をもとめるために各シンクからソースに対して遠回りせず、かつ総配線長が最小になる配線を生成し、ついでエルモア遅延モデルによる3点問題、4点問題の考察に基づいた配線の生成をおこなう。実験結果はいくつかの入力に対して、実際に得られた遅延の下界に対する割合を示した。
著者
高崎 智也 井上 智生 藤原 秀雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. FTS, フォールトトレラントシステム
巻号頁・発行日
vol.96, no.291, pp.1-8, 1996-10-09
被引用文献数
3

通常の部分スキャン設計では一部のフリップフロップ(FF)をスキャンFFに置き換えてテスト生成容易な順序回路に変換している. 本論文では, FFに限らず順序回路内の信号線をバイパスFF(スキャンとバイパスの機能を有するFF)に置き換え, テスト生成容易な順序回路に変換する拡張部分スキャン設計の方法を提案する. テスト生成容易な順序回路としては組合せテスト生成複雑度でテスト生成可能な内部平衡構造順序回路を対象とする. この拡張部分スキャン設計において, スキャン化による面積オーバーヘッドが最小となるようにフリップフロップや信号線を選択する方法を述べる. さらに, 拡張部分スキャン設計された回路のテスト生成問題を考察する.
著者
森屋 彰久 鈴木 琢治 大内 一成 亀山 研一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.747, pp.71-75, 2005-03-18

現代人の日常生活において、起床時の不快感や定時刻の起床が困難な場合があり、快適な目覚めの提供という不眠改善のアプローチも必要である。また、REM睡眠時の起床が不快感を伴いにくいという経験的知見がある。本研究では、光電脈波センサから得られる心拍変動の周波数解析により得られる自律神経指標等と加速度センサから得られた情報を利用し、リアルタイムに睡眠中の被験者のREM睡眠を検出し加速度情報を考慮してアラームを鳴らす方法を紹介する。また、被験者の主観評価と共に、今回のアルゴリズムの適正を評価した。
著者
石川 伸一 鈴木 龍太郎 五家 建夫 安田 靖彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.27, pp.45-51, 1999-04-23
被引用文献数
3

衛星コンステレーションを検討する場合は伝送遅廷、サービス領域、地上の移動端末からの可視衛星の最低仰角そして衛星に対する宇宙放射線の影響からなる多くの要素を考慮する必要がある。我々のプロジェクトでは遅延時間を短くする事がマルチメディア通信サービスを達成するための鍵となる要素の一つであると考えて衛星間リンク機能を持つLEOコンステーションを想定した。ここでは、軌道高度、軌道傾斜角、衛星数、軌道面数等のLEOコンステレーションのパラメータについて検討した。例えば、バンアレン帯やサウスアトランティックアノマリ(SAA)での放射線の影響は軌道高度と軌道傾斜角の選定において考慮した。また、衛星間リンクの配置の観点からコンステレーションのパラメータについて検討した。
著者
三品 賢一 土屋 誠司 黒岩 眞吾 任 福継
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.158, pp.37-42, 2007-07-17

従来,文が表現する感情を推定する手法では,推定できる感情の種類がわずかであったり,一つ一つの単語ごとに感情別の重みを付与した辞書を構築し,推定に利用するものが多かった.そこで我々は,推定できる感情の種類を容易に増やすことができ,また感情別の重みの付与を単語N-gramで行うことで文が指す内容に対する話し手の判断や心的態度を表すモダリティなどの感情表現も利用する,従来手法よりも高い精度で推定可能な感情推定手法の提案を目指している.このような推定手法を実現するため,我々は2つの文が表現している感情がどれほど類似しているかを計算する感情類似度計算手法を過去に提案した.感情類似度は,あらかじめ用意した,文を感情別に分類した複数のコーパス(感情コーパス)を用い,機械翻訳システムの翻訳精度を求める尺度であるBLEUか基に,入力文と感情別に分類された文との類似度を計算することで求める.本稿で我々は,従来のBLEUを用いる感情推定よりも高い精度で推定を行うために,感情コーパス別に単語N-gramの出現頻度を求めた辞書を従来手法に導入した新たな手法を提案する.提案手法の性能を調べるため,入力文から感情類似度を求め,最も感情類似度が高ぐなった感情と,人手で判断した入力文の感情の一致率を求める実験を行った.その結果,従来のBLEUによる類似度計算を用いた手法に比べ,提案手法では20.59%一致率が向上した.
著者
西村 竜一 竹本 浩典 加藤 宏明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.333, pp.19-24, 2008-11-27

頭部伝達関数は,一般に外耳道をふさいだ状態における,音源から外耳道入口までの特性で与えられる.しかし,実環境と同じ聴感を与えるためには,頭部伝達関数に加えて鼓膜面での音圧が実環境での場合と十分近くなるように制御する必要がある.そこで,ヘッドホン受聴時の補正を,外耳道閉そく状態における外耳道入口の信号で行った場合の,外耳道入口と鼓膜面で実現される特性について検討を行った.先ず,HATSを用いて,外耳道入口と鼓膜面での音圧比を,複数のヘッドホンを用いて測定したところ,必ずしも一定ではないことが確認された.さらに,ヘッドホン聴取時の音響伝搬路の簡単なモデルを想定し,計算機シミュレーションで同様の検討を行った.その結果,共振周波数とその倍音において影響が大きいことが確認された.さらに,実際のヒトが聴取した場合にも同様の傾向が見られるかを調べるため,純音マスキングの聴取実験を行った.その結果,ヘッドホンの違いによる影響の周波数依存性が一部に観測された.
著者
佐藤 里江子 界 義久 関根 聡 東盛 裕一 井上 靖之 首藤 啓三 柳澤 雅弘 山田 泰文 鈴木 安弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMD, 機構デバイス
巻号頁・発行日
vol.97, no.232, pp.31-36, 1997-08-22

波長変換回路は、将来の光波ネットワークにおける光クロスコネクトや光処理回路等への適用が期待されている。今回、我々はパッシブアライメント技術を用いて、スポットサイズ変換付き半導体アンプ(SS-SOA)アレイをプレーナ光波回路(PLC)プラットフォーム上に搭載し、ハイブリッド集積波長変換モジュールを実現した。パッシブアライメントにおいては、マーカの赤外反射像を多値画像認識処理し自動位置調整を行う。本方法では、赤外反射光を用いることによって観測するマーカのコントラストが向上し、搭載精度の向上が可能である。作製したモジュールでは、低損失(4.2dB)、低駆動電流(<15mA)の波長変換特性を実現した。また、622Mb/sへの信号入出力特性においても良好なアイパターンを確認した。
著者
佐藤 里江子 界 義久 関根 聡 東盛 裕一 井上 靖之 首藤 啓三 柳澤 雅弘 山田 泰文 鈴木 安弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPM, 電子部品・材料
巻号頁・発行日
vol.97, no.234, pp.31-36, 1997-08-22

波長変換回路は、将来の光波ネットワークにおける光クロスコネクトや光処理回路等への適用が期待されている。今回、我々はパッシブアライメント技術を用いて、スポットサイズ変換付き半導体アンプ(SS-SOA)アレイをプレーナ光波回路(PLC)プラットフォーム上に搭載し、ハイブリッド集積波長変換モジュールを実現した。パッシブアライメントにおいては、マーカの赤外反射像を多値画像認識処理し自動位置調整を行う。本方法では、赤外反射光を用いることによって観測するマーカのコントラストが向上し、搭載精度の向上が可能である。作製したモジュールでは、低損失(4.2dB)、低駆動電流(<15mA)の波長変換特性を実現した。また、622Mb/sへの信号入出力特性においても良好なアイパターンを確認した。
著者
長岡 新二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-II, エレクトロニクス, II-電子素子・応用 (ISSN:09151907)
巻号頁・発行日
vol.79, no.11, pp.649-656, 1996-11-25
被引用文献数
18

光スイッチは光通信システムの高信頼化や各種光測定機器類の機能拡張に不可欠な光デバイスであり,実用的な光スイッチの実現が望まれている.このため,マイクロマシン技術の応用により小型で高性能な自己保持型単一モード光ファイバスイッチの開発を行った.本論文では,この光ファイバスイッチの光学設計や機構設計条件につき述べると共に,作製したスイッチの諸特性ならびに応用技術例を示す.微小な磁性膜パイプを装着した可動ファイバを永久磁石とソレノイドコイルからなる磁気回路で駆動する構造の1×2自己保持型光スイッチを構成した.試作スイッチは挿入損0.34dB,反射減衰量49dBなどの優れた光学特性をもっている.また,最小駆動電力は15mA×0.6Vであり,動作速度は2ms以下であった.1億回の連続動作や各種の環境試験を実施した結果,破損事故や特性劣化は認められず,高安定で高信頼であった.冗長構成の光送信装置へのスイッチの適用例を示すと共に,本スイッチの構成法がスイッチの高性能化と応用分野の拡大に適することを指摘した.