著者
益川 弘如
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.330, pp.53-58, 2002-09-13
被引用文献数
1

教育評価は、学習者がどれだけ学んだのか、効果的な授業カリキュラムであったかを測定するため重要であるが、きちんと評価すること自体難しい。最近の「学び」に対する見直しと研究成果から、学習とは協調的な場の中で学習者自身が複数の事例や経験を元に知識を構成していく過程であることが分かつてきている。このような学習目標の変化から、学習評価の方法も根本から変わってきている。本報告ではこのような変化に呼応して、学習過程そのものを評価する方法を提案したい。対象は「各自で調べて発表する」「互いの発表を関連付ける」「統合する」の3フェイズが組み込まれた授業カリキュラムに、ノート共有吟味システムReCoNoteを導入した授業である。支援システムの導入により記録可能となった学習者の学習活動について、想定していた知識構成活動が活発に起きていたかを検証した。結果、学習者の積極的な学習プロセスを見ることができ、授業デザインによる効果を評価することができた。
著者
野口 健太郎 田所 嘉昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.82, no.3, pp.333-340, 1999-03-25
被引用文献数
23

筆者らは, あらかじめ推定しようとするおおまかな周波数が既知である信号に対し, サンプリング周波数のみを更新する新しい適応周波数推定法を提案した. 本論文では, 前回提案した手法を拡張し, 並列処理による未知周波数に対する適応周波数推定法を検討する. 推定周波数帯域が決められると, その帯域をカバーするいくつかの初期同期信号が設定される. そして, この各同期信号を前回提案したアルゴリズムにより適応的に変化させて, その帯域に存在する周波数を推定する. シミュレーションにより, 従来の周波数推定法と推定精度及び計算量の点で比較し, 本手法の性能を明らかにした. 最後に, 本手法をDTMF信号の検出に適用した.
著者
稲谷 順司 増子 治信 JEM/SMILESミッション・チーム
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.98, no.153, pp.45-51, 1998-06-26

国際宇宙ステーションJEM曝露部に、超伝導技術を利用したサブミリ波サウンダを搭載し、成層圏大気に含まれる微量ガス成分の高感度観測を行う。オゾン層破壊、気候変動のメカニズム解明に資するとともに、サブミリ波、超伝導、宇宙用冷凍機などの新観測技術の宇宙実証を目指す。
著者
中前 栄八郎 西田 友是 金田 和文 多田村 克己
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.8, pp.1515-1527, 1993-08-25
被引用文献数
5

コンピュータグラフィックスは,その誕生から30年を過ぎ,その適用範囲は極めて多岐にわたり,90年代,完全に応用の時代に入った.ここでは,ホトリアリズムの中でも大気や水など,3次元空間に分布した気体や液体およびその中の漂遊微粒子(ちり,煙,霞,混濁微粒子等)の光学現象のモデル化によるホトリアリスティックな画像生成手法について議論する.すなわち,光源として,強い方向性を与えることのできる点光源,太陽直射光,大気の散乱による2次光源としての天空光を対象とし,被照体としては,一般の固体のほかに,上述の空気分子,エーロゾル,水分子,混濁粒子による光の散乱,吸収および水面における反射,屈折を考慮した光学モデルを考える.このモデルによって,スポットライト下の煙や,ヘッドライトによる光束,晴天,曇天下の風景,霧の効果,水質による水の色の変化,水中照明,宇宙から見た地球など,ホトリアリスティックな画像生成が可能になることを示す.
著者
木村 雅彦 桑原 徹 平位 隆史 黒田 伸一 竹中 俊夫 佐伯 和俊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.2, 1995-03-27
被引用文献数
1

近年、発電プラントでは遠隔監視システムを導入し、従来の巡回点検による作業員の負荷低減を図っているが、更なる省力化を目指し、監視カメラの映像を画像処理することにより自動監視装置の導入が検討されている。しかし、監視対象が微小な油滴であったりコントラストの低い発煙であるがゆえ、プラント内の複雑背景下では実用的なアルゴリズムの構築は困難な問題であった。本稿では油滴、発煙の検出をターゲットに、異常事象検出能力を上げるとともに外乱除去能力を付加した信頼性の高いシステムを開発したので報告する。
著者
斎藤 宏文 橋本 樹明 水野 貴秀 久保田 孝 広川 英治 奥村 英輔 生田 宏二郎 津野 克彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.98, no.215, pp.59-66, 1998-07-24
被引用文献数
1

MUSES-Cは、文部省宇宙科学研究所が2001年に小惑星NEREUSに向けて打ち上げ、サンプルを持ち帰る計画の深宇宙探査機である。このミッションでは、惑星間航行、小惑星への接近、着陸、離脱といった従来に無い誘導制御技術が必要となる。また、非可視での運用や地球から遠く離れた地点での着陸には、高度な自律制御が要求される。その実現のため、小型・軽量・低消費電力でかつ高機能な航法・姿勢センサが必要となっている。現在、スタートラッカ、ライダ、レーザレンジファインダ、ファンビームセンサの4つのセンサを開発しており、これらのセンサの概要と開発現状を紹介する。
著者
高野 忠 名取 通弘 大西 晃 三好 一雄 井上 登志夫 水溜 仁士 箭内 英雄 広澤 春任
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.81, no.7, pp.673-682, 1998-07-25
被引用文献数
11

長さを定めた柔軟ケーブル群は, 伸展マストで張力を加えることにより, 放物面を近似できる.その上にメッシュを張れば, アンテナの主反射鏡面となる.マストを縮めて張力を抜けば, 反射鏡面は小さくたためる.この形のアンテナは, 展開/収納の容積比を大きくできる特長がある.本論文は, この張力ケーブルトラス構造を応用して衛星搭載用大口径アンテナを構成する場合の問題点と, その解決法について述べる.まず構造, 展開法, 使用材料を説明する.つぎに多数のケーブル類や伸展物を用いる本アンテナにおいて, 絡み防止法と重力補正法の必要性と具体的方法を記す.最後に主反射鏡の精度と電気特性を推定する.なお, 本アンテナは実際に, スペースVLBI(超長基線干渉計)衛星に搭載されて打ち上げられ, 宇宙で展開された.
著者
MINOWA Tadashi OGIWARA Haruo
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
IEICE transactions on fundamentals of electronics, communications and computer sciences (ISSN:09168508)
巻号頁・発行日
vol.81, no.10, pp.2047-2054, 1998-10-25
被引用文献数
25

Soft-in/soft-out Viterbi algorithm (SOVA) originally proposed for rate 1/n code is applied to rate m/(m+1) trellis-coded modulation (TCM). In TCM, 2^m branches merge into a node in a code trellis. After pruning the branches on path with less path-metric until two best paths remain, SOVA is applied to the pruned trellis. Based on the pruned trellis, an iterative decoding algorithm of turbo TCM is developed. Effects of path memory length and scaling of a value transferred between decoding stages are investigated through simulation. Turbo TCM over 8 PSK and 16 QAM channel with Gaussian noise realize a bit error rate (BER) of 10^<-5> within 1dB from the Shannon limit.
著者
KURIBAYASHI Minoru TANAKA Hatsukazu
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
IEICE transactions on fundamentals of electronics, communications and computer sciences (ISSN:09168508)
巻号頁・発行日
vol.85, no.3, 2002-03-01
被引用文献数
1

Generally, a signal embedded in the low frequency domain is not affected seriously by attacks, but blocking effects which can be perceived easily may be occurred among adjoining blocks. In order to prevent the blocking effects, a watermark is embedded using the addition property among two-dimensional DCT basic matrices. For the addition property, a watermark is able to extracted not from the embedded block directly, but from the sub-block located in the central region of the block. Considering the distortions caused by the geometric transformations, we recover the synchronization loss before the extraction process. The robustness can also be improved by error-correction.
著者
伊藤 浩 松山 隆司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.86, no.7, pp.758-771, 2003-07-01
被引用文献数
3

折返しひずみやブロックひずみなどによって生じる符号化画像のエッジの劣化を,その形状の変化に基づいて定量化する方法を提案する.本来滑らかな部分に変化が発生すると人間は素早くそれを検知することができる.従来の信号差分に基づく手法では,連続性や一様性が変化する幾何学的なひずみを評価することが困難であった.本手法では,原画像と符号化画像に対して互いに対応するエッジセグメントを求め,その曲率に基づいて,形状の劣化を定量化する.得られた尺度が主観と一致するように,定量化の過程で,1)形状変化の空間的な大きさ,2)形状誤差のマスキング効果,3)エッジのこう配(コントラスト)の影響を考慮する.いくつかの標準画像に対して,符号化レートと符号化方式を変えて行ったシミュレーションでは,画像の印象をよく反映した結果が得られた.
著者
藤崎 宣彦 宮田 高道 稲積 泰宏 小林 亜樹 山岡 克式 酒井 善則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ITS (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.608, pp.95-100, 2006-02-20
参考文献数
12
被引用文献数
5

あいまいな記憶からキーワードを用いず動画像検索を行う画像内容検索では,クエリ作成,及び,ユーザインタフェースが重要である.これに対し,我々は,静止画像検索において,候補画像の自動生成を行う適合性フィードバックによって,簡単な操作でのクエリ作成を可能とするユーザインタフェースを,提案してきた.本稿では,これを動画像検索に適用するために,動きの特徴量として縦横方向の動きの大きさをインタフェースに導入し,これからクエリを生成,また,動きベクトルのヒストグラム空間でのマッチング手法を用いた動画像検索システムを提案する.提案システムでは,所望の動画像に似ているものを提示される候補画像の中から選択することの繰り返しにより,属性情報が絞り込まれ,クエリを作成する.提案手法を実装した試作システムにより,動画像検索においても,選択式の簡単なインタフェースを持つシステムが有効であることを確認した.
著者
九津見 洋 内藤 榮一 荒木 昭一 江村 里志 新居 薫治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.6, pp.1149-1157, 2001-06-01
被引用文献数
17

インターネット利用初心者をメインターゲットとしたホームページ情報を簡単に入手するためのツールとして, ホームページの閲覧履歴からユーザの嗜好を学習し, その嗜好にあった新たなホームページを推薦するソフトウェア"ウェブナビゲーター"を開発したので報告する.ユーザ嗜好の学習では, 興味の変化に対する即応性と, 観測データに含まれるノイズに左右されない頑健性が重要である.本ソフトにおいては, 過去のユーザプロファイルと現在閲覧したホームページの特徴ベクトルを合成するパラメータを設定しており, よりユーザの興味の推移に合ったパラメータ値の決定が課題である.ここでは, ユーザが「興味がある」または「興味がない」と判定した複数のホームページを用いて, この割合のパラメータを学習により求める.このパラメータの時間的変化を観察することにより, ユーザの興味の推移を調べることができる.本論文では, 様々なユーザの興味の推移を実験的に調べることにより, 本ソフトによるホームページ推薦の妥当性を検証した結果について述べる.
著者
黒田 英憲 小澤 朋之 亀田 弘之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.387, pp.19-24, 2007-12-07
被引用文献数
1

近年,Webページや書籍などにおけるデザインに注目が集まっている.本稿ではデザインのイメージを決定付ける主要な要因の1つである「配色」と「レイアウト」に着目し,近年さまざまに研究が進められている印象語からWebページデザインを決定する新たなシステムの提案・構築をおこなう.印象語は人が受ける印象やイメージを言葉にしたもので,色彩に対する印象表現に最適であり,印象語から色彩を扱うことができれば,配色デザインの作業が軽減できる利点がある.そこで本システムでは,さまざまな研究においてその有効性が示されている日本カラーデザイン研究所が構築したカラーイメージスケールを基にした配色をもちいた.また,レイアウトでは現在Webページにおいて使用される代表的な5種類のレイアウトをもちいた.これらの配色とレイアウトを取り入れ,印象を明確に伝えるWebページ作成システムを提案した.以上の提案をプロトタイプシステムに実装し,これをもちいた評価実験の方法を述べる.
著者
竹上 栄治 樋口 幸治 中野 和司 富岡 聡 渡辺 一史
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.88, no.9, pp.724-736, 2005-09-01
被引用文献数
6

情報通信ネットワーク機器や高速サーバにおいては, 広範囲な負荷変動及び入力電圧変動に対して過渡応答特性が劣化しないロバストなDC-DCコンバータが必要とされる. 筆者等は, DC-ACコンバータの近似的2自由度ディジタル積分形制御器の設計法を提案した. このディジタル制御器はスタートアップ特性として一次モデルを近似的に実現し, ロバストなものとなっている. DC-DCコンバータにこの近似的2自由度ディジタル制御器を適用するには, ロバスト性をより高める必要がある. そのためには十分な近似度を得る手法を確立しなければならない. 本論文では, 制御帯域幅をより広くし, 同時に出力電圧の変動を抵抗負荷や入力電圧の突然の変化に対して十分小さく抑える近似的2自由度ディジタル積分形制御器の新しい設計法を提案する. 本設計法では, スタートアップ特性の目標モデルに二次モデルを用いる. この二次モデルへの十分な近似と外乱から出力電圧への伝達特性の十分な近似を得るための制御器の設計法とそのパラメータの決定法を示す. 提案された方法によって得られたディジタル制御器は, DSPに実装され, 与えられた仕様を満たすことを実験によって検証する.
著者
中山 光幸 浅香 貴幸 粕谷 陽介 清水 康敬
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, 1997-08-13

本研究の目的は、自律神経の1日の変動を分析して環境の評価を行い、その結果を学習環境の改善に役立てることである。そこで生体信号の24時間計測を行い、環境変化が自律神経にどのような影響を及ぼすのかを検討した。その結果、交感神経は起床時前後に、そして副交感神経は就寝中に活発化することがわかった。
著者
竹本 淳 高橋 宏和 唐沢 好男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.386, pp.85-90, 2009-01-14

地上デジタル放送の移動体受信環境並びに室内での受信においては,直接波の受信が期待できず,一般に弱電界エリアになるために,伝搬環境,特に受信所望波の到来方向及び遅延時間の定量的かつ高分解能な把握が重要となる.到来方向推定にはアレーアンテナが有用であるが,一般的手法では複数の到来波を判定するために波数と比べアレー素子数を十分大きくする必要があり,かつ,全てのブランチの信号を同時に取得しなければならない。また、遅延時間の推定には受信側において既知の広帯域信号が必要になることから,実放送波を利用する到来波・遅延時間推定には有用かつ簡便な手法が確立されていない.そこで,本稿では,高SN比の信号が受信される場所と被測定環境との2点で同時収録を行い,高SN比信号を基準信号として目的信号を精密に解析する新しい測定法を提案する.本手法では,トータルレコーダ(1台)を用いて,被測定信号と高品質信号を各アレー素子について同時収録し,オフライン処理により基準・被測定双方の受信データから相関行列を作成,ここから固有値解析を行って,到来波の角度特性や遅延特性の精密な測定が可能であることを述べる.
著者
田宮 豊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DSP, ディジタル信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.111, pp.37-44, 1999-06-11

大規模回路の遅延を改善する新しい手法を提案する。これは、回路に"paddingノード"をクリティカルでないエッジに挿入する。そして、ネットワークフローアルゴリズムで分離集合を求め、回路に適用すべき局所変換の最良の集合を見つける。この手法は、メモリ使用量と計算時間が、それぞれ、回路サイズに対して線形、多項式オーダになるため、大規模回路の遅延最適化に適している。 本手法と"選択関数"を用いるK. J. Singh法との比較実験を行った。本手法は適用した全ての回路について最適化できたのに対し、Singh法は3つの回路についてメモリ不足で最適化できなかった。また、遅延改善能力は両手法で同じ程度であった。
著者
鈴木 利則 大橋 正良
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会秋季大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1994, no.2, 1994-09-26

インターネットに代表されるように、ネットワークユーザが飛躍的に増加し、誰とでも手軽に通信できる環境が整いつつある。一方このような進展は、不特定多数の人がたやすくネットワークヘアクセスできるようになることから、悪意あるユーザによるクラック/ハッキングなどの危険性を増幅させている。ネットワークの社会的役割が増すほど、この脅威に対する対策が重要となる。このような背景から筆者らは、汎用ワークステーション(WS)及び汎用パーソナルコンピュータ(PC)上で動作する、CPU付きICカード(スマートカード)を利用した分散処理型認証システムを開発したので報告する。
著者
鈴木 利則 大橋 正良
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SSE, 交換システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.94, no.207, pp.105-110, 1994-09-01

情報ネットワークは大規模化・広域化し,多様なアクセス手段を提供するようになった.また,高価な情報を,手軽にネットワーキングする需要が生まれつつある.このような環境においては,網がクラック・ハッキングされる機会が増すとともに,これが成功裏に終わったときの被害が大規模となる危険性が高い.すなわち,網がユーザを確実に認証し不正を排除する技術がますます重要になる.以上の背景から筆者らは,汎用WS・汎用PC上で動作する,ICカードを用いた分散処理型認証システムを開発したので報告する.本システムは,ユーザ側の認証情報はCPU付きICカードのみが操作し,端末側から不正に認証情報を見ることはできない.網側では認証の分散処理を行い,安全性を損なうことなく負荷の集中を防いでいる.また網とユーザの相互認証を実現している.