著者
横溝 恭一 森本 章倫
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.45.3, pp.457-462, 2010-10-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
8

近年、MMは公共交通の利用者を増加させるための政策として、効果の分析が進められている。しかし、1年以上の長期的効果は十分に明らかにされていない。本研究の目的は、MM実施後のバス利用動向を把握することである。さらには、MM実施による行動変容が長期的に継続されやすい被験者属性を分析する。分析の結果、MM実施後1年後の調査まではバス利用頻度が増加を続けているものの、その後減少に転じていることが示された。加えて、バスLOSが高い地域の居住者ほど、MM実施効果が定着しやすい傾向にあることが示された。
著者
小田 佳代子 森 英高 陳 鶴 谷口 守
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.138-142, 2014-03-10 (Released:2022-07-01)
参考文献数
13

地域活性化には祭りなどのイベントが欠かせない。イベントには日常生活と異なる非日常的な消費がある。その消費の傾向には地域差がある可能性がある。本稿では花火大会の開催傾向から、その特別な消費の地域差を把握した。ハレ消費における費用便益的な評価の視点からの離れ方に地域差が有るということは、本分析から明らかにすることができた。
著者
武田 重昭 西川 文香 加我 宏之 下村 泰彦 増田 昇
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.45.3, pp.787-792, 2010-10-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
10

本研究は屋外空間の利用実態を把握することで、ニュータン再生のための屋外空間のあり方を考察するものである。泉北ニュータウンの1小学校区内に存在する集合住宅の屋外空間と街区公園及び緑道の利用実態を把握した。それらの空間における利用形態別に利用内容と利用者属性の視点から考察し、それぞれの屋外空間の利用のされ方の特性を把握した。この結果から地域内でのオープンスペースが機能に応じて使い分けられていることが確認できた。それぞれのオープンスペースの利用特性をうまく活用し、それらのネットワークを図ることや利用の多様化が増すような改修を行っていくことが重要であることが明らかとなった。
著者
宮脇 勝
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.546-553, 2022-10-25 (Released:2022-10-25)
参考文献数
24

本論は、海岸線から洋上風車までの「離岸距離」が短い日本の課題を背景に、景観の基礎要因である「離岸距離」に着目し、「海洋計画」や風車の景観評価である「視覚的影響評価」を国際的に比較調査し、国内適用を目指すことを目的とする。洋上風力発電量の上位18か国を対象に調査した結果は、以下の通りある。 1)一般海域の最小離岸距離の計測から、離岸距離に配慮しているとみられる国には、中国、英国、ドイツ、オランダ、デンマーク、ベルギー、スウェーデン、韓国、アメリカ、ポルトガル、アイルランド、フランスが挙げられる。 2)実証実験用の風車、港湾、工業地域、人工干拓地に近接する場合において、離岸距離が短い事例が多い。 3)英国、ドイツ、オランダ、デンマーク、ベルギーでは、政府が海洋計画を策定し、比較的長い離岸距離を確保している。4)ベルギーで離岸距離が最大16.5kmで地元反対が、英国で離岸距離が3kmで景観訴訟が生じている。 デンマークの例では、工業地域に隣接しているが、離岸距離4.7kmの比較的近い場合でも、風車の配列や数を変更することで、市民の受容性が増している。5)日本でも洋上風車のための海洋計画と離岸距離の検討が必要である。
著者
照本 清峰
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.30-40, 2020-04-25 (Released:2020-04-25)
参考文献数
29
被引用文献数
1

観光地の地震・津波の対応体制を検討するためには、観光客の認識を踏まえておく必要がある。そこで本研究では、観光客の地震・津波の危険性と津波避難行動の認識を示すとともに、それらの関係性を明らかにすることを目的とする。調査対象地域は、和歌山県白浜町における白良浜周辺地域であり、来訪している観光客グループを対象としている。分析結果より、観光客の属性別において認識の差異がみられる項目があること、自動車避難の選択の規定要因として、来訪手段が自動車であることとともに、想定する避難場所やまちなかにいることが規定要因になっていること、観光客の地震・津波の危険性の認識と津波避難行動の認識の関連性は低いこと、等が明らかになった。分析結果をもとにして、観光地の津波避難時の課題と対策のあり方について、情報提供と避難誘導体制に着目して検討した。
著者
山田 拓実 竹内 萌恵 成澤 拓実 福島 渓太 塩崎 洸 高橋 哲也 深谷 麻衣 森田 洋史 樋野 公宏
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.486-491, 2023-03-10 (Released:2023-03-10)
参考文献数
14

本研究は日本の9都市における、都市計画関連政策を1000 Cities Challengeの指標を用いて身体活動促進の観点から試行的に評価して、各都市の政策の現状を示すことを目的とする。結果として、身体活動促進につながる政策も散見されるが、文面を見る限りでは必ずしも身体活動促進を意識していると判断できない政策も多かった。指標別に見ると、自転車・歩行者インフラの整備についてはすべての市が、雇用分布や街路接続については、どの市も身体活動促進を意識した政策を持たなかった。
著者
山田 拓実 瀬田 史彦
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.394-401, 2023-03-10 (Released:2023-03-10)
参考文献数
28

本研究では人々の自由行動に着目し、東京圏と山陰両県・北東北の若年層を対象としたwebアンケート調査により、コロナ禍前後におけるオンラインツールを用いた遠隔地との交流頻度の変化および満足度を都市圏ごとに明らかにし、withコロナ時代における大都市圏と地方圏との交流の活発化に向けた示唆を与えることを目的とする。その結果遠隔地と行う交流の増減について、コミュニケーションが一方向的な活動は都市圏による違いがあったが、双方向的な活動は都市圏による違いは見られなかった。さらに山陰両県・北東北の方が東京圏より交流頻度はコロナ禍前と比べて増加しているものの、オンライン形式による交流のメリットは東京圏の方でより感じていることが明らかになった。
著者
伊藤 彩香 菊地 淑人
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.385-388, 2023-03-10 (Released:2023-03-10)
参考文献数
3

本研究は、マンホールカードを事例とし、作成団体の視点を中心にカード作成・配布の実態とそれに基づく課題を明らかにすることを目的とするものである。そのため、2021年以前に作成された599作成団体795種類のマンホールカードを対象に、アンケート調査等により、(1)各団体の作成種類数・カード配布場所、(2)各団体のカード作成目的及び効果・課題等の認識、(3)カード受取者の居住地構成に関する分析を行った。一連の分析を踏まえ、作成・配布のプロセスにおいて観光に関する視点を導入・反映させていくことの重要性を指摘した。
著者
浅尾 菜月 新保 奈穂美
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.504-507, 2023-03-10 (Released:2023-03-10)
参考文献数
13

福岡市は公園の使いづらさや見守り・支え合い機能の低下などの課題の解決に向け、コミュニティパーク事業を展開し、一定条件を満たす場合、公園施設の休養・教養施設である「パークハウス」の設置を認めている。本研究では見守りを「顔見知り以上の関係性で互いを気に掛け合う」、交流を「挨拶以上の関わり」とし、パークハウスの見守り・交流創出効果を検証することを目的に、パークハウスを設置する公園で和風カフェや園芸教室といった企画を3回開催した。結果、地域住民に企画者になってもらい、孤立の兆しのあるその知人を巻き込むことで、見守り効果を創出できた。また閉じこもりや会話欠如型孤立傾向のある地域住民を含め参加者に対し、新たな顔見知りをつくったり、顔見知りとも関係性を深めたりといった、交流の機会を創出した。今後は継続的な開催による長期的な検証が望まれる。
著者
安藤 章
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.561-566, 2014-10-25 (Released:2014-10-25)
参考文献数
28
被引用文献数
3

国民価値観の多様化により,従来の経済効率性中心の国土・都市政策への限界が指摘されて久しい.近年,多くの国際機関,国で「幸福論」の指標化に関する取り組みが盛んである.わが国でも民主党政権下の2008年に政府が専門委員会に幸福の指標化に関する諮問を行ったが,その後,国レベルでの具体の動きはみられない.一方,自治体レベルでは多くの幸福指標取組みの動きがある.しかし,国土・都市政策に係る学術レベルでの十分な議論や導入実績が十分でないため,現在,自治体が検討のものは共通概念が不足し,政策指標との汎用性に欠ける.以上を踏まえ,本論文は,国土・都市政策における「幸福論」の適用可能性に関する実証的な研究を行ったものであり,その適用可能性に関する基礎的な知見を明示することができた.
著者
宗 健
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.1476-1483, 2022-10-25 (Released:2022-10-25)
参考文献数
20

本研究では、住民の住み続けたいという気持ちの構造を、住みここち調査データを使って明らかにすることを目的としている。分析結果は以下のようなものである。地域の居住満足度、建物への満足度は住み続けたいと思う気持ちを高める。年齢の上昇、地元出身であることは住み続けたいと思う気持ちを高める。住み続けたい気持ちと地域への愛着、貢献したい気持ちは相互に関係している。また、60歳以上のケース、地元出身である場合は、構造が異なる。
著者
渡辺 美穂 羽藤 英二
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.42.3, pp.535-540, 2007-10-25 (Released:2017-02-01)
参考文献数
6
被引用文献数
2

仕事に向かう人,お気に入りのCDショップに向かう人,恋人と手をつないで歩く人. 遅刻しそうな時,初めての場所を訪れた時,疲れている時.歩く速さはそれぞれ異なるはずだ.街には様々な人が織り成す様々な速度が溢れている.そしてそれらの速度が集まることでその場所の速度―空間速度―が生まれる.従来の都市においては空間速度の違いを考慮した空間設計はあまり為されてこなかった.また,近年の複雑・高速化し続ける交通体系において,基本交通手段である歩行の挙動解明の重要さが見直されている.そこで本研究では,GPS搭載の携帯電話を用いたプローブパーソン技術により歩行者の行動文脈の流れに沿ってデータを蓄積する,従来の歩行者研究とは異なる手法を用いて, 個人間・個人内の歩行速度を分析し,空間速度を明らかにすることにより,空間速度を考慮した空間デザインの一手法を提案する.
著者
中西 正彦 古澤 拓郎 中井 検裕
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 第38回学術研究論文発表会 (ISSN:1348284X)
巻号頁・発行日
pp.38, 2003 (Released:2003-12-11)
被引用文献数
2 1

近年、都市再生が国家的な課題として議論される中、民間事業者や学者等から規制緩和を求める声が上がっており、その一つに既成市街地における容積移転をめぐる議論がある。 容積移転については、2000年の都市計画法及び建築基準法の改正により「特例容積率適用区域制度」が創設され、商業地域内において一定の条件を満たせば、離れた敷地間でも容積移転が可能になった。この制度により、土地の高度利用が進むとの期待が持たれているが、どのような容積の移転が起こるかは予測されていない。また、起こりうる移転によって都市に悪影響を与えないようにする為の都市計画の役割も重要であるといえる。 容積移転に関して、現状で移転候補地を抽出し、容積移転の可能性について研究したものはない。 そこで本研究では、_丸1_特例容積率適用区域制度を東京都中心部の千代田区、中央区、港区、台東区に適用する際の移転候補地の抽出により量的な把握を行い(3章・4章)、考えられる容積移転のパターンを示す(5章)と共に、_丸2_移転に伴うインフラ等への負荷の検証により、区域設定及び望ましい容積移転のあり方に関しても考察し(6章)、容積移転制度の運用指針に一定の示唆を与えることを目的とした。最終的には、これらの分析の上で、容積移転制度の現状における可能性と問題点、解決の方向性について考察を行い、以下の結論を得た。 まず、容積移転候補地として、4区合計で容積の出し地が約152ha分、受け地が225ha分抽出された。また、それを踏まえ、容積移転が起こり得ると予想された東京都中心部の3地区において現行の制度を前提とした検証を行った結果、局地的に大きな容積の移転が起こった場合には、最悪の場合、道路、鉄道、歩道容量等の基盤面に大きな影響が出る可能性が示された。すなわち、現行の制度の枠組みの中で都市計画が関わる区域設定のみで制御できない特性への対処が求められている。 よって、容積移転の可能性をあげていくために、制度の趣旨上、区域は広く設定されることが望まれるが、その上で基盤負荷とのバランスを考慮に入れる為に現行の体系から一歩踏み込んで、例えば、床の集中に伴う交通量増加を抑える為に容積移転を利用した建造物に複合用途の義務づけを行ったり、災害時の歩道容量の不足を考慮に入れて防災への配慮を促したりするなど、個々の移転に関して基盤面を考慮に入れつつ建築規制の中で対応していくことが望まれる。
著者
冨永 万由 後藤 春彦 山村 崇
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.1443-1450, 2021-10-25 (Released:2021-10-25)
参考文献数
23

わが国の退職高齢者は、相談できる相手がほとんどおらず、社会からの断絶感を感じる場合が多い。退職高齢者が社会関係を再構築する過程において、自身が抱える悩みを他者に相談し、社会的紐帯を感じることができる社会を作り出すことが求められる。本研究では、退職後に高齢者の人付き合いが変化する過程を明らかにした。高齢者は、退職前の人付き合いの経験をもとに、退職後の人付き合いの継続意向を持つ。そして自身の意向に従い、地域内・外で新たな人付き合いを構築して、他者との付き合い方を変化させる。特に、地域内のテーマ縁(地域内テーマ縁)を通したつながりのなかで、深く相談し合える相談相手に出会う可能性が高いことが示された。
著者
秋本 福雄
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.43.3, pp.157-162, 2008-10-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
64

ルイス・マンフォードは人間環境が再建されるべき基本原則を確立しようと試みた。彼は、「都市の文化(1938年)」、「都市開発(1946年)」、「歴史における都市(1961年)」、「都市の展望(1968年)」を刊行している。彼は、都市の機能的理論と規範的理論を統合した都市生活に関する総合理論を打ち立てた数少ない理論家の一人であり、学識の幅広さと深さ、そして独自性を持つ都市の文化の鋭い批判者であった。しかし、著作スタイルの難解さにより、解析的な研究は乏しく、彼の思考は計画家にとって活用すべき資源として残されている。この論文は、パトリック・ゲデスの都市生態学、エベネザー・ハワードの田園都市論の基礎の上に確立された彼の都市・地域計画の基本原則を解明している。
著者
越山 健治 室崎 益輝
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.589-594, 1999-10-25 (Released:2018-03-01)
参考文献数
19

Many cities were suffered from big disaster in Japan, and many plannings were made at the time. This paper is written about the cases of Kinosaki towon and Toyooka town suffered from Kitatajima Earthquake in 1925. These two plans were made in the same time, but their characters were very different each other. The principal points were the system of cooperation with people living in the town, the budget for the reconstruction of the town, and the urban planning for the safety and security. We compared Kinosaki planning with Toyooka, and brought out the essence of reconstruction planning.
著者
安藤 亮介 氏原 岳人
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.390-405, 2022-10-25 (Released:2022-10-25)
参考文献数
32
被引用文献数
1

近年では、ウォーカブルな空間づくりが増加しているが、中心市街地などの目的地以外の都市環境に対する配慮が少ない状況である。居住地から目的地までの広域的な都市環境が徒歩行動に与える影響を把握し、都市全体として目的地における歩行をどう支えていくかを検討する必要がある。そこで本研究では、全国の都市における公共交通と自動車による外出を対象とし、休日の私事目的の徒歩回遊行動について調査を行った。また、調査への回答をもとに、居住地及び目的地の客観的・主観的評価のウォーカビリティを算出し、交通手段選択や徒歩回遊行動との関係について分析を行った。その結果、公共交通または自動車の交通手段ごとに、居住地から目的地における都市空間で徒歩回遊行動の促進に必要と考えられる要因とその影響の強さが明らかになった。
著者
小林 彩香 柳下 泰香 室田 昌子
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.131-134, 2011-03-10 (Released:2022-08-01)
参考文献数
9

本研究では、水辺空間の管理の問題を明らかにする。そのために水辺空間のタイプ別の管理実態と、住民団体との関係性の把握を行った。水辺空間を水遊びの有無と水生生物の有無で分類を行った。水遊びのできる水辺空間では塩素消毒による問題がある。水生生物のいる水辺空間では水生生物の大量発生などの問題がある。行政と住民団体との連携では水辺空間に関わる住民団体が少ないことが問題である。これらの問題を解決するために、本研究では、行政と周辺住民や住民団体との連携を提案し、今後の水辺空間の管理の方向性を見出す。
著者
村上 修一
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.162-166, 2021-09-07 (Released:2022-06-08)
参考文献数
10

堤防が不連続である霞堤は,堤防のすき間をとおしてまちと川との近しい関係を創出すると仮定された。その解明への第一歩として,国内48水系296箇所の霞堤における土地被覆と土地利用が航空写真と地図によって把握された。公園緑地として利用されていることの確認された38箇所については,主体とする施設に違いはあるものの,それらの施設利用を目的とする来訪者が堤防のすき間にいる可能性が指摘された。そのうち13箇所については,堤防のすき間にある公園緑地が堤内地側の市街地や集落と堤外地とを空間的につないでいる可能性も示唆された。本調査では把握することのできなかった川に対する可視性や接近容易性の検証が今後の課題として挙げられた。