著者
渡辺 正澄 藤原 正雄
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.83, no.3, pp.171-176, 1988-03-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
11
被引用文献数
2 2

酒をおいしく味わうには, 飲酒に最適な温度と酒に合った料理を選ぶことがポイントであるが, 特にワインの場合には両者の関係がよリ厳しく要求される。本稿では, ワインの酸組成と飲酒適温との関係並びに料理との相性についてこれまでの知見を要約して紹介いただいた。ワインがなぜ温度と料理にこだわるのかを科学的に解き明かしてくれた興味ある解説である。
著者
円谷 悦造 太田 美智男
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.93, no.1, pp.28-36, 1998-01-15 (Released:2011-09-20)

大腸菌0157による集団食中毒が発生し日本中が大騒ぎとなったのは記憶に新しい。今なお発症が続いているが, 原因となった食品の特定が不明な場合も多く, 人々の不安感をつのらせている。当然のことながら食品産業界ではその汚染防止に最大の努力を傾注している。このような状況の中で, 醸造調味料である食酢に抗菌作用が認められるとの報告は朗報である。研究に携わった著者に, まず大腸菌0157とは何かを解説していただいた。次号では, 引き続き食酢の0157に対する抗菌作用について解説していただく。

4 0 0 0 OA 味噌のにおい

著者
伊藤 寛
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.7, pp.500-504, 1976-07-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
37

われわれ日本人は味噌のにおいに郷愁を覚え, これを香りとして受容する。外国人は味噌のにおいを嫌うようだが, においのない味噌はその名に価しないものであろう。しかし,「味噌の臭きは喰われず」という諺にも注意しなければなるまい。それはともかく, 味噌のにおいの究明は本質的な研究課題の一つであり, 最近は新しい機器分析法によって追々成果をあげている。本稿は著者らの研究を基にして化学成分の面から味噌のにおいについて解説していただいた。香味の醸成技術に役立てて欲しいと思う。
著者
小崎 道雄 岡田 早苗 関 達治
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.97, no.1, pp.46-61, 2002-01-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
32
被引用文献数
1 1

酒は農耕文化の産物で, 酒の原料はその民族の主食と一致している。米は日本人の原味覚となっており, 米を原料とした酒は日本人の心の故郷といえる。筆者の提唱される「米の種類を問わず米を原料として醸した酒」を「米酒」とする定義は日本酒, 焼酎の国際化をも考えなければならない現在, 大いに役立つものであろう。タイ国のいろんなタイプの米酒の詳細な製法が臨場感をもって記述されており, 大変興味深い。筆者の長年の調査研究の成果を, 写真, 図を交えて解説いただいた。「米酒」に関心のある方のご一読をお勧めする。
著者
小崎 道雄 飯野 久和 トク トランリン ホウ ファムタン 関 達治
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.97, no.5, pp.327-337, 2002-05-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
10

「米酒」醸造地帯の「米酒」と米関係食品の製法, 特徴, 背景などについて, 東南アジア全域に渡り長期調査された筆者に, 前回に引き続き甘酒, 梗米酒, 糟米酒, 籾殻吸管酒, 焼酎について解説していただい。「米酒」の製造に黒米や赤米を使ったり, 米を焦がす方法や, 米とともに雑穀やキャッサバを使用するといった工夫がみられて面白い.又吸管の籾殻壼酒は親睦だけでなく, 儀礼的にも重要な位置を占めており, 飲酒文化面からも興味深い。
著者
諏訪 芳秀
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.101, no.6, pp.376-383, 2006-06-15
参考文献数
11
被引用文献数
1

レストラン等で「とりあえずビール」と注文されるように, ビールはアペリティフとして食欲を刺激し食事を美味しく感じさせて, 我々の食生活を豊かにしてくれる。<BR>本稿では, 食物認知としての食物刺激ではなく, 飲用後のビールが消化管内に到達した後の普遍的な生理特性としてのビールのアペリティフ効果のメカニズムと関連成分について解説していただいた。
著者
山下 勝
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.82, no.4, pp.273-278, 1987-04-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
7

江戸で灘酒と肩を並べていた参州・知多酒が鬼ころしといわれる程の辛口酒であったという史実は興味深い。筆者はさらに, 辛口酒の鍵が仕込配合にあることに着目.自ら試醸を行ってその史実を実証するところまで踏みこんだ。郷土酒史としては緻密かつユニークな一文であり, 往時の申国酒をほうふつとさせる。
著者
小池 五郎
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.410-413, 1976-06-15 (Released:2011-11-04)

食品の酸性, アルカリ性が話題になることが多いが, それは生理的にどのような意義があるのだろうか, 今回は栄養学の権威である著者に, この点をわかりやすく解説していただいた。結論として, 食品の酸性, アルカリ性と摂取後の体液のpH等との間には直接的な関係はなく, 栄養学上, 食品の酸, アルカリ性はほとんど問題にされていない。ただ食品の「酸とアルカリのバランスをとる」ことを強調することによって「栄養的バランス」が「自然にとれるようになる」ことに重要な意義があると著者はのべている。
著者
二宮 大記
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.114, no.10, pp.625-639, 2019 (Released:2023-12-10)
参考文献数
15

トルコは,ヨーロッパとアジアの境目にあり,オスマン朝では,バルカン半島,北アフリカ,アラビア半島に進出したため多様な文化の影響を受けている。トルコ料理は世界三大料理に数えられるが,米と小麦を両方使用し,海産物,肉,野菜と料理に使用する素材が豊富,ヨーグルトやオリーブオイルの使用など,本当に多様である。中でもヨーグルトは,日本では隣国のブルガリアが有名であるが,発祥の地とも考えられている。本稿では,ヨーグルトを始めとしたトルコ特有の発酵食品とその利用方法についてご紹介いただいた。
著者
髙山 卓美
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.114, no.11, pp.681-691, 2019 (Released:2023-12-10)
参考文献数
41

悠久の歴史を持つ中国の酒には多くの古文書があり,さらに現在もなお続く遺址の発掘によって当時の状況が明らかになりつつある。本稿はこれらの資料と関連文献を整理し,紀元前から現在に至る中国の酒の変遷を,その時代背景を踏まえながら解説したもので,中国酒に関心を持つものにとって貴重な知見と示唆を与えるものである。
著者
能勢 晶 朝日 輝 小路 博志
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.114, no.6, pp.363-376, 2019 (Released:2023-10-27)
参考文献数
36
被引用文献数
2

①市販の連続蒸留式焼酎の1H NMRスペクトルを25℃と5℃で測定した結果,水分子とエタノール分子のピークが,25%(V/V)エタノール溶液と同様に両温度において別々に存在する焼酎と,25℃では二つのピークが一体化し5℃でのみ分離している焼酎,さらに両方の温度において二つのピークが一体化している焼酎が存在しており,この両方の温度においてピークが一体化している焼酎は水-エタノールの水素結合が全体として他の焼酎よりも強くなっていることも分かった。②①において25℃と5℃の両温度で水分子とエタノール分子のピークが一体化し,水-エタノール分子間相互作用が最も促進されている焼酎は,他の焼酎に比べ炭酸水素イオン含量が高く,ナトリウム,カルシウム,マグネシウムなども多く含まれていた。③炭酸水素イオンには,5℃において水-エタノールのプロトン交換を促進し,同時に水素結合構造を発達させる力があることがわかった。このことは1H NMRスペクトルの半値幅の変化からも確認することができた。この効果は他のNa塩,Ca塩,Mg塩には認められなかった。炭酸水素イオンの存在が,焼酎において水-エタノール相互作用を促進し,水素結合構造を強くしている主な要因であると考えることが出来た。④官能評価の結果,炭酸水素ナトリウムが15%(V/V)のエタノール水溶液に存在することで「甘味」を強く感じ,「アルコール刺激」が低減することが示唆された。⑤割水用水に含まれていると考えられる炭酸水素イオンは,連続式蒸留焼酎の水-エタノール相互作用の強さに影響を与え,アルコール刺激の低減という効果を持っていることが示唆された。
著者
小田 きく子
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.75, no.4, pp.263-268, 1980-04-15 (Released:2011-11-04)
被引用文献数
1

駅売弁当が出現してから100年近くになるが, その間には世の中の移り変わりに伴ない, その内容, 価格は変化している。最後は駅売弁当の現状について述べていただいた。
著者
鄭 大聲
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.97, no.4, pp.265-274, 2002-04-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
4
被引用文献数
1

マッコルリは朝鮮半島の代表的な伝統酒であり, 韓国で一般的に飲まれている濁酒である。現在の韓国の大衆酒は焼酎になっているが, マッコルリには伝統酒としての魅力があり, またマッコルリを通じて韓国の伝統的な国民生活や文化を窺い知ることができる。日本の酒類関係者にとってもたいへん興味深いお酒であろう。筆者はマッコルリをはじめとする朝鮮半島の酒類について造詣が深い。そこでマッコルリについて, そのつくり方や歴史, 文化及び生活との関わりについて詳細に解説していただいた.
著者
多山 賢二
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.97, no.10, pp.693-699, 2002-10-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
18
被引用文献数
1 2

食酢の機能性も, 柵数年前から他の発酵食品とともに話題になってきた。しかし, その効用については長い間の言い伝えが殆んどでその科学的裏付けが不十分であった。ここでは, 食生活習慣病予防の観点から, 動物レベルと同時に, 人体レベルでの食酢の効用を紹介していただいた。
著者
秋山 裕一
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.12, pp.925-927, 1983-12-15 (Released:2011-11-04)

最近, サワープレットという少々酸味のあるパンをよくみかける。その昔, 日本酒造りに使われた翫, 水翫のつくり方と “ソックリさん” がパンづくりに生かされているのである。そこで, 筆者と老舗の製パン業者と会話を交えながら, 伝来の水翫とパンの個性化について記述いただいた。微生物利用は無限の可能性を秘めている。何かのヒントにでもなればと願うしだいである。