著者
辻 謙次
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.84, no.12, pp.823-828, 1989-12-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
34

ウィスキー製造法については, 蒸留法に関心が強いためか, 発酵管理について詳述した文献は少ない。特に, 酒母代替としての圧搾酵母の使用法については, 各社のknow-howに係るだけに, 本場英国においても報告はわずかである。それだけに, 本稿は貴重な一文といえよう。
著者
家村 芳次 影山 由香里 松永 恒司 原 昌道
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.91, no.7, pp.515-520, 1996-07-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
29
被引用文献数
6 6

(1) 白米のアミロース含量, 心白および腹白の何れもが白米の吸水性に強く影響を及ぼした。また, アミロース含量は白米の最大吸水量に影響を与えるのに対し, 心白および腹白は主に白米の吸水速度に影響を及ぼした。(2) 心白米や腹白米の吸水率が高い要囚は, アミロース含量や蛋白含量など成分上の違いによるのではなく, 心白や腹白そのもの, すなわち米粒構造の違いによるものと推定した。終わりに貴重な試料米を提供下さいました北海道立上川農業試験場, 中国農業試験場, 灘五郷酒造組合酒米研究会の皆様に深謝いたします。本研究の概要は平成2年度日本生物丁学会大会にて発表した。
著者
的場 輝佳
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.100, no.8, pp.538-546, 2005-08-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
10
被引用文献数
1

昔から関東のこい口文化, 関西のうす口文化といわれ, それは何故? また東海道ではどのあたりに境目があるの, 関が原? 筆者は東海道沿いのうどんのだし汁を実際に分析調査し, 東西の食文化の境目を明らかにした。参考にされたい。
著者
森原 和之
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.9, pp.632-636, 1975-09-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
54

味噌, しょう油はもとより清酒醸造においてもプロテアーゼは重要な地位を占めている。微生物起源のプロテアーゼだけでもおびただしい数にのぼるし, 基質蛋白質の構造も複雑であるため, その基質特異性の決定は困難を極めるものである。最近酵素蛋白質の構造上からの分類がなされ, また合成基質に対する一次特異性の研究が急速な進歩をとげかなり整理がつくようになった。ここに一次特異性および二次特異性についての知見をまとめて頂いた。
著者
香山 聰
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.87, no.2, pp.95-100, 1992-02-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
20

甲州名物料理「ほうとう」の食物史を調べ, この調味にピッタリの甲州味噌を試作したという活路開拓実現化事業の経過を紹介していただいた。
著者
高橋 砂織
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.110, no.9, pp.636-648, 2015

味噌の効能に関する研究は多く,抗酸化性や抗腫瘍性など多くの論文が報告されている。著者らは,ここ10年ほど味噌中の血圧調節作用物質に注目し,レニン,キマーゼ,アンギオテンシン変換酵素やアンギオテンシン変換酵素2阻害物質の探索を行った。その結果,味噌には複数の血圧関連酵素阻害物質が存在することを見出された。味噌の効能に新たな可能性が期待されている。
著者
飯野 修一 渡辺 正平
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.84, no.8, pp.555-559, 1989-08-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
20

1. モロミ上槽時の圧力増加に伴う搾酒の成分変化は次のとおりであった。漸増するもの(日本酒度, 紫外部吸収及びpH), 漸減するもの (直糖及びMn), モロミタレ歩合80%以上の上槽末期から増加するもの(アミノ酸度, 着色度, Fe, Cu及びZn) 及び増減のないもの(酸度及び低沸点香気成分)の4つのタイプに分類された。2. 官能的には上槽末期から評価は落ち, 雑味と味の薄さが指摘された。なお上槽末期の官能低下にアミノ酸度, Cu及びZnの増加がよく一致した。3. 藪田式自動圧搾機に比べて, 水圧式圧搾機の場合にはFe, Cu, Znの増加及び官能変化は比較的緩慢であった。これは上槽時の圧力増加が緩慢であったからと推定された。終わりに本試験に協力していただきました清酒メーカーの2社に深く感謝いたします。
著者
小泉 亜希子 山中 寿城 岡本 匡史 平井 信行 黒瀬 直孝 小川 慶治 川北 貞夫 垂水 彰二 高橋 康次郎
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.98, no.2, pp.125-131, 2003-02-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
5

清酒を光照射下で保存した場合に増加する成分について, 溶存酸素濃度がそれらの成分の変化に与える影響について検討し, 以下の結果を得た。(1) トリプトファン類縁化合物6成分が清酒の光照射により生成することを確認した。6成分は, 前報で報告したハルマンのほか, ノルハルマン, 1-エチル-β-カルボリン, 3-インドールカルボキシアルデヒド, 9H-カルバゾールおよび3-メチルー1H-インドールであり, これらは何れも苦味を呈する成分であった。(2) ハルマン, ノルハルマン, 3-インドールカルボキシアルデヒドの3成分は, 溶存酸素低減により増加が抑制され, 9H-カルバゾール, 3-メチルー1H-インドールのの2成分は溶存酸素低減により増加が促進された。1-エチルーβ-カルボリンについては, 溶存酸素低減による影響は明らかでなかった。(3) 16%エタノール含有のマックルベイン緩衝液へのトリプトファン添加試験の結果, 上記6成分が光照射下の保存で生成したことから, これらはトリプトファンから生成することを確認した。また, トリプトファンを添加した清酒の保存試験の結果, トリプトファン濃度の増加により6成分全ての生成量が増加した。(4) 上述の6成分以外にもトリプトファン類縁化合物とGC/MSライブラリー検索の一致率が72%以上である4成分が清酒の光照射により増加することが認められた。
著者
向井 伸彦 岡田 明彦 鈴木 昭紀 高橋 利郎
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.93, no.12, pp.967-975, 1998-12-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
19
被引用文献数
8 11

ビール醸造の観点から, ビール酵母, 清酒酵母, 焼酎酵母及びワイン酵母の各醸造用酵母の特性を比較することを目的に, 炭素源の発酵性・資化性試験や酵母の凝集性試験を実施した。また, 三角フラスコレベル (100ml) 及び発酵管レベル(2L)での麦汁発酵性試験を実施し以下の結果が得られた。ビール酵母は, マルトース及びマルトトリオースの発酵・資化性が高く, 麦汁中でよく発酵したとともに凝集性が強かった。ワイン酵母は, ビール酵母同様マルトースの発酵・資化性が高く, また, 一部の酵母でマルトトリオースの発酵・資化性も高く, 麦汁中で比較的よく発酵したが, 凝集性は弱かった。清酒酵母は, ガラクトース, マルトースの発酵性・資化性が弱い傾向がみられた。焼酎酵母では, マルトースは発酵・資化したもののマルトトリオースの発酵・資化性が低かった。これらの酵母では, 一部の酵母である程度麦汁を発酵したが, おおむね麦汁の発酵性は低く, 凝集性は弱かった。さらに, 麦汁による小規模の発酵性試験で比較的よく発酵したワイン酵母 (K-1), 及び清酒酵母(民14)を用いてパイロットスケール (100L) での試験醸造を実施した。その結果, これらの酵母を用いた場合, ビール酵母に比べ, 主発酵の期間が長くなり, 真正発酵度は高くはならなかったが, ビールを製造出来ることが確認された。また, 試醸したこれらのビールは官能評価を行ったところ, ワイン酵母によるビールは酸味とフェノール臭が強く, 清酒酵母によるビールはエステル香が強いことがわかった。ワイン酵母は, バイツェン酵母と同様にフェルラ酸の脱炭酸による4-ビニルグアイヤコールへの変換能を持つこと及び, 清酒酵母は麦汁中での発酵における酢酸イソアミルの生成が他の醸造用酵母に比べて高いことがわかった。
著者
市川 英治
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.88, no.2, pp.101-105, 1993-02-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
14
被引用文献数
3 5

多量の香気成分を生産する酵母の育種は, 従来, 優良な醪からの選抜によって行われてきたが, 最近は, バイオテクノロジーのさまざまな手法が利用されるようになってきている。本稿では, 吟醸酒の主要な香気成分のひとつであるカプロン酸エチルを高生産する酵母を脂肪酸合成酵素の阻害剤を用いて育種した例について解説していただいた。
著者
北本 勝ひこ 三宅 優 渡辺 誠衛 中村 欽一
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.53-58, 1985-01-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
20
被引用文献数
2 2

白米の胚芽残存率と, それを用いて仕込んだ清酒のアミノ酸度との間に, 高度な負の相関が認められたので, それを確認するために胚芽単独に添加した仕込を行い, その効果を確認した。胚芽添加仕込により得られた清酒は, 次のような成分的特徴を持っていた。1. アミノ酸度, 総窒素, OD260, OD280, 酸度等は胚芽の添加量に応じて減少した。特にアミノ酸度は対照の50%となった。2. 各アミノ酸のうち, オルニチン, トリプトファン, プロリンを除いてすべて減少したが, 顕著な減少を示したアミノ酸のなかに高級アルコールの生成に関与するバリン, ロイシン, イソロイシン等のアミノ酸の減少が含まれ, それに相応する高級アルコールが増加した。3. 有機酸のうち, 清酒にとって好ましくない酢酸, ピルビン酸の減少が顕著だった。終りに, 御校閲頂いた醸造試験所所長, 佐藤信博士および第6研究室室長, 吉沢淑博士に感謝いたします。
著者
奥原 章
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.82, no.3, pp.149-152, 1987-03-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
18

低塩化された醤油がJASで「うす塩しょうゆ」などと呼ばれるようになって7年, ようやくその市場が定着しつつある。この原動力となった減塩醤油もキッコーマンが病者用醤油として種々検討を重ね市販してから, かれこれ20年を経たと言われている。今日では単に病者用としてではなく一般用としてもその地盤が固定化しつつあるように見られている, この開発に当ってのうら話などを被露していただいた。
著者
広常 正人
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.99, no.12, pp.836-841, 2004-12-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
15
被引用文献数
2 3

清酒の美肌効果は日本酒をよく飲む相撲取の肌の張りや艶に現れていると言われている。 実際, 手の甲に垂れた清酒のひとしずくを摺り込むことによりなんとなくしっとりとした感じを受けるものである。 今回, これらの効果をもたらす物質が清酒中に特異的に存在し, この物質を酵素化学的に増強させる方法について解説していただいた。 今後, この物質についての機能性への注目度が高まり, 清酒の食品機能性の-つとしてクローズアップされるテーマと思われる。
著者
永谷 正治
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.98-102, 1970-02-15 (Released:2011-11-04)

清酒の火入れの問題は上槽後の工程のうちで, もっとも重要なことのーつである。しかも従来この方面の理論的解析はほとんどなされていない。本稿では最近の著者の清酒の加熱殺菌に関する研究結果をわかりやすく解説していただいた。
著者
好田 裕史
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.101, no.12, pp.927-934, 2006-12-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
9

アルコール飲料の主成分であるエタノールは中枢神経系を介してリラックス効果を高め, ストレス解消に役立つことは良く知られている。 最近, ワイン, ビール, ウイスキーに含まれる香気成分がストレス緩和に役立つとの報告がなされている。 本稿ではビールに含まれる様々な香気成分とGABA受容体応答がどのような機序でストレス緩和に関係するか著者らの実験データをもとに解説して戴いた。

3 0 0 0 OA ビールろ過 (1)

著者
乾 祐哉
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.96, no.3, pp.151-164, 2001-03-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
18
被引用文献数
2 3
著者
川崎 恒
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.84, no.8, pp.525-528, 1989-08-15 (Released:2011-09-20)

酒造技術は時代の流れとともに大きな変遷をたどってきたが, その中でも酒母造りは, その意義が純粋酵母の大量培養ということから, より簡易な方向に収束してきたということがいえる。しかし, 当社では時代の流行に影響されず, 昔からの生翫造りをかたくなに守ってきた。そこで, この生翫造りの意義を技術的な面から解説していただいた。高度化する最近の嗜好に対応するには, このような話題性や物語も必要な要素と考えられる。
著者
西村 顕
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.88, no.11, pp.852-858, 1993-11-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
18

夏場のヒット商品として登場した生酒, 生貯蔵酒も今ではすっかり定着し, フレッシュさを特徴に, 吟醸生酒なども市場に登場してきている。しかし, 新たな商品の開発には必ず問題点がつきまとうのが常で, 生酒, 生貯蔵酒の最も大きな欠点であった「ムレ香」の解決が今日の商品を定着させたといってもよいであろう。明らかになった「ムレ香」の生成機構と防除法を解説していただき, さらに今後の研究の方向を示していただいた。
著者
境 博成
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.102, no.5, pp.339-351, 2007-05-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
16

フランス北西部, ノルマンジー地方のリンゴの生産地で造られるリンゴ酒シードルと隠れた蒸留酒カルバドスの歴史と現状を紹介。歴史, 製造方法のみならず, リンゴの産地・晶種, AOC規則, 酒税までを含めて言及した内容は醸造技術者はもちろん, カルバドス, シードルの愛好者までを満足させる解説となっている。