著者
青島 均
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.103, no.4, pp.208-222, 2008-04-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
41

アルコール飲料が生体に及ぼす影響は多岐にわたるが, 最近その香気成分が注目され, 神経受容体, 特にGABAAレセプターに対する効果について著者らにより検討されてきた。本稿では中枢神経の受容体機構との関連からウイスキービール, カフェインに対するGABAAレセプターの応答に関する新しい知見を紹介していただいた。
著者
安渓 貴子
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.97, no.9, pp.629-636, 2002-09-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
16

多様性の大陸アフリカには, おどろくほど多彩な地酒づくりの文化が花開いている。サハラ以南のアフリカの伝統の酒造りの中には, 乾燥地の狩猟採集民の果実酒や, 季節的に雨が降るサバンナ帯のハチミツ酒とさまざまな穀物を発芽させてつくるビールの仲間, 湿潤な森林地帯のヤシ酒や泡盛にも似た風味をもつカビ付けした米の蒸留酒などが連綿とつくられてきた。これは, そうしたアフリカの地酒づくりの技術の科学的理解のための覚え書きである。
著者
久米 堯 伊藤 明徳
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.94, no.3, pp.187-200, 1999-03-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
22

前2回に引き続き, 今回は麦味噌及び豆味噌を取り上げる。麦味噌は, 九州, 四国・中国地方あるいは関東の一部などで作られ, 味噌の全生産量の約10%を占める。豆味噌は東海3県のみで作られ, 生産量は約5%である。豆味噌, 麦味噌を素材とした調合味噌を含めて, 永年, それぞれの味噌作りに携わって来られた筆者に, 詳しく解脱いただいた。
著者
中川 七三郎
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.82, no.10, pp.680-683, 1987-10-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
3

佐渡を代表するものといえば, おけさ, 金山, トキとともに佐渡味噌がある。この佐渡味噌は, 味噌の種類からいっても, 仙台味噌, 信州味噌とともに日本の代表的米 (辛) 味噌の一つである。佐渡が対島暖流の影響で比較的暖かく, 味噌の原材料の自給は勿論, 桶・樽材の生産, そして製品味噌の船便移出など, 味噌産業の興隆に好条件に恵まれていた。本稿では, その佐渡味噌発展のバックグランドについて解説していただいた。
著者
池田 和隆 小林 徹 曽良 一郎
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.97, no.2, pp.124-130, 2002-02-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
10
被引用文献数
1

アルコールが脳に与える影響は, 酔いをはじめとして様々あり興味ぶかくかつ重要である。ここではアルコールの鎮痛作用とイオンチャネルの一つであるGIRKチャネルとの関係を中心に紹介していただいた。また, アルコールは, 人の情動などを脳機能として調べる上でも重要な糸口を与えてくれる物質であるようだ。
著者
大西 邦男
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.11, pp.848-853, 1983-11-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
30
被引用文献数
1

味噌の熟成に関する研究は, これまでタンパク質の加水分解や炭水化物の加水分解と分解産物の発酵などの面から進められたものが多い。ところが, 味噌の固形物中に10%以上も含まれる脂質の変化と熟成との関係についてはなお不明の点が多い。この点に関して, 著者の研究成果を中心に纏めて頂いた。
著者
高山 卓美
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.102, no.3, pp.172-186, 2007-03-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
25

マルコポー口の「東方見聞録」は, 13世紀末の25年間にわたるシルクロード周辺地域を含む元朝中国や南海諸島でつくられていた酒とその飲酒風俗を現在に伝える貴重な資料である。著者は, 同書に記録された酒の種類や製法, 地域などの情報から, ユーラシア大陸における酒文化圏の形成を次の類型から説明した。(1) ユーラシア大陸ワイン街道, (2) 米酒文化圏, (3) 乳酒文化圏, (4) 椰子酒文化圏, これらの酒文化圏をマルコポー口の旅行地図上に印した,「酒文化圏マップ」(Fig.1) は, 著者の独創史料である。
著者
童 江明 李 幼均 伊藤 寛
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.92, no.11, pp.815-821, 1997-11-15 (Released:2011-09-20)

日本の味噌・醤油のプロトタイプといわれる醤は古い歴史の中で発展してきただけあって, その種類は多岐にわたり, 今日では非発酵のドロドロした調味料も含まれる。その醤の歴史, 原料と製造法, 製品の品質特性および用途などについて, 中国で製造と研究の実務を担当している著者の情報を中心に纏めていただいた。その1は原料別に異る醤についての総論であり, その2, 3は代表的生産地における醤の各論である。
著者
成澤 直規 池田 真有花 竹永 章生
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.114, no.9, pp.550-556, 2019 (Released:2023-12-10)
参考文献数
22

魚醤油は,生産量は醤油の僅か0.2%にも満たないが,国際化が進むにつれて,調理における隠し味として人気を博してきている。今回は海外の魚醤油の中でも,中国の魚醤油 魚露(イールー)について焦点を絞って,その成分の特徴について日本の魚醤油と比較して丁寧に解説いただいた。同じ調味料の仲間として醤油や醸造の研究開発に関わっている関係者の皆様には是非ご一読をお勧めする。
著者
黒田 武
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.84-88, 1975-02-15 (Released:2011-11-04)

清酒の表示問題は, すでに1月1日より製造年月日の表示が実施されており, 生産者各位には十分な通知, 情報が入っていることであろう。しかし問題はさらに公正競争規約へと移行するのであって, ここでもう一度表示問題を根本的に考えてみたいものである。直接指導に当られた公取側からの解説をお願いした次第である。

5 0 0 0 OA 飲酒の生理

著者
額田 粲
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.10, pp.960-963, 1971-10-15 (Released:2011-11-04)

近年わが国は飲酒量においても先進国の仲間入りをしたが, それにともなって過度の飲酒による保健の問題, 社会問題の解決という文明国に共通な悩みをかかえるに至った。もちろん, それは酒そのものの罪ではない。しかし酒の功罪はともかく, 飲酒の生理について知っておくことは, 酒を愛し, 酒を商売とする者の常識として当然必要なことであろう。本稿では酒類の主役たるアルコールの体内における消長, その間の種々の生理作用について詳しく解説していただいた。
著者
小片 重男
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.7, pp.488-495, 1976-07-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
67
被引用文献数
2 1

柿の実が酒酔いを軽減したり, 悪酔い, 二日酔いに効果のあることは昔から知られていたが, 今回著者は科学的にそれを実証された。さらにアルコールの体内での吸収と代謝機構, 悪酔いと二日酔いの違いとそれの発現機序などについて, 医学, 生化学の立場から最新の知見を述べておられる。是非一読をおすすめしたい。
著者
松橋 通生 遠藤 成朗 大島 英之
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.95, no.12, pp.892-898, 2000-12-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
19

醸造物の品質は醸造用微生物の増殖と深くかかわっており, 増殖制御は重要な管理ポイントである。現在の増殖制御は発酵温度などの温度を主体に行われているが, その他の制御法についても興味があるところである。本稿では, 微弱な音波の微生物の増殖に対する作用という新分野に取り組んでおられる筆者に, これまでの研究成果を中心に解説していただいた。b
著者
吉田 元
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.88, no.1, pp.56-61, 1993-01-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
15

日本に伝来した洋酒の歴史を紹介した文献は刊行されているが, 逆に外国人が日本酒をどのように自国に紹介していたかは, 大変興味深いテーマであるがまとまった文献はない。本稿は16~19世紀にかけて日本に渡来した宣教師, 貿易商, 外交官などの著作を調査し, 考証を加えたものである。(I) では16世紀を中心に, (II) では17, 18世紀, (III) では19世紀と3部作の膨大なものである。読み物として興味があるばかりでなく, 経営・製造の両面に有益なヒントが含まれている。

5 0 0 0 OA 嗅覚の生理学

著者
高木 貞敬
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.346-351, 1973-05-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
4
被引用文献数
1

食品とニオイの関連性については今さら云々するまでもないが, 醸造の分野におけるニオイの研究は, 主にニオイ物質の解明に重点がおかれている。そこで本稿では視線をガラリと変えて, ニオイを感じる主体, すなわち嗅覚の側から最新の解説をお願いした。筆者は, わが国の嗅覚生理の領域における指導者的立場にあリ, 現在群馬大学医学部の生理挙教授として御活躍中である。特に最近, 悪臭公害防止法による規制基準の作成にあたって委員長として貢献され, また日本人の嗅覚力測定のために, 全国各大学耳鼻科の研究活動をとりまとめるという大変な労をとられている最中である。
著者
田中 秀夫
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.93, no.6, pp.432-452, 1998-06-15
参考文献数
407

平成9年の醤油ならびに醤油関連の研究業績は, 日本経済の沈滞, 醤油需要の低迷をそのまま反映するかのように目覚ましい進歩があったとするにはほど遠い。醤油本来の研究が少ない上に他の食品産業同様に環境問題, 食品衛生などの周辺の問題対応が多く, 地道な発展が阻害されているかのように感じられる。より一層基礎を固め目前に迫った21世紀に向け, 発展への確実な道が切り拓かれることを期待する。