著者
堀川 直顕 三宅 和正 林 良一 福井 崇時 森 邦和 中西 彊
出版者
名古屋大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1986

この研究はスピン偏極した陽子をつくり、高エネルギ-実験に利用することを一つの動機として原子状水素ガスの生成を目指した開発研究である。このため、いくつかの装置の製作、測定手段の開発を手がけ、原子状水素発生のテストに入る段階にきた。ここで、これまでの成果をまとめておく。(1)超伝導電磁石の冷却と励磁。最高6.4テスラを得、軸上磁場分布を測定。(2)磁場モニタ-用ホ-ル素子(Matsushita OHOO3)の低温での較正。(3)希釈冷却器の製作とテスト(ヘリウムー3ガスで0.4Kまで冷却)。(4)ヘリウムー3ガス循環精製器の製作とテスト。(5)冷却系、磁場強度等の自動モニタ系製作。(6)ラジオ波による水素ガスの放電効離条件のテスト。(7)原子状水素検出のためのボロメタ-の製作とテスト。ヘリウム超流動膜の消滅を示す信号を検出。(8)スピン偏極原子状水素をNMRで検出するための回路の製作。最終年度の報告が遅れたのは、上記の項目等を達成するのに時間がかかったためである。現状では希釈冷却器での水素解離は行っていないが、ガラスデュワ-中で超伝導磁石を冷やして励磁し水素ガス解離と検出のテストをくり返しており、希釈冷却器については機能向上のための改造を施している。今後の予定としては、(1)ガラスデュワ-中での原子状水素の確認、(2)希釈冷却器の希釈モ-ドテスト、(3)希釈冷却器内での原子状水素の貯蔵と検出、(4)ボロメタ-による密度測定、(5)ESR又はNMRによるスピン偏極度に測定、(6)マイクロ波による原子状水素ガスの取出し、等のテストに進んで行くことになる。なお、この研究と並行して高エネルギ-スピン実験も実行した。
著者
塚本 眞幸
出版者
名古屋大学
雑誌
産学が連携した研究開発成果の展開 研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) 探索タイプ
巻号頁・発行日
2012 (Released:2016-04-26)

脂質や炭化水素を生成する緑藻類を効率よく増殖させ、さらにその代謝活性を促進させることは、バイオエネルギーの創製に繋がる重要課題である。本研究では、近年、バクテリアの二次情報伝達物質として注目されている環状ジアデニル酸を取り上げ、同化合物およびこれを適度に化学修飾した誘導体が緑藻類の細胞増殖とその代謝活性に及ぼす影響を精査した。その結果、いくつかの誘導体で緑藻類の細胞増殖を20から30パーセント、光合成を40から50パーセント、促進することが明らかとなった。さらに、アデニン塩基のアミノ基の保護基は、生理活性に影響を与えなかった。このことから、標的化合物の合成経路を大幅に簡略化できることも見出した。
著者
若林 満 鹿内 啓子 後藤 宗理
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大學教育學部紀要. 教育心理学科 (ISSN:03874796)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.137-155, 1982-12-28
被引用文献数
1

国立情報学研究所で電子化したコンテンツを使用している。
著者
小澤 智生 西中川 駿
出版者
名古屋大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
2000

縄文・弥生時代の考古学的遺跡から産するいわゆる古代豚とされる獣骨が,野生のニホンイノシシなのか家畜豚であるかを遺伝学的に特定するための基礎データを得るため,ユーラシア大陸及び東アジア・東南アジアの島嶼域に棲息するイノシシ属(Sus)の野生種及び家畜豚のミトコンドリアDNAシトクロームbの全塩基配列およびミトコンドリアDNAのD-loop領域の一部の配列決定を行い,野生イノシシおよび家畜豚の遺伝学的特性を明らかにした.これらの基礎研究をふまえ,考古学的遺跡産の試料として,縄文時代晩期の佐賀県菜畑遺跡産(4試料),弥生時代の大分県下郡遺跡産(3試料),愛知県朝日貝塚産(3試料)の典型的な古代豚とされる骨を選び抽出された古代DNAをPCRで増幅しミトコンドリアDNA調節遺伝子領域255塩基対の配列を決定し,アジア・日本のイノシシ及び豚の配列と比較を行った.その結果,10試料中の9試料の配列はニホンイノシシ集団に固有に認められる配列であり,残りの1試料の配列はニホンイノシシ集団と東南アジアの一部の豚に認められる配列であることを確認した.この事実は縄文時代晩期から弥生時代の日本の稲作文化において,大陸産の家畜豚が飼われていなかったことを示唆している.本研究では,さらに縄文時代の遺跡産試料,琉球列島の貝塚時代の試料についても,予察的ながら形態ならびに分子考古学的検討を行ったがすべてが野生イノシシであり家畜豚である事実は得られなかった.一方,遺跡出土骨の形態学的研究の基礎試料を得るため,日本各地のニホンイノシシ集団の頭骨の形態計測学的研究を行い,野生集団の形態学的特性を主として主因子分析の立場から明らかにした.次に,縄文・弥生遺跡出土ノイノシシならびに古代豚とされる頭蓋の比較形態学的計測を行い,現生ニホンイノシシのデータと比較した.その結果,遺跡出土の試料は,いずれもニホンイノシシの形態変異の範疇に入り,ニホンイノシシと区別する事が出来なかった.これらの一連の事実から,考古学者の一部が主張するいわゆる古代豚というものの存在は否定される結果となった.
著者
宇佐美 雄司 大須賀 伸二
出版者
名古屋大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

唾液によるHIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染の可能性を検証するために、HIV感染者から全唾液を採取しnested-PCR法を用いてHIVプロウイルスDNAの検出を試みた。さらに、感染性については唾液中の血液の混入を調べる必要があるが、ヘモグロビン量を測定することにより評価した。その結果、CD4陽性リンパ球数が500/μ1以上の患者の唾液中からはHIVプロウイルスDNAは検出されなかったが、ほぼAIDS関連症候群にあたるCD4陽性リンパ球数500/μ1未満の200/μ1以上の患者の唾液の57%からHIVプロウイルスDNAが検出された。AIDS状態に相当するCD4陽性リンパ球数が200/μ1未満の患者から採取した唾液からは検出されなかった。HIVプロウイルスDNAが検出された全ての唾液検体からは血液の混入が認められた。すなわち、唾液自体による感染の危険性は否定的であるが、微量ながら血液が混入している唾液によってはHIV感染が成立する可能性があると考えられた。さらに今後はより厳密な検討のために唾液中のHIV-RNAの測定も必要と思われた。次に唾液によるHIV感染の危険性を修飾すると考えられる口腔内の局所免疫能を検討するために、唾液中の分泌型免疫グロブリンAを定量した。その結果、CD4陽性リンパ球数が200/μ1未満の患者において唾液中の分泌型免疫グロブリンAの濃度が低下する傾向が示された。これはHIV関連口腔症状の発現にも関与していると推測された。
著者
新美 倫子
出版者
名古屋大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1996

縄文分化を考えるためには縄文人たちの生活の季節性を探る必要があり、彼らの主要な生業の一つであるイノシシ狩猟の季節性を調べることは、そのための有効な手段となる。そこで、イノシシ狩猟の季節的なサイクルを明らかにすることを目的として、縄文時代のさまざまな時期・地域の遺跡において出土資料を行うことにした。信頼できる結果を得るためには、なるべく資料数の多い遺跡を中心に検討を行なう必要があるので、イノシシの出土量の多い鳥浜貝塚(福井県)と田柄貝塚(宮城県)から出土したイノシシ下顎骨資料について観察・計測を行った。方法は下顎骨の肉眼的観察による年齢・死亡季節査定法によったが、この方法では歯の萌出が完了した成獣については死亡季節を査定できない。そこで、実際に出土資料を見て、歯の萌出が完了していない幼獣・若獣については死亡季節を査定できない。そこで、実際に出土資料を見て、歯の萌出が完了していない幼獣・若獣個体の下顎骨を抜き出し、それらの歯の萌出状態等を詳細に観察した。そして、鳥浜貝塚では49点、田柄貝塚では15点の幼獣・若獣の下顎骨を、死亡季節査定基準に従って分類することができた。その結果、縄文前期の鳥浜貝塚では冬以外の季節にはイノシシ狩猟をほとんど行っていないが、縄文晩期の田柄貝塚では、資料数がやや少なくてよくわからないものの、比較的1年中イノシシ狩猟を行っている可能性が高いことがわかった。これらと、縄文晩期の伊川津貝塚(愛知県)では1年中イノシシ猟を行っていることを考えあわせると、イノシシ利用のあり方には時代性と地域性が見られ、時代や地域によってその季節性はかなり異なっていたと言うことができる。
著者
久世 敏雄 続 有恒 蔭山 英順 過疎研究グループ
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大學教育學部紀要. 教育心理学科 (ISSN:03874796)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.51-63, 1973-03-18

国立情報学研究所で電子化したコンテンツを使用している。
著者
中島 敬行 鄭 台洙 飯田 孝夫 下 道国
出版者
名古屋大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1990

本研究を通して次の事実が明らかとなった。(1)3″φNaI検出器の宇宙線線束密度を決めるには、地球起源の放射性核種からの光子に重なる3MeV以下の分布の形を決めることが重要であること。本研究では長岡らの実験的方法を採用した。その結果3MeV以上の計数を4.35倍すれば宇宙線線束密度が得られることがわかった。(2)宇宙線成分の線束密度を秋,冬で決定した(1992年10月;φμ=1.136,φe=0.450,φx=6.29,'93年2月φμ=1.157,φe=0.385,φx=6.24G/cm^2・min)。φμ,φxには大きな変化は認められないがφeが大きく変化することがわかった。しかし宇宙線線量には殆んど影響しないことがわかった。(3)φμ/φeの比は秋期に2.52,冬期に3.00と16%変化したが、この比の変化が宇宙線線量へは0.14%しか影響しなかった。(4)宇宙線線束の季節変動、特にφxの変動モデル、および低気圧通過時にφxが増加する現象の説明モデルを作成し、いずれもμ^±粒子の崩壊または、ノツクオンによって発生する電子の制動放射線によることがわかった。(5)光子による波高分布は、3″φNaI検出器によりほづ17MeV以下に分布することがわかった。(3″φNaI検出器の光子に対する応答行列を作成し、入射光子スペクトルを求めれば、光子スペクトルより宇宙線光子による被曝線量が求められることがわかった。これは将来の問題として残された。)簡単な試算によりφx=6G/cm^2・minの光子による線量は0.017μR/hr(旧単位)程度で宇宙線による被曝線量の0.5%程度にしかならないことがわかった。このことより宇宙線による被曝線量をモニタリングするには光子に対して感度の低い3″φプラスチックシンチレーションカウンターでほぼ3MeV以上のμmとφeによる線束密度を測定すればよいことがわかった。逆にNaI検出器は光子に対して感度が高いので不適である。長期にわたるモニタリングを行なうには弁別レベルの安定性が重要である。(6)光子成分の変動は気象要因と関係していることがわかった。
著者
簑口 友紀
出版者
名古屋大学
巻号頁・発行日
1988

博士論文
著者
篠田 知和基
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大學文學部研究論集. 文學 (ISSN:04694716)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.151-171, 1998-03-31
著者
浪川 幸彦 土屋 昭博 砂田 利一 谷川 好男 北岡 良之 向井 茂
出版者
名古屋大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

1.特別に意味にある双有理写像、有理写像の現われる空間として、代数曲線のモジュラス空間、および代数曲線上の主束のモジュラス空間の幾何学を展開した(浪川、向井)。これはその上のいわゆるヘッケ作用素の理論を展開する準備である。モジュラス空間はグラスマン多様体を用いて構成される。向井の方法はベクトル束のモジュラス空間を用い、浪川のそれは以下に述べるように量子力学的なものである。2.2次元場の量子論の方法を応用してモジュラス空間を作り、その構造を調べる理論を展開した(浪川、土屋、砂田)。これは微分幾何学でのドナルドソン理論に対応するものである。これからその上の保型式式の構造を調べる予定である(浪川、北岡、谷川)。またアフィン・リ-環の表現論、特にN=2の超共形場理論を用いることにより、脇本表現に関するフェイギン・フレンケルの理論を幾何学的に展開できることが分かり、目下その方向で研究を進めている(土屋)。3.森氏等との3次元特異点の研究そのものは、殆と進まなかったが、本年は国際数学者会議が京都であり、各国の数学者とその交流がてきた。特に他の研究グル-プの最新結果について直接情報を得ることができ、今後の展開のアイザアを得た。準備として、最近斎藤恭司氏(京都大学数理解析研究所)の原始積分の理論を同氏らと推進し始めている。これは同氏の理論を場の量子論的に見て、特異点は運動エネルギ-以外の高次ポテンシャルに由来するとみなすものである。
著者
板倉 文忠
出版者
名古屋大学
巻号頁・発行日
1972

名古屋大学博士学位論文 学位の種類:工学博士(論文) 学位授与年月日:昭和47年11月4日
著者
松本 崇博
出版者
名古屋大学
巻号頁・発行日
2002

博士論文