著者
佐藤 健一 神野 正彦 森 洋二郎 長谷川 浩 菊池 和朗
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2014-05-30

フレキシブル大容量光ネットワークアーキテクチャに関して,これまでに開発したグループドルーティング並びにバーチャルダイレクトルーティングの総括的な評価を行い,その効果の詳細を明らかにした.その結果を基に,メトローコアをシームレスに効率的に転送できる新しい枠組みを開発した.多次元自由度を駆使したフレキシブルネットワークに関しては,新たに考案したWDM/SDM波長選択スイッチの試作機を用いて、LCoS分割によるスイッチ集積化とジョイントスイッチングによる一括スイッチングの基本動作を確認した。また,ジョイントスイッチによるスーパーチャンネル内クロストート発生機構を明らかにし、実験により定量評価した。さらにクライアントIF速度の増加トレンドと空間スイッチの低コスト性・低損失性に着目した階層化WDM/SDMネットワーク並びに増設性と信頼性に優れた空間クロスコネクトアーキテクチャを新たに考案した。高次多値変調方式および超高密度波長分割多重技術を導入したフレキシブルコヒーレント光伝送システムに関しては,これを実現するにためには,位相および周波数が極めて安定なレーザが必要となり,それに伴い,レーザの位相および周波数特性を高精度に測定・解析する技術が不可欠である.今年度は,これを実現する新たなレーザ特性解析法を提案し,その有効性を計算機シミュレーションおよび実験により示した.本研究成果に関して,レーザ分野において最高峰の学会であるCLEO-Europeで口頭発表を行った.
著者
久野 純治 前川 展祐 進藤 哲央 棚橋 誠治 戸部 和弘 津村 浩二 大村 裕司 阿部 智広 Beye F. 永田 夏海 村松 祐 榎本 成志 冬頭 かおり
出版者
名古屋大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

テラスケール新物理のフレーバーの物理を行った。標準模型を超える理論に電気双極子能率やレプトンフレーバーを破る過程などの希過程は感度があり、観測量と理論のパラメータの関係を整理し、超対称模型や拡張ヒッグス模型など様々なテラスケールの模型に対して制限を与えるとともに、観測されたヒッグス粒子やLHC実験での新粒子探索の結果との整合性を明らかにした。拡張ヒッグス模型において電弱バリオン数生成の可能性を明らかにした。LHC実験の結果をもとに現実的な大統一模型を明らかにし、陽子崩壊について将来探索との関係を行った。現実的なフェルミオン質量を予言する模型の構築も行い、宇宙レプトン数生成の可能性を示した。
著者
浮葉 正親
出版者
名古屋大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

磯貝治良の初期作品33篇と在日朝鮮人作家を読む会の同人誌『架橋』のバックナンバー(創刊号.第26号まで)を電子化し、ホームページ「ジローの文学マダン」を作成してインターネット上に公開した(http ://www. isojiro-yomukai. com)。また、磯貝の発表作品目録(1957年~ 2012年2月)、在日朝鮮人作家を読む会の活動記録(1977年. 2012年3月)、『架橋』総目次(創刊号.第31号)を収録した報告書『社会参加としての在日朝鮮人文学.磯貝治良とその文学サークルの活動を通して』(全100頁)を刊行した。その報告書には、磯貝の初期作品33篇を収録したCD「磯貝治良作品集1」を添付した。
著者
小澤 正直 浜田 充 北島 雄一郎 西村 治道 Buscemi F.
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

【不確定性】ブランシアールの関係式を混合状態の任意の分解に適用する事で,混合状態に対する誤差擾乱関係を導く事ができる事を示し,2014年に本研究で導かれた,混合状態に対する誤差擾乱関係は最適な分解に対する誤差擾乱関係である事を示した。【相補性】測定過程が物理量の値を再現するのか,確率分布を再現するに過ぎないのかは未決着の問題であるが,定説では,Kochen-Specker の定理から測定は確率分布を再現するに過ぎないと考えられてきた。本研究では,定説に反して,任意の状態で確率分布を再現する事のできる2つの装置で同一の物理量を同時に測定するとそれらの測定値が常に一致することを示した。【情報理論的非局所性】量子通信路が他の通信路に分解可能であるための新しい必要十分条件を発見した。このような条件は,逆データ処理定理と呼ばれ,確率分布のマジョライゼーション順序を量子通信路に拡張している。【計算量理論的非局所性】量子対話型証明における検証者が多項式時間量子アルゴリズムを実行できることに加えて事後選択と呼ばれる能力を有する場合における検証能力を完全に特徴付けることに成功した。具体的には,このような量子対話型証明で検証可能な問題のクラスがPSPACEと一致することを示した。この成果はPSPACEという従来の計算量理論において重要な問題のクラスに対する新しい量子計算的特徴付けを与えるものである。【相対論的非局所性】非文脈依存的な隠れた変数の存在から導かれるKCBS不等式について研究し,非相対論的量子力学においてはすべての状態においてKCBS不等式が破れるわけではないのに対して,相対論的場の量子論においてKCBS不等式はすべての状態において破れるということを示した。【量子暗号】2014年発表のユニタリ演算子構成の定量的な限界式の一般化を行い,より広範囲の系に対して適用可能なものを提案した。
著者
神沢 栄三 伊東 泰治 植田 裕志 小栗 友一
出版者
名古屋大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1988

1.中世フランスの宮廷騎士道物語がドイツの作家たちによってどのように翻案・受容されたか、特にクレチアン・ド・トロワの作品とハルトマン・フォン・アウエ、ヴォルフラム・フォン・エッシェンバハ、更にフランスの13世紀の逸名作家の『散文ランスロ』とドイツの『ランツェレット』の比較研究によって検討した。その結果、従来は単なる量的な付加ないし修辞学的な洗練度のレベルで捉えられてきたドイツの翻案作品の問題が、作品の本質的な性格にかかわる重要な問題であることが明らかになった。即ちフランスの騎士道物語はドイツにおいて非聖化=写実主義傾向の物語に変質していたのである。この事実は一つの重要な示唆を含んでいる。ハルトマンらが活躍した12世紀末・13世紀にはフランスにおいても同じように写実的傾向の冒険物語(roman d'aventure)が輩出しており、その背景には社会の変化、それに伴う意識の変化などが想定されるのであるが、ドイツにおいても同じことが起っていたのではないかということである。この問題は単なる受容・影響関係からだけではなく、一種の平行関係が存在したことを想定して再検討が必要である。2.騎士道物語の主要なテ-マに愛の問題があったが、純粋愛(fin'amor)・宮廷風恋愛(amour courtois)がドイツでどのように受容されたかを検討した。クレチアン=ハルトマン型の夫婦愛の理想はやがて反社会的な愛の本質を追求した『トリスタン』と世俗の愛に神の愛を対置した『聖杯物語』へと二極分化した。純粋愛は他方ではダンテ、ペトラルカを経て神秘主義・ネオ=プラトニスム的傾向の強い近代の抒情詩に進んでゆくことが明らかとなる。今後西ヨ-ロッパ諸国の社会状況を考慮に入れながら更に徹底した比較研究を進めてゆくことが必要であろう。
著者
池田 博和 村上 英治 藤岡 新治
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大學教育學部紀要. 教育心理学科 (ISSN:03874796)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.51-81, 1975-09-30

国立情報学研究所で電子化したコンテンツを使用している。
著者
大隅 尚広
出版者
名古屋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

これまでの研究において,他者からの不公正な金銭の分配を受け入れて利得を得るか,それとも拒絶して互いの利得をゼロにするかという意思決定場面(最後通牒ゲーム)におけるサイコパシー特性の影響を検討した結果,サイコパシーの利己性が高い個人は不公正を受諾する傾向が高いことが示された。この課題における不公正の拒絶は非合理的であるが,公正規範を犯した他者への罰,あるいは公正性の回復(不平等への嫌悪反応)としての意味があると考えられる。そこで,他者への罰の動機を検討するため,他者が意図的に不平等な分配を行った条件と,他者が意図せずに分配金額が不平等になってしまった条件における意思決定を比較した。その結果,実験参加者の拒否率は意図の有無という要因では変わらず,サイコパシーの影響のみが見られた。つまり,これまでの実験における拒否行動には罰の動機は含まれず,不平等への嫌悪反応を基盤としている可能性が示唆された。そして,このことから,サイコパシーによる拒否率の低下は嫌悪反応の低下であるということが推測される。また,この結果は,脳神経イメージングを行った前年の実験の結果,すなわち,嫌悪感情の脳表象であると考えられている前部島皮質が拒否率と相関すること,そしてサイコパシーによって前部島皮質の活動が低下することと整合性をもつ。また,イメージングの結果をさらに解析すると,サイコパシー傾向による前部島皮質の活動の低下が扁桃体の活動の低下と機能的に関連することが明らかになった。つまり,サイコパシーによって不公正が受諾される背景には扁桃体の機能低下の関与が示唆され,サイコパシーの扁桃体の機能低下説を支持した。この結果は,日本パーソナリティ心理学会第19回大会にてポスター発表された。また,国際学術雑誌に投稿予定となっている。
著者
北山 陽子
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

原核生物であるシアノバクテリアは、概日リズムを持つことが知られており、光合成活性や細胞分裂が約24時間周期で自律的に振動する。シアノバクテリアの多くの遺伝子の発現は概日時計に制御されており、24時間周期リズムでもって発現していることが知られている。シアノバクテリアの概日時計は、KaiA, KaiB, KaiCという三つの時計タンパク質によって構成されている。本研究では、概日的な遺伝子発現制御の大元である概日時計本体の周期が、どのような仕組みで調節されているのかを解明することを目的としている。概日時計の周期は、一般的に光照度に依存して変化するという性質を持つ。シアノバクテリアは照度が高くなるほど、周期が短縮する。平成27年度は、kai遺伝子に点変異を導入し、その周期が24時間から変化したシアノバクテリアを複数選別し、その周期変異体群から解析に適したものを探した。さらに、変異部位を同定し、光照度に依存した周知長変化の観察および遺伝子発現活性の測定を行った。
著者
遠藤 俊祐
出版者
名古屋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

1,四国三波川帯の五良津岩体を構成する各種岩石(エクロジャイト,ざくろ石角閃岩)の熱力学相平衡解析(pseudosection解析)を行い詳細かつ定量的な温度-圧力経路を導出した,この研究では,複雑な履歴を経た岩石から信頼度の高い温度-圧力経路を導出するため,逆解析(地質温度圧力計)および前進解析(pseudosection解析)を組み合わせた相補的手法を用いる重要性と,各変成段階で酸化還元状態を独立の変数として考慮する重要性を示した.こうした精密解析の結果,これらの岩石が沈み込み帯において,沈み込み,沈み込むプレート(スラブ)から剥離し,マントル深度から上昇するプロセスを明らかにし,そのメカニズムについてモデルを提案した.これまで五良津岩体の大部分を構成するざくろ石角閃岩は,エクロジャイトが浅所まで上昇する過程で加水変質による産物と考えられてきたが,一部のざくろ石角閃岩は深部で安定であり,初生的岩相であることを示した.エクロジャイトより低密度なざくろ石角閃岩が卓越することで,五良津岩体は浮力上昇した可能性がある.2,天然には稀少でありながら,沈み込み帯深部に普遍的に分布することが予測され,重要視される'ローソン石エクロジャイト'をフランシスカン帯ジェナー海岸から新たに発見した.新たに見出した同岩石は,解析の結果,より高温の沈み込み帯を特徴づける'緑簾石エクロジャイト'から低温沈み込み帯を意味する'ローソン石エクロジャイト'へ変化したものであることが明らかとなった.また,特に低温の沈み込み帯条件では,塩基性岩は高い保水能力をもつため,系内の水がすべて含水鉱物として固定される状態(流体が存在しないか,水以外を主成分とする流体が存在)が一般的となる可能性を示唆した.このことは従来の高圧変成岩の解析で一般的に行われる,H_2O流体の存在の仮定に注意を促すものである.
著者
角ヶ谷 典幸
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究により、日本が財務報告のコンバージェンスをより慎重に進めてきたのは、会計制度および周辺制度が整備されればされるほど、会計制度とその周辺制度との擦り合わせが必要となるためであること、また近年、日本国内の会計および周辺制度の機能分化――金融商品取引法と会社法、財務報告と課税所得計算、上場企業と中小企業の会計の分化――が促進され議論されるようになったのは、グローバルな要請に機動的に応えるためであったことが明らかにされた。さらに、日本の固有性は、日本の伝統的な会計制度や周辺制度とIFRSやアングロ・アメリカンモデルとの擦り合わせから創出されていることが明らかにされた。
著者
黒田 義浩 吉岡 英生 大野 義章 鈴村 順三 松浦 民房
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

最近、我々のグループは、電気抵抗に関する森公式の計算に際し、通常のファイマン図法に基づく摂動論が適用出来ることを見つけた(J.phys.Soc.Japan 64 No.11(1995)4092-4096)。今回のプロジェクトの目的は、このようにして得られた森公式の新しい表記法を活用して、先ず、森公式自体に対する従来の理解について見直しを行い、新らたな進展の可能性を探ること、さらにその成果を踏まえて、これまで久保公式では容易に計算できなかった輸送係数の計算を実行することにあった。本来、森公式と久保公式とは全く同等の筈である。実際、単純な不純物散乱の場合や2バンドがある場合等の厳密な計算が出来る場合について、二つの公式の同等性を確認した(J.Phys.Soc.Japan 65 No.2(1996)525-528)。さらに、相関関数間の恒等式を用いて、森公式と久保公式とが厳密に一致することを示した(J.Phys.Soc.Japan 65 No.2(1996)342-344)。しかし、実際には近似計算に依らざるを得ない場合が殆どであり、森公式と久保公式とでどちらが有利かという問題が起きる。実際、これまで、電気抵抗を簡単に計算できる方法として、森公式に基づくメモリー関数近似法が重用されてきた。そこで、我々は、森公式と久保公式を用い、不純物散乱やd-p軌道混成項による電気抵抗を同一の近似法で計算し、両者の結果を比較したところ、両者は全く同等であった。また、メモリー関数近似法は高周波極限でのみ正しい表式であって、従来の利用の仕方は間違っていることも判った(J.Phys.Soc.Japan 66 No.9(1997)2790-2797)。結局、これらの研究を通して、久保公式と森公式は本来同等であり、同等の近似方法を適用する限り同等の結果を与えること、また、実際に多粒子系における輸送係数を計算するに際しては、その計算の手順は、森公式を用いる場合の方が却って複雑になる場合が多いことを明らかにした。
著者
丹羽 公雄 PANNMAN J. 中村 光廣 星野 香 PANNMAN J
出版者
名古屋大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1997

μニュートリノからτニュートリノへのニュートリノ振動実験CHORUSの解析を進めた。この実験はCERN研究所の加速器を使った、イタリア、ドイツ等ヨーロッパ主要10カ国が参加する国際共同研究である。実験装置はニュートリノ反応を起させる原子核乾板をターゲットに使い、ニュートリノ反応の2次粒子群の運動量と粒子識別のためのカウンターとを組み合わせた複合装置である。原子核乾板の解析を名古屋大学で行い、カウンターをCERNをはじめとするヨーロッパの大学が担当している。過去2年間に名古屋大学からCERNに出張したり、またヨーロッパ側が原子核乾板の解析を進める名古屋大学に来て仕事をする形態で仕事を進めた。昨年6月には第1回目の原子核乾板に関する国際会議(The first International workshop on Nuclear Emulsion Techniques)を名古屋市国際会議場で開いた。1999年3月には名古屋大学でヨーロッパの仲間25人を迎えて超高速解析装置完成記念のワークショップを開催した。CHORUS実験を通して、原子核乾板の実験技術は飛躍的に進歩して、原子核乾板を使うμニュートリノからτニュートリノへの超基線ニュートリノ振動実験の次期国際共同の計画も固まってきた。
著者
古澤 文江 中村 健治 田中 広樹
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

熱帯降雨観測衛星TRMMにはマイクロ波帯を使う降雨レーダPRが初めて搭載され、直接降水を観測することにより、精度の高い24時間毎の降水特性の空間分布を導出することが可能となった。1997年11月に打ち上げられ2015年4月に観測を終えるまでの長期データが蓄積されたので、降水特性と地表面特性の長期変動(トレンド)のTRMM観測領域全域の分布を捉えることができた。地方時刻毎に月毎に長期グリッドデータを作成し、降水量、強度、頻度、強い降水、対流性降水と層状性降水の割合、降雨頂高度、雪が雨に変わる融解層高度、晴天時の地表面射出率などの変動を調べ、地表面状態の変化と降水特性の変動の相関を明らかにした。
著者
薛 進軍 園田 正 臼井 恵美子 萬行 英二 安達 貴教 厳 善平 戴 二彪 本台 進 柳原 光芳 杉田 伸樹 岑 智偉 南 亮進 Li Shi Knight John Xin Meng Cai Fang Wei Zhong Vakulabharanam Vamsi
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

中国は高度成長を続け,世界第二の経済大国となった一方で,巨大な所得格差が存続し,住民のデモや少数民族の暴動も頻発し,社会が不安定な状態にある。また,安い労働力で支えられた高度成長は,急速な賃金上昇と労働不足でブレーキがかかり始めている。これらの問題は,国際経済,特に日本経済にも大きな影響を与え始めている。こうした問題は,労働移動に関するルイスの転換点,所得分配に関するクズネッツの転換点と密接な関係をもち,経済転換期における典型的な現象としてとらえられる。本研究は,中国で実施されたパネル調査のミクロデータに基づいて二つの転換点を検討し,転換点の中国経済への意義と国際経済への影響を分析する。
著者
佐藤 憲昭 網塚 浩 山村 朝雄 芳賀 芳範 四竈 樹男 阿曽 尚文 神戸 振作 本間 佳哉 藤森 伸一 山上 浩志
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2008

本研究課題の最大の目的は、国際規制物資であるウランなどのアクチノイド元素^<*1>を含む化合物の物性研究を行うための拠点を東北大学金属材料研究所アルファ放射体実験室に形成することである。 この目的のために、 単結晶育成^<*2>のためのテトラアーク炉、および育成された試料の基礎物性を評価するための分析装置を金研アルファ放射体実験室に設置・導入した。その結果、 "超伝導を示す磁石"^<*3>における超伝導発現機構の解明に成功を収めた。さらに、アクチノイド元素だけでなく希土類元素^<*4>を含む物質にも研究を展開し、準結晶^<*5>を含む新分野の開拓に貢献した。[*1] ウランなどは国際規制物資として管理され、その取り扱いには厳しい制限が付されている。金研アルファ放射体実験室は、このような国際規制物資を取り扱うことが許可された施設である。 また、 そこには、 アクチノイド元素(周期表で最下段に位置する元素の集合で、トリウム、ウラン、ネプツニウムなどから成る)を安全にハンドルするための多くの装置と経験が蓄積されている。[*2] 目に見える大きさのスケールまで原子が規則正しく配列した結晶を単結晶と呼ぶ。[*3] 従来の物理学では、磁石と超伝導は犬猿の仲であり、磁石は超伝導にはならないと考えられてきた。しかしアクチノイド化合物の中には、磁石でありながら超伝導を示すものがある。磁石が何故超伝導を示すかという問題は、物理学上の重要な課題の 1 つとなっている。[*4] 周期表でアクチノイドの上段に位置する元素の集合で、アクチノイドと類似の性質を示す。[*5] 周期性を持たず、結晶では許されない回転対称性を持つ物質を準結晶と呼ぶ。
著者
今井 國治 藤井 啓輔 池田 充 川浦 稚代 川浦 稚代 藤井 啓輔
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本申請研究の主たる目的は、CT検査時における被ばく線量(重要臓器線量)を測定した上で、申請者がCT画像上で発現に成功させた確率共鳴現象を利用して、病変検出能の向上を図ると共に、CT検査時の被ばく線量軽減を行うことである。特に今回は脳梗塞部の検出(脳溝の狭小化や早期虚血性病変)に主眼を置き、どのような条件の時に効果的に確率共鳴が発現するかを検討し、最終的に臨床への応用を目指す。確率共鳴はノイズ強度が10HUの時に最も効率よく発現し、コントラスト分解能も鮮鋭度も大きく改善した。また、この改善効果はノイズの種類に依存し、高周波を多く含むノイズを付加した際に、その効果が大きくなることを定量的に示した。
著者
西原 和久
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

平成18年度は、本科研費研究の国家意識に関する研究課題の遂行のために、海外には、1)中国の南京大学、2)マレーシアのマレーシア国立大学、3)オーストリアのインスブルック大学に赴いた。とりわけ、中国およびオーストリアにおいては、それぞれの機関で学生・研究者に対して複数の講演を実施し、また当地の関係社会学者とかなり突っ込んだ社会学的国家論の議論ができた。すなわちそれは、グローバル化を価値中立的な概念として提出する意義、グローバル化時代に対応した脱国家的な方向性をもった社会学的な近代国民国家論の展開、そしてそのための現象学に影響を受けた問主観性論をもとにした人際(にんさい)関係構築へ向けた土台作り、の意義を持った。またシンガポール国立大学のブライアン・S・ターナー教授などを名古屋大学に招聘し、講演を中心として情報提供いただいた。彼の『被傷性(傷つきやすさ)と人権(Vulnerability and Human Rights)』に関する理論志向性は、申請者の間身体性論を基盤とする間主観性論の社会学的展開に非常に近く、今後の研究協力を約束できた。なお、直接的には今年度の研究実施計画とは関わらないが、今回の科研費の成果を十分にふまえて、フィリピンにおける国際社会科学連盟の大会での講演、および韓国・慶尚大学における倫理教育学会での招待講演を行うことができた。以上が研究成果であるが、これらを基にして各種の論文作成、著書作成,学会報告などをおこなったことを合わせて記しておきたい。
著者
中尾 敬
出版者
名古屋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本年度はまず,昨年度に本研究課題の一環として実施したfunctional magnetic resonance imaging (fMRI)を用いた実験のデータを再解析(Psychophysiological interaction analysis)した。その結果,答えが決まっていない事態における行動選択過程においては特に内側前頭前皮質と前部帯状回とに機能的な関連が存在することが明らかとなった。これら結果はこれまでに報告されていない新たな知見であることから,その成果を国際誌向けの論文にまとめ投稿した。論文はすでにNeuroscience Lettersに受理され刊行されている。同データは,国際学会であるThe 15th World Congress of Psychophysiology (IOP 2010)においてポスター発表した。また,研究課題と関係の深い先行研究のメタ分析を実施した。メタ分析では答えの存在する事態における意志決定についての研究と答えが存在しない事態における事態における意志決定の研究で観察された脳活動部位の比較を行った。その結果,答えの存在する事態のうち,答えの予測可能性が高い事態では眼窩野の内側部に活動の増加が認められていたが,答えの存在する事態のうち答えの予測可能性が低い事態と答えが存在しない事態では内側前頭前皮質に活動の増加が認められていた。これらの結果は,予測可能性の高低だけではなく,答えの有無によって意志決定に関与する前頭部位のネットワークが変化することを示していた。このメタ分析成果は2本のレビュー論文としてまとめ,一本はすでに「生理心理学と精神生理学」に受理され現在印刷中である。もう一本は国際誌向けに執筆したものであり,現在審査中である。また,現在実験も進行中である。
著者
本荘 晴朗 神谷 香一郎 佐久間 一郎 児玉 逸雄 山崎 正俊 荒船 龍彦
出版者
名古屋大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010-04-01

多階層生物現象である心臓興奮伝播を高分解能光学マッピングを用いて定量的に解析し、そのダイナミクスが心筋イオンチャネル機能と細胞間電気結合および組織構築の相互作用により規定されることを示した。また、旋回性興奮(スパイラル・リエントリー)では興奮波の形状が興奮伝播を規定する重要な要因であることが明らかにした。スパイラル・リエントリーは細動や頻拍など頻脈性不整脈の基本メカニズムであり、旋回中心の不安定化が細動や頻拍の停止を促す不整脈治療戦略となることが示された。