著者
松坂 佐一
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大學法政論集 (ISSN:04395905)
巻号頁・発行日
vol.161, pp.1-58, 1995-07-20
著者
梶田 信
出版者
名古屋大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

ヘリウム照射により形成されるナノ構造金属を熱光起電力発電に応用するために,その耐熱性,エミッタンスの変化を明らかにした。耐熱性に関しては,温度が上昇するとナノ構造が収縮していくことが明らかになり,熱光起電力発電用としては低温(1000K以下)で利用する必要があることが分かった。放射率の変化を調べたところ,広い波長範囲で放射率が 1 に近くなっており,少し収縮が起こった材料においては近赤外領域のみ放射率が高くなることが分かり,無駄な熱の放出がないことから,熱光起電力発電用により適していることが分かった。
著者
坪井 秀人
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

戦時期および敗戦期に刊行された少年雑誌、朝日新聞社刊行の『週刊少国民』および日本少国民文化協會が刊行した『少国民文化』、さらに朝日新聞社の関連する雑誌『アサヒグラフ』その他のグラフ雑誌や『科学朝日』など戦時期の関連雑誌を収集し、本研究の主たる対象である『週刊少国民』については戦時期までの大部分は収集を終え、戦後期についても収集や調査を行い、全国的にも完備されていない同誌の資料整備と調査を行った。また同誌が後継した『コドモアサヒ』及びその戦後のその後継誌『こども朝日』についても調査を行った。『週刊少国民』の戦時期の収集分すべての号について内容目次のデータベースを作成し、グラビア記事を中心に(一部は全頁)スキャニング作業によってデータファイル化した。この資料調査とデータベース化によって『週刊少国民』とそれに関連する戦時期の少年雑誌およびグラフ雑誌の性格を位置づけるとともに、グラビア記事の写真表現と文学者らによる文学表現とが緊密に相関し、子どもの読者に対してどのようにプロパガンダとして機能したのか、あるいは戦時期の戦局に対してどのような葛藤を生じていたのかを分析した。これらの作業と平行して、戦時期の少国民文化、特に少年少女の歌謡文化や綴方等に関する分析を行った。以上の研究の成果の一部は単著『戦争の記憶をさかのぼる』(筑摩書房)に組み込まれた(同書は第14回「やまなし文学賞」を受賞した)。また、本年度(2005年8-9月)ウィーン大学で開催されたEuropean Association for Japanese Studies(ヨーロッパ日本学会)の大会でもパネル発表を行い、「Structuring Desire through Poetry and Photographs in Shukan shokokumin」と題してその成果を報告した。
著者
川口 寧 前田 健 堀本 泰介 見上 彪 田中 道子 遠矢 幸信 坂口 正士
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

本研究の目的は'bacterial artificial chromosome (BAC) systcm"を用いてヘルペスウイルスの簡便な組み換え法を開発することによって、新しいワクチン開発、遺伝子治療ベクターの開発、基礎研究を著しくスピードアップすることにある。本研究課題によって得られた結果は以下の通りである。ヘルペスウイルスで最も研究が進んでいる単純ヘルペスウイルス(HSV)の組み換え法の確立をBAC systemを用いて試みた。外来遺伝子の挿入によって影響がでない部位であるUL3とUL4のジャンクション部位にLoxP配列で挟まれたBACmidが挿入されたHSV全ゲノムを大腸菌に保持させることに成功した。大腸菌よりHSVゲノムを抽出し培養細胞に導入したところ、感染性ウイルス(YK304)が産生された。また、YK304とCre recombinase発現アデノウイルスを共感染させることによって非常に高率にYK304 genomeよりbacmidが除去されたウイルス(YK311)が得られた。YK304およびYK311は培養細胞において野生株であるHSV-1(F)と同等な増殖能力を示した。さらに、マウス動物モデルを用いた解析によりYK304およびYK311がHSV-1(F)と同等の病原性を示すことが明らかになった。以上より、YEbac102は、(i)完全長のHSV-1 genomeを保持し、(ii)bacmidの除去が可能であり、(iii)野生株と同等な増殖能および病原性を保持する感染遺伝子クローンを有していることが明らかになった。大腸菌の中で、実際に任意の変異をウイルスゲノムに導入する系を確立した。RecAを発現する大腸菌RR1にHSV全ゲノムを保持させた(YEbac103)。YEbac103内で、RecA法に従って、ICP0遺伝子に3つのアミノ酸置換を導入することに成功した。また、RecAを発現するトランスファープラスミドを構築し、RR1を用いずに、RecA negativeの大腸菌YEbac102内で、ICP34.5部位に変異を導入することに成功した。YEbac102、YEbac103と確立した組み換え系は、HSVの基礎研究、ワクチン開発、ベクター開発に多目的に有用であると考えられる。またこれらの系は他のヘルペスウイルスにも応用可能である。
著者
服部 亜由未
出版者
名古屋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

本年度の研究計画に基づき、以下のように研究活動を実施した。1.出稼ぎ者送出地域の新聞(『遐邇新聞』『秋田遐邇新聞』『秋田日報』『秋田魁新報』マイクロフィルム版)の記事を収集した。記事の経年分析により、ニシン漁業出稼ぎ状況、ニシン漁業に対する考え方やその変化を読み取ることができた。今回は秋田県のみであったが、こうした出稼ぎ者送出地域における報道を、他の地域と比較分析することで、労働力の輩出構造とその展開が明らかになると考えられる。2.ニシン漁獲地域の新聞(『小樽新聞』マイクロフィルム版)の記事を収集した。特に、ニシン漁衰退期にいかなる報道がなされ、各関係者がどのような対策を講じたかを検討し、その結果を『歴史と環境』の1章で述べた。1.の出稼ぎ者送出地域の報道と組み合わせることで、両側面から重層的にニシン漁業を論じることが可能となる。本年度は、後志沿岸地域のニシン漁業転換期である1935・1936年に年代を絞って検討を加えた。3.ニシン漁家経営の衰退にともなう変容に関して、『人文地理』に掲載された中規模ニシン漁家の事例と比較し、より一般性を高めるために、本年度は大規模ニシン漁家青山家の事例について実証し、両漁家の結果を比較検討した上で『歴史地理学』にまとめた。4.最終年度にあたり、これまでの研究成果を、学位論文「近代北海道における鰊漁業の歴史地理学的研究-衰退期に注目して-」にまとめた。この論文は、近代北海道の発展の基となったニシン漁業を取り上げ、従来議論されることが少なかった衰退期に焦点をあてて、ニシン漁業従事者がいかにその危機を脱しようとしたのかを考察したものである。実証研究では、3年間特別研究員として取り組んできた「近代における北海道ニシン漁業出稼ぎ」を中心に、近代北海道のニシン漁業をニシン漁家やニシン漁獲地域のみならず、出稼ぎ者や出稼ぎ者送出地域側からも検討することで、立体的に分析する方法論を展開した。
著者
林 克洋
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、星形成領域のX線やガンマ線観測から、宇宙線の加速/伝播についての観測的制限を目指した。「ひとみ」衛星の喪失により、X線や軟ガンマ線の観測データを用いた研究はできなかったが、Fermi衛星によるGeVガンマ線と、Planck衛星によって取得されたダストの光学的厚さをベースとする星間ガスの分布をと詳細に比較することで、カメレオン分子雲領域についてガスの柱密度を精密に測定しすることに成功した。そして原子ガスの柱密度が、場所によって従来の1.3-1.5倍程度に大きくなる可能性を明らかにした。その結果得られた宇宙線スペクトルは、太陽系近傍において概ね一様であることを示した。
著者
有岡 祐子 山田 泰広 伊藤 弘康
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

iPS細胞の樹立過程が発生の逆戻り過程、すなわち「終末分化細胞→組織幹細胞/前駆細胞→多能性幹細胞」を辿っているかは明らかにされていない。本研究では、対象組織を毛包細胞として、毛包細胞からのiPS細胞樹立過程を解析した。iPS細胞樹立過程において、一部毛包幹細胞マーカー(Lgr5)を発現する細胞集団の存在を認めた。しかし、これらは本来の毛包幹細胞とは性質が異なっていた。一方で、Lgr5を一過性に発現する細胞集団は、その後効率よくiPS細胞へと初期化されることを見出した。
著者
和田 壽弘
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

新ニヤーヤ学派の体系を確立したガンゲーシャ(14世紀)の『タットヴァ・チンターマニ』(Tattva-cintamani) の第4部「言語部」(Sabda-khanda) における「定動詞語尾章」(Akhyata-vada) の英訳・解説を作成した。テキストを分割して番号を付して議論の構造も明示した。初期のこの学派の言語分析の手法の特徴を明らかにし、ウダヤナ(11世紀)の影響が大きいことを解明した。併せて、2005年にオリッサ州で発見されたウダヤナ作『否定辞論頌』(Nan-vada-karika)の写本を分析し、著者問題を含めて初期新ニヤーヤ学派の研究に使用できるかどうか考察を試みた。
著者
河口 信夫 西尾 信彦 角 康之 藤波 香織 寺田 努 井上 創造 川原 圭博 酒造 正樹 大村 廉 羽田 久一
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

大規模データベースの構築を実現するための検討を進め,データ収集のための技術チャレンジであるHASC Challengeを継続的に開催した.また,年齢・性別でバランスさせた被験者を含む行動データ及び構造物内移動データ(HASC-IPSC)を公開した.その結果,当初の目標であった500名を超える被験者のコーパス構築が実現できた.センサ信号処理研究を支えるツールとして,行動信号処理ツール HASC Tool, HASC Logger の開発を行った.国際ワークショップHASCA2013をUbicomp2013の併設ワークショップとして開催した.
著者
野尻 伸一
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

F(R)、ガリレオン模型、重力子が質量を持つ模型、スピン2の場が重力と相互作用する模型、ドメインウォール模型、ボルン=インフェルト重力、マイメティック模型やユニモジュラー重力など様々な修正重力理論とその拡張を考え、宇宙の発展を記述する模型の構築、また、その検証可能性、理論としての矛盾のなさ等について詳しく調べ、模型に対する制限等を与えた。その結果、ある程度拡張された模型を考え、更にパラメーター等に制限を課すと、ほとんどの模型で宇宙の膨張の歴史を再現することが分かった。ただし、模型としての不自然さを完全に解消する模型はなく、また、量子論的な整合性がそのままでは不十分な模型が多いことも分かった。
著者
重見 晋也
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究計画は、『ボードレール』が「コレージュ・スピリチュエル」という題で文芸誌『コンフリュアンス』に掲載されるにあたり、1)戯曲『蠅』の原稿も編集部に戦時中に送付されていたこと、2)戯曲作品が希望を描くのに対してボードレール論が高い倫理観に根ざした行動の実践を要求していること、3)このサルトルの主張はフローベールを筆頭とした「フランス的精神」を批判することで成り立っているとも考えられる点でボードレール論は編集部の判断により戦時中には発表されなかったことを、フランス国立図書館における『コンフリュアンス』誌を始めとするドイツ占領下におけるフランス文芸誌を対象とした集中的な資料調査から明らかにした。
著者
吉信 康夫 渕野 昌 宮元 忠敏 嘉田 勝 友安 一夫 酒井 拓史 薄葉 季路 松原 洋 König Bernhard
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

公理的集合論の研究において, アレフ数2以上の無限基数のもつ組合せ的性質は, それ以下の無限基数に比べて解明されていない点が多い. 本研究では, アレフ数2以上の無限基数のうち比較的小さいものたちのもつ組合せ的性質の, いろいろな強制拡大の下での不変性を詳しく調べた. その結果, 強制公理と呼ばれる集合論のよく知られた一連の公理たちが, どのような種類の半順序集合による強制拡大によってどの程度保存されるかという問題を中心に, いくつかの重要な知見を得ることができた.
著者
宗宮 弘明 宮崎 多恵子 後藤 麻木
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

魚類、両生類(サンショウウオ)、爬虫類(ヤモリ、カメレオン)、鳥類(カナリヤ)さらには哺乳類の一部(ラット、マウス)も紫外線視覚(UV Vision)を持ち、摂餌、配偶者選択、コミュニケーション等に利用する(Yokoyama 2000)。初年度(H14)にショウワギスとボウズハゲギスの網膜を調べ、それらが紫外線視覚に関与するUV CONEを多数網膜底部に持つことを明らかにした(Miyazaki et al. 2002)。また、タペータムを持つカイワリ(アジ類)は紫外線視覚に関与するUV CONEを持たないことがわかった(Takei & Somiya 2002)。次年度(H15)にはテッポウウオが空中を見るにもかかわらず紫外線視覚に関与するUV CONEを持たないことがわかった。最終年度(H16)にはヨツメウオの視覚特性を探求し、それらが紫外線視覚を持つことがわかった。また、ヨツメウオの網膜特性の研究の結果、従来いわれていたように、ヨツメウオは腹側網膜で空中視を行い、背側網膜で水中視せずに水平Visual streakで空中視も水中視も受容していることを証明できた。しかし、ヨツメウオ紫外線視覚の機能については解明することが出来なかった。当初、研究の方針は、網膜の博物学的組織学と分子生物学の二本建てで進める予定であったが、分子生物学学的研究が思うようにはかどらず現在も継続中である。しかし、現時点で、今回の研究結果をまとめると次のようになる。魚類の祖先がすでに紫外線視覚を持っていたことは良く知られている。一般に紫外線の無い環境に生息する魚類、たとえば、シーラカンスは紫外線視覚を持たない(Yokoyama et al. 1999)。紫外線の多い環境にすむ魚種でもテッポウウオのように紫外線視覚を利用しない魚種もいる。おそらくそれは、紫外線が網膜に悪影響を与えることに関係しているかも知れない。
著者
藤原 一宏 斉藤 秀司 落合 啓之 宇沢 達 向井 茂 斉藤 毅
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

A.Wilesによって得られた楕円曲線についての谷山-志村予想の部分解を分析して得られたTaylor-Wiles系という公理系はEuler系と共に岩沢理論における基本的な道具に成長しつつある.このTaylor-Wiles系についての研究が本研究期間中に以下の方向に発展している.a)肥田氏により構成されたnearly ordinary Hecke代数に対するR=T型定理b)総実代数体上の円分塔(cyclotomic tower)の研究c)高次元ユニタリ志村多様体に対するTaylor-Wiles系の構成a)の研究では肥田晴三氏(UCLA)によるnearly ordinary Hecke代数は既約剰余表現に対応するほとんどの場合に普遍変形環と同一視されることを示した。b)ではまず非可換岩沢-Greenberg予想とでも言うべき問題を定式化した.この問題の研究のため円分塔上での変形理論を構成し,特別な2次元表現の場合にはTaylor-Wiles系を使うことで古典的な岩沢-Greenberg予想と同値であることを見いだした.この結果は2000年度保型形式論国際シンポジウム(パリ)で発表した.c)ではユニタリ志村多様体のコホモロジー群が持つ自然なintegral structureに対してTaylor-Wiles系を構成した.この結果については国際シンポジウム「代数幾何学2000」(長野,日本,2000年7月),第三回アジア国際数学会議(マニラ,フィリッピン,2000年10月),ジョンズホプキンス大での国際ワークショップ「保型表現と志村多様体」(ボルチモア,アメリカ,2001年3月)で発表した.以上の研究については講演の他,詳細をプレプリントとして公表,投稿している.
著者
松岡 光治
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、ヴィクトリア朝の文学テクスト-主にディケンズ、ギャスケル、ギッシングの小説-を一次資料とし、そこで明示的/暗示的に描写されたイジメの場面に焦点を定め、19世紀イギリスの時代精神と社会風潮の影響を受けた人間のイジメという言動の法則性を突き止め、そうしたイジメの言説を表出させている社会的および心理的文脈を解明した。