- 著者
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安達 友紀
- 出版者
- 大阪大学
- 雑誌
- 特別研究員奨励費
- 巻号頁・発行日
- 2012
本研究の目的は痛みに対する「破局的思考」と呼ばれる要因への催眠による緩和効果を実証的に解明することであった。採用第2年度は, 慢性の痛みの患者を対象とした介入研究を実施し, 痛みに対する破局的思考の催眠による緩和効果を検討した。特別研究員は2013年8月から2014年3月までの期間に米国University of Washington, Department of Rehabilitation Medicineへ渡航し, 慢性の痛みのある脊髄損傷患者および多発性硬化症患者を対象とした無作為比較試験においてデータ収集を行った。本臨床試験は目標参加者数144名を自己催眠プラス認知療法群, 自己催眠群, 認知療法群, コントロール群の4群に無作為割り付けし, 催眠の痛みに対する効果を検証するものである。特別研究員はプロジェクトの主導者であるMark Jensen博士から, 痛みのある状態での自己効力感の程度を測定するPain Self-Efficacy Questionnaireを評価項目に加えることを依頼し許可を得た。催眠は痛みの症状緩和だけでなく, 痛みのコントロール感や治療への満足感といったポジティブな副作用があることが報告されており, 催眠によって個人の自己効力感が向上することが想定される。催眠による治療の影響力が痛みに対する破局的思考と自己効力感どちらでより大きいかを合わせて検討することにより, 催眠の効果の明確化および介入の適正化につながると考えられる。また, 昨年度実施済みの慢性の痛みを有する患者24名を対象とした催眠による痛みに対する破局的思考の緩和効果の実験について論文化中である。平成26年5月を目途に, International Joumal of Clinical and Experimental Hypnosisへ投稿予定である。