著者
小林 孝雄
出版者
文教大学
雑誌
生活科学研究 = Bulletin of Living Science (ISSN:02852454)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.43-53, 2018-03-30

ロジャーズによる「治療的人格変化の必要十分条件」論文は、ロジャーズ理論における最重要論文とみなされている。しかしながら、この論文は、自然科学的心理学の枠組みで記述することを要請されたもので、必ずしもロジャーズの意図に沿ったものではない。とはいえ、自然科学的心理学で認められることもロジャーズが望んだことでもあった。この論文は、記述されることになった経緯があるのであり、この論文単独では、ロジャーズ理論を正しく理解することはできない。本論考では、この論文の成立経緯と、前後のロジャーズ理論の展開について、主に「共感的理解」に注目し、ロジャーズ理論の正しい理解のために必要な論点を整理する。
著者
佐久間 拓也
出版者
文教大学
雑誌
情報研究 = Information and Communication Studies (ISSN:03893367)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.15-21, 1998-01-01

Nonstandard analysis is introduced by Robinson that apply model theory to it. But nonstandard analysis that use General nonstandard model approach a little domain. So it use enlargement or saturated model. Let *U be k+-enlargement or k+-saturated model and *M be set of unary formula, cardinal not greater than k . If *M is finitely satisfiable then *M is satisfiable. So it exist element that is satisfiable all formula in *M. Specially, saturation model is composed extentensin from external map to internal map. The main purpose is to give an nonstandard definition of a topology and to show the theory of topological space. It is defined the monad and standard part of a point in U. And it prove that existense of infinitesimal set and several theory of about open or close set. It give that the shadow of a subset of the standard topological space is closed.\n 1960年ごろ、A.ロビンソンは、モデル理論の考えを使うことによってライプニッツ流の無限小解析をそのままの形で合理化することができるのではないか、という着想を得た。これが超準解析のはじまりである。その後、超準解析は急速に発展し、数学の各分野できわめて魅力的な手段となった。 特にことわらない限り、Lは形式言語、UはそのL系で、その宇宙UとLの定項との間には双射が存在するとする。Lの文でUで真なるものの全体をXとし、Xの任意の文φがL系*Uで真であるとき*UをXのモデルという。以後X以外のもののモデルは考えないので、単にモデルという。Uはモデルである。 以後区別のため*UでLの論理式を解釈することを*解釈、真であることを*真とする。
著者
文教大学目録学研究会
出版者
文教大学
雑誌
文学部紀要 = Bulletin of The Faculty of Language and Literature (ISSN:09145729)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.108-80, 2016-03-15

本稿は、章学誠『校讎通義』の訳注である。今号では、巻三の「漢志諸子第十四」全三十三条のうち、第十一条から第二十三 条までを訳出する。樋口が担当した。前号に引き続き、底本には、葉瑛『文史通義校注』(中華書局、一九八五年)を用い、あわせて、嘉業堂本、劉公純標点の『文史通義』(古籍出版社、一九五六年、中華書局新一版、一九六一年)、葉長清『文史通義注』(無錫国学専修学校叢書、一九三五年)、王重民『校讎通義通解』(上海古籍出版社、一九八七年、傅傑導読、田映㬢注本、上海古籍出版社、二〇〇九年)、劉兆祐『校讎通義今註今訳』(台湾学生書局、二〇一二年)などを参照した。
著者
磯山 甚一
出版者
文教大学
雑誌
文学部紀要 = Bulletin of The Faculty of Language and Literature (ISSN:09145729)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.1-26, 2002-10-01

前回はロビンソン・クルーソー物語が今日のわが国で「絶海の孤島」物語として読まれていることを明らかにした。しかし実際にはロビンソン・クルーソーの島は大陸沿岸のカリブ海に位置しており、その島における物語は18世紀カリブ海言説と考えるべきである。今回は、そのカリブ海言説としての物語が近代世界のなかでどのように読まれ、わが国では「絶海の孤島」物語となってきたかを検証する。そのためにまず、題名にある 'adventure' という語が日本語で「冒険」と訳された事実に注目する。その事実にどのような暗示があるか、'adventure' と「冒険」のそれぞれが持つ意味を確認する。そして両者の意味を比べると、訳語の「冒険」は 'adventure' のそなえる意味の一部を伝えるにすぎないこと、ロビンソン・クルーソー物語について、それを「冒険」物語として、あるいは 'adventure' 物語として読むかぎり、彼の島における生活について語ることはできないことを明らかにする。
著者
齋藤 正人
出版者
文教大学
雑誌
文教大学教育学部紀要 (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
no.45, pp.131-146, 2011

社会的要請に応じた美術系ワークショップとは,学校教育支援,地域文化貢献,そして芸術環境の提供にある,との観点から考察を始めた.子どもを中心に据えて,それら3つに共通する重要事項を引き出して見ると,教育的要素を含む造形活動があげられる.そこで,教育的要素を含んだ美術系ワークショップの事例として,筆者らが金沢21世紀美術館で行った,「ねんどやきもの劇場」の実践報告をした.その事例を基に,ワークショップ参加体験から得られる子どもの成長と教育的効果について明確にすることを試みた.補強材料としたのは,事例から見られた子どもの行動(素材を通した遊びの行為とそのプロセス)である.そこから明らかになったことは,①共同制作を通し他者への意識が働くことで,協調性や自律性が養われ,社会性を身につけて行くこと.②造形活動の中で,言語表現を伴った独自の世界観が表出され,個性として育まれて行くこと.これらを踏まえ,子どもを主役にするためのワークショップの在り方を提案することが本稿の目的である.最終的に提案したこととは,子ども本来の遊びを考え出す能力が,充分に発揮できる活動環境の創出であった.言い換えれば,他者と遊びを共有しながら,自己表現できる態度を育んで行くための「素材,時間,場所」を整えると言ったことである.このようなことが,子どもを主役にするための活動環境であるとして,ワークショップ指導者へ向けての提案とした.本稿を通観すると,美術系ワークショップの本質は,子どもの発達段階に関わりながら,複合的な人間形成を支援することにある,と提示することができる.そして,子どもの人間形成を目的とした美術系ワークショップの実践は,社会の要請に応じた美術家の仕事であり,美術領域の取り組むべき責任であることを確認することになった.
著者
浅野 正
出版者
文教大学
雑誌
生活科学研究 = Bulletin of Living Science (ISSN:02852454)
巻号頁・発行日
no.37, pp.89-95, 2015-03-01

臨床心理アセスメントの実践の中で、複数の心理検査を組み合わせて実施するテストバッテリーが重視される。包括システムによるロールシャッハテストの警戒心過剰指標と、統合型HTPの描画特徴との関連を調べることが、本研究の目的であった。精神病院での43名の患者を調査対象とし、統合型HTPの統合性や遠近感などの評定項目について、警戒心過剰指標が陽性か陰性かによる人数差を、χ2検定により検討した。その結果、ロールシャッハテストの警戒心過剰指標が陽性である対象者ほど、統合型HTPで羅列的な描写は少なく、遠近感や奥行きを表現しながら、全体を統合して絵を描く傾向が表れた。不安定な愛着関係から、周囲に対する警戒心や疑い深さが増し、自分と他者との関係を意識しすぎることが、統合型HTPの描画特徴に反映されていると考えられた。
著者
土屋 久 堀口 久五郎
出版者
文教大学
雑誌
人間科学研究 = Bulletin of Human Science (ISSN:03882152)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.217-227, 2011-03-01

This paper reports on aspects of the healing deity Kanayamasama based on investigations on the islands of Hachijojima and Aogashima.Results are as follows:1) Kanayamasama is a deity that possesses an ambivalent nature with the power to curse and lift curses.2) Fujou caused by a curse is thought to cause illness on both islands. Because Kanayamasama possesses power to lift Fujou, she is revered as a healing deity.3) On both islands, shrine maidens play a large role in determining the character of Kanayamasama.In light of these findings, this study noted to need to understand health in terms of folk customs on both islands when discussing actual issues in the areas of medicine and welfare.カナヤマサマは、鍛冶屋のカミ、火のカミとして知られる民俗神であるが、本稿では、その治癒神としての側面を八丈島・青ヶ島での調査に基づいて報告し、両島における健康観の一端を考察した。その結果明らかになったのは、以下の点である。一、カナヤマサマは、呪詛の力を発揮するカミであるとともに、呪詛を祓うカミでもあるという両義的な性格を有すること。二、呪詛によって生じるフジョウが、病いの一因と両島では考えられており、それを祓う力をカナヤマサマが有するが故に、治癒神として祀られること。三、両島におけるカナヤマサマの性格形成には、ミコの果たす力が大きいこと。以上の点を報告した上で、両島の医療や福祉の分野に置ける現実的な課題を考えていくにあたり、両島が育んできた民俗レヴェルでの健康観に対する理解の必要性を指摘した。
著者
横川 潤
出版者
文教大学
雑誌
生活科学研究 = Bulletin of Living Science (ISSN:02852454)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.11-21, 2013-03-01

飲食店企画のマーケティング・アプローチに関して、その概念的フレームとありうべきプロセスの流れをコトラー(Kotler,P.) の考えに依拠し、かつ教育実践での手順を念頭に置いて論じた。コトラーによればマーケティングは企業のミッション、ビジョン、戦略策定を主導し、次のような意思決定が含まれる。すなわち訴えるべき顧客、満足させるべきニーズ。提供すべき製品やサービスの内容。設定すべき価格、送受信すべきコミュニケーション、選択すべき流通チャネル、形成すべきパートナーシップである。この視座を受けて飲食店企画マーケティングでは、以下の必須7項目を順次検討すべきとして、その内容を詳述した。①コーポレートミッション②マーケット・セグメンテーションとプライムターゲットの設定③ニーズ分析④ポジショニングとブランディング⑤マーケティングミックス⑥SWOT分析⑦アベセデスマトリクス。
著者
金 瑋婷 劉 田田
出版者
文教大学
雑誌
言語文化研究科紀要 = Bulletin of The Bunkyo University Graduate School of Language and Culture (ISSN:21892709)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.31-53, 2018-03-16

本文考察在面向20多岁女性的时尚杂志中做使用的日语的特征,主要着眼于以助词(除终助词外)结尾的句子。本文以同在2016年11月发行的两本时尚杂志为调查对象,并收集了其中以助词结尾的句子。本文将助词分为“格助词”“并列助词”“副助词”“系助词”“接续助词”这五大类进行了数据统计。结果显示,格助词“に”(39.3%),格助词“を”(8.8%),格助词“が”(7.4%),系助词“も”(10.0%),系助词“は”(7.8%),以及接续助词“て”(12.3%)为使用最多的6种助词。◆ 本文结合实际例句,分别对这6个助词的用法以及特点进行了详细的分析,并得出以下结论。①以格助词“に”结尾的句子表达更为简洁。②以格助词“を”结尾的句子能够增加读者的想象空间。③以格助词“が”结尾的句子能简明地向读者提示未知的主体以及话题。④以系助词“も”结尾的句子起到强调话题内容的作用。⑤以系助词“は”结尾的句子能够简洁地提示话题。⑥接续助词“で”结尾的句子通过说明事项来吸引读者的视线,引起读者的兴趣。
著者
中村 修也
出版者
文教大学
雑誌
教育研究所紀要 = Bulletin of Institute of Educational Research (ISSN:09189122)
巻号頁・発行日
no.6, pp.43-54, 1997-12-01

SPEEDという小学6年生を含む歌手グループの出現は、これまでの安穏としていた義務教育の存在を考え直させる機会を与えてくれた。援助交際や芸能活動などで、若者が高額収入を得る方法は一般化しつつある。教育が富国強兵をスローガンにしてきたならば、日本は十分豊かになり、目的を果たしたことになる。では今後、教育の必然性はどこにあるのか。
著者
谷口 清
出版者
文教大学
雑誌
生活科学研究 = Bulletin of Living Science (ISSN:02852454)
巻号頁・発行日
no.34, pp.91-105, 2012-03-01

学校不適応の背景要因を探ることを目的として、学校、保育所、福祉担当部署、警察等子育て支援担当者に対する聞き取り調査を行った。不登校の背景には集団適応や規律の維持等社会性の問題が認められ、また介入を嫌う家庭など家庭支援のジレンマも語られた。その背景には変化の激しすぎる社会のもと、ふるさと、絆の喪失に示されるような育児環境、育児文化の変化、保育所の役割拡大・育児の肩代わりなどがあり、他方で親の精神不安定と育児困難、自己中心的な親の増加などにより親子の共感関係が失われる傾向も明らかとなった。今後、社会人としての生きる力、対人関係能力、非公式の社会統制機能の発達過程を解明し、その発達に必要な生育環境保障をめざすことが課題となっているものと思われる。
著者
平田 澄子
出版者
文教大学
雑誌
文教大学教育学部紀要 (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
no.16, pp.p1-15, 1982-12
著者
宮原 辰夫
出版者
文教大学
雑誌
文教大学国際学部紀要 = Journal of the Faculty of International Studies (ISSN:09173072)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.85-117, 2015-07-01

This paper will examine the narrativeness of Islamic dynasties (Saiyid,L?d?,Mughal and S?r) in North India and its architecture using various books, such as“Histry of the Rise of the Mahomedan Power in India” by Ferishta (Persian chronicler,1560-1620),“B?bur-n?ma”of Babur. In other words, it will examine the power and culture of Islamic dynasties in north India, and it will also investigate the succession of Islamic cultue and its blending with the Hindu / Indian cultue.
著者
櫻井 慶一
出版者
文教大学
雑誌
生活科学研究 = Bulletin of Living Science (ISSN:02852454)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.31-41, 2016-03-30

近年、保育所等で発達や生育環境に課題を抱えた児童(家庭)に対して、きめ細かな個別的および集団的配慮や、地域の専門機関等との連携による「保育ソーシャルワーク」の必要性が関係者から叫ばれている。そうした背景には障害者権利条約の批准に合わせた「インクールーシブ」な社会づくりがわが国でもようやく課題になってきていることもある。2013 年11 月にはそうした一環として「日本保育ソーシャルワーク学会」も発足し、2016 年度からは同学会による現職保育士等を対象とした「保育ソーシャルワーカー」の養成研修も開始されようとしている。しかし、「保育ソーシャルワーク」はまだその定義はもとより概念も明確ではない。本稿では、その定義や必要性、「保育ソーシャルワーカー」に求められる専門性や養成体系等について、いわゆる「気になる子」対応を中心に検討した。その結論として、「保育ソーシャルワーカー」には保育士等の現場職員が適任であり、各園単位で置かれることが最も望ましいと考えた。そのための現職の保育士等への研修・養成が急がれている。
著者
益田 勉
出版者
文教大学
雑誌
人間科学研究 = Bulletin of Human Science (ISSN:03882152)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.85-96, 2013-03-01

Career development theory has matured 100 years since its founding by Frank Parsons (1909). Although numerous theories have been devised during this period, each offers only fragmentary and partial knowledge. Theories have been criticized for their lack of theoretical consisitency and integration. For example, Super (1990) acknowledged that his theoretical formulation was segmental and represented an effort to bring together concepts from various branches of psychology. Thus, flaws of existing theories have been noted by as eminent a career development theorist as Super. Recently, theorists habe acknowledged the value in attempting to provide a more integrative theoretical picture of career development. This review of the literature offers a viewpoint integrating career development theories by the content and process of career development.
著者
バンフォード ジュリアン 高橋 雅人
出版者
文教大学
雑誌
湘南フォーラム:文教大学湘南総合研究所紀要 = Shonan Forum : Journal of the Shonan Research Institute Bunkyo University (ISSN:18834752)
巻号頁・発行日
no.12, pp.27-31, 2008-03-01

In this bilingual article, we describe an English class that motivates students and helps them develop confidence and basic speaking ability. This class is contrasted with conventional English classes in terms of purpose, method, content, class material and the role of the teacher.