著者
浅野 正
出版者
文教大学
雑誌
人間科学研究 = Bulletin of Human Science (ISSN:03882152)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.137-144, 2012-03-01

Education from the victim's veiwpoint is a corecctional measure used in Japanese prisons and juvenile training schools. What is discussed in this paper is how the educational program can effectively prevent re-offending and successfully encourage the psychological recovery of crime victims. The educational program could be improved in three ways. First, the intervention should equally focus on both the individual and his peers. Second, an understanding of individual victims shoud be emphasized rather than that of victims in general. Third, offenders should think about how they wish to specifically apologize to their victims, assuming taht they might meet those victims face-to-face in the future. Knowing what efforts offenders are making can help to improve the mental health of their victims.
著者
浦 和男
出版者
文教大学
雑誌
文学部紀要 (ISSN:09145729)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.149-191, 2010-03-10

笑いに関する研究が国内でも本格的に行われるようになって久しい。大学でも笑い学、ユーモア学の名称で授業を行い、笑い学という領域が確実に構築されている。笑いそのものの考察に限らず、笑いと日本人、日本文化に関する研究も少しずつ行われている。これまで江戸期の滑稽に関する笑いの研究はすぐれた専攻研究が多くあるが、それ以降の時代の笑いに関する研究は十分に行われていない。本稿では、基礎研究の一環として、明治期に出版された笑いに関連する書籍の目録をまとめた。本稿で扱う「笑い」は、滑稽、頓智などに限定せず、言語遊戯、風俗など、笑いを起こす要素を持つものを広く対象としている。目録としてだけではなく、通史的に編纂することで、明治期を通しての笑いの在り方を考察できるように試みた。また、インターネットで利用できるデジタル資料情報、国立国会図書館で所蔵形態についての情報も付け加えた。
著者
奴田原 諭
出版者
文教大学
雑誌
文学部紀要 = Bulletin of The Faculty of Language and Literature (ISSN:09145729)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.1-33, 2019-10-31

学生が授業をどの様に捉えているかを授業担当者が把握すること、殊に目標設定が専門科目に比べて複雑にならざるを得ない教養科目でそれは尚更重要なことだ。しかしながら教養科目は一般的に出席者が多く、紙を使用した従来の物理的なコメントの回収は運用そのものに困難を来す。そこで、紙の回収に替わりデータでの回収、さらには「フォーム」を用いてスプレッドシート上に容易に一覧化できる方法を運用してみた。その是非について学生にアンケートを試みたところ、概ね賛同が得られた。回収したコメントは毎回の授業の導入として活用するのだが、データであることにより意外にも学生との距離を縮めるものとなり、また紹介の順番として適切な構成を組むことができた。それにより、15回の授業を出席学生の中で、同時に授業担当者の中で有機的に接続させるものとして機能し、授業改善の一助となることが考えられた。
著者
土屋 久
出版者
文教大学
雑誌
生活科学研究 = Bulletin of Living Science (ISSN:02852454)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.281-285, 2017-03-30

本稿は、柳田國男「青ヶ島還住記」を読み込むことで、この作品に込められた、柳田の主たる想いを検討したものである。それと同時に、その想いは青ヶ島の今日的な課題に届くのか、こうした問いにも一定の考察を試みた。その結果、先の作品の主たる想いは、島の少年達に誇りをもたせたいとのことであり、彼のこの想いは、今日、地域おこしに、ますます重要な意味をもってきている点を指摘した。
著者
米津 光治
出版者
文教大学
雑誌
生活科学研究 = Bulletin of Living Science (ISSN:02852454)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.173-182, 2017-03-30

日本の学校教育における体育は、学制発布以降、その時代の目指す社会的要請を踏まえて、果たすべき役割を担ってきた。日本の学校体育を歴史的に見てみれば、明治以降長い間「体操」を中心に考えられ、人間の身体と運動との関係が重要な問題であった。戦後は、身体の教育から全人教育へとねらいが拡大され、身体の問題だけでなく、人間の教育のために体育が文化としての機能を果たす重要性が議論されてきた。学習指導要領では、生涯にわたって運動を実践する態度や能力の育成が期待されているが、子どもを取り巻く社会環境は複雑化し、健康増進・体力の向上、運動需要などの問題を生涯の生活との関連で考えることが求められている。本稿では、これからの学校体育のあり方や課題について、日本における学校体育の歴史的経緯と現行学習指導要領の検討経過及び体育指導の現状を「運動の教育」を基本的な考え方にしながら検討した。
著者
樋口 靖
出版者
文教大学
雑誌
文学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Language and Literature (ISSN:09145729)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.23-40, 2012-03-01

明治28年台湾は日本の植民地となり、台湾人に対する行政的、軍事的統治が開始された。台湾統治の方針は内地への同化政策であり、その基幹は教育であって、教育政策の実質は言語教育すなわち本島人に日本語を習得させることにほかならなかった。言語教育はもちろん現地人に対する日本語の「押し付け」ではあったが、領台の初期にあってはけっして片務的なものではなく、台湾に渡る日本人に対しては現地語(福建、広東系中国語方言と「藩語」を含む)の習得が要請された。学習は官吏、学校、軍、民間の各層で広く展開された。少なからぬ日本人が、漢語や欧米語ではなく文化価値の低い「土語」を学ぼうとしたことは史上初めての経験であったろう。「土語」はあくまで実用のために学ばれたので、「土語」の学習熱は日本語教育が一定の成果をあげると次第に下火になっていった。小論の目的は台湾「土語」のうち、最も使用人口が多く優勢な言葉であり、従って内地人の学習人口も相対的に多かった福建系台湾語の学習教育が、現場ではどのようなものであったのかを一次資料によりながら具体的に振り返ってみることにある。当然、資料から当時の台湾における言語の実際状況を知ることができる。また、日本植民地時代にあげた日本人の台湾語研究における成果も純学術面からみて極めて大きなものであり、この点も併せて考察する。考察は軍、官、民の各階層について行われる。
著者
中村 修也
出版者
文教大学
雑誌
教育学部紀要 = Annual Report of the Faculty of Education (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.57-78, 2013-12-01

663年の白村江の敗戦以後の日本の社会を、唐の占領政策のもとにいかに展開したかを描いた。従来の説では、唐による占領政策はなかったものとして、両国は戦争をしたにもかかわらず、友好関係を維持し、日本は唐にならって律令制を導入したと論じられてきた。これは戦争という現実から目をそむけた論に過ぎない。本論では、郭務悰という唐からの占領軍事司令官のもとで、いかに占領政策が行なわれたかを『日本書紀』を新たに解釈しなおすことで明らかにした。また、新羅の反唐政策によって、唐は半島・日本から撤退せざるをえなくなり、日本も唐の占領政策から脱することができたことを論じた。
著者
加藤 一郎
出版者
文教大学
雑誌
教育学部紀要 = Annual Report of The Faculty of Education (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.95-107, 2004-12-01

En majo de 2002, F. Meyer, la eks-redaktoro de la germana revuo "Der\nSpiegel", publikis la artikolon "Die Zahl der Opfer von Auschwitz". En tiu c i artikolo li kritikis la vidpunktojn de la tradicia holocaŭsta historiografio pri la nombro de la viktimoj de la koncentrejo Auschwitz /Birkenau. Recenzinte la tiun ci artikolon, F. Piper, la direktoro de la historia departmento de la Auschwitz muzeo, kondamis lin kiel la revizioniston. Post ne longe, F. Meyer kontraukritikis la recenzion de F.Piper. En tiu ci diskuto, F. Meyer adoptis la revisionistajn metodojn kaj analizojn, dum F. Piper defendis la tradician holocaŭsta historiografion. Tiu ci diskuto klarigis la disfalon de la tradicia holocaŭsta historiografio.
著者
長屋 美穂子
出版者
文教大学
雑誌
人間科学研究 = Bulletin of Human Science (ISSN:03882152)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.58-69, 1984-12-01

The purpose of this study is to research the condition of children's living at home.The report is based on the questionnaire to the children's parents of an elementary school in Saitama prefecture.The contents are as follows, 1. Diet life2. Time budget 3. TV Watching4. Private school5. Play6. Pocket money7. Habit of life 8. Health conditionIn this study it is found that it is necessary to improve living of children's parents so as to bring up children sound.
著者
菊池 幸子
出版者
文教大学
雑誌
人間科学研究 = Bulletin of Human Science (ISSN:03882152)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.91-97, 1986-12-01

Lifelong education have payed interesting attention since Paul Lengrand had reported to Commitee of adult education in UNESCO in 1965.As the national educational policy, there have been twice reported on lifelong education by the Central Educational Council in Japan, too.The third report on lifelong integrated learning have been proposed by the National Council on Educational Reform April 23 in 1986.This report says that basic direction of educational system for the 21centry is to reform to lifelong learning system to solve many educational problems. It is the reason of written this report and its main contents are as follows;1. Lifelong education as the national educational policy in Japan.2. Move to lifelong integrated learning society to solve many educational problems.3. The adquate curriculum on each life stage.4. Cooperation with home, school and Community.
著者
中村 緋紗子
出版者
文教大学
雑誌
文教大学国際学部紀要 (ISSN:09173072)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.1-18, 2005-07

シャリーアと呼ばれるイスラーム法は、ムスリム(イスラーム教徒)にとって神からの啓示を編纂した『クルアーン』と『ハディース』(預言者ムハンマドの言行録)を基にする聖法である。この聖法は、ムスリム(イスラーム学者、政治的支配者、民衆)によるクルアーン・ハディースの解釈学的展開の上に成り立っている。本稿は、インドネシアにおけるイスラーム法の統治者レベルでの適用と草の根レベルでの適用の二つの例をあげて、歴史的に、また現代社会において、聖法としてのイスラーム法がどのように解釈され、運用されてきたかを考察する。前者の例は「条件付き離婚」(Taklik-Talak)と呼ばれる制度で、インドネシアにおいては婚姻契約時に花婿が立会人たちの下で、離婚宣誓書を読み上げ署名する。婚姻生活中に宣誓書に記された条件が生起した場合、妻がイスラーム宗教裁判所に提訴することによって離婚の宣言が有効となるイスラーム法独特の制度である。本稿ではこの制度の法学的由来とインドネシアにおける歴史的発展を文献調査により明らかにする。後者の例は「結婚・離婚相談所」のカウンセリングのケースであり、その内容分析を中心に、イスラームの宗教的・倫理的教えが実際にどのように当事者たちに理解され、カウンセラーの助言を通して教えられているかをフィールドワークにより考察する。イスラーム法は、多面的・複合的な分野にわたる研究を必要性とする。第一に歴史的・地域的にムスリムが彼らの聖法をどのように解釈し、適用し法制化してきたかという研究、第二に現実的に法制化されていないが社会的規範として働いている分野での解釈と適用の研究、そして第三にその宗教的・倫理的側面の研究などが必要である。このように現実に適用されているイスラーム法の理解のためには狭い意味でのイスラーム法学をはじめ、法学一般、歴史学、宗教学、文化人類学などの学際的研究が要請される。
著者
加藤 一郎
出版者
文教大学
雑誌
文教大学教育学部紀要 (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.95-112, 2003-12

Ĝis la nuna tempo la tradicia holocaŭsta historiografio, kiu rekte frontis kontraŭ la manko de la fizikaj kaj dokumentaj atestaĵoj, skribis la hisotorion de Holocaŭsto, bazitante sin sur la teorio de "koda lingvo" kaj "vidantaj testamentoj". La franca studanto, J.-C. Pressac kritikis tiu ci metodologion de la tradicia holocausta historiografio. Sed, aperis multaj kontraûdiroj en liaj verkoj, ĉar li klopodis eviti la revizionistan konkludon kaj defendi la holocaŭstan ortodoksan historion.
著者
吉井 博明
出版者
文教大学
雑誌
情報研究 (ISSN:03893367)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.71-79, 1983

In case of earthquake warning we have not had any experience to draw a lesson. The incident of false earthquake warning which happened at Hiratsuka City in Kanagawa. Prefecture in 1981 provided us with a kind of social experiment. In this paper, the reactions of residents to earthquake warning and the conditions of communication system to work well in warning period are discussed on the basis of analysis of survey done just after the incident.
著者
井徳 正吾
出版者
文教大学
雑誌
情報研究 (ISSN:03893367)
巻号頁・発行日
no.46, pp.1-15, 2012-01

There is no doubt that there are certain significant milestones in the various stages of life. Some of the milestones are as follows: graduating from high school and leaving home for college; graduating from college and entering the work force as a full-time employee; and finding a partner in life and getting married. These milestones may affect the way people react and respond to the media and what media they are exposed to. Our previous studies specifically in the areas of TV and internet media have proven that people in a certain life stage will react quite differently from other individuals who are in another stage of their lives. It is unclear, however, if this is also true of newspaper, magazine, and radio media and is thus not known if a person's reaction to these three media is also dependent on his/her stage of life or not.
著者
手嶋 將博
出版者
文教大学
雑誌
教育研究所紀要 (ISSN:09189122)
巻号頁・発行日
no.18, pp.77-86, 2009

平成23年から本格実施される新学習指導要領において、小学校段階における「外国語活動」が必修化された。これに伴い、すでに平成21年度から移行措置として先行的に実施が進められ、全国の教育委員会や学校における実践が開始されている。本稿では、小学校における「外国語活動」と、中学校以降における教科としての「外国語科」との目標や内容の異同を通して、今後の日本の外国語教育にとって重要な意味を持つ両者の接続・連携に注目し、国際理解教育の目標との関連、海外の外国語教育との比較をふまえて考察する。