著者
栄久庵 祥二
出版者
日本大学
雑誌
日本大学芸術学部紀要 (ISSN:03855910)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.49-54, 2005

There are two kinds of effect which tools have, the one being 'sociopetal' and the other 'sociofugal'. The former refers to the effect of tools that pull people together thus encouraging face to face interpersonal communication, while the latter is the effect that puts them apart, independent or isolated. The traditional Japanese heating equipments such as KOTATSU and HIBACHI play sociopetal role, and so does the well in the context of neighboring engaged in by housewives. Today, in general, sociofugal effect as played by mobile tools dominates over sociopetal one due to the nature of tools, technological development and people's value in our affluent society. Even so, desire for face to face communication among people persists strenuously. In this situation, there seems to be something to do on the part of designers.
著者
中山 壽之 高山 忠利
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

安全で事故のない外科手術を供給するために、効率的手術手技の習得法を検討した。術者と第一助手の双方向、臓器近接部から手術野をビデオ撮影しマルチ画面再生することにより合目的な教育法を策定した。手術ビデオの一部は外科学会や日本肝胆膵外科学会から公開されている。
著者
茂木 積雄 天木 秀一
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

原発性胆汁性肝硬変(PBC)に特徴的な抗ミトコンドリア抗体(AMA)亜型である"M2"抗体はミトコンドリア内膜に存在する酵素である2-oxoacid dehydrogenase complex(2-OADC)ファミリーに属するpyruvate dehydrogenase(PDC),branched chainα-ketoacid dehydrogenase complex(BCOADC),2-oxoglutarate dehydrogenase complex(OGDC)を構成する5つのsubunit enzymes(PDC-E2,BCOADC-E2,OGDC-E2,protein X,PDC-E1α)を特異的に認識する。分子生物学的および遺伝子工学的手法を用いた研究により,M2抗体が認識する主要なミトコンドリア抗原であるPDC-E2,BCOADC-EおよびOGDC-E2上のlipoic acid binding resionであるリポイルドメイン上に主要な抗原エピトープが各々存在することが明らかになった。これらのエピトープマッピングの成績に基づき高感度AMA測定法の確立を試みた。すなわち,PDC-E2,BCOADC-E2およびOGDC-E2の各々のリポイルドメインをコードするcomplementary(c)DNAを同一のプラスミドベクターにサブクローニングすることによりHybrid cloneを確立した。Hybrid cloneおよび各々のE2 component cDNA cloneによって発現されたリコンビナント抗原をグルタチオンアガロースビーズを用いてアフィニティー精製した。イムノブロット法による検討で,これらの精製リコンビナントミトコンドリア抗原はPBC患者血清と特異的に反応し,自己免疫性肝炎やC型慢性肝炎などの対照疾患および健常人血清などとは反応しなかった。また,PBC 112例においてラット腎胃組織切片を抗原とした蛍光抗体法(IF)および市販の酵素抗体法(ELISA)によってAMAの検討を試みたところ9例はAMA陰性であったが,リコンビナントミトコンドリア抗原を用いた検討によってPDC-E2以外のM2抗原とのみ特異的に反応するPBC血清を明確に検出することが可能となった。
著者
仲川 秀樹
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

本研究は、「情報の受信・発信による若者の地方都市定着へ向けての社会学的研究」である。平成8年から9年度の2年間にわたり本研究テーマに沿った研究を別紙報告書記載の通り論じてきた。特に、社会学的研究という性格をふまえ学説研究としてのアプローチ、実証研究としてのアプローチをバランスよく取り入れることにした。学説研究としては、情報の受信・発信をメディアに求めた。それは映像による若者への影響を映画を媒体に考えた。それにはH・ブルーマ-の社会理論が適切であると考え、本研究の理論背景はブルーマ-の理論に負った。次にそれを実証するために、地方都市として国内と海外2つの都市を取り上げた。国内は、山形県北山形高瀬集落、海外はカナダ、プリンス・エドワード州をその対象地とした。この都市はいずれも映画の舞台となり多数の若者が集う場所でもあった。そこには女性分化としての性格が存在してそり、その視点も含めたヒアリングを実施することになった。その結果は、単なる流行りとする影響ではなく、生活様式まで取り入れた情報受容のスタイルがあった。学説研究、理論研究の2つのアプローチから若者の地方都市定着へ向けて、社会学が何をすべきかという課題にひとつの問題提起をなす結果として、情報の受信・発信がリアルに実施され、それが若者へ1次情報として認知される環境形成が不可欠なこと。これに応えられるべき環境の整理こそが若者を地方都市に定着させる処方箋に成り得ることなどが明らかにされた。その包括的な環境こそ若者がもっとも望んでいることであると考えられる。
著者
宗澤 岳史
出版者
日本大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究課題は、睡眠薬の相補・代替治療として注目されている不眠症に対する認知行動療法(以下CBT-I)に関する研究として(1)CBT-Iの睡眠薬の減薬・離脱効果の検証、(2)不眠症に対する集団認知行動療法の開発と効果の検証を実施したものである。本研究結果から、CBT-Iは(1)睡眠薬の減薬・離脱の効果を有する,(2)集団療法においても不眠症状の改善効果が期待できることがそれぞれ確認された。
著者
木下 浩作 雅楽川 聡
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

敗血症から多臓器不全への進展には神経内分泌免疫系の破綻と全身性血管内皮傷害の関与が示唆される。体温が上昇した環境での高血糖が血管内皮細胞に与える影響についての検討はない。本研究結果から高温・高糖環境が血管内皮細胞における炎症性物質(炎症性サイトカイン:IL-6)産生を増加させることが明になった。この反応はエンドトキシン存在下で促進される。従って、高体温患者にみられる高血糖は、血管内皮細胞からのIL-6産生などの炎症反応を増大させ、二次性組織傷害を悪化させ、多臓器不全進展の危険因子となり得ると考えられた。高体温の敗i血症患者では、早期からの血糖管理と体温管理が重要な管理項目と考えられた。
著者
小島 智恵子
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

1.研究内容本研究は、原子力の民事利用開発の中でも高速増殖炉(以下FBR)を事例とし、日本とフランスのFBR開発を歴史的に分析することを目的としている。本研究では一次資料の収集に最も重点をおいた。特にフランスのFBR開発に関する一次資料に基づいた歴史研究はこれまで日本では殆ど行なわれていないので、同一次資料をフランス原子力庁アーカイブス,フランス国立図書館,パリ国立高等鉱業学校図書館等で可能な限り収集した。本研究ではさらにオーラルヒストリーの手法を導入し、FBR研究に貢献したフランス人研究者へのインタビューを実施した。日本よりも早くFBR開発が進められたフランスでは、その中心的役割を果たした研究者の方々がご高齢になられていることもあり、最優先でインタビューを行った。以上の資料をもとにFBR開発の歴史をまとめその中で日本とフランスのFBR開発の歴史的特徴、日仏研究協力の歴史的変遷を総括した。2.研究の意義・重要性これまでの原子力開発史に関する研究は主にアメリカの研究を対象としていたが、本研究では日本とフランスのFBR開発を中心に歴史分析をするという新しい視点を導入したことに意義がある。少なくとも日本では本研究が日仏FBR開発の通史としては初めての試みである。この研究の中で、初期のフランスのFBR開発においては米仏協力が重要な役割を果たしていたこと、FBR開発では国際協力が大きく貢献していたこと、初期の日本のFBR開発においてはフランスが指導的立場であったこと等を明らかにした。フランス人研究者へのインタビューの回答では、フランスではタブー視されている内容も含まれており、またフランス人的観点による日本のFBR開発に対する建設的な批判も得た。本研究のテーマは、日本人の研究者だからこそ扱うことができたという点においても重要であると考える。
著者
鷹取 昭 後藤 範章 中泉 啓
出版者
日本大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1990

科研費の交付を受けての研究の最終年度にあたる本年度は、(1)埼玉県戸田・与野・八潮の3市を対象とする大量調査とケース・インタビュー、(2)東京・福岡・札幌その他の大都市圏での資料の収集・ヒアリング・踏査を主とする現地調査、の補充調査を実施しながら、これまで進めてきた調査研究の成果のとりまとめ作業にあたった。(1)は、メトロポリタニゼーション(巨大都市化)が個々の地域社会に与える社会的効果を明らかにすることを、(2)は、巨大都市化の歴史的推移やメカニズムを、比較大都市園研究と交差させながら明らかにすることを、それぞれ目的としていたが、これらの調査研究によって実証的に分析・解明し得た主要な点は、次の通りである。I)巨大都市化は、とりわけ交通・通信ネットワークの整備・拡充と密接な関連性をもって進展してきた、ということ。II)交通・通信は、各都市・地域相互の時間・費用上の距離を短縮させることによって、その地理的・空間的距離を実質的に短縮させるばかりか、諸都市・地域を分かちがたく結びつけて、その社会的・文化的及び心理的な隔たりをうめていく効果をも有する、ということ。III)交通・通信ネットワークの結節点(ノード)となる都市は、社会的交流の結節点としての機能を高めて、一国内ばかりが、全世界の諸都市・地域との結びつきをも強めている、ということ。IV)その結果、交通・通信を介しての世界的なネットワーキングが進み、分化と統合を軸とした地球一国一地域(リージョン)の各サイズの垂直的分業体系の巨大で多段的な重層構造と機能連関が、現下の巨大都市化の推進力として強力に作用するようになっている、ということ。
著者
木内 徹 福島 昇
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009-04-01

英米の演劇に登場するアフリカ系およびアフリカ系アメリカ人の登場人物、英米のアフリカ系およびアフリカ系アメリカ人劇作家の作品、英米の演劇におけるアフリカ的要素などを精査し、その共通の特徴、あるいはその差異と各劇作品の主要テーマとの関連を検証する。黒人の演劇における影響の範囲は幅広く、文学を初めてとして、歴史、奴隷制度、音楽、などを調査しなければならない。
著者
勝呂 尚 浅野 正岳 浅野 正岳
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

歯髄細胞は数種類の異なる細胞から構成されていることが知られている。 しかしながら, その活性は低く, 長期にわたる継代培養は困難である。そこで本研究では, 歯髄細胞の性質をより詳細に検索するためにヒト歯髄由来細胞の樹立と解析を行った。 本申請期間では, 9種類のクローン細胞を樹立し, 樹立したクローン細胞間の遺伝子発現の違いをDifferential Displayにより検索し, 8種類の遺伝子を検出した
著者
佐々木 恒男
出版者
日本大学
雑誌
産業経営研究 (ISSN:02874539)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.1-9, 2001-03

バブルがはじけて10年,日本経済は未だに立ち直れないでいる.不良債権の償却は一向に進まず,企業倒産は相変わらず多く,失業率も高止まりでのままで,個人消費は冷え込んだままである.中高年の再就職はいうに及ばず,大高中の新卒の就職はいずれも振るわず,国民の間には将来に対する一種の諦めと無力感がみなぎっている.それにもかかわらず,政治は能転気なもので,コップのなかの権力闘争に明け暮れている.株式相場と為替相場だけは正直なもので,日本の政治と経済にすっかり愛想づかしをして,それらは続落の一途を辿っている.この先,日本経済は一体どうなるのだろうか.このような状況のなかで,声高に主張され続けてきたのが市場主義という新しいビジネス・ルールである.人為的な規制を撤廃して,すべてを市場の選択に委ねるというアメリカ流のビジネス・ルールがまるで魔法の杖であるかのように喧伝され,長引く不況に困り果てた日本の経営者がなりふり構わずこれに飛び付いている.市場主義というアメリカン・スタンダードがグローバル・スタンダードと勘違いした日本の経営者は,先人が営々として築きあげてきた信頼取引という日本のビジネス・ルールをいとも簡単に投げ捨てている.それは単にビジネス・ルールの変更だけに終わらず,日本社会全体の価値や文化の変容をも意味している.景気はいずれ変動する.好機が来ればいずれ反転し,破局があればいつか再生する.その時,不慣れな市場主義原理に振り回されてリスクを乗り切った積もりの日本の経営者は,会社不信,会社嫌い,人間不信に凝り固まり,未来に希望が持てず束の間の享楽に生きる大勢の老若男女のリベンジに仰天し,信頼という企業資産の喪失の重大さに愕然とするだろう.
著者
宮村 倫司
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

大規模な接触問題解析を実現するために,領域分割法に基づく並列解析手法を開発することが本研究の目的である.最初に,摩擦のない接触問題の解法として, Semismooth Newton法の改良手法,内点法とSemismooth Newton法の組み合わせ手法を提案した.次に,内点法やSemismooth Newton法の反復の中に現れる等式制約条件付線形問題を多点拘束条件を考慮したBDD法で解くためのアルゴリズムの開発について検討した. GPGPU実装による高速化についてもプロトタイプコードを開発した.当初の研究計画には,摩擦のある大規模接触問題の解法の開発が含まれていたが,基礎的な検討にとどまり,研究期間内に実用的な手法を開発することはできなかった.
著者
卯田 昭夫
出版者
日本大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
2000

12年度の研究から神経性ショック前後の心拍RR間隔周波数解析パラメーターの特徴は明瞭化できた。しかし、Mem Calc^【○!R】による周波数解析には数時間から短いものでも数10分を要し、モニターとしての有用性に欠けていた。13年度は心拍RR間隔収集装置(メモリー心拍計LRR-03^【○!R】)を購入し、Tarawa/winシステム^【○!R】を用いパーソナルコンピューターと接続し、リアルタイムに解析結果をモニタリングした。本研究の目的・内容を理解し、同意の得られた患者を対象とした。神経性ショック予防モニター実用化のため、周波数解析より得られたパラメーターの有用性を、臨床応用から検討した。全身麻酔覚醒時には非脱分極性筋弛緩薬の拮抗薬として、抗コリンエステラーゼ薬あるエドロホニウム(エド)やネオスチグミン(ネオ)が用いられる。しかし、アセチルコリン受容体の反応には運動神経伝達をつかさどるニコチン作用と、副交感神経(PSN)刺激症状を示すムスカリン作用があるため、一般にPSN遮断薬である硫酸アトロピン(アト)が併用される。自律神経への作用機序が明らかなこれらの薬物を投与した時のRR間隔を周波数解析し、低周波帯域(LF)、高周波帯域(HF)、LF/HFおよびエントロピー(ENT)(理論上最もランダムなものを100%、等間隔なものを0%と規格化)の表す意義・有用性について検討した。その結果、1.アト投与により、HF減少の持続、LF/HF一過性の上昇を認めた。2.エドおよびネオ投与によりすべての症例で心拍数が減少した。心拍数の減少とHFの上昇に明らかな関係はなかった。3.ENTはHFの増加に同調し、アトによって低下したことから、PSN活動を反映することが示唆された。しかし、頻脈時は低値を示し、その解釈には、今後さらなる検討が必要である。これまでの研究から、神経性ショック前は過度の交感神経緊張状態(LF/HFの上昇)が観察され、ショック状態では逆にPNS亢進(HF上昇)(ENT上昇?)することが判明した。つまり、LF/HFを観察すれば神経性ショックの予防は可能ということになる。しかし、RR間隔の周波数解析から得られる数値は個人差が大きく、評価の基準が現在無いのが現状である。今後、ホルター心電図を用いた24時間正常値、負荷試験による変動観察、あるいは術中の変化率など、個人の評価をどのように行なうかの指標が発見されれば神経性ショックを予防するモニターが実用化できると思われる。
著者
横山 三紀 横山 茂之
出版者
日本大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1999

1.NAD分解酵素であるリンパ球表面抗原CD38を用いて、ガングリオシドとの相互作用を明らかにするために結晶構造解析をこころみた。マルトース結合蛋白質とCD38の細胞外ドメインとの融合蛋白質(MBP-CD38)を大腸菌で発現させた。発現させたMBP-CD38の大部分は正しいSS結合のかかっていない不活性型であったため、チオレドキシンとの共発現系を用いて安定に活性の高いMBP-CD38を調製する方法を確立した。MBP-CD38とガングリオシドGT1bとの結晶化のハンギングドロップ法での条件検討をおこない、PEG10,000を沈殿剤として結晶を得た。この結晶から分解能2.4オングストロームの反射を得ることに成功した。2.CD38を発現している細胞にガングリオシドを取り込ませると、CD38のNAD分解活性が抑制される。ガングリオシドの効果が同一細胞表面上のCD38とのシスの相互作用であつのか、又はCD38とガングリオシドとがトランスで相互作用する結果なのかを明らかにするために、THP-1細胞のCD38-トランスフェクタントを用いた実験を行った。CD38-トランスフェクタントにGT1bを取り込ませた場合にはNAD分解活性の阻害が起こったが、導入をおこなっていないコントロールの細胞にGT1bを取り込ませたものをCD-38トランスフェクタントと共存させた場合には阻害が起こらなかった。このことから阻害はCD38とGT1bとが同一細胞の表面にあるシスの場合に起こることが強く示唆された。
著者
棚澤 一郎 尾股 定夫 白樫 了
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2002

生体組織の凍結保存を成功させるには、凍結時に細胞の内外に生成する氷晶による致命的な損傷(凍害)を抑止する必要がある。そのだめ、凍結過程での冷却速度を最適に制御すると同時に、凍害防御剤の速切な選定によって氷核の生成・成長を抑制することが行われている。凍結保存の一連の過程を通じて、細胞の生存を支配する現象には、(1)浸透圧ストレス(細胞の過膨張・過収縮)、(2)細胞内凍結、(3)細胞外で生成した氷晶による力学的ストレス、(4)生化学毒性、などがある。理想的な凍害防御剤とは、これらすべてを回避できる勢力をもつものと考えられる。本研究の第一の目的は、上記(1)〜(4)を回避しうる凍害防御剤を選定し、さらに電場などを用いた能動的方法によって高濃度の凍害防御剤を速やかに細胞内に取り込み、緩慢冷却速度でのガラス化(非晶質状態での固化)を実現して、上記(2)の凍害を抑止することである。第二の目的はj凍結過程および凍結後の細胞の活性評価法(viability assessment)の確立である。本研究では、超音波を用いた組織・細胞の力学的特性の計測や、蛍光反応を利用した細胎内のアデノシン3燐酸(ATP)の定量などを試みた。これら2テーマに関する本年度の研究成果の概略は以下のとおりである。テーマ1について:上に述べた諸条件を満足する凍害防御剤を選定する目的で、これまで使用してきたグリセロール、ジメチルスルフォキシド(DMSO)に加えて、アルギン酸、トレハロースおよびとれらの混合物について実験を行った。試料細胞としては、取り扱いが容易であることから主としてヒト由来の浮遊細胞を用いた。実験の結果、アルギン酸は低濃度で高粘性であるため、細胞膜の形状を維持する機能があること、トレハロースは細胞外に微細な氷晶をつくり、細池内に取り込まれなくても細胎内凍結を抑制する効果をもつことがわかった。なお、電場印加による高濃度凍害防御剤の細胞内導入についての実験も行い、ある程度満足すべき結果を得たが、印加の最適条件な明らかにするには至っていない。テーマ2について:微小な生体組織の「やわらかさ」を測定することによって、組織の活性を評価する方法の確立を目指して、超音波パルス法による軟組織の力学的測定法を開発した。また、ルシフェリン・ルシフェラーゼ反応による発光強度の測定により、細胎内のATP量を測定して細胞の生存率を求める方法を開発した。
著者
鈴木 浩司
出版者
日本大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究の目的は,競技,種目,ポジションによってマウスガードデザインが異なると言うことを調査し,また装着する人によっても変化することがあり得ると言うことを明らかにすることである。アメリカンフットボール,アイスホッケー,ボクシングあるいは空手と言ったコンタクトスポーツでは外傷発生の危険性が高く,特に,顎口腔系の外傷予防にはマウスガードの装着が有効であり,我が国においても歯科関係者の努力とスポーツ関係者の理解によって広く認められるようになってきた。そして,一部の競技では試合中のマウスガード装着が義務化されたり,ラグビーやバスケットボールのようにトッププレーヤーが自主的に装着するようにもなってきている。また,一般市民の健康志向の高まりや,スポーツ少年少女の低年齢化などからマウスガードは一部のスポーツアスリートばかりのものでなく,一般歯科保健や学校歯科保健の見地からも重点目標として捉えられている。マウスガードに関しては,歯科医師が提供するカスタムメイドタイプのマウスガードの方が装着感,使用感に優れていることは明らかであり,いまや,その上の段階である競技特性や,個人の状況等,選手個々のニーズにまで応えた真のカスタムメイドマウスガードというものが必要とされている。その道の一流の選手が認めたマウスガードは一般競技者にとって良いアピールとなり,普及につながるからだ。そこで各種スポーツに対しマウスガードを装着し,空手道,サッカー,アメフト,フロアホッケーなどの競技におけるマウスガードのデザインを検討し,学会発表および誌上発表をしてきた。一方,コンタクトスポーツにおける外傷予防効果を目的とした使用方法以外のマウスガードの用い方についても着目し検討をしてきた。その結果トレーニング時のマウスガード装着により,より効果的なトレーニングが行えると言うことで,今後さらなる検討をしていきたい。
著者
山本 寛 岩田 展幸 高橋 博樹 早川 建
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

フラーレン結晶、特に液液界面析出C60及びそのヨウ素添加物に数GPaの高圧力を印加した後、波長500nm程度の自由電子レーザ(FEL)を照射した。それらはほぼ単相に近いC60ポリマーへと変化した。また、半導体単層カーボンナノチューブ(SWNT)膜の化学気相成長時、共鳴吸収波長のFEL照射を行うことによって、部分的に制御されたカイラルベクトルを持つ半導体SWNTsを選択的に成長させることに成功した。
著者
岡田 章 斎藤 公男
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、震災後の避難時やイベント時に人々が集える比較的大きな空間を覆える安全で居住性の高い仮設のシェルターを提案し、その実用化について検証したものである。仮設のシェルターは、超軽量で人力により簡単に建設が可能なもので、(1)シェルターの提案とテストビルディング、(2)実用化に向けた接合部などの開発、(3)施工方法の提案と検証、(4)構造安全性(耐風性、耐震性)の検証、などの項目について行った。研究成果として、複数の実用性を有する仮設シェルターの開発を行った。
著者
中條 清美 西垣 知佳子 内山 将夫 内堀 朝子 西垣 知佳子 内山 将夫 内堀 朝子
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

日英パラレルコーパスを利用した英語指導法と教材開発を行い, 指導実践によってそれらの学習効果を検証した。さらに, コーパス検索サイトの開発を推進した。主な研究成果を国際学会(AsiaTEFL国際会議, 台湾教育学会, TaLC, World CALL)および国内学会(JACET, 英語コーパス学会)において報告し, 開発した指導法等の詳細を公刊した。本課題に関する論文を掲載した著書がRodopi(アムステルダム)と松柏社(東京)より出版された。研究代表者は本課題に関連して2008年度英語コーパス学会賞を受賞した。
著者
原野 悟
出版者
日本大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2002

初年度の調査に基づいて前年度に作成したホームページを公開した。同時にホームページの閲覧を促すアイキャッチャーとしてポスターを作成し学内に掲示した。ポスターの内容は直接的なものより、印象に訴えることを試みた。当初予定していた映像によるEnter-Edutamentの教材は構内放送設備の制限や予算の不足により中止の止むなきにいたった。ホームページ公開から6ヶ月のincubation timeを設けて、30名の学生を対象にfocus group interview法による質的研究を行った。この学生構成は男女、文系理系別で等しくした。その結果、ホームページを見たところ、成人麻疹に対する情報として設定したメッセージが理解され認識を変えたとする意見が多く、内容的にはほぼ妥当なものと考えられた。しかし、ホームページの存在はあまり知られておらず、ポスターを見て閲覧の動機となるという意見とイメージが先行して関心が惹起されないという意見に分かれた。このことより、インターネットを用いて健康コミュニケーションを実施する場合には、いかにホームページを見るように動機づけるかが大きな課題となることがわかった。その反面、インターネットを通じて提供される情報についてはあまり批判的ではなく受け入れられる可能性が高く、健康コミュニケーションで用いる有用性も示唆された。また、今回は受け取るメッセージを3つに限定してゴール設定をしたが、この限定が妥当なもので、情報量としての適切さが明らかとなった。本研究では開始時点から専門家によるプログラム開発としたが、より普及させるためには受け手である学生を計画時より参加させるSocial Learningの手法を用いたほうが適切であったことがわかり、今後の課題として残った。