著者
阪本 久美子
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

シェイクスピアの道化が、400年以上の時を経て、日本および英国においてどのように演じられているか、現代の舞台でどのように再生されているかを検証した。職業道化という役を演じて観客を笑わせるという役作りもあれば、せりふに身体的コメディを追加して、観客からの反応を得ようとするアプローチもある。日本における問題は、結局のところ、翻訳という人工的な言語にあり、イギリス同様、道化を舞台上成功させることが難しくなっている。
著者
熊谷 保宏
出版者
日本大学
雑誌
日本大学芸術学部紀要 (ISSN:03855910)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.A73-A92, 2000-07-15

二つの記録演劇教育機関の評価?演劇についての高度な学びの諸相と大学アメリカと日本における大学への演劇定着演劇科の形成とその要困学びの現状と諸問題アポリアとしての入口/出口問題演劇学習者とは何者か「理論と実践」という足かせ実践の逆説演劇を教えるということ大学における位置性混雑した交差点脱中心化と再中心化演劇を学ぶということ
著者
谷津 三雄 山口 秀紀 落合 俊輔 吉井 秀鑄 石橋 肇 渋谷 鉱 馬渡 亮司 坂本 嘉久 吉田 直人 吉村 宅弘 米長 悦也
出版者
日本大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1988

「東西医学融合」の観点から歯、顎、口腔領域における東洋医学療法の基的的並びに臨床的研究を行うことを目的として本研究を企図し、次に述べる項目について検討を加えた。1.基礎的研究(1)脳波から見た鍼灸の効果・針刺激は大脳皮貭の広範囲な部位に作用しB波帯域の減衰と日波およびの波帯域が増大することから、針刺激は心身のリラックスと精神の集中効果が期待される。また、効果時間は比較的早く出現(10〜15分)することも確認できた。(2)針麻酔の効果判定に関する研究:パルス(低周波)通電器の最適刺激量,低周波通電時と笑気吸入鎮静法の鎮痛効果の比較,ソフトレ-ザ-の疼痛閾値へ及ぼす影響ならびにその効果についてサ-モグラフィを用いて観察した。その結果、パルス通電量には「通刺激」量のあること、通電針麻酔と10%笑気吸入との併用は20%笑気吸入鎮静法と同程度の鎮痛効果のあることがわかった。また、ソフトレ-ザ-の照射は断続照射よりも連続照射が効果があり、一側の合谷の照射は反対側の合谷の皮膚温をも上昇させ経絡現象の一端を思わせた。2.臨床的研究(1)咬合異常関連疾患への鍼灸療法の応用(2)全身麻酔後の咽喉頭障害への応用(3)歯科領域への鍼灸および漢方療法の応用について研究した。(1)については貭問紙法による「愁訴」の改善効果と顎関節痛と開口障害の改善が著明であった。(2)において「嗄声」への著効を示した。(3)の項目では、急性開口障帰,特発性三又神経痛、アフタ性口内炎に対する刺絡療法,葛根湯の効果,針麻酔による下顎骨骨折の治療,咽吐反射の抑制などに応用しその効果が確認された。
著者
黒田 和道 芝田 敏克
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

インフルエンザウイルスのM1に蛍光タンパク質を付加したもの(GFP-M1)と全反射照明蛍光顕微鏡を用い、ウイルス粒子形成過程の生細胞での観察を試みた。GFP-M1発現細胞にウイルスを感染させたところ、約8時間後からGFP-M1の顆粒状構造が細胞表面に観察され始め、その後、顆粒は集積傾向を示した。もう一つのウイルスタンパク質であるHAでも同様な傾向が確認された。これは、GFP-M1顆粒形成がウイルス粒子形成に対応することを示す。
著者
佐々木 隆爾 鍋本 由得
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

(1)「大津絵節」は流行歌としての側面と,語り歌としての側面をあわせ持っている。この両側面を持ち,かつ大衆に新たな感興を呼び起こした歌は,清楽曲を全部または一部借用した歌であり,1830年代に流行し始めた。その端緒は「看々節」およびその原曲「九連環」である。「看々節」は江戸で禁止されるが,「九連環」は江戸・大坂・長崎等で愛好され続けた。清楽曲は,漢詩に節をつけた歌であることから,情報と感情の双方を伝達する手段として利用された。また「看々踊り」等が流行し,流行に拍車をかけた。このことは,19世紀前半から清楽譜が多様に出版された事実と,「甲子夜話」等の信頼性の高い記録から確認できる。(2)幕末の「大津絵節」の流行は,1853年7月に中村座で市川小団次が踊った狂言「連方便茲大津絵(つれかたよりここにおおつえ)」に端を発する。それにあやかって歌川国芳の風刺画が書かれ,それが大流行すると,その絵解き歌として「アメリカ大津絵節」も同時に流行し,それまで愛好されて来た「ヤンレ口説き節」を凌駕するようになった。このことは,安政(1855年)大地震を描いた「鯰絵」に多くの「大津絵節」が登場することで確認できる。(3)「アメリカ大津絵節」が自由民権期を含む1880年代にも強く愛好されたことは,梅田磯士『音楽早学び』(1888年)で確認され,これが民権運動期に運動鼓舞的な演歌として多大な役割を果たしたことは,福田英子『妾の半生涯』の記述から明らかである。福田の記述は,この歌におけるメロディーと歌詞の相互関係も示唆しており,歌詞にあわせて曲のどの部分が省略または反復されるかを推定する手がかりを与えている。(4)演歌としての「アメリカ大津絵節」の時代は長くは続かなかった模様で,この中のリズムが軽快な部分や沈鬱なメロディーの部分は,折から大流行を始めた浪花節の中に,それぞれ「早がけ」および「沈思」の表現法として吸収され,浪花節の表現力と伝播力を高めたものと推定される。
著者
安田 静
出版者
日本大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2002

本研究課題遂行のため,昨年度(H15年)は夏と冬の2回,科学研究費補助金によって調査研究のための出張を行い,主にフランス国立図書館付属パリ・オペラ座図書館で現物調査を行うことができた.この調査をもとに,本年度(H16年)はまず,2004年5月にロシア(サンクトペテルブルグ市)で開催された国際演劇学会で発表を行うことができた.学会のテーマは「演劇世界における演出家(ディレクター)」というもので,本研究課題と極めて密接な関わりを持つ.そこで,パリ・オペラ座バレエ団の舞踊監督(ディレクター)を務めた振付家ルドルフ・ヌレエフの代表的振付作品『白鳥の湖』をとりあげ,演出家としての彼の仕事について分析を行った.演劇の研究者主体のこの学会では,舞踊作品において,演出家による「演出」と演者の「演技」の部分とはどのように境界を見定めることができるのか,などの質疑が出された.舞踊を見慣れた者にとって,両者の区別は自明のことなのだが,活発な質疑応答を通じて,演劇とは異なり(一般的には)書かれたテクストを持たない舞踊特有の問題点を明らかにできた.2004年7月には,ブラジル(リオ・デ・ジャネイロ市)で開催された国際美学会でも発表を行うことができた.この学会では,オペラ座バレエ団にも数多くの振付作品を残しているウィリアム・フォーサイスについてとりあげ,作品のアイデンティティと保存・継承の問題について考察を行った.以上の通り本年度は,科学研究費補助金の過年度調査研究旅行で得られた知見を活用して,2つの大規模国際学会で発表を行うことができた.なお,前者の発表については,舞踊における演出の諸問題の特異性に注目して論文にまとめ,研究紀要に発表した.
著者
梅本 順子 平川 祐弘 牧野 陽子 河島 弘美 遠田 勝 劉 岸偉
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

今年度は3年間のまとめの年であり、それぞれが書物や論文にまとめると同時に、これまでの資料を補完するべく、アメリカに出張した。昨年のハーン没後百年のシンポジウムに見られるように、ハーンの再評価が目覚しい。当プロジェクトも、異文化理解が進むと文学も雑種化の道を辿るということを前提にハーン他の作家を取り扱った。ハーンは日本に帰化したこともあって、この視点からはその先駆者として位置づけられる。ハーンは英文学やフランス文学にも造詣が深かったが、マルティニークをはじめとした西インド諸島滞在や晩年をすごした日本での経験から、その文学は世界文学とも呼べるほど多くの要素を取り入れたものになった。とりわけ、日本の伝説や昔話を受容して、彼なりの解釈を付け加え、それを英語で書き直したのだった。その視点からは、新しいハーン像が窺われる。西洋近代文明の名の下に、アジアやアフリカの独自の文化が押しやられそうになっていた百年あまり前に、西洋人でありながら、その優位性に押し流されることなく、いわゆる異文化に関心を示した人物がいたことに着目した。ハーン以降、この視点で異文化理解を積極的に行ったものとして、ストープスと周作人が挙げられる。アーサー・ウェイリーより先に日本の能に目を向けたストープスの活動と、日本留学でハーンの存在を知り、「日本は自国文化のよき理解者であり伝達者である人物を得た」と評価した周作人の中国での対応を追った。このように、数こそ多くはないが、異文化理解に積極的に携わり、同化に関わった人物がいたことを再確認し、彼らの努力が現在とどのように結びついているのか、また彼らの足跡をどのように理解すればよいのか、という視点に立ってこれらの人物の日本文化への貢献を定義することに努めた。また、ハーンの足跡を辿るとき、ハーンの友人たちが著した伝記や、公開に同意した書簡、ならびにそれを基にした書簡集の存在が大きな役割を果たしてきたことから、ハーンと直接交渉があった人々を調査した。さらに、直接の交渉こそなかったが、ハーンの遺族と文通し、後世のハーン研究者の伝記執筆の際にアドバイスしてきた、ハーン研究家のドロシー・マクレランド(1897-1995)の未発表の資料についても調査した。
著者
藤井 光男 藤井 治枝 大西 勝明 丸山 惠也 趙 玉志 古賀 義弘 ZHAO Yu-Zhi 李 占祥 趙 亨済 李 占国 とう 必きん 加茂 紀子子 高久保 豊 劉 永鴿 柴崎 孝夫 菊地 進 大橋 英五 小林 英夫
出版者
日本大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

我々の国際学術共同研究は、日本企業のアジア進出に伴う国際分業の進展と、技術移転・労務問題との関連を調査・解明することを目指している。このため第1年度(平成8年度)ではまず韓国・中国の研究者(複数)を招請して、日本の自動車と同部品企業や浜松テクノポリスを訪ねて研究交流を図り、また他方では中国東北部長春の有力国有自動車企業、第一汽車のほか、大連経済開発区の日系三資企業を調査して、実態解明に努めた。次に第2年度(平成9年度)では、引き続いて前述第一汽車の補足調査を進める一方で、北京地域の首鋼日電など電機・電子企業や、さらに上海・蘇南地域の電機や繊維・アパレル関連日系三資企業や郷鎮企業の調査を実施した。そして第3年度(平成10年度)では、韓国蔚山地域の現代自動車や同重工業、ついでソウルの現代電子など財閥系企業の資料採訪を行い、最後に上海蘇南地域の郷鎮ビッグビジネス数社を調査して実態分析の締めくくりとした。こうして我々は冒頭に掲げた研究課題に沿い、東アジアの代表的諸産業の企業研究に関してかなり詳細な資料を収集し、実態を解明し得たと考えるので、今後は理論的・実証的検討によってこれを体系化し、研究書として刊行することを企画している。
著者
綾部 真一 青木 俊夫 明石 智義
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

植物成分の多様性に深く関わるシトクロムP450とトリテルペン環化酵素(OSC)の遺伝子/タンパク質構造と反応様式の関係,発現制御と生成物の生態生理機能,および分子進化を,ゲノム構造解析が進行中のマメ科モデル植物ミヤコグサを主な材料として研究した.ミヤコグサEST中のP450のカタログ化,一部の酵素機能の同定に続いて,イソフラボノイド骨格構築に関わるP450(IFS)の遺伝子構造を調べ,ミヤコグサゲノム中ではIFSが連続した生合成反応を担うO-メチル転移酵素遺伝子と並列して存在することを見出した.またマメ科に特徴的な共生窒素固定器官である根粒で強く発現するP450についてゲノムレベルで解析を行った.さらにIFSの遺伝子情報を基盤としたホモロジーモデリングと部位特異的変異導入によるタンパク質工学的な展開を試み,特異なアリール基転位反応における酵素活性部位のアミノ酸残基の役割を解明した.OSCに関しては,ミヤコグサの主要な酵素をほぼ網羅的に解析し,β-amyrin, lupeol, cycloartenol合成酵素を含む8種の遺伝子を見出した.また他植物の情報とあわせた分子系統解析により,植物トリテルペノイド骨格の多様性の進化要因が,特にβ-amyrin合成酵素群の変異によることが推定された.OSCの過剰発現・発現抑制形質転換ミヤコグサによる遺伝子機能の解析に着手するとともに,exon/intron構造の情報に基づくタンパク質工学的な手法によるOSC触媒機能の厳密な解析が可能になった.さらに生合成系の遺伝子発現と成分変動の全般的な関連付けに向け,ミヤコグサの種々の器官,細胞について成分プロファイルの解析を行った.これらの研究を通じて,特にP450とOSCのタンパク質構造と触媒機能の相関,および特徴的な植物二次代謝系の分子進化の機構に関して興味深い知見がもたらされた.
著者
橋本 伸哉 谷 幸則
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

微生物によるハロカーボンの生成量および生成機構に関する知見を得ることを目的とした。微生物の培養液等の粘性の高い試料中のハロカーボンを高感度に分析するために、ダイナミックヘッドスペース法(DHS法)による分析条件を検討した。標準溶液をDHS-ガスクロマトグラフ質量分析装置で測定した結果、pmol L^<-1>~nmol L^<-1>の間で直線性がみられ、再現性も良好であった。本分析法をバクテリア培養液の測定に適用し、バクテリアによるクロロメタン、ブロモメタンの生成を初めて明らかにした。
著者
登坂 宣好 遠藤 龍司
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究課題では、非破壊的立場から計算力学的に構造物の力学的挙動解析と補助情報量とによる確率ダイナミックシステムを構成し、そこに含まれる未知状態ベクトルを同定する為の構造損傷同定解析システムの構築を目指した基礎的な研究を展開してきた。特に、確率ダイナミックシステムにおける同定手法として必要なフィルタについての考察を重ねてきた。3種類のフィルタによるフィルタリングアルゴリズムを展開し、各フィルタの荷重伝達機構にもとづいた構造形式に対応する同定特性を明らかにすることによって同定解析システムの適用性を図ることが出来た。この同定解析システムの適用性を、各種の構造物(平面および立体トラス、塔状トラス、ブレース付きフレーム構造、大型浮遊式海洋構造)を対象とし、構造物のヘルスモニタリングデータとして固有振動数、固有モードを補助情報量として採用したときの損傷同定解析結果を蓄積し検討した。特に、固有振動数に関しては、計算力学的立場からの計算値と構造物の模型に対する実測値を採用した場合の同定結果の比較も行い、ヘルスモニタリングデータの統計的性状が同定結果に及ぼす影響も検討した。このことによって、構造物のヘルスモニタリングデータから構造物の損傷を同定するには、ノイズを含んだ計測データを補助清報量とした逆解析システムの構築が必要であることも明らかとなった。なお、3種類のフィルタのうち、パラメトリック射影フィルタに含まれている正則化パラメータについての考察から、一般的な可変的フィルタリングアルゴリズムを構築できる可能性を見出した。その新しいフィルタリングアルゴリズムの構築と展開は次年度からの研究課題としたい。
著者
中野 和典 西村 修 野村 宗弘
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

水圏生態系への影響が懸念される道路・市街地・農地等からの表面流出水のパッシブトリートメントに有効なろ材としてハイドロタルサイトを見出した。次いで水環境での残留性が懸念されるペルフルオロオクタンスルホン酸の吸着特性を明らかにした。さら滋賀県草津市のファーストフラッシュ浄化施設の人工湿地ユニットを利用した実証実験により、本研究で提案するパッシブトリートメントの有効性を確認することができた。
著者
根本 君也 小松 光一 池見 宅司
出版者
日本大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1994

コンポジットレジン重合時の収縮応力を小さくするために,モノマー重合時の収縮量を小さくすることは困難である.そこで収縮応力がフィラー量や重合開始剤量と比例することに着目し,組成を変えた材料を組み合わせて用いることによって収縮応力を減少できないかと考えた.応力発生の機構を調べるために,アコースティック・エミッション(AE)を同時測定したところ,応力が発生すると微視破壊によるAEも発生することがわかった.光重合型材料はフォトクリアフィルを,化学重合型材料はクリアフィルFIIを用いて直径6mm,深さ4mmの黄銅製窩洞に充填し,硬化時に発生する応力とAEのカウント数を測定した.光重合の場合は照射を開始すると4〜5MPaの応力を発生するが,同時にAEのカウント数も10〜30発生し,その後,応力の増加に比例してAEのカウント数も増加し,100分後の7〜8MPaに達したとき約100を数え,応力が安定してもAEの発生量は増加を示した.化学重合の場合は練和開始3〜4分後から応力を発生するが,AEのカウント数は10位であり,応力の増加率が減少する40〜50分後の14〜15MPaに達したとき200〜1000位の極めて多量のAEがカウントされ,硬化反応の持続による影響が示唆された.次に芳香族と脂肪族を骨格としたジメタクリレート75:25のモノマーにカンファーキノン0.2,ジメチルアミノエチルメタクリレート0.4%を添加し,フィラー40%の低粘性試作レジンを用いて積層充填を行った.2mmの厚さに低粘性レジンを填入し,60秒間光照射を行った後に,フォトクリアファイルを充填し,60秒間光照射を行った場合は,収縮応力が4MPaと約1/2に減少することができた.
著者
郡司 敦子 木本 統
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

歯科医療従事者は、総義歯装着者の食生活は単純に義歯機能のみに大きく依存すると考えがちである。しかしながら、義歯機能の改善のみでは、食生活や栄養摂取状況の改善をする人は多くはない。本研究では、新義歯作製希望で来院した総義歯患者に、総義歯装着時に食事指導、調理指導をおこなうことで、無歯顎患者の食生活や栄養摂取状況の改善に果たす効果について検討を加えた。その結果、食事指導を行うことで被験者の食事の種類が増える傾向にあった。
著者
下渡 敏治 上原 秀樹 ロイ キンシュック 高樋 さち子 長坂 貞郎 宮部 和幸 長坂 貞郎 宮部 和幸
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

(1) 3カ年に亘るフィールド調査によってモンスーン・アジアにおける自然災害の実態と経済発展等による人為的要因及び気候変動など自然的要因との因果関係が明らかとなった。(2) 専門分野を異にする専門家による共同研究及び学際的な研究方法確立への道筋が開かれた。(3) モンスーン・アジア特有の気象条件の下での農業・食料システムの実態と接近方法についての試論的なフレームワークを提示することができた。研究成果は報告書に纏めて公表し、最終的な青果物は「自然災害とフードシステム」として出版に向けた準備をすすめる。
著者
紅野 謙介
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究は、財団法人日本近代文学館に所蔵されている中里介山文庫1万点について書誌調査を行ない、データベースを作り上げた。調査の過程で、これまでかえりみられなかった介山文庫の重要性が再認識された。文庫には「近世綺聞」「大和名所図会」「歴史綱鑑」「農民蜂起譚」「本朝医人伝」「武道極意」「尺八通解」など、地誌、名所図会、史書、風俗、医学、剣術、音楽をめぐるさまざまな本、くわえて江戸末期から明治初期に出された合巻、黄表紙、漢籍などの和書、エンサイクロペディストらしい洋書の百科事典類など、文学ならざる書物であふれていた。しかも、かなり独自に手を加えていて、表紙や奥付の破損したものも、題簽の欠けた和本もある。何冊かを合本したものもある。これらの膨大な雑書の宇宙にとりまかれながら、介山は『大菩薩峠』を書き続けたのである。介山文庫自体は雑多なコレクションではあるが、それだけに在野の民間知識人の知のネットワークが浮かび上がってくる。また蔵書の一部に介山の直筆と推定される書き込みも多く発見され、『大菩薩峠』という大長編小説の創作の秘密に迫ることが出来た。また介山は『大菩薩峠』の出版に関しても、独自な私家版作りを行なった。印刷や出版に関する介山独特の哲学は、小説内でも挿話として盛り込まれ、介山文庫の書物研究が同時に介山自身の書物作りと重なり、ひとつのループをなしていることも明らかになった。平成15年4月に山梨県立図書館で開催された「中里介山『大菩薩峠』展」では、介山文庫から数十点が展示され、NHKハイビジョンで放映された『大菩薩峠 果てなき旅の物語』というドキュメンタリー番組でも、介山文庫への言及がなされた。
著者
杉田 治男
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

アユ、ワカサギおよびキンギョの腸管内におけるAHL生産細菌の多くはAeromonas細菌であった。また、Shewanella属はAHLを分解する細菌としてキンギョから分離された。これらの結果は、AHLを分解するShewanella属細菌をプロバイオティクスとして利用することでAeromonas属細菌による日和見感染症が防除できる可能性が示唆された。
著者
三俣 昌子 江角 眞理子 楠美 嘉晃 安孫子 宜光 東 浩介
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

第一に血流下における内皮の増殖と粥状硬化発症の関連を検討した。層流性ずり応力に比べ乱流性ずり応力は内皮の増殖と単球接着を増加させた。内皮の増殖を抑制するp21^<Sdi/Cip/Waf1>(p21)は乱流による単球接着増加、内皮のTXNIP,VCAM-1,CCL5,CXCL10,L-selectin発現を抑制した。血流下でp21は単独で、または内皮の増殖抑制を介して、内皮のレドックスバランスを抗酸化状態へ導き、接着や遊走因子発現を阻止し、単球接着を抑制して抗粥状硬化性に作用すると思われる。第二に、粥状硬化発症への歯周病菌(Pg)の関与を検討した。ヒト大動脈のAtheromaのマクロファージにPg由来r40kDa蛋白が存在し、Fatty streak,DIT、冠動脈のAtheromaには認めなかった。Pg由来LPSで刺激した単球の培養上清は内皮のTLR2 mRNAを発現させ好炎症性に作用した。
著者
竹中 康治 加藤 一誠 村上 英樹 手塚 広一郎 吉田 雄一朗 浦西 秀司 辻本 勝久 乾 友彦 乾 友彦 井尻 直彦 呉 逸良 轟 朝幸 村上 英樹 松本 秀暢 手塚 広一郎 吉田 雄一朗 辻本 勝久 浦西 秀司 三枝 まどか
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

日本の航空・空港政策には改善すべき点が多い。まず, 航空の自由化は経済学的にも望ましいことが証明された。なぜなら, 二国間協定よりも多国間協定の方が経済厚生は大きくなり, 低費用航空会社の参入も経済厚生を改善するからである。そして, 規制の強化ではなく, 市場を通じた航空会社の安全性の向上も可能である。また, 空港政策については必ずしも所有・運営に民間の参入が望ましいとはいえない。同時に, 格付けのあるレベニュー・ボンドには空港の運営規律を維持する作用があることも明らかになった。
著者
蒲生 郷昭
出版者
日本大学
雑誌
日本大学芸術学部紀要 (ISSN:03855910)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.A57-A72, 2006

永禄のころ本土中央に伝来したと考えられる三味線は、本稿が対象とする年代には、すでに広い範囲で用いられるようになっていた。しかしながら、その楽器名は、寛永期に俳譜の分野で「三味線」と書かれはじめるようになったものの、それは普及せず、正保、慶安にいたってもなお、おおくは仮名で書かれ、漢字を使ったとしても、俳諧以外で「三味線」とされることはなかった。別称の「三弦」の用例もはじめて認められるが、それは堺出身ながら十年間琉球に滞在していた人物によって書かれたものである。