著者
三村 直哉 井上 岳司 下竹 昭寛 松本 理器 池田 昭夫 髙橋 良輔
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.8, pp.430-435, 2017 (Released:2017-08-31)
参考文献数
18
被引用文献数
1

34歳女性.肉類系統の食事の摂取,視聴により誘発されるてんかん発作を主訴に来院.20代前半よりミンチ肉を用いた食物を摂取した際に,フラッシュバックと心窩部不快感の単純部分発作(simple partial seizure; SPS)を認めた.33歳時,ホットドッグを摂取直後,その半年後には水餃子の調理映像を視聴した際に同様のSPSの後,全般性強直間代発作を生じた.上記調理映像を視聴中に脳波検査を施行,発作が誘発された.脳波所見では,左frontalからmid temporal最大のθ波が律動的に出現した後,全般化した.特定の食物の摂取で誘発,かつ視聴のみでも発作が誘発され,eating epilepsyの多様性を示唆した.
著者
堀江 淳一 鈴木 圭輔 中村 利生 岡村 穏 岩崎 晶夫 平田 幸一
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.174-179, 2017 (Released:2017-04-28)
参考文献数
22
被引用文献数
1

症例は基礎疾患のない26歳男性.視覚異常に続く痙攣,意識障害の14日後に頭痛,発熱が出現した.頭部MRIでは左帯状回の信号異常をみとめた.髄液検査では単核球優位の細胞増多をみとめ髄液human herpes virus (HHV)-6 PCR陽性からHHV-6脳炎,症候性てんかんと診断した.臨床症状はアシクロビル投与により速やかに改善した.3ヶ月後体幹,上下肢に異常感覚が出現し,多発性深部白質病変,中小脳脚病変,頸髄病変を認めたがステロイドパルス療法により改善した.てんかんで初発し,急性散在性脳脊髄炎の併発をみとめたHHV-6脳炎を経験した.免疫能正常成人の原因不明の脳炎の鑑別としてHHV-6脳炎を考慮する必要がある.

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出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.365-366, 2018

<p>2017年度(平成29年度)日本神経学会臨時社員総会議事要旨</p><p>2018年1月8日(月)</p>
著者
坂本 峻 末永 浩一 笠間 周平 木村 卓 芳川 浩男
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.200-204, 2019 (Released:2019-04-25)
参考文献数
11

症例は73歳男性である.6カ月で進行する全身倦怠感,四肢筋力低下,体重減少を主訴に入院した.血液検査上ではCa,ACE,リゾチーム,sIL-2R,ビタミン1,25(OH)2Dが高値であった.胸部X線およびCT上BHLを認めず,気管支肺胞洗浄で,CD4/CD8比の上昇を認めた.67Ga-citrateシンチグラフィーでは大腿および肩~上腕部にかけて集積を認め,T1強調画像でガドリニウム造影効果を認めたことより,右大腿直筋より筋生検を行った.筋生検で非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認めたため筋サルコイドーシスと診断した.高Ca血症,四肢筋力低下で発症し,BHLを欠く筋サルコイドーシスはまれな症例である.
著者
志賀 裕二 下江 豊 千種 誠史 楠 進 森 雅裕 栗山 勝
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.385-389, 2018 (Released:2018-06-27)
参考文献数
19
被引用文献数
1

症例は28歳の男性.サイトメガロウイルス(cytomegalovirus; CMV)感染後に四肢しびれ感,両手の脱力が出現し,末梢神経障害を認めた.血清IgM抗CMV抗体,IgM抗GM2,抗GalNAc-GD1a抗体が陽性で,脳脊髄液で蛋白細胞解離を認め,神経伝導検査で脱髄型ニューロパチーを示した.CMV感染後急性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(acute inflammatory demyelinating polyneuropathy; AIDP)と診断し,免疫グロブリン大量療法で軽快退院した.神経伝導検査は4ヶ月後に正常化した.CMV感染後AIDPで報告されているランビエ絞輪蛋白モエシンに対する抗体が治療前血清で陽性を示し,4ヶ月後,神経伝導検査が正常化するとともに同抗体が陰性化し,病態への関与が考えられた.
著者
野元 裕輔 月江 友美 栗田 正 関 香奈子 鈴木 仁 山﨑 一人
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.348-351, 2016 (Released:2016-05-31)
参考文献数
10
被引用文献数
2 5

症例は48歳の男性.2014年7月,左腎細胞癌の根治手術受けた.5ヵ月後,Th10以下の感覚障害が出現,脊椎MRI T2強調像でC7からL1まで長軸方向に広がる髄内高信号病変を認め精査目的で入院した.症状は急速に進行し対麻痺に至った.ステロイドパルス療法は奏功しなかった.第24病日の造影MRIでTh8~9レベルに髄内腫瘤性病変を検出,腫瘤摘出術が施行され腎細胞癌脊髄内転移と診断された.術後のMRIでは髄内長軸伸展病変は消失,第112病日に軽快退院した.腎細胞癌の脊髄内単独転移は極めて稀であるが,MRI上髄内長軸伸展病変をみた場合,根治手術後であっても転移を疑う必要があると思われた.
著者
月田 和人 下竹 昭寛 中谷 光良 高橋 幸利 池田 昭夫 髙橋 良輔
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.37-40, 2017 (Released:2017-01-31)
参考文献数
10
被引用文献数
2 7

症例は46歳男性.5ヶ月前から性格変化や記銘力低下があり徐々に増悪し就業不能となった.頭部MRI T2強調像で両側内側側頭葉に異常高信号域を認め当初はウイルス性や自己免疫性の辺縁系脳炎を疑ったが,血清と髄液梅毒反応がともに陽性であったため神経梅毒と診断した.ベンジルペニシリンで治療し就業可能にまで回復した.辺縁系脳炎に類似した画像所見を示す神経梅毒の症例では,比較的若年発症,HIV陰性,亜急性経過の認知機能低下やてんかん発作の特徴を有するため,同様の臨床的特徴をもつ症例では積極的に神経梅毒を疑うべきである.さらに本症例は髄液の抗グルタミン酸受容体抗体が強陽性で,病態へ関与した可能性が疑われた.
著者
仁科 拓也 上森 麻美 佐藤 智彦 浅野 彰彦
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.395-398, 2018 (Released:2018-06-27)
参考文献数
8

症例は52歳男性.44歳時に神経梅毒治療歴あり.3ヵ月前より持続する頭痛,記憶障害,発熱を訴え,左片麻痺を呈し頭部MRI拡散強調画像で右側頭葉に高吸収域を認めた.髄液検査で細胞数増加,梅毒検査陽性を認め神経梅毒再発と診断,Lissauer型進行麻痺と考えられた.梅毒抗体価が治療により低下しない例での再発,画像上脳血管障害類似の所見を呈すること等,神経梅毒の管理上の問題を痛感した1例であった.
著者
犬飼 晃 片山 泰司 見城 昌邦 横川 ゆき 饗場 郁子 齋藤 由扶子
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.9, pp.634-640, 2010 (Released:2010-10-04)
参考文献数
30
被引用文献数
5 10

症例は55歳の女性である.皮疹なく右C2,3皮膚分節の異常感覚で発症し,症状は,約3週間で右C2~C6領域まで拡大した.触覚,痛覚の鈍麻あり.頸髄MRIでC2レベル髄内にT1WIで等信号,T2WIで高信号,ガドリニウム(Gd)で増強される病巣をみとめた.脳脊髄液では水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の抗体価指数が高値で髄腔内抗体産生が示唆され,皮疹を欠くVZV神経障害(zoster sine herpete:ZSH)にともなう脊髄炎と病因診断した.抗ウイルス療法と抗炎症・浮腫療法で後遺症を残さず治癒した.ZSHにともなう脊髄炎では,脳脊髄液中抗体価指数による髄腔内抗体産生の評価が病因確定に有用であった.
著者
土井 啓員 榊原 隆次 岸 雅彦 露崎 洋平 舘野 冬樹 平井 成和
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.1382-1385, 2013-11-01 (Released:2013-11-29)
参考文献数
10
被引用文献数
1 2

パーキンソン病(PD)において消化管運動機能障害は高頻度でみられる自律神経系の合併症である.とくに胃排出能低下は,小腸上部へのL-ドパの到達を遅らせる可能性があり,薬物治療管理の視点から重要である.実際胃排出能低下がみられるPD患者では,L-ドパの血中濃度の立ち上がりが遅くなる割合が有意に高い.L-ドパの吸収遅延は薬効の発現に影響し,wearing-off,delayed-onを惹起する要因の一つといえる.六君子湯などの消化管運動機能改善薬は胃排出能の改善に有用である.経腸的L-ドパ持続投与法も進行期PD患者のL-ドパの血中濃度を安定させる選択肢として期待されている.
著者
久永 欣哉
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.1-12, 2019 (Released:2019-01-30)
参考文献数
51
被引用文献数
1 3

ベーチェット病やスウィート病は皮膚・粘膜病変が主症状であるが,神経病変を伴うこともあり神経ベーチェット病や神経スウィート病と呼ばれる.これらの疾患は口腔粘膜の感染やそれに続くサイトカインの上昇などが誘因となった好中球の過剰な機能亢進によって異所性に脳炎や髄膜炎などが引き起こされる病態と考えられる.神経病変が皮膚・粘膜病変より先に顕在化して診断に苦慮することもあるが,好中球の過剰な機能亢進を示唆する所見があれば神経好中球病と暫定診断し,好中球をターゲットにした初期治療を考慮すべきである.ベーチェット病ではゲノムワイド関連解析により様々な免疫関連因子が関与した多因子疾患であることが解明されている.
著者
鈴木 優也 福島 隆男 岩澤 貴宏 中村 元 七澤 繁樹 牧野 邦比古
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.274-278, 2019 (Released:2019-05-28)
参考文献数
19
被引用文献数
2

O-157による溶血性尿毒素症候群(hemolytic uremic syndrome; HUS),急性脳症は小児に好発し成人での発症は稀である.今回成人女性で急性脳症を発症し後遺症なく回復した1例を経験した.症例は24歳女性.腹痛,下痢で発症し,便からO-157と志賀毒素が検出された.第6病日にHUS,第11病日に急性脳症を発症した.一時人工呼吸管理となったが,ステロイドパルス療法,血漿交換療法(plasma exchange; PE)を行い第53病日に後遺症なく退院した.成人女性は男性よりも志賀毒素の受容体となるGb3の発現率が高く高リスクと考えられる.治療としては炎症性サイトカインを抑制するステロイドパルス療法とPEの有効性が示唆され,積極的に施行を考慮すべきと考える.
著者
葛原 茂樹
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.11, pp.835-843, 2008 (Released:2009-01-15)
参考文献数
10
被引用文献数
2 1

The year of 2007 was a turning point of the treatment of Parkinson's disease (PD) in Japan. Severe adverse effects of dopamine agonists including valvular heart disease induced by ergots and sudden onset of sleep attacks induced by non-ergots, were disclosed, and treatments with agonists were reassessed. Good news were marketing of ropinirole, a new non-ergot agonist, in December 2006 and entacapone, the first catechol-O-methyl transferase (COMT) inhibitor in Japan in April 2007. Having faced these new situations, Japanese Neurological Association has started revising "the Guideline 2002 for the treatment of Parkinson's disease". Clinical trials of translational gene therapy for Parkinson's disease with adeno-associated virus (AAV) vector are now going on in four approaches; restoring dopamine synthetic capacity, protecting against cell death with trophic factors, interfering with the aberrant protein aggregation, and converting the subthalamic nucleus into an inhibitory, rather than an excitatory, structure. In Japan, gene delivery of the dopamine synthesizing enzyme aromatic amino acid decarboxylase (AADC) to the striatum of PD patients is going on in Jichi Medical University. New findings of the causative genes, environmental factors and molecular mechanism of PD have provided with new tools for developing new treatments. The big success of induction of induced pluripotent stem (iPS) cells from fibroblast has given an impact on cell therapy research of PD.
著者
河野 祐治 重藤 寛史 白石 祥理 大八木 保政 吉良 潤一
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.265-267, 2010 (Released:2010-05-06)
参考文献数
8
被引用文献数
2 2

症例は30歳男性である.嚥下障害,複視,ふらつきにて発症し,吃逆も出現.軽度意識混濁,左側優位の眼瞼下垂,左注視方向性眼振,両側眼輪筋と口輪筋の軽度脱力,体幹失調をみとめた.嚥下反射は著明に亢進し,嚥下困難を呈していた.脳波は間欠性に全般性に高振幅徐波が出現し,脳幹脳炎と考えられた.しかし血算,血液生化学,髄液検査,頭部MRIに異常をみとめなかった.副腎皮質ステロイド剤は吃逆,複視,眼瞼下垂を改善したが,その他の症状に無効.免疫グロブリン療法も無効であった.その後,抗ボレリア抗体陽性が判明し,抗生剤投与にてすみやかに改善した.通常の免疫療法への反応に乏しい脳幹脳炎ではボレリア感染も考慮すべきである.
著者
橋本 律夫 上地 桃子 湯村 和子 小森 規代 阿部 晶子
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.837-845, 2016
被引用文献数
7

<p>Card placing test(CPT)は我々が開発した新しい視空間・方向感覚検査である.被験者は3 × 3格子の中央に立ち,周囲の格子に置かれた3種類の図形カードの位置を記憶し,自己身体回転なし(CPT-A)または回転後(CPT-B)にカードを再配置する.自己中心的地誌的見当識障害患者ではCPT-AとCPT-Bのいずれも低得点,道順障害患者ではCPT-A得点は正常範囲でCPT-Bが低得点であった.自己中心的地誌的見当識障害患者では自己中心的空間表象そのものに障害があり,道順障害患者では自己中心的空間表象と自己身体方向変化の情報統合に障害があると考えられた.</p>
著者
東海林 幹夫
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 : CLINICAL NEUROLOGY (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.7, pp.467-475, 2008-07-01
参考文献数
48
被引用文献数
1

先進各国とアジア諸国では人口の高齢化とともに認知症が爆発的に増加している.世界では2,430万人,米国では400万人,本邦でもすでに200万人を超しており,少子超高齢化時代を迎える30年後には人口の11%,400万人と推計されている.未だに根本的な治療法はなく,認知症は早急に解決すべき国民の医療・福祉の最重要課題である.この認知症の多くの原因がAlzheimer病(AD)である.本稿ではADの臨床症状と経過について述べた.新しく標準化されつつある診断基準や神経心理試験をまとめ,近年の病態解明に基づいた診断の進歩とA&beta; oligomerを対象とした新たな治療への方向性について紹介した.<br>
著者
久永 欣哉
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.1234-1236, 2012 (Released:2012-11-29)
参考文献数
10
被引用文献数
1

Behçet disease and Sweet disease are multisystem inflammatory disorders involving mucocutaneous tissue as well as nervous system (neuro-Behçet disease and neuro-Sweet disease). Pathological findings in the encephalitis are chiefly perivascular cuffing of small venules by neutrophils, T lymphocytes, and macrphages. Destruction of the brain substrates is mild in neuro-Sweet disease compared with that of neuro-Behçet disease, especially that of chronic progressive subtype. HLA (human leukocyte antigen)-B51 is frequently positive in neuro-Behçet disease, and the frequencies of HLA-B54 and Cw1 in neuro-Sweet disease are significantly higher than not only those in Japanese normal controls but also those in patients with these diseases without nervous complications. These HLA types are considered as risk factors which are directly associated with the etiology of these diseases. Prednisolone is usually used for the treatment of acute phase of both diseases. Methotrexate and infliximab are administered to patients with the chronic progressive type of neuro-Behçet disease. Colchicine and dapsone are prescribed to prednisolone-dependent recurrent cases of neuro-Sweet disease.
著者
本望 修
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.1175-1176, 2013
被引用文献数
1

骨髄中に存在する幹細胞をドナー細胞として使用するばあい,自分の細胞を使うことができるので,感染症,免疫拒絶反応,倫理面での諸問題がない.また,大きな利点として,脳神経の損傷した部位への直接移植のほか,静脈内投与でも治療効果が期待できます.静脈内に投与された骨髄幹細胞は,脳損傷の部位に到達して,死にかけている神経細胞を助けると同時に,自らも神経細胞になって治療効果を発揮する.<br>われわれは,自己の骨髄の中にある幹細胞をもちいて脳梗塞を治療することを試みており,本年より開始した医師主導治験についても,その一部を紹介します.
著者
前田 憲吾 清水 芳樹 杉原 芳子 金澤 直美 飯塚 高浩
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.98-101, 2019 (Released:2019-02-23)
参考文献数
9
被引用文献数
2 1

症例は48歳女性.43歳時に下肢硬直感が出現したが3か月で自然軽快した.両下肢の筋硬直が再発し,ミオクローヌスが出現し入院.意識清明,言語・脳神経は異常なし.両足趾は背屈位で,足関節は自他動で動かないほど硬直していた.神経伝導検査は異常なく,針筋電図では前脛骨筋に持続性筋収縮を認めた.血液・髄液一般検査は正常で,抗GAD65抗体・抗VGKC複合体抗体は陰性.脊髄MRIにも異常なく,症候学的にstiff-limb症候群(SLS)と考え,ステロイドパルス療法を実施し筋強直は改善した.その後,血液・髄液の抗glycine受容体抗体が陽性と判明した.プレドニゾロン内服後,再発はない.