著者
神木 哲男
出版者
神戸大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

本研究は、15世紀なかば兵庫津に入津した船の一年間にわたる関税納入帳簿である「兵庫北関入舩納帳」(以下「納帳」と略称)の各項目をコンピュ-タ-入力してデ-タベ-スを作成し、これをもとにして当該時期の瀬戸内海地域における商品輸送・廻船の実態をデ-タベ-スからえられた各種統計を分析して多方面・総合的に明らかにしようとしたものである。「納帳」には、文安2年1月から文安3年1月にいたる期間の兵庫津への船の、入港年月日・船籍地・積載品目・数量・船頭名・問丸名・関銭額・納入日の基本情報に加えて、使用枡の注記、関銭納入に関する注記などが詳細に記録されている。入港総船数1964、延べ積載商品数2645にのぼり、各項目の情報量は約20,000項目に達している。初年度は(平成2年)、これらの記載事項の確定(史料解釈)、コンピュ-タ-入力のための統一と調整、確定事項のコンピュ-タ-への入力に重点をおいて作業を進めた。平成3年度において、ほぼコンピュ-タ-入力を終え、デ-タベ-スとして利用可能な状態にすることができた。さらに、これをもとに時期別・商品別・船籍別等各種統計表を作成し、兵庫津への入津量の月別変化や集荷先の移動について具体的に明らかにすることができた。平成3年度においては、「米」について検討したが、今後「塩」をじめとする積載品目すべてにわたって検討を加え、瀬戸内海における商品輸送の実態を明らかにすることにつとめたい。
著者
杉野 竜美
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

近年はイタリアで生まれる外国人も多く、学校でもそのような外国人生徒が多く存在する。その状況では、移民生徒の言語的差異が表面化しにくい。学校関係者は、移民生徒の出身国が、学業成績に関連しているとは考えていない。しかし、出身国によって保護者は学業志向と労働志向に分かれており、彼らの意向が子弟の学業成果に影響している。また、街中では、国籍による棲み分けが存在している。この状況が学校に持ち込まれている。高校生以上になれば個人の行動は自己責任によるところが大きいが、中学生以下の子どもたちに関しては、保護者の意向に大きく左右されている。移民生徒たちの行動・交友範囲も、保護者の影響を大きく受けているのである
著者
目黒 強
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本年度は、明治から昭和にかけて広く読まれた雑誌である『日本少年』(実業之日本社)を取り上げ、大衆青少年雑誌における不良少年像を検証した。『日本少年』を検証するに際して、二つの理由から、ジャンル小説に注目することにした。第一の理由は、青少年像が典型的に表現されていることが予想されるからである。第二の理由は、「物語」という形式が読者に対する青少年像の伝達を補助していると考えられるからである。そこで、『日本少年』におけるジャンル小説を検証したところ、「立志小説」(「悲哀小説」を含む)・「冒険小説」・「探偵小説」・「滑稽小説」の四つのジャンルにおいて、青少年像の傾向に違いが認められた。とりわけ、上述のジャンル小説のうち、「立志小説」(「悲哀小説」を含む)と「探偵小説」において、本研究の目的である「学歴社会から疎外された青少年像」が提示されていることが判明した。「立志小説」(「悲哀小説」を含む)においては、苦学型の立身出世が描かれる傾向にあった。とりわけ、有本芳水の「悲哀小説」では、主人公の置かれた境遇が学歴社会から疎外された者の悲哀として強調されていたことからもうかがえるように、明治中期までのような楽観的な立身出世物語からの変容を指摘することができる。「探偵小説」においては、犯罪者が成人として描かれることが多いことに加えて、未成年者が犯罪者集団に含まれる場合には外国人として描かれていたことから、日本人の不良少年を描くことに消極的であったことが指摘することができる。
著者
源 利文 冨田 勢 日高 舜介 福本 想
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

特別天然記念物であるオオサンショウウオの環境DNA検出手法を確立し、分布域全域である西日本の河川で検出試験を行った。12水系の331地点で調査を行った結果、111地点でオオサンショウウオのDNAを検出した。この結果をもとに、生息適地モデルを作成したところ、既知の生息地とほぼ一致するモデルが得られ、環境DNA分析を用いた希少種の生息適地探索が可能であることが示された。研究の過程では市民団体や高等学校との協働も行い、お互いにとって意義のある連携が可能であることが明らかとなった。
著者
田村 厚夫
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

自然界に存在するタンパク質等の生体分子の多くは、自己集合により規則的な構造体を形成することでその機能を発揮している。本研究では、らせん型のへリックス構造を骨格としたタンパク質(ペプチド)を人工設計し、新たな立体構造体や新機能の創製を目指した。機能として酵素機能、アミロイド線維分解能、細胞凝集能、レアメタル結合能など自然界には存在しないものを含む新機能の獲得に成功した。これらは、高齢化に伴う病気や資源の有効活用など現代社会の多くの問題解決の糸口になるものと期待される。
著者
定延 利之 キャンベル ニック 森 庸子 エリクソン ドナ 金田 純平 坂井 康子 匂坂 芳典 朱 春躍 砂川 有里子 友定 賢治 林 良子 森山 卓郎 大和 知史 犬飼 隆 杉藤 美代子 藤村 靖
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本プロジェクトは、書きことば研究に比べて立ち遅れの目立つ、日本語の話しことば(韻律を含む)の研究を進めるものである。「人物像」を重視した前研究(基盤A(H19-22))において、日本語の主な話し手像(発話キャラクタ)を分析したように、本プロジェクトでは日本語話しことばに見られる主な「状況」を考察し、「状況」に基づく話しことばの姿を分析する。特定の「状況」において「どのような立場の者が、どのような立場の者に対して、どのような発話の権利を持つのか」を明らかにし、それを活かした資料を作成する。
著者
天野 郡壽 金 恵子 天田 英彦 REINARUTH Carlos Maria
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

1、フィリピンのPBA、韓国のKBLはプロ組織である。しかしながら、いずれの国のクラブもその経営形態は、クラブの運営経費をオーナー会社に頼る、いわば「企業サポートクラブ」であるといえる。2、PBAチームのオーナー会社は、バスケットボールを企業の宣伝の手段と認識しており、クラブ維持経費を企業の総宣伝経費との比較でとらえ、バスケットボールは国民に対して会社の健康なイメージを与える格安で絶好の宣伝手段であるとしている。3、KBLはオーナー会社の宣伝と社員の帰属意識向上のためという2つの目的を立てている。4、日本のバスケットボール選手は、社員選手、嘱託社員選手、プロ契約選手の3種類にわけられる。社員選手はスポーツ中心の生活であるが、その給与体系や福利厚生は社員のそれが適応される。嘱託杜員にも福利厚生や住居費などが社員に準じて与えられる。選手は怪我や引退のリスク回避を、チームを保有する企業の「スポーツ活動の支援は企業の社会的責任である」また「社内のクラブ活動は厚生事業の一環であり、プロ選手の保有はその基本理念になじまない」という基本姿勢が、日本独特の「企業選手」を作り上げている。5、選手の給与は、JBLは400万から1,500万円、KBLは3,600万ウオンから20,000万ウオン、PBAは300,000ペソから2,000,000ペソで(韓国、フィリピンはサラリーキャップ制度導入)、またいずれの国も遠征手当て、試合手当て、勝利手当てなどを支給している。それらを合計すると、日本の社員選手においても他の同年齢の社員よりは高い報酬を得ているといえる。6、報酬は高いものの、ほとんどの選手が選手を辞めた後の生活設計に悩みを持っている。7、いずれの国も、外国人選手の試合参加は2名以内という制限を設けている。さらにPBAとKBLは外国人選手に対して身長に制限を設けている。そのうえKBLでは、各試合の第2クオーターを外国人の参加1名と制限し、自国選手に参加の機会を増やしている。8、バスケットボール部を持つことにより企業にとって経済的効果については、先に述べたようにその経営基盤がかなり異なるために、3国間の比較はできなかったが、少なくとも韓国、フィリピンでは企業クラブは大いなる宣伝効果が期待できると考えている。
著者
門脇 大
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

研究の主目的である「近世期怪異観の解明」に関して、特に18・19世紀を中心とした研究を行い、その成果を学会発表・論文・共著で公表した。18世紀中期以降に流行した心学の資料を中心とした研究と、中世・近世・近代を横断する化物の研究の2つの方向性を主軸として研究を行った。研究が進展するとともに、近世怪異小説そのものよりも、その周辺分野の研究を進める必要が生じたため、やや当初の計画を変更しつつ研究を進めた。また、公表するに至らなかったものの、近世怪談とその周辺分野に関する基礎研究を行った。その成果は次年度以降に順次公表する。
著者
松田 毅 中山 康雄 加藤 雅人 長坂 一郎 茶谷 直人
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

我が国の哲学会においてはいぜん十分には認知されていない「メレオロジーとオントロジー」の主題群に関して、古代から現代を貫く概念と問題の連関・発展についての見通しを得た。また、「部分と全体」の問題と関わりの深い哲学者たちに焦点を定めた、これまで未開拓であった哲学史的分析とそれを基盤にした諸問題に関する現代的探究により、特に生命や心の存在論的探求への「部分と全体」の観点からのアプローチの有効性と可能性とが示された。
著者
木村 幹 浅羽 祐樹 金 世徳 田中 悟 酒井 亨
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究が明らかにしたのは、全斗煥政権が当時の状況に対して、如何なる主観的認識を持ち、どう対処しようとしたか、それが結果として、当時の韓国社会におけるどのようなイデオロギー的変化を齎したか、である。その結果は次のように要約する事が出来る。1)同政権は1980年代初頭における政治的弾圧をも駆使した結果得られた、政治的安定を大きく評価し、ゆえに多少の民主化運動の許容は、政権の基盤を揺るがさないものと考えた。2)政権内部にではこのような理解には大きな対立はなかった。3)しかしながら、実際にはこの結果行われた民主化運動は政権側の予想を超えて拡大した。4)この誤算が韓国の民主化実現に大きく貢献した。