著者
西谷 真規子 庄司 真理子 杉田 米行 宮脇 昇 高橋 良輔 足立 研幾 大賀 哲
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008-04-08

本研究では、国際規範の発展における規範間の競合または複合のプロセスを明らかにすることを目的とした。グローバル、リージョナル、ナショナルの各レベルにおいて、①規範的アイディアの競合や複合が、どのような制度変化をもたらすか、②多様な行為主体(国家、国際機構、市民社会、企業等)が競合または複合の過程にどのように関っているか、または、競合や複合から生じる問題をどのように調整しているか、の二点を中心的な問いとして、事例分析を行った。成果は、国際・国内学会発表や論文発表を通じて逐次公開した。最終的には、編著『国際規範の複合的発展ダイナミクス(仮題)』(ミネルヴァ書房)として近刊予定である。
著者
宮下 規久朗
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、カトリック改革が西洋美術に及ぼした影響を解明するため、16 世紀後半から 17 世紀初頭にいたるローマを中心とするイタリアにおける教会と美術との関係に注目し、作品をめぐる権力と受容の問題を通して、カトリック改革が、マニエリスムとバロックとの過渡期であるこの時代の美術にどのように具体的に作用したのかを探るものである。
著者
高田 知実
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2007

本研究の成果は以下のとおりである。(1)利益と純資産における保守主義の関連性を検証したことで保守主義の位置づけを明らかにした。そして、次の2つを明らかにすることで、企業会計における保守主義の経済的機能を解明した。すなわち、(2)市場環境の変化に伴って保守主義に対する需要も変化するという関係を実証的に示し、(3)監査法人の規模の違いによって、監査人の保守的行動に相違があることを明らかにしたのである。
出版者
神戸大学
雑誌
国際協力論集 (ISSN:09198636)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.103-110, 2005-07
著者
謝 秦
出版者
神戸大学
雑誌
鶴山論叢 (ISSN:13463888)
巻号頁・発行日
no.4, pp.51-70, 2004-03
著者
定延 利之
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

とりたて表現の数量的側面に関する振る舞いを記述し、この振る舞いを成立させている要因として、「体験vs.知識」という言語情報の区別を浮き彫りにした(「11研究発表」の欄の図書を参照)。そして、この振る舞いに関する日本語と中国語の共通点と相違点を明らかにするとともに、それらがとりたて表現だけでなく、他の表現にも並行的に観察されることを論じた(「11研究発表」の欄の雑誌論文1点目)。次に、これらの共通点と相違点を説明できるモデルを考察した。具体的に言うと、この区別がとりたて表現だけでなく、さまざまな言語表現に共通して見られることを論じ、特に体験の関わる言語表現には、これまで考えられていない新しいデキゴトモデルが必要であることを論じた(「11研究発表」の欄の雑誌論文3点目)。また、それらのうち時間表現については、「情報のアクセスポイント」の観点から、特に詳細な論を展開した(論文4点目)。場所表現についても、モノとデキゴトに関する考察に基づき、詳しい論を展開した(論文6点目)。さらに、「体験vs.知識」という区別が言語情報にとどまらない、人間のコミュニケーションに深く根ざしたものであることを論じた。具体的には、この区別が話し言葉・書き言葉という位相差や(論文2点目)、声質のような言語行動(論文5点目)に関与していることを明らかにし、これまでの言語研究やコミュニケーション研究が知識表現に偏って進展してきており、体験表現が不当に無視ないし軽視されてきていることを示した。
著者
眞方 忠道
出版者
神戸大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

パルメニテスの「存在」概念を明かにする為に挟み撃ち作戦をとった。一つはパルメニデス以前のイオニア派中ピュタゴラス派の根底にある,アルケーやプシューケーの概念を明かにすることにより,パルメニデスが不生不滅,不変不動,不可分であり,完全球によそえられるとした「存在」概念を解明する試みである。他の一つはパルメニデス以後の哲学者達による批判的継承過程を通じて「存在」概念を明かにする試みである。前者については,哲学以前のギリシア人の心情,宗教的感情の中でその核となる,生き生きと同一性を保ち働きつづける何かへの信仰の要素まで溯ることによって,アルケーやプシューケー概念が理解可能となるとの知見を得た。具体的には,人間が生存する為には犠牲となり葬られ,しかも複活再生してくるディオニュソス神に象徴される力への信仰及びアキレウスの怒りに見られる他とは置き換えられぬ自己という考え方が,ギリシア人の根底にあるということである。後者についてはエンペドクレス,アナクサゴラス,デモクリトス達の所謂自然哲学,更にプラトンのイデア論ばかりではなく,ソクラテスか死を賭して示した生き生きとした同一性,特に人格の同一性の問題とつなげることによって,パルメニデス理解が可能になるとの見通しを得た。以上の成果をふまえてパルメニデスの残存断片の整理,編集 一行一行についてに翻訳,註釈の作業を試みた。特にパルメニデスは「真理の道」で恩惟によってとらえられるとした「存在」が「ドクサの道」で感覚世界に如実に働きかけている,その働きかけの様相を明かにすべく努めてること,「序歌」はその「存在」のもつ生き生きとした同一性を保ち働きつづける力を詩を通じて感得させると共に,「存在」理解の連続性と段階性を示すものであり,二つの道をつなぐ要となっていることを示すことに努めた。
著者
黒田 龍二
出版者
神戸大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

本研究では、社会・風俗史的な要素を多分に含む、人物彫刻を中心に調査、研究を行っている。本年度の主要な調査としては、日本で作られた中国神仙彫刻の淵源と推定される中国古建築の実地調査を行った。調査地は中国で最も古い木造建築物が残っている山西省で、8世紀の南禅寺大殿にはじり、12世紀頃までの比較的古い建築物を踏査した。これらの古い建築物においては、建築彫刻は植物、動物にとどまり、のちの状況からすると未発達で、人物彫刻は見られなかった。このことから、人物彫刻の発生は、中国においても13世紀以降になると推定される。もた、比較的新しい伝統的建築物も何棟か見たが、山西省では人物彫刻は少ないと推定される。文献資料では中国南東部の古建築に人物彫刻が多くみられ、地域的には南東部で発生しているものと推定される。しかし、日本で見るような単独形態のものはもだ発見していない。17世紀に日本で建てられた中国建築である長崎の崇福寺の建築でも、建築彫刻は精緻であるが、それほど多くはなく、人物彫刻も無い。明治に入って建てられた興福寺大雄宝殿では豊富な彫刻がみられ、人物彫刻もある。このようなことから、中国建築に関してはまったく不十分な調査であるが、先年度に調査した16世紀の土佐神社に見られるような神仙彫刻は日本で独自に考案された可能性があるのではないだろうか。以上のような見通しを得ることができたので、今後、日本の桃山建築にみられる爆発的な彫刻の発生の要因が、中国であるのか、日本であるのかをその主題や使用部位をみながら考究する視座を得ることができた。社会・風俗史的な背景を明らかにすることは困難であったが、人物彫刻の扱いは中国と日本では異なる部分があると推定され、その要因がどのようなものであるのを今後の課題とする。
著者
細川 順子
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学医学部保健学科紀要 (ISSN:13413430)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.129-136, 1994

A 42-year-old male needed to have surgery after declaration of cancer. Considering that his father was also critically ill at that time, he must have been in a accidental crisis. His reaction to this situation and the nursing prosess to him were analyzed on the stand-point of crisis theory. It is said that free expression of one's affections and dependency to others were effective procedures for being supported by other people, and also for avoidance from crisis successfully. However, he refused to accept these procedures. During his pre-operative period, he could neither stop smoking nor tried his respiration-training actively. Apparently, he could not play a role as a patient. Therefore, the patient was encouraged to express his affection. He also tried to accept a troublesome relation to his son. After re-examination and restoration of his congnitive pattern to others, he could change his coping pattern. As a result, he could actively play a role as a usual preoperative patient. His recognition about his pathological condition was studied carefully by the staff. Then, his misuunderstanding of his recovery process was found. Since his understanding of his postoperative process was corrected by staff, his psychological stress reduced and he could avoid the crisis successfully. My experience may be concluded as follows : [1] When a patient is pedictable to fall in crisis, he [or she] must be encouraged to express his [she] affections freely. The patient's reaction may indicate an individual's way of recognition and a coping pattern, possibly caused from his [her] experience of life. [2] Crisis would be avoided by the playing patient's own role correctly about his [her] health problem.
著者
中川 保雄
出版者
神戸大学
雑誌
論集 : 神戸大学教養部紀要 (ISSN:02875667)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.1*-27*, 1984-03
被引用文献数
1
著者
東 哲司 平野 達也 笹山 大輔
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

アマゾン野生イネ種Oryza grandiglumis の2つの系統は,部分的深水で浮稲と同様に節間の伸長を示し,冠水状態では,冠水耐性イネ品種と同様に成長を停止し,気中に戻すと正常に成長した。これらの系統において,SUBMERGENCE1(SUB1A)遺伝子とSNORKEL (SK)遺伝子は共に検出できなかった。これらの結果は,O. grandiglumis のこれらの系統は,SUB1AとSK遺伝子が関与しないメカニズムによって相反する2つの成適応反応を有することを示す。これらの系統の深水下での節間の伸長促進にはエチレンではなく過湿度環境が引き金となっている。
著者
目黒 強
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、明治時代に刊行された雑誌(教育雑誌・文学雑誌・総合雑誌・少年雑誌)における読書活動関連記事を検討した。その結果、「小説」が子どもに悪影響を及ぼすという社会通念のもと、子どもが読む雑誌に「小説」を掲載することについての合意が形成されているとは必ずしもいえないこと、課外読み物観が形成されつつあること等が明らかとなった。