著者
河井 克之
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2009

沙漠化の主要因の一つである塩害は,不適切な灌漑などの人為的要因と長期の乾湿繰り返しといった自然要因によって起こるため,地盤に及ぼす複雑な外的要因を考慮した対策が必要となる.本研究では,地盤の変形,地下水流れ,物質移動を同時に表現できるシミュレータの開発を行った.また,解析精度の向上を図るため,ライシメーターを用いた地盤からの蒸発量計測も行い,塩害抑制地盤の提案も行っている.
著者
平野 淳一
出版者
神戸大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

本研究計画では、日本の市長選挙における対立構図の規定要因の解明を目標とした。分析の結果、現職優位に関する理論が日本の市長選挙における対立構図にも適用できることが明らかになった他、中央レベルでの政党間関係が市長選挙における対立構図に影響を与えていることも明らかになった。また、市町村合併が近年の市長選挙における対立構図の変容に大きな影響を及ぼしていることも示すことができた。
著者
浦久保 孝光
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

ロボットアームの特異姿勢は,従来のロボット運動制御においては避けられる傾向が強い.本研究では,ロボットアームによるある種の作業に対しては,特異姿勢を用いて作業を遂行することにより,必要な関節トルクを低減することが可能であることを明らかにした.作業遂行のための最適運動を数値最適化によって求め,この運動に見られる特異姿勢の動力学的性質を解析により明らかにした.さらに,得られた最適軌道により実際のロボットにおいても特異姿勢を用いた省トルク化が達成されることを実機実験により明らかにした.
著者
渋谷 謙次郎
出版者
神戸大学
雑誌
神戸法學雜誌 (ISSN:04522400)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.111-151, 2003-09
著者
土井 捷三 武田 義明 五味 克久 田結庄 良昭 今谷 順重 小石 寛文
出版者
神戸大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1989

本研究は次のことを目的にして行われた。1.「災害と防災」に関する教授用モジュ-ルを作成し、それらを統合し、カリキュラム化する。2.「災害と防災」についての意識調査を実施しながら、地域教材が子どもの学習意欲形成に果たす影響を解明する。3.これらを通し、カリキュラムの研究方法を明らかにしながら、災害と防災のカリキュラムを構想する。第1の目的を具体化するために、教材集を作成することにした。教材集は三年間でほぼ核となるモジュ-ルを完成させるようにし、第一年目は地形と地質に関係した災害と防災の現状を、第二年目は植生と植林に関係した防災対策を、第三年目は災害の原因の契機の一つとなる開発の問題と防災対策を取り上げ、教材化を行った。この場合、六甲山という我々の身近にある山を素材にすることにし、また、研究題目にある「地域性を生かした」としたのもこのことを念頭にしているのである。第2の目的を具体化するために、これらモジュ-ルによる授業前と後に調査を行い、地域学習の、学習意欲の形成への効果について解明した。この結果、これら教材は学習の意欲づけに資するということがわかった。第3の目的については具体化へ向けての方向づけを行った。また、現在のところ地域学習の中で実施することが適当であると提案した。以上が三年間に行ってきた成果である。しかし、カリキュラム化の構想が方向づけに止まっていることは不満であるが、これらの研究に比肩しうるものが不在であることを思うと、十分に成果は達成できたと考える。
著者
秋田 謙司
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学農学部研究報告 (ISSN:04522370)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.185-190, 1975

本実験は水苗代育成の成苗植区, 育苗箱育成の稚苗植区および乾田直播区を設定し, 水稲日本晴を供試してその生育過程における各種形質を追跡し, それらの相違について比較検討した。その結果の概要は次のごとくである。1. 主稈における葉の出葉間隔は13.5-14.0葉期頃まではほぼ等しかった。最終的な主稈葉数は成苗植区は17葉内外であり, 稚苗植区および乾田直播区は16葉内外であった。2. 収穫期の草丈は成苗植区と稚苗植区ではあまり差がなかったが乾田直播区は短く, 稈長も同様であった。穂長は成苗植区が最も長く, ついで稚苗植区で乾田直播区は最も短かった。3. 最高分げつ期の1株茎数は成苗植区では18.9本, 稚苗植区は24.3本で, 乾田直播区は15.7本と著しく差異があった。しかし収穫時には成苗植区は14.0本, 稚苗植区は14.9本, 乾田直播区は13.1本となり, 有効茎歩合はそれぞれ74.1%, 61.3%, 83.4%を示した。4. 地上部乾物重では成苗植区の最大は9月15日の58.9g, 稚苗植区は9月12日の56.8gで, 収穫時には成苗植区が53.2g, 稚苗植区は53.7gであった。しかるに乾田直播区の乾物重は収穫時が最大を示したがわずかに47.0gで, 成苗植区ならびに稚苗植区より劣り殊に穂重で小さかった。
著者
樋口 保成 中屋敷 厚 中西 康剛 佐々木 武 高山 信毅 高野 恭一
出版者
神戸大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

本研究の主要な成果は大別して3つの部分に分かれる。その第一は相転移モデルの代数解析的、確率論的研究の部分であり、第二は超幾何微分方程式系の幾何学的、解析的な研究、そして第三は結び目の理論の研究の部分である。これらの三つの部分はゆるやかだが互いに影響を及ぼしあっており、特に本研究では代数的手法がその相互をつなぐ主要要素となった様に思われる。まとめて見ると予定以上に豊かな成果を得ることができた。以下、主要な成果のみを列挙する。第一の部分ではXXZ模型及び8頂点模型の一点相関関数の形を求めることに成功した(中屋敷)。また、二次元イジング模型におけるパーコレーションの相ダイアグラムを定性的な意味では完全に決定することができた(樋口)。一方、超幾何微分方程式系の研究では、E(3,6)の局所解を構成し、そのモノドロ〓郡の形算に成功した(佐々木、高山)。また、ガウスの超幾何関数のゲルファントによる多変数への拡張を合流型について行ない、最も基本的な性質を調べている。(高野)この多変数型の超幾何関数については、記億をもつランダム・ウォークの再帰性を調べるときにも現われることが最近わかった。これは新しいタイプの超幾何関数に対するアプローチになるようであり、今後ますます研究を深める必要が有ると思われる。最後の結び目の理論の研究においては、どんな結び目でも絡み数が偶数である平凡な結び目で偶数回ひねることを有限回行なえば平凡にできるという結果を含む一般的な結果を得ている(中西)。以上の数学的成果の他にも、重要な成果の一つとして、これらの計算の一部を支える計算環論の種々のアルゴリズムを組み込んだプログラム言語Kanを開発した(高山)ことを挙げたい。このソフトはインターネット上で公開している。
著者
橋野 知子
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、日本経済史の分野における「比較産地発展史」の構築を目指し、西陣・桐生・福井における産地の発展を個々に詳細に分析すると同時に、新技術の導入と制度革新という観点から産地の共通点や相違点を明らかにした。さらに本研究は、産業集積研究が活発な開発経済学の分野と日本経済史研究との融合も試みた。その結果、東西の歴史的産地ならびに現代の途上国の産業集積において、共通した制度や仕組みが重要であったことが示された。具体的には、マーシャルの言う集積の外部経済を超えて、新技術の導入を支えた同業者組織の機能や地方政府のサポートという制度が、産地・産業集積の発展に普遍的に重要であったことが明らかにされた。
著者
山崎 将紀
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2006

分げつ期の日本型イネにウンカ類(セジロウンカ,トビイロウンカ)が産卵すると,殺卵活性をもつ安息香酸ベンジルを含む分泌液で細胞間隙が満たされた液浸化が誘導される.その結果,卵が高率で死亡し,ウンカ類の増殖が抑制される.これまでにセジロウンカに対するイネの殺卵遺伝子Ovc(Ovicidal gene)を同定し,イネの染色体6上に位置付け,約40kbの領域に絞り込んでいる.Ovcは殺卵特性の発現に必須であるので,イネの殺卵特性について,将来の遺伝育種ならびにその遺伝的機構の解明のために,Ovcの単離を試みた.1.日本型イネ品種「日本晴」由来の候補遺伝子が組みこまれた形質転換ベクターを作成し,Agrobacterium法により,SL23(「日本晴」を遺伝的背景とし,Ovc領域がインド型イネ品種「Kasalath」(Ovcをもたない)に置換した系統.この系統は殺卵特性を示さない)に導入する形質転換を行い,目的の形質転換植物の殺卵特性を調査した.現在まで相補した形質転換植物は観察されていないが,引き続き実験を進めている。一方,OvcのcDNAと発現解析は現在進行中である.2.日本型品種とインド型品種を用い,Ovc候補領域のDNA多型におけるアソシエーション解析を行い,Ovcの候補となるDNA多型を検出し,候補領域をさらに絞り込むことができた.この情報を元にさらなる形質転換実験ならびにcDNA・発現解析を行う予定である.
著者
三木 明徳 安藤 啓司 荒川 高光
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

筋損傷に対する予防や治療は、スポーツやリハビリテーションの臨床の現場において、理学療法士の重要な任務である。筋損傷急性期には寒冷療法が行われているが、筋再生の面から見ると好ましくない結果が出ている。科学的根拠に基づいた筋損傷に対する治療を確立するため、筋損傷に対する温度刺激の影響を形態学的、組織化学的、生化学的に観察した。温熱刺激を試みたところ、筋の再生は促進し、MyoDやmyogeninといった筋再生の重要因子の発現も早期化、促進できた。筋損傷後急性期の温熱刺激は禁忌とされているが、筋再生の面から見て検討を要すると考えられた。
著者
藤井 勝 平井 晶子 SIRIRATH Adsakul YENJIT Thinkham 奥井 亜紗子
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

東アジアにおける国際結婚は、「東アジア共同体」の構築を社会的に支える重要な要素となる。しかし現状では、この国際結婚は人権侵害、離婚、暴力など、さまざまな問題点を内包している。本研究は、日本人-タイ人の国際結婚を事例としながら調査研究を行うことによって、この国際結婚の多様な展開の姿を類型論にもとづいて明らかにすると共に、それぞれの類型(あるいは形態)における結婚、家族、地域社会などめぐる特質や問題点を解明した。これによって、今後の国際結婚の発展に資する研究成果を得ることができた。
著者
湯田 拓史
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、大正-昭和初期における日本の高等商業学校設置場所の都市の発展状況と高等商業学校生の進路特性を検証することで、高等商業教育機関と設置場所である都市との関係性を考察した。結果として、各都市での高等商業学校への「進学経路」は、甲種商業学校の都市社会での位置づけと関連していた。旧制中学校と比べて甲種商業学校が設置しやすく地域社会の支持も受けやすかったことから、商業系高等教育機関の発展はローカルな社会過程によって達成されたのである。
著者
森本 勇
出版者
神戸大学
雑誌
兵庫農科大學研究報告. 農芸化学編 (ISSN:04400216)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.69-81, 1958

1.本研究は日本全国各府県農事試験場水稲品種比較試験, 自昭和6年至同30年の25年間延約65000品種の総成績を取り纒めたものである。2.全国水稲出穂期変異分布は7月25日を始点とし9月20日を終点とするM8月29日, M_09月8日の明らかに重心が右側に偏つた変異分布を示している。以上の様な歪分布を示す理由は, 東北は早生であり関西は晩生であつてそれらの県の数的関係によるものである。3.全国を構成する各府県の出穂期の変異分布は早生で早生重点的な, 山形, 青森, 岩手型から, 変異の巾の広い北陸型及び東北, 関東型を経て, 早生の少く中生晩生の多い全国集計に似た重心の右側に偏つた関西型を経て, 中晩生のみの変異の巾の狭い九州型に到る一連の変化を示している。4.播種から出穂までの積算温度を中心にして, 日本全国についての品種の相対的早晩についての一つの仮説を提出した。5.稈長の全国変異分布は, 昭和6∿15年はM_0を91cm昭和16∿30年はM_0を85cmとする何れも美しい単頂正規分布を示し, この15年間に約6cm短稈化したことを示している。稈長の地城的変異は, 長稈の地は関東及び九州で短稈の地は青森, 福岡, 愛知であり本邦内地の南北では大した差異はない。6.一株穂数の全国変異分布は, 昭和6∿15年と昭和16∿30年とに分けて見れば, M_0を14.5本と15.5本とする多少重心が左に偏つた美しい変異分布を示しており, この15年間に少蘗型が減り多蘗型は差なく変異の巾が狭くなつた。一株穂数の各府県での変異分布は, 北陸が多い様である外大した地域性はない。一坪穂数の各府県での変異分布は明らかに東北において多く, 東海近畿が少く, 西南暖地で又殖えるL字型又はU字型の変異分布を示している。7.全国反当収量の変異分布はM_0 2.75石の正規分布に近い分布を示し, 昭和6∿15年より昭和16∿30年の間に約6升の増収を示している。昭和16∿30年の各府県の反収の変異分布で多いのは, 3石以上は青森, 岩手, 山形, 新潟, 長野, 兵庫, 愛媛であり, これに亜ぐのは秋田, 千葉, 山梨, 奈良, 広島, 佐賀の諸県であり, 少いのは高知, 栃木, 山口, 福岡, 徳島の諸県である。そしてこの様な研究によつてCrop productivity地力とも云うべき地力が算定され得ると考えるものである。8.昭和6∿30年間の毎年の全国農試平均の出穂期, 稈長, 一株穂数, 農試反収及び農林統計反収の累年変化を明らかにした。農試反収と農林統計反収との間には, +96.2%の殆んど完全なる相関々係が成立し, 農試品比較成績と農林統計とよく一致することを示し, 俗に云われていた昭和20年の農林統計の過少評価及び最近の農林統計の過少評価の俗説を否定すべきことを示している。
著者
片山 寛則 菅原 悦子 植松 千代美 池谷 祐幸
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

東北地方より収集したイワテヤマナシを含む野生ナシ、在来品種の有用形質評価(香気、加工特性、早晩性)と新規利用法の開発、個体識別を行った。収集個体は香気成分、有機酸、糖類ともに多様性が高かった。在来品種'サネナシ''ナツナシ'は香りの強いエステルが存在しニホンナシやセイヨウナシとは異なるさわやかな香りだった。'ナツナシ'などニホンナシの約7倍の有機酸量をもつ個体も存在し優れた加工特性を示した。