著者
辻 彰
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.11, no.5, pp.299-308, 1996-09-10 (Released:2009-02-23)
参考文献数
35
被引用文献数
1

Lipophilicity and molecular weight have long been believed to be determinants of the transfer of drugs into the central nervous system(CNS) across the blood-brain barrier(BBB), which is formed by the brain capillary endothelial cells (BCECs). However, recent advances in studies on the BBB transport of xenobiotics, as well as nutrients and neuroactive agents, have led to a change in our concept of the BBB. It is no longer regarded as a static lipoidal membrane harrier of endothelial cells which have tight junctions without fenestrations, but rather is censidered to be a dynamic interface which has physiological functions for the specific and selective membrane transport of many compounds, as well as degradative enzyme activities. It has carrier-mediated transport systems for relatively small molecules, an absorptive-mediated endocytosis system for positively charged peptides and a receptor-mediated endocytosis system specific to certain other peptides. The recent discovery of P-glycoprotein as a specific efflux pump in addition to the above influx systems confirmed the idea that the BCECs form a well organized barrier that by actively and selectively controls the influx and efflux of compounds. From the viewpoint of drug delivery, although an increase in the lipophilicity of compounds is useful to enhance the permeation across the BBB, such a strategy would also increase the permeation into tissues other than brain. Accordingly, for the development of brain-specific drug delivery systems for neuroactive compounds, it is important to understand and utilize the specific transport mechanisms of the BCECs. Here I describe the physiological and molecular characterization of the transport mechanisms of the BBB for natural compounds, as well as bioactive xenobiotics.
著者
辻 彰 寺崎 哲也
出版者
金沢大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

本研究は、「種々の栄養物質およびその構造類似薬物の小腸、腎臓、肝臓、脳組織における細胞膜輸送機構」を解明し、「担体輸送系の基質認識特性」を検討することによって「組織選択的ドラッグデリバリ-システムの確立」を目指すことを目的とした。小腸上皮細胞膜輸送にはラット、ウサギ刷子縁膜小胞を、腎尿細管上皮細胞膜輸送にはラット側底膜小胞および刷子縁膜小胞の他にラット腎、肝組織抽出法を、血液脳関門輸送には、ウシ単離脳毛細血管、脳毛細血管内皮培養細胞および脳組織抽出法を、それぞれの目的に応じて用い、以下に示すように薬物の担体介在輸送を明らかにした。1)リン酸系薬物:リン酸構造を有するfosfomycinは、既に報告したfoscarnetと同様に、細胞内に向けられたNa^+勾配を駆動力として小腸刷子縁膜リン酸輸送系を介して二次性能動輸送される。2)モノカルボン酸系薬物:本系薬物の消化管吸収や脳移行は従来よりpHー分配仮説に従って単純拡散で進行すると解釈されてきた。これに対して本研究では、酢酸が小腸刷子縁膜をH^+との共輸送系あるいはHCO_3ーとの交換輸送系を介して二次性能動輸送される。いずれの輸送においても酢酸の取り込みはpH依存的であり、管腔側酸性環境で促進される。血液脳関門においても酢酸はH_+と共輸送系を介してpH依存的に脳内に取り込まれる。これらのモノカルボン酸輸送系はnicotinic acid,salicylic acid,valproic acidなどのモノカルボン酸構造を有する薬物のみを立体選択的に認識し、輸送する。3)塩基性薬物:thiamine,scopolamine,eperizoneなどの塩基性薬物は脳毛細血管内皮細胞コリン輸送系を介して脳内に取り込まれる。βーラクタム系抗生物質:腎臓と肝臓の血液側細胞膜および肝胆管腔側膜をprobenecidと共通の有機アニオン輸送系を介して取り込まれる。以上の知見は、生体膜輸送系の構造認識輸送特性を利用することによって、薬物を特定の組織にタ-ゲッティングし、または逆に移行性を回避させるなど、創薬に貢献するものと期待される。
著者
辻 彰洋
出版者
一般社団法人 日本生物教育学会
雑誌
生物教育 (ISSN:0287119X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3-4, pp.221-225, 1995 (Released:2022-12-23)
参考文献数
2

It is important for secondary level students to understand the skeleton structure for studying the classification and development of vertebrates. In this parer, I reported a double staining technique which was modified for making skeletal specimens of vertebrates. The usefulness of the skeletal specimens for biological education was also discussed.
著者
富田 昌平 田中 伸明 松本 昭彦 杉澤 久美子 河内 純子 辻 彰士 湯田 綾乃 松尾 美保奈 松浦 忍 松岡 ちなみ Tomita Shohei Tanaka Nobuaki Matsumoto Akihiko Sugisawa Kumiko kawachi Junko Tsuji Akihito Yuta Ayano Matsuo Mihona Matsuura Shinobu Matsuoka Chinami
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学・教育実践 = Bulletin of the Faculty of Education, Mie University. Natural Science, Humanities, Social Science, Education, Educational Practice (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.71, pp.493-502, 2020-02-28

本研究では,幼稚園のカリキュラムの中にさりげなく埋め込まれている数学的活動に焦点を当て,幼児教育と数学教育という2つの異なる専門的視点から,幼児による経験や学び,実践の意味について分析し考察した。具体的には,幼稚園のクリスマス行事におけるサンタクロースからの贈り物に見られる幼児の分配行動を観察し,その記録を分析の対象とした。3歳児では1対1対応の分離量の分配,4歳児では集合した分離量の分配,5歳児では連続量の分配が課題として与えられた。新しい幼稚園教育要領(2017年3月改訂,2018年4月施行)のもと,「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」の設定に見られるように,幼児教育と小学校教育との円滑な接続はより一層求められている。本稿で取り上げた数学的活動は,10の姿のうちの「数量や図形,標識や文字などへの関心・感覚」に関わるものであり,そこで見られた幼児の姿は小学校以降の算数教育へとつながっていく姿である。本稿では,小学校教育とは異なる幼児教育の独自性について改めて確認するとともに,今後,こうした具体的な姿を小学校側にいかに伝え,つなげていくかがが議論された。
著者
六辻 彰二
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.20-32, 2013 (Released:2017-12-06)
参考文献数
26

アフリカ諸国の選挙制度は,旧宗主国からの影響と,環境に適応した内発的採択の狭間にある。現代のアフリカ49カ国における下院選挙制度を横断的に検証した結果,英語圏では小選挙区制を導入しながらも何らかのアレンジを加える事例が,フランス語圏では小選挙区二回投票制より,程度の差はあれ,比例原理を重視した制度を導入する事例が,それぞれ多く確認された。一方で,各国における下院選挙の結果を類型化した結果,安定的かつ民主的な政党制が定着した国が7カ国なのに対して,ヘゲモニー政党制が12カ国,選挙制度が機能していない国が9カ国,与野党交代が実現しながらも,選挙を経た与党の権威主義化と内部分裂によって二度目の与野党交代が実現するパターンの国が6カ国,それぞれ確認された。これらに鑑みれば,いまだ多くのアフリカ諸国では独自性ある選挙制度の構築と定着のプロセスにあるといえる。
著者
四辻 彰 伊東 優子 保田 隆 才川 勇 大角 誠治 矢野 三郎 上田 泰
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.294-303, 1988

Compromised host の対象として高齢者を取り上げ, その血清中での β-lactam 系抗生剤の sub-minimum inhibitory concentration (sub-MIC) シこおける抗菌作用を調べた。各血清60μl に薬液10μl を加え, それに菌懸濁液10μl を接種し 37℃ 4時間培養後, 生菌数の増減を測定した。高齢者の血清殺菌力は健常者に比べ <I>Escherichia coli</I> および <I>Klebsiella pneumoniae</I> に対しては弱まっている例が多かった。<I>Proteus</I> <I>mirabilis</I> T-277 株に対しては約半数例で高齢者の血清殺菌力は強まっていたが, T-250株 に対しては強まっている例はなかった。また<I>Proteus vulgaris</I>。<I>Pseudomonasaeruginosa</I> および<I>Staphylococcus aureus</I> に対しては健常者と同等の殺菌力であった。この殺菌因子として非働化で弱められる易熱性物質やペントナイト処理で除かれるリゾチームの関与が推定された。次に高齢者血清中での beta-lactam 系抗生剤の sub-MIC での殺菌作用をみると, pipera-cillin, cefoperazone および cefbuperazone は nutrient bmth (NB) 中でも高齢者血清中でも殺菌的または静菌的に作用した。一方 carbenicillin, cefazolin および cefmetazole は NB 中では菌の増殖を阻止したが高齢者血清中ではほとんど抗菌作用を示さなかった。
著者
辻 彰
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.43-47, 2007 (Released:2007-04-24)
参考文献数
5
被引用文献数
2 2

候補薬を経口投与後の消化管吸収性と動物とヒトにおけるバイオアベイラビリティー(BA)の関係の理解は,医薬品の発見・開発にとってきわめて重要である.ヒトとサルとの間の類似性にかかわらず,多くの薬物において両者におけるBAに大きな相違が認められている.低分子医薬品にあっては実験動物とヒトとの間の動態・薬効・毒性特性において乗り越えることのできない種差がある.創薬候補薬投与後のBA,組織移行,代謝・排泄など,代謝酵素やトランスポーターの機能によって制御されているヒト体内動態を予測するためにヒト組織,ヒト由来細胞,ヒト肝臓,または小腸ミクロゾームやヒト遺伝子発現系を用いたin vitroモデルや,生理学的薬物速度論を用いたin silicoモデルのようなヒト動態評価システムが医薬品開発研究に積極的に取り入れられるようになったが,予測性は必ずしもよくない. したがって,疾病治療上ヒトで有用な候補物質を適切に選択し,効率的に医薬品開発を進めるためには,マイクロドース試験を実施し,ヒトでの動態を医薬品開発の早い段階で明らかにすることがきわめて重要である.
著者
寺町 ひとみ 畠山 裕充 松下 良 今井 幸夫 宮本 謙一 辻 彰
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.530-540, 2002-12-10 (Released:2011-03-04)
参考文献数
17
被引用文献数
7 7

The department of pharmacy which is a member of the Infection Control Committee in Kouseiren Chu-nou Hospital provided a systematic program of vancomycin (VCM) therapeutic drug monitoring (TDM) and consultations regarding the suitable dose and administration interval etc. of VCM for both patients and physicians. However, in many cases the initial dosage and dose interval were empirically decided by the physician.In the present study, we retrospectively examined three nomogrames that were recommended as the rough standard for determining the initial dosage and dose interval, in comparison to the Bayesian method, based on our hospital data collected from adult MRSA patients. We also compared our findings with the Moellering's method, Matzke's method, Maeda's method and the Population mean methods.Maeda's method did not predict the serum trough and peak levels that reach poisonous ranges. Maeda's method was found to be a safe method. In addition, Maeda's method was found to reach the therapeutic ranges the most frequently of the four methods. Furthermore, the calculations for Maeda's method were simpler than the other three methods. Accordingly, it is possible to easily calculate the initial dosage and dose interval in the clinical field. The serum VCM concentrations should thus be measured for each patient, as soon as possible, to correct the dosage using the Bayesian forecasting technique, because the therapeutic ranges sometimes deviate from the predicted range.
著者
保田 隆 渡辺 泰雄 四辻 彰 林 敏雄 南 新三郎 岡本 世紀 山城 芳子 荒木 春美 伊東 優子 本村 桂子
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.36, no.Supplement9-Base, pp.95-109, 1988-12-30 (Released:2011-08-04)
参考文献数
12

新ピリドンカルボン酸系合成抗菌剤T-3262のin vitroおよびin vivo抗菌活性をnorfloxacin (NFLX), ofloxacin (OFLX), ciprofloxacin (CPFX) を対照薬剤として比較した結果, 以下の成績を得た。1) T-3262はグラム陽性菌およびグラム陰性菌に対して広い抗菌スペクトラムを有していた。グラム陽性菌に対しては, すべての対照薬剤より強い抗菌力を示し, またグラム陰性菌に対しては CPFXとほぼ同程度, NFLX, OFLXより優れた抗菌力を示した。2) T-3262はPseudomonas aeruginosaを含むブドウ糖非醗酵菌, Bacteroides fragilisを含む嫌気性菌に対しても強い抗菌力を示した。3) T-3262はmethicillin耐性ブドウ球菌およびnalidixic acid耐性グラム陰性菌に対しても強い抗菌力を示した。4) T-3262の抗菌力に及ぼす諸因子の影響では培地の種類, ヒト血清添加の影響はほとんど受けず, 培地pHがアルカリ性側のとき抗菌力が強まった。5) T-3262の作用は殺菌的であった。6) グラム陽性菌およびグラム陰性菌を用いたマウス実験的全身感染症でT-3262は優れた治療効果を示した。特にグラム陽性菌においてすべての対照薬剤より優れた治療効果を示した。
著者
六辻 彰二
出版者
Japan Association for African Studies
雑誌
アフリカ研究 (ISSN:00654140)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.60, pp.139-149, 2002

シエラレオネ内戦は複雑な経緯を辿ったが, それは主に武力行使に関与する国内アクターが離合集散を繰り返したことと, 政権が目まぐるしく交代したことによる。内戦発生以後のほとんどの政権に共通することは, 独自の紛争対応が困難であったため, 民兵や民間軍事企業に依存したことである。これらのアクターは革命統一戦線 (Revolutionary United Front: RUF) との軍事的対決に有効な機能を果たしたが, 必ずしも政権の管理下になかったため, 交渉の推進には消極的で, 内戦を長期化させる一因ともなった。他方, 当初平和維持活動以上の介入をみせたナイジェリアは長期の派兵に耐えきれず, 交渉の進展に積極的な対応をみせた。結果的に2002年1月の内戦終結宣言は, 紛争ダイヤモンド輸出と武器輸入の規制と並行した, 交渉促進のための国際的な取り組みに大きく負っている。しかし主な内戦発生要因のうち, 社会的不満を表明する手段の欠如は民主的政府の設立にともなう異議申し立ての機会の確保により, そしてRUFを支援する紛争支援国の活動は国際的監視により大きく改善されたが, 政治腐敗と結び付いた資源配分や地方の生活環境は未だに深刻であるため, 内戦が再燃する危険性は払拭されていない。
著者
六辻 彰二
出版者
日本アフリカ学会
雑誌
アフリカ研究 (ISSN:00654140)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.60, pp.139-149, 2002-03-31 (Released:2010-04-30)
参考文献数
21

シエラレオネ内戦は複雑な経緯を辿ったが, それは主に武力行使に関与する国内アクターが離合集散を繰り返したことと, 政権が目まぐるしく交代したことによる。内戦発生以後のほとんどの政権に共通することは, 独自の紛争対応が困難であったため, 民兵や民間軍事企業に依存したことである。これらのアクターは革命統一戦線 (Revolutionary United Front: RUF) との軍事的対決に有効な機能を果たしたが, 必ずしも政権の管理下になかったため, 交渉の推進には消極的で, 内戦を長期化させる一因ともなった。他方, 当初平和維持活動以上の介入をみせたナイジェリアは長期の派兵に耐えきれず, 交渉の進展に積極的な対応をみせた。結果的に2002年1月の内戦終結宣言は, 紛争ダイヤモンド輸出と武器輸入の規制と並行した, 交渉促進のための国際的な取り組みに大きく負っている。しかし主な内戦発生要因のうち, 社会的不満を表明する手段の欠如は民主的政府の設立にともなう異議申し立ての機会の確保により, そしてRUFを支援する紛争支援国の活動は国際的監視により大きく改善されたが, 政治腐敗と結び付いた資源配分や地方の生活環境は未だに深刻であるため, 内戦が再燃する危険性は払拭されていない。
著者
辻 彰
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.122, no.12, pp.1037-1058, 2002 (Released:2003-02-18)
参考文献数
148
被引用文献数
11 11

By incorporating the transporter-mediated or receptor-mediated transport process in physiologically based pharmacokinetic models, we succeeded in the quantitative prediction of plasma and tissue concentrations of β-lactam antibiotics, insulin, pentazocine, quinolone antibacterial agents, and inaperizone and digoxin. The author's research on transporter-mediated pharmacokinetics focuses on the molecular and functional characteristics of drug transporters such as oligopeptide transporter, monocarboxylic acid transporter, anion antiporter, organic anion transporters, organic cation/carnitine transporters (OCTNs), and the ATP-binding cassette transporters P-glycoprotein and MRP2. We have successfully demonstrated that these transporters play important roles in the influxes and/or effluxes of drugs in intestinal and renal epithelial cells, hepatocytes, and brain capillary endothelial cells that form the blood-brain barrier. In the systemic carnitine deficiency (SCD) phenotype mouse model, juvenile visceral steatosis (jvs) mouse, a mutation in the OCTN2 gene was found. Furthermore, several types of mutation in human SCD patients were found, demonstrating that OCTN2 is a physiologically important carnitine transporter. Interestingly, OCTNs transport carnitine in a sodium-dependent manner and various cationic drugs transport it in a sodium-independent manner. OCTNs are thought to be multifunctional transporters for the uptake of carnitine into tissue cells and for the elimination of intracellular organic cationic drugs.
著者
辻 彰子 石河 淳 井上 裕匡 Kudo Keiko Ikeda Noriaki
出版者
福岡医学会
雑誌
福岡医学雑誌 (ISSN:0016254X)
巻号頁・発行日
vol.96, no.3, pp.76-80, 2005-03-25
被引用文献数
1

We performed a paternity test without the alleged father, who was deceased, and we found a mismatch in one of the alleles of the autosomal short tandem repeat (STR) locus D3S1358 in the illegitimate daughter. DNA genotypes of the dead alleged father were estimated from the DNA genotypes of his wife and their four children. The ABO genotype, the DXS10011 locus and the calculations using the 12 STR loci and the D1S80 locus, but not the STR locus D3S1358 suggested that there was a high probability that the dead alleged father was in fact the actual biological father. The genotype of locus D3S1358 of the dead alleged father, the illegitimate daughter's mother and the illegitimate daughter was 15/17, 15/17 and 15/18, respectively. PCR and sequencing after TA cloning of allele 17 of one of the children who had only a homozygote of allele 17, of allele 17 of the illegitimate daughter's mother and of allele 18 of the illegitimate daughter revealed that allele 18 which was considered to be a mutated allele had one more repeat of (GATA) within the first repeat region.擬父が既に死亡している親子鑑定を実施した.妻と4人の嫡出子のDNA型から推定した擬父の型と妻でない女性を母とした非嫡出子の12種類のSTR型においてD3S1358座位のみで不一致を認めた.ABO式血液型の遺伝子型とX-STR型のDXS10011座位およびD3S1358座位を除く他の座位におけるDNA型による父権肯定確率は擬父がこの非嫡出子の生物学的父親であることを示していた.D3S1358座位における遺伝子型は擬i父,非嫡出子の母共に15/17であったが,非嫡出子は15/18であった.i擬父の対立遺伝子17が遺伝していると考えられる娘と非嫡出子およびその母のD3S1358座位のクローニングおよびシークエンスにより,非嫡出子の対立遺伝子18は(GATA)の繰り返しが一回多い突然変異であることが判明した.