著者
山田 武雄
出版者
関西学院大学
雑誌
言語と文化 = 語言与文化 (ISSN:13438530)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.83-99, 2004-03-01

Robert Frost (1874-1963) published his 8th book of poetry, Steeple Bush (1947), when he was 73 years old. As an aged person, he was afraid that general readers as well as his literary critics might think that he was already past his poetic prime. As if he tried to show his youthfulness, he actually cultivated in Steeple Bush new fields of his poetic world, one of which was to write several political satires or epigrams against atomic bombs. These poems are often neglected, and the white-haired poet also didn't mention them or seldom read them in his public lectures. This is because he wanted to be an influential, great poet-statesman as he sometimes said clearly in public. He was afraid that these poems might bring him bad effects if they were too direct and attacked the government authorities too severely, which was the reason he chose poetic forms of epigram or satire and took an ambiguous, optimistic attitude. In a sense he was right in writing this kind of difficult poems of epigram or satire, because these poems didn't attract so much attention, and he was chosen to read his best-known, patriotic poem, "The Gift Outright," by J. F. Kennedy at his presidential inauguration. Although these poems are so ambiguous and at the same time difficult that we are apt to be irritated in trying to understand the real state of his mind, we should pay more attention to them. When we read them carefully we can understand his humanitarian character and gradually realize that he couldn't help protesting "a new Holocaust" (CPPP 399) as "a political separatist," not as a propagandist, although these poems were too idealistic and optimistic.
著者
Lai On-Kwok
出版者
関西学院大学
雑誌
関西学院大学人権研究 (ISSN:1344039X)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.1-11, 2008-03

現在及び将来の人権運動にとって、動物の権利擁護運動からなにか学ぶべきものはあるのだろうか。これが本論文の中心的な問いである。本論文は、非政府組織(NGOs)が、ローカルレベルとグローバルレベルで行っている動物の権利擁護(アドボカシー)に手がかりを求め、国際的(トランスナショナル)な権利擁護の広報活動戦略に注目する。そこで、非政府組織は、持続可能な発展のためのローカル(グローカル)でかつグローバルな規範と行動をつくり直そうとしている。そして、動物の権利擁護運動の論理、戦略、メッセージ、イデオロギー的な意味と人権のそれとの比較を試みる。次にグローバリゼーションの状況の概略を議論した後、第二部では、動物の権利をめぐる動向を検討する。ひとつは、動物の権利のエコロジカルな近代化(の異なった形式と倫理)をもとめる要求を定義し、形成し、表明する際に、NGOや社会活動家が果たしている役割であり、もうひとつは、情報通信技術(ICT)の先進的な提供と利用によって拡大する彼らの要求がもつ影響力である。最後に新たなる近代性への途上で、人権促進運動が、これから10年の間に動物の人権擁護運動から学ぶべきことは何か、を考えてみたい。
著者
松本 有一
出版者
関西学院大学
雑誌
經濟學論究 (ISSN:02868032)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.35-46, 2008-04

Professor Ono maintained that the Keynesian multiplier effect of public works had a serious fallacy (Ono 2006, 2007). In this note I will point out that Ono's criticism is based on his misunderstanding of Keynes' theory of multiplier and that the latter holds good for any period of time as long as the propensity to consume is suitably defined.
著者
東 晋太郎
出版者
関西学院大学
雑誌
經濟學論究 (ISSN:02868032)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.11-23, 1954-07
著者
柚木 学
出版者
関西学院大学
雑誌
商學論究 (ISSN:02872552)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.63-77, 1975-02
著者
岡本 仁宏
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究においては、公益法人の政治活動規制の規範はどのようであるべきかについて探求している。このため、本年度に至るまで、持続的に、第一に、日本NPO学会において、諸外国での規範の状態に関して、積極的に学会報告やセッション形成を行い、関連の研究者と交流しつつ知見を深めてきた。第二に、公益認定制度の実態と、その問題点の把握を行ってきた。さらに、第三に、時事的に関連する問題、特に公益法人制度と比較対象として重要な特定非営利活動法人制度も含めて、生起する諸問題に対して積極的に実態把握に努め、適宜その成果を発表してきた。これらの過程での研究成果については、別途成果リストを参照されたい。主たる知見としては、政治活動の概念における、選挙活動とそれ以外の活動を類型化したうえで、それぞれの特に英米法諸国における非営利公益団体に対する規制内容を把握した。具体的には、一般的には選挙活動に対する厳しい規制がなされている。しかし、それ以外のアドボカシー、ロビーイングについては一定の規制をしつつも緩やかに執行されているということができる。日本では、法人類型によって、この規制に大きな差異が存在しているが、その正当性については、十分に検討されていないことが明らかになった。なお、当初の研究計画にあった全国の公益認定等委員会(都道府県の場合には正式には合議制機関)及び行政庁に対する調査は、2018年度に持ち越されることになった。この理由は2017年度にも関係するが、2017年9月から大阪府の同委員会の委員長に就任したことから、業務との関係で、知見が深まっていることと職務上の守秘義務との関係で調査についての慎重な取り扱いが必要になったことによる。2018年度は最終年度に当たることから、これらの条件を踏まえつつも、計画された調査を実施し、さらにこれまでの学会報告を含めて成果としてまとめて公表していく予定である。
著者
佐々木 薫
出版者
関西学院大学
巻号頁・発行日
1999

博士論文
著者
孫 輝
出版者
関西学院大学
雑誌
KGPS review : Kwansei Gakuin policy studies review
巻号頁・発行日
vol.7, pp.25-42, 2006-10

本研究は広告に関する先行研究は今までどのような研究状況になるのかを目的として広告研究を支援する吉田秀雄記念財団の助成研究論文及び他の関連する研究に対する調査を行った。その結果,広告に関する国際比較研究は広告研究全体の数パーセントを占めている。比較対象とされた国は,欧米中では,アメリカが多かった。アジアでは,台湾と韓国が比較的多く選ばれている。ほぼ同様のテーマを,調査対象国を変えて研究するというようなパターンも多く見られた。日申両国間の国際比較研究は,媒体からすれば,テレビ・コマーシャルの比較研究は多いが,自動車広告の日中比較研究についてはは殆ど見られないということが明らかになった。
著者
松岡 克尚
出版者
関西学院大学
雑誌
関西学院大学社会学部紀要 (ISSN:04529456)
巻号頁・発行日
vol.99, pp.115-130, 2005-11-08

Empowerment is a concept that is indispensable to the theory and practice of social work for the people with mental illness. However, there have been criticisms in terms of postmodernism and disabilities studies that social work essentially has a concealed power structure. Therefore, with more support from social workers, clients become more dependent on them, resulting in a disempowered state. This study evaluates the role of social workers in the empowerment of the people with mental illness in terms of the association between "disabilities culture" and empowerment. Disabilities culture indicates the claim that the people with disabilities have their own culture. For the people with mental illness, establishing their own culture means nothing less than empowerment for themselves. The role of social workers is to make approaches so that the people with mental illness can create their own culture by self-empowerment and deepen exchanges with others who have disabilities. We then examine the issues inherent in such approaches.
著者
河合 淳子 松井 琴世 小原 依子 松本 和雄
出版者
関西学院大学
雑誌
臨床教育心理学研究
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.53-64, 2004-03-25
被引用文献数
2

本研究は,心臓音と笑い声という2つの音刺激を被験者に呈示することにより,音刺激聴取時における心身の変化を観察するものであった。それぞれの刺激による,生理反応と心理指標を用いて評定を行うことにより,生理的・心理的影響の変化を検討し,音刺激の精神生理学的研究を行うことを目的とした。本実験は,関西学院大学の学生28名,音楽系大学の学生5名(平均年齢21.4歳)を対象とした。実験では,効果音を集めたCDより選択した心臓音と,数人の人間が実際に笑っている声を録音した笑い声を呈示し,それぞれの音刺激聴取時と,安静(無音状態)時における生理反応を測定した。実験で測定されたのは脳波・筋電図・心拍・呼吸・皮膚電気反射・血圧であり,本研究では脳波・筋電図・心拍・呼吸・皮膚電気反射の指標を用いた。また,各音刺激呈示後に,音を聞いている時の気分について12項目,音を聞いている時の心身の自覚について10項目,音の印象について7項目の評定を求めた。各音刺激による生理反応について,中枢神経系である脳波においては,いずれの刺激においても,安静時と刺激呈示時の間でのα波の出現比率に有意な増加は認められなかったもの,β波には有意な増加が,θ波には有意な減少が認められた。呼吸は,安静時と心臓音呈示に有意な増加傾向が認められ,安静時と笑い声呈示には,有意な増加が認められた。皮膚電気反射では,安静と心臓音呈示に有意な減少が認められ,安静時と笑い声呈示には有意な増加が認められた。心拍では,安静時と心臓音呈示に有意な減少が,認められ,安静時と笑い声呈示にも有意な減少が認められた。頤筋においては,心臓音と安静時には有意な差は認められず,安静時と笑い声呈示に有意な増加が認められた。各音刺激においての心理評定では,音を聞いている時の気分においては,心臓音では,「気持ちがくつろぐ」の項目に最も高い値が得られ,笑い声では,「落ち着かない」「集中できない」の項目に高い値が得られた。音を聞いたときの心身の自覚においては,心臓音聴取時の自覚が快の自覚を表す項目に偏り,笑い声聴取時の自覚が不快の自覚を表す項目に偏った。また,心臓音呈示では,「眠くなる」の項目に最も高い値が得られ,笑い声呈示では,「目がさえる」の項目に最も高い値が得られた。音の印象においては,心臓音が,力強い,重々しい音であるという結果が得られ,笑い声が,騒々しく,鮮やかな音であるという結果が得られた。以上の生理指標と心理評定の結果により,心臓音は,α波の出現による「癒し」の効果は認められなかったものの,皮膚電気反射や頤筋の反応回数の減少による緊張感の減少や,音を聞いている時の気分で「気持ちがくつろぐ」という項目に高い値を示し,心身の自覚では快の項目に偏りを見せ,音の印象も肯定的なものであったことから,心身の安定を促し,気持ち落ち着かせる効果のある刺激であることが推察された。また,笑い声は,β波の増加やθ波の減少での覚醒水準の上昇や大脳の興奮性の高まりが顕著であり,頤筋や皮膚電気反射の反応回数増加で緊張感が増していることや,音を聞いている時の気分において「落ち着かない」「集中できない」に高い値をしめし,心身の自覚において不快の項目に偏りを見せ,音の印象においては,「騒々しい」に高い値を示していることから,緊張感を高める不快な刺激であったと推察される。本研究は,胎児が母親の胎内で聞く心臓の拍動音が,幼い子どもに対しても,「癒し」の効果が認められるのに対し,成人したものに対しても同様の効果が得られるのかを示唆したものであったが,今回の実験では,聴覚刺激のみでの実験であり,「癒し」の効果は認められなかった。しかし,心臓音には,心身の安定を促す効果が示唆されたことから,今後の研究において,実験の環境や,心臓音と共に何らかの刺激を与えることなどで,「癒し」の効果は認められると推察される。また,笑い声については,笑うことでの「癒し」の効果が報告されているが,笑い声という聴覚刺激のみでの効果に「癒し」の効果が認められるのかどうかを示唆したものであったが,笑い声刺激は被験者に不快感を与える結果となり,「癒し」の効果は得られなかった。また,笑い声を聞くことだけでは,被験者自身が笑うという効果は得られず,笑うことでの「癒し」の効果も得られなかった。以上のことより,「癒し」の効果は,単一の刺激のみで得られるものではなく,さまざまな要因が重なり合って得られるものであることが推察された。
著者
関根 康正 野村 雅一 小田 亮 鈴木 晋介 和崎 春日 近森 高明 北山 修 南 博文 Teasley Sarah Salzbrunn Monika 阿部 年晴 Gill Thomas 朝日 由実子 村松 彰子 西垣 有 内藤 順子 Subbiah Shanmugampillai 根本 達
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

現代のネオリベラリズムに抗してストリート人類学を確立することが本研究の目的である。そのためにストリート・ウィズダムとローカリティの生成の実態把握を行った。研究成果のキーポイントは、中心からの徹底した一元化としての「ネオリベ的ストリート化」が作り出す敷居(ストリートエッジやローカルエッジ)での創発行動の解明にあり、そこでは「自己が他者化」するという動的過程が必ず見いだされ、それを「根源的ストリート化」と概念化した。エッジを不安定とともに生きている人々は現代人の生の本質を映す鏡である。その状況は「人が生きるとは何か」という哲学的究極の問いを現実的に問う。その探求にストリート人類学の存在意義がある。

1 0 0 0 IR Energetik再考

著者
木村 直弘
出版者
関西学院大学
雑誌
人文論究 (ISSN:02866773)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.45-56, 1989-06
著者
菅田 浩一
出版者
関西学院大学
雑誌
英米文学 (ISSN:04246853)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.43-56, 2006-03-05

The Gothic novel is a literary genre which depicts taboos such as death, sexuality, violence and so on, stimulating a reader's five senses by aesthetic expressions of the sublime and the grotesque. I would like to discuss the notion of the sublime in this paper. There are five notions of the sublime. These are: the rhetorical sublime, the natural sublime, Burke's sublime, the Gothic sublime, and the sublime of terrorism. The notion of the sublime certainly had much to do with religious feelings until the beginning of the nineteenth century. There was a belief that the notion of the sublime would elevate humanity. However, its religious implications suffered a considerable shaking and depreciation in the Victorian Age and these implications have been more or less lost in the twenty-first century.