著者
熊谷 亮平
出版者
首都大学東京
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

次年度以降の「近代建築修復の技術知識基盤の体系化」に向けて、平成20年度の目的は海外先進国における修復の方法論・制度および事例についての概要を把握すること、また国内における近代建築修復の現状を把握することであり、以下の手順により研究を進めた。(1)日本の伝統的建物に関する修復制度の把握、および国内で手に入る文献を用いてフランスやドイツ等欧州の修復制度に関する文献調査を行った。また近代建築修復に関する海外刊行の技術文献の収集整理を行った。(2)国内における近代建築修復事例リストの作成を行った。具体的には、重要文化財指定の建物における修復の有無、また登録文化財や非指定建物を改修専門誌等から抽出し、修復事例のリストを作成した。(3)スペインのバルセロナを対象とし、修復の方法論・保存制度・アーカイブ・教育に関して公的機関に対するインタビュー調査および関連資料収集を行い、その実態を把握した。また、バルセロナにおける修復事例リスト作成及び事例調査(図面採集、現地視察)を実施した。(4)国内における近代建築修復事例調査を行い、その実態と課題を把握した。具体的には、戦前に建設された近代鉄筋コンクリート造建築および近代木造建築再生事例を対象とし、図面採集および設計者に対するインタビュー調査を行った。
著者
福士 政広 細田 正洋 杉野 雅人 南 一幸 古川 雅英 下 道國
出版者
首都大学東京
雑誌
小笠原研究年報 (ISSN:03879844)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.59-64, 2008-03
被引用文献数
1

東京都島嶼の環境放射線および環境放射能の調査を目的として、2006年8月28日から8月30日の期間で、小笠原群島の父島と母島の空間ガンマ線線量率、天然放射性核種濃度、ラドン(^<222>Rn)・トロン(^<220>Rn)散逸率および屋内ラドン濃度の調査を行った。小笠原群島の父島・母島の空間ガンマ線線量率は、27.7 nGy/h、35.4 nGy/hで全国平均50 nGy/h より低い値であった。天然放射性核種濃度は、父島:0.88% (^<40>K)、0.22 ppm (U)、0.26 ppm(Th)、母島:0.35 % (^<40>K)、0.15 ppm (U)、1.5 ppm (Th)であった。ラドン(^<222>Rn)・トロン(^<220>Rn)散逸率は、父島:検出下限値以下(^<222>Rn)、85 mBq・m^<-2>・s^<-1> (^<22O>Rn)、母島:3.8 mBq・m^<-2>・s^<-1> (^<222>Rn)、219 mBq・m^<-2>・s^<-1> (^<22O>Rn)であった。いずれも、我々が詳細なデータを有する伊豆諸島三宅島と比べると高値を示した。また、屋内ラドン濃度は、平均値で3.7 Bq・m^<-3>で、わが国の平均屋内ラドン濃度15.5 Bq・m^<-3>の24%程度であった。
著者
山崎 晴雄 鈴木 毅彦
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

海成段丘上に位置する孤立した短い活断層の成因を検討するため、日本各地の当該断層について、断層地形の特徴、運動様式、地質構造、地震活動等を考察した。その結果、1.沖合に存在する大規模な逆断層のバックスラストと、2.海岸沿いの基盤地質構造が、遠方の大地震や過去の環境条件の変化による応力集中によって再活動したもの、の2タイプの断層があることが判った。何れも起震断層として活動する可能性は考えにくい。
著者
真庭 豊 松田 和之 門脇 広明 片浦 弘道 丸山 茂夫
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

単層カーボンナノチューブ(CNT)の、分子数個分程度の小さな直径をもった空洞内部に、水や炭素のかご状フラーレン分子などを挿入して、その性質を調べた。水分子ではアイスナノチューブと呼ばれる特異な氷が形成され、その形成温度がCNT直径に対してどのように変化するかが明らかになった。また、CNT内部の水分子が雰囲気ガス分子と交換する交換転移が発見された。さらに、CNT内部におけるフラーレン分子の大振幅回転運動の存在や特異な水の誘電特性が明らかになった。
著者
木之瀬 隆 野村 みどり 大崎 淳史 木之瀬 隆 徳永 亜希雄
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

特別支援教育を推進するバリアフリー生活情報環境デザインのあり方に関する研究の目的は、わが国の障害児教育が従来の特殊教育から個々の教育的ニーズに対応する特別支援教育への大きな変革に合せて、養護学校のバリアフリー生活環境デザインのあり方についてハード・ソフトの両面を含めたグローバルで学際的視点から課題を明確にすることであった。研究は2部で構成され、研究Iは特別支援教育で重要となるインクルーシブ教育の実態把握としてノルウェー王国の調査を行いまとめた。ノルウェーでは、ノーマライゼーションの考え方と合せてWHO国際生活機能分類(以下、ICF)の障害観に基づく教育が展開されており、地域での障害者支援技術としてアシスティブテクノロジー(Assistive Technology : ATと略す)のサービスと合わせたサポート体制が整っており、特別支援学校の展開にソフト面として重要な情報を得ることができた。研究IIはノルウェーの特別支援教育プログラムを参考に日本の養護学校における環境面からのアプローチを検討し、千葉県立桜が丘養護学校の教室とトイレに天井走行式リフターを導入し「抱っこによる移乗」の改善を試みた。その結果、授業時間にリフターを活用した重度重複障害児の自宅にリフターを設置し、自宅における環境改善と家族の介護負担の軽減が大きく図れた。一方、千葉県立袖ケ浦養護学校では、寄宿舎にリフターを設置することで、介助者の安全性・身体的負担軽減に有効であった。また、浴室に設置したリフターは利用する児童にとって、入浴の楽しみと快適性を高めるQOLの向上につながった。また、自立活動室にリフターを設置し、授業中のリフター活用で教諭の腰痛予防に配慮した安全性向上による移乗動作の獲得と自立活動の歩行補助用具としてのリフター活用の可能性を評価することができた。今後の課題としては、社会資源の活用を含めたバリアフリー生活情報環境のリソースセンター機能の構築が必要である。また、教育場面では教諭を中心とした、関連職種による支援体制整備と「個別の指導計画」の中に、ICFの視点から、児童の学校生活、自宅生活、卒業後の自立生活を視野に入れた、環境面からの目標を導入することが挙げられる。
著者
須貝 杏子
出版者
首都大学東京
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

海洋島で一般的にみられる進化現象の1つとして,異なる生育環境への適応を伴う生態的種分化が挙げられる.生態的種分化は,地理的障壁による隔離がない状況下で,異なる生育環境間での分断化選択と同系交配を促進する交配前隔離によって引き起こされると考えられている.小笠原諸島は東京から約1,000km南に位置する海洋島であり,個々の島の面積は比較的小さいが,複雑な地形に対応して様々な植生がモザイク状に配置し,複数の生物群において生態的種分化が報告されている.小笠原諸島に固有なシマホルトノキは,湿性高木林から乾性低木林まで幅広い環境に生育しているが,これまでに環境ごとの形態的差異などは報告されていなかった.本研究では父島列島のシマホルトノキ11集団337個体を用いて,24遺伝子座のEST-SSRマーカーによる集団遺伝学的解析を行った.さらに,父島の4集団において,開花期調査と土壌水分量,植生高の測定を行った.その結果,父島列島内における生育環境間(湿性高木林と乾性低木林の間)の集団間の遺伝的分化(0.005≦F_<ST>≦0.071)は,同一生育環境内の集団間の遺伝的分化(0.001≦F_<ST>≦0.070)より大きいことが分かった.さらに,遺伝的に分化したグループ間では,開花期にずれがあり,土壌水分量と植生高にも差がみられた.これらのことから,父島列島では,シマホルトノキの遺伝的に分化した2つのグループが側所的に分布しており,それらのグループ間では開花期のずれにより遺伝子流動が制限されていることが明らかになった.シマホルトノキは,種分化の初期段階にあると考えられる.
著者
千葉 龍介
出版者
首都大学東京
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

近年,自律ロボットによる家庭内・オフィス内作業が達成されつつあるが,未だその作業効率には疑問が残っており,適切なロボットの行動計画を行う必要がある.本研究では,家庭内・オフィス内という未知・動的な環境で高効率かつロバストな行動を達成するため,ロボットの行動計画法の提案を行う.家庭内での掃引作業を例に採り,遺伝的プログラミングにより高効率性を,遺伝的アルゴリズムによりロバスト性を獲得する.これらを同時に行うための競争的共進化手法を提案し,シミュレーションによりその有効性を検証する.
著者
木村 光江 前田 雅英 亀井 源太郎 堀田 周吾
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究では,来日外国人犯罪の現状の把握と対策,出入国管理の変遷,来日外国人犯罪における国際協力のありかたを検討した。その結果,(1)出入国管理体制の変化に伴い,外国人人口が急増し,それに伴い不法滞在者が増加し,入管法違反のみならず刑法犯も増加したこと,(2)来日外国人犯罪の増加が特に著しかった地域は,外国人就労者を多く雇用している企業が集中している地域であったこと,また(3)捜査共助,犯罪人引渡も相当数行われていることが明らかとなった。
著者
梅村 絢美
出版者
首都大学東京
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本研究の目的は、インド伝統医療アーユルヴェーダの世界拡張の状況を、治療を受ける患者に焦点を当てることで、患者の身体上から見えてくるグローバル化について明らかにすることを目的としている。本年度は、最終年度であり、本研究課題の理論的枠組みを完成させるに十分な調査データを収集することに努めた。7月から半年間のスリランカ調査を行い、インドから伝えられたアーユルヴェーダが、スリランカにおける土着の伝統医療やその他の伝統医療と融合あるいはそれらを侵食していく状況を、現地で収集した歴史文献やアーユルヴェーダ大学における伝統医療の教育実践の現場の調査から明らかにした。こうした社会的背景を明らかにする傍ら、農村地域において地域共同体に埋め込まれた伝統医のもとで調査を行い、患者一人ひとりへのインタヴュー調査から、西洋医療やアーユルヴェーダ、スリランカ土着の伝統医療など、さまざまな医学がひとりの患者の身体に、さまざまなアプローチをしていることを明らかにした。また、スリランカ独自のカタワハと呼ばれる言霊信仰が、医師と患者とのあいだの言語コミュニケーションや、診断結果の言語化を忌避させる原因として作用していることも明らかとした。本研究の学術上の意義は、患者の身体を基点とした伝統医療のグローバル化の状況の記述およびその理論的枠組みを提示した点にある。また、社会的な意義は、今日の日本社会における医療がおかれた状況は、医療訴訟などの増大に伴い、医療実践の数値化・言語化への強迫観念的とも言える志向がみられるが、本研究が提示したスリランカの事例は、言語化を忌避するという正反対の志向がみられる。こうした事例から、インフォームド・コンセントをめぐる是非など、さまざまな問題領域における考察の道筋が開かれることが期待できる。今後、スリランカで得た事例をより入念に熟慮したうえで、日本社会における医療をめぐる問題についても考察を行なっていきたい。
著者
堀越 和夫
出版者
首都大学東京
雑誌
小笠原研究 (ISSN:03868176)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.129-134, 2008-03

1982年調査で記録されたミナミトリシマヤモリPerochiryu ateles及びオガサワラトカゲCryptoblepharus boutonii nigropunctatusの生息を確認した。ミナミトリシマヤモリの生息場所が海岸部樹林であることが発見された。他種の爬虫類および両棲類は確認されなかった。
著者
朱宮 丈晴 高山 浩二 藤田 卓 加藤 英寿
出版者
首都大学東京
雑誌
小笠原研究 (ISSN:03868176)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.63-87, 2008-03

南硫黄島における垂直分布に沿った温度・湿度と上壌環境といった環境要因、群落組成と構造の変化および相互の対応関係を解析した。調査期間中(2007年6月19日〜25日)の気温の平均値から逓減率を求めたところ標高500m以上の3つの地点で湿潤断熱減率(0.47℃/100m)を示した。また、5%ごとの湿度の測定値頻度を求め、標高別にみてみると、標高500m以上の3つの地点で95%〜100%の頻度が最も高かった。ただし、山頂部は強風の影響で雲霧の発生が不安定であると考えられ747mと比較して湿度の変動係数が大きかった。12cm (45.8%)、20cm (40.8%)における表層土壌の土壌水分は山頂部で最も高かった。こうした環境に対応して木本層(胸高1.3m以上)、草本層(胸高1.3m未満)、着生層の群落組成と構造を解析した。クラスター分析によって木本層の群落はP1(911m)〜P3(521m)、P4(375m)、P5(59m)という3つのグループに区分され、雲霧林が一つのグループとして区分できた。ただし、P1、P2ではコブガシ、エダウチヘゴが共優占していたが、P3はコブガシだけが優占していた。これは雲霧林内では常緑広葉樹の成長が抑制されためシダ植物が林冠構成種として共存しているのかもしれない。また、着生層の種数は標高が減少するとともに急激に減少した。群落構造は山頂部で最大直径が大きく、最大樹高は減少しており、強風などの影響が考えられた。着生層種数/総種数(0.56〜0.40)、着生層種数/草本層種数(0.88〜0.55)から500m以上の雲霧林では、各着生層種数比が高かった。したがって、林床が暗く、空中湿度高い雲霧林では草本層より着生層の発達が著しいと考えられた。
著者
小島 広久
出版者
首都大学東京
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

インフレータブル構造物の展開確実性,剛性などの向上を目的とし,昆虫の翅脈構造を模擬した膜面構造を作成,翅脈部分相当のチューブの各種パラメータ,膜面の折り畳み方を変化させ,展開特性や展開復元力などを実験的に調査し,以下の成果を得た.展開終了時間は流入流量に逆比例する.チューブ分岐角が小さい場合,膜面の両端には張力が生じず,端部分はたわむ.展開復元力はチューブ幅のおよそ3乗に比例する.ミウラ折りの膜面は膜面全体が同時に展開する.折り畳み方は流量と内圧の時間履歴に殆ど影響を与えない.昆虫の翅を模擬した膜面の展開は成功した.
著者
ハサンティカ ウィラシンハ ディリニ
出版者
首都大学東京
巻号頁・発行日
pp.1-221, 2017-03-25

首都大学東京, 2017-03-25, 博士(日本語教育学)
著者
花田 智
出版者
首都大学東京
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2017-06-30

今までアンモニアから亜硝酸・硝酸への酸化は硝化細菌によって酸素存在下で進行するプロセスと考えられてきた。しかし、酸素非発生型光合成細菌は亜硝酸だけではなくアンモニアも光合成電子伝達の電子供与体に成り得ると考えられるが、アンモニアを嫌気的に酸化できる酸素非発生型光合成細菌は未だ発見されていない。本研究において海洋や温泉といった環境から無酸素条件下でのアンモニア酸化能を有する海洋性または好熱性の酸素非発生型光合成細菌の培養に成功した。これら細菌のアンモニア酸化に伴う中間産物が何であるかは明らかとなってはいないが,世界で初めての培養例であると言える。
著者
川野 真樹子
出版者
首都大学東京
巻号頁・発行日
pp.1-58, 2017-03-25

首都大学東京, 2017-03-25, 修士(文学)
著者
浅利 みなと
出版者
首都大学東京
巻号頁・発行日
pp.1-78, 2019-03-25

首都大学東京, 2019-03-25, 修士(哲学)
著者
李 永根
出版者
首都大学東京
巻号頁・発行日
pp.1-70, 2014-03-25

首都大学東京, 2014-03-25, 修士(工学)