著者
遠藤 光一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.221-226, 1997

二級河川夏井川の中流部に位置する磐域小川江筋取水堰 (福島県いわき市) は1654 (慶安4) 年に築造され、河川の曲線部で平面的には斜形、縦断的に多段式、構造的に木工沈床という国内に現存する数少ない大規摸な「斜め堰」であり、歴史的にも最も古いものである。これをケーススタディーとして、史料や「斜め堰」の類似例 (第十堰吉野川 (1752) 年、山田堰筑後川 (1790) 年) から河川工学的に比較評価し、流れを見極め、流れに逆らわない河川構造物の設計視点を提言したい。
著者
五島 寧
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.93-104, 1993-06-01 (Released:2010-06-15)
参考文献数
44

本論文は, 李氏朝鮮王朝時代からの既存の都城であった「京城」(現: ソウル) が日本帝国の植民地統治下において, 物理的あるいは空間的にどのように変容したのかという点を, 街路整備の観点から明らかにすることを目的としている。植民地時代の朝鮮半島の都市建設については, 全体を総括した既存研究が存在するが, 具体的な整備の展開について平面図上での検討は省略されているため, 本研究では街路整備の面的展開を明らかにし, 土地利用の変化から街路の機能の変化を考察した。結果として, 既存大街路の, 形態に担保された機能の積極的活用と展開, 及び事業費低減の取り組みの中での既存細街路の消極的利用を示した。
著者
房前 和朋 竹林 征三
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.627-636, 1996-06-05 (Released:2010-06-15)
参考文献数
18

Before developing the machine construction, construction works depended on humanpower. The “Songs of labor” was indispensable to achieve simple and hardconstruction works. This paper studies the history of ramming which is the basic and important process for levee constructions from the “Song of labor”, or, “Pontsuki song” points of view. Ramming instruments had been heavier afterimprovements, therefore many people needed to ram together. According to that, the songs of labor had also changed. Many labor songs has disappeared nowadays, but some songs such as “Tankai-bushi” and “Hanagasa-ondo” has become local folk songs and been sung by many people even now. In this study we collect 70 labor songs used all through Japan for levee construction, clear the relations between the distribution of labor songs and construction methods, and discuss the value of the “songs of labor”.
著者
大石 希 浅岡 朝泰 高木 朗義 北浦 康嗣
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.67_I_197-67_I_208, 2011

プロサッカーチームはJリーグが掲げる百年構想に従い,サッカー以外の活動を行うことで,地域の魅力向上など地域活性化に貢献している.その一方,チーム運営には厳しい現状があり,プロサッカーチームの存在意義が問われている.本研究ではプロサッカーチームがもたらす市場価値のみならず,非市場価値を評価し,プロサッカーチームが地域活性化に貢献していることを明らかにする.具体的には,FC岐阜に対するアンケート調査を実施し,大分トリニータのデータも用いて,CVMや機会費用,消費者余剰法によりプロサッカーチームによる地域活性化の便益を評価する.その結果,試合開催時における便益以外にも,生涯体育や社会貢献などの地域貢献活動に対する便益が小さくないことを示す.
著者
小野田 滋
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
日本土木史研究発表会論文集 (ISSN:09134107)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.115-122, 1986-06-25 (Released:2010-06-15)
参考文献数
21

First derrick car called SO-1 type was designed for bridge erection by Japanese Government Railways, and 6 units of them had been built from 1920 to 1927. This derrick car was capable of erecting up to 70ft span and 28ton weight class plate girder bridge. Though based on the past similer idea, the car was an original one for railway use, and it contributed very much to construction of railway network at that time. This erection method was characterized in that it made the bridge erection safer, faster and more economical than the former staging erection. But it retired about 1960', because a new bridge erection has been developed thereafter, and a new derrick car SO-200 type appeared in 1960. This paper discribes a history of the first derrick car for bridge erection.
著者
森杉 壽芳 林山 泰久
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.440, pp.71-80, 1992-01-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

本研究は, 現代的手法である費用便益分析を応用して, 明治・大正期鉄道網形成の国民経済的便益を計測することを試みた. 本研究の対象とする便益は, いわゆる直接効果である輸送時間・費用の節約のみならずその波及効果をも含み, 波及効果はGNPへの貢献である所得の増大効果のみならず, 鉄道網整備により便利になったことによる国民の福祉向上を貨幣タームで表現した福祉効果を計測している.
著者
久我 尚弘 根本 文夫 中山 等 日紫喜 剛啓
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.403, pp.219-228, 1989-03-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
8

The Yobuko-Ohashi Bridge, located in Yobuko Town, Saga Prefecture, is a 3-span continuous prestressed concrete cable-stayed road bridge with a center span of 250m, which connects an isolated island, Kabejima Island, to Kyushu. It is the longest-span concrete bridge in Japan. In construction of the superstructure, the girders were constructed by cast-in-place balanced cantilever method using travelers. And the deflection of girders, tensile forces in stay cables and stresses in girders, which are essential for prestressed concrete cable-stayed bridges, were monitored and adjusted rationally and promptly with the help of a new system using microcomputer. This report outlines the system used in this bridge construction project.
著者
榎本 拓真 中村 文彦 岡村 敏之
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.385-394, 2008-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
17
被引用文献数
2

本研究では, 近年, 導入が進む大型SCの公共サービス機能の導入の中で, 特にアクセス公共交通導入に着目し, アクセス費用のモード問比較, 買物行動の実態評価を通じ, 郊外大型SCのアクセス公共交通導入実態と, 郊外大型SCへの公共交通乗り入れによる地方都市における買物行動の手段転換可能を明らかにした. 結果として, 郊外大型SCへのアクセス公共交通は, 多様な導入形態があり, 高いLOSを担保する事例も確認した. さらに, 買物行動の実態分析と自動車とのアクセス費用比較から, アクセス公共交通の優位性は認められず, チョイス層でも買物行動時の自動車利用が固定化し, 所要時間が公共交通より長くても自動車を選択する傾向を示し, 手段転換が困難であることを示した.
著者
稲垣 具志 寺内 義典 橘 たか 大倉 元宏
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.I_933-I_941, 2014

これまで,通過交通が問題となる生活道路では,抜け道利用者に着目した交通安全対策が多く実施されてきた.本稿は,抜け道利用者ではない地区関係者の走行速度に着目し,抜け道利用者の速度との傾向の違いについて明らかにすることで,地区関係者向けの安全啓発・教育を実施する意義について検討することを目的とする.東京都内の2地域を対象としてナンバープレート調査と走行速度調査を同時に実施し,地区関係者と抜け道利用者別の走行速度分布を取得した.これらを比較したところ,地区関係者には抜け道利用者と比べて低速走行する傾向が一部確認できたが,地区関係者においても生活道路を高速走行する運転者が無視できない程度に存在し,地区関係者を対象とした速度低減対策を構築する必要性が示された.
著者
原口 泉
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.623-628, 1997-06-05 (Released:2010-06-15)
参考文献数
10

鹿児島市の甲突川に架かる五つの石橋、150年にわたって鹿児島の歴史的景観を形作ってきた4連、5連の石橋群は、本年1997年1月までに完全撤去された。そして五大石橋と同時期に架けられた甲突川最後の石橋、河頭太鼓橋も本年秋から冬にかけて撤去される運びとなっている。本稿では、河頭太鼓橋の歴史的、文化的価値について論じつつ、石橋撤去の持つ意味を提起したい。
著者
田中 皓介 中野 剛志 藤井 聡
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.I_353-I_361, 2013

人文社会科学において,"物語"は,人間,あるいは人間の織り成す社会の動態を理解するにあたって重要な役割を役割を担うものと見なされてきている.それ故,人間や社会を対象として,公共的な観点からより望ましい方向に向けた影響を及ぼさんと志す"公共政策"においても,物語は重大な役割を担い得る.また公共政策の方針や実施においては,マスメディアが少なからぬ影響を及ぼしていることが十二分に考えられる.ついては本研究では,現在の日本において,政策が決定,採用されてきた背景を把握するにあたり,新聞の社説を対象とし,新聞各社に共有されている物語を定量的に分析することとする.
著者
野口 竜也 西原 正典 西田 良平
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
地震工学論文集 (ISSN:1884846X)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.206-213, 2007 (Released:2010-11-22)
参考文献数
8

鳥取県内の50観測点で得られた 1464地震 (延べ 4833個) の計測震度データの分析を行った. 各観測点において, 距離減衰式による推定震度と観測による震度の差の平均を求め, 地盤増幅による増幅効果の指標とした. この指標と地盤特性を比較し関係を調べた. 地盤の深さ 30mまでの平均 S波速度 (AVS30) とは良い相関がみられ, AVSが小さいほど揺れやすい地点である関係がみられた. より深い地盤構造を反映している重力異常との比較では, 特に相関がみられなかった. また, 従来から境港市の近接 2地点で震度差が生じる地点においては, AVS30がほぼ同じあるにも関わらず, 今回の分析による増幅効果の指標においても同様な差異がみられた.
著者
兵頭 知 吉井 稔雄 高山 雄貴
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.I_1027-I_1033, 2015

時間的に明るさが変化する薄暮/薄明,空間的に明るさが変化するトンネル周辺などの状況下では,視環境に影響を与えることから事故発生リスクが高くなることが想定される.そこで,本研究では,走行時間帯における明るさおよび走行時において空間的に変化する明るさが交通事故発生リスクに与える影響を明らかにする.具体的には,2007年~2010年における4年間に四国の高速道路において記録されたデータを用いて,ポアソン回帰モデルを用いた事故発生リスク要因分析を行う.分析の結果,夜間時において有意に事故発生リスクが高まること,昼間時・薄明時のトンネル出口部において物損事故発生のリスクが高まることなどの知見を得た.
著者
馬場 俊介
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.205-218, 1994-06-09 (Released:2010-06-15)
参考文献数
7

木曽川・読書発電所の建設工事用の吊橋として1922年に架設された桃介橋は、4径間、全長247m、わが国に現存する最大・最古の木製補剛吊橋である。桃介橋は1978年の被災以降は放置されてきたが、1992年度の自治省の「ふるさとづくり特別対策事業」による起債を用いて修復・復元が進められた結果昔日の姿を取り戻し、1993年10月17日2度目の渡り初めが行われた。土木史的な観点から見た桃介橋の意義は、「文化財にふさわしい復元」のあり方を、近代土木構造物に対し初めて正面切って論じた点にある。吊橋のような複雑な構造物の場合、力学的な安全性の照査は多枝にわたり、しかも荷重、形状・寸法、発生応力は互いに線形関係にない (少しでも前提が変われば全て再計算となる) ことから、中間段階での安全性照査はどうしても簡略計算に頼らざるを得ない。桃介橋の保存・修複に係わる委員会では、こうした推定値に従って修復方針を決定し、それを受けてより正確な推定値が計算され、さらに異体的な修復工程が詰められていった。本論文では、こうした力学的な検討の変遷を詳らかにすることにより、技術的検討のもつ重要性とそれに伴う責任の重さについて分析を加える。
著者
三上 卓 君島 康太 時沢 英明 笹田 修司
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.661-668, 2009

平成16年に発生した新潟県中越地震では,約1万7千世帯の家屋が全半壊し,ピーク時には約10万人が避難所を利用していた<SUP>1)</SUP>.一方で,避難所での生活を避け,自家用車内で生活し,エコノミー症候群によって亡くなる人が出るという事態が生じた.その理由の一つとして,避難所の設備等に不十分な点が挙げられる.本研究では,避難所設備の重要度をアンケート調査から設定し,重要度に応じて避難所設備の現状を評価した.さらに,その結果に基づき避難所設備の効率的な改善方法を検討した.
著者
木村 功二 藤井 滋穂 田中 周平 邸 勇 野添 宗裕
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
環境工学研究論文集 (ISSN:13415115)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.301-308, 2008-11-28 (Released:2011-06-27)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

本研究では、近年注目を集め始めている残留性有機フッ素化合物PFOS、PFOAおよびその類縁化合物6種類に着目し、粉末活性炭による吸着除去特性を検討した。単成分系での各物質の吸着特性は、炭素鎖が長いものほど高く疎水性による吸着である可能性が示唆された。吸着平衡定数KはPFOS: 198.19、PFOA: 64.97であった。8成分混合系ではPFDA、PFDoA、PFOSの3種類で吸着性が高く、単成分系と比較して吸着量が20%しか低下せず、他のPFHxA、PFHpA、PFOA、PFNA、PFHxSでは50-90%低下した。琵琶湖水を溶媒とした8成分混合系では、溶存有機物に吸着が阻害されPFOS、PFHxSで超純水中と比較して除去率が約60%低下し、PFHxA、PFHpA、PFOA、PFNA、PFDA、PFDoAでは不規則な濃度変化を示しほぼ除去されなかった。
著者
福島 二朗 西片 守
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
日本土木史研究発表会論文集 (ISSN:09134107)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.289-294, 1985-06-25 (Released:2010-06-15)
参考文献数
25

本研究は、大化改新から江戸時代までの東山道をとりあげ、その果たしてきた役割を時代ごとに明らかにすると共に、地方の地域社会発展にどのような影響を及ぼしたかを、栃木県足利市を例としてとりまとめたものである。今回は第一回目の報告として、大化改新から平安時代までをとりあげたが、この時代における東山道は国家統一・中央集権的支配体制の確立を目的としたものであり、その機能は次の3項目に大別することができる。1. 東国以東の地域を中央支配体制の中に組み入れるための軍事的目的2. 中央の経済基盤を固めるための物資 (調庸) 輪送3. 精神的支配を目的とした仏教の普及本稿では、この3つの機能についての裏付けを、古代政治・制度等との関わりから明らかにすると共に、中央と地方との媒介としての東山道によって、その経路に位置した足利がどのような変貌を遂げていったかを述べた。
著者
福島 二朗 西片 守
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
日本土木史研究発表会論文集 (ISSN:09134107)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.103-109, 1986-06-25 (Released:2010-06-15)
参考文献数
14

本研究は、京と東国との大動脈であった東山道をとりあげ、古代から近世に至る間、その果たしてきた役割を時代ごとに明らかにすると共に、地方の地域社会発展にどのような影響を及ぼしたかを、東山道の経路に位置した栃木県足利市を例として考察したものである。今回は第2報として鎌倉~室町時代をとりあげたが、この時代は前代までの皇室・公家政権から武家政権へと移行した時代であり、鎌倉に幕府が置かれたことによって、従前の京都周辺に集中していた政治・経済・文化・交通が、鎌倉をも円心として二元化された時代であった。律令制下においては主に国家への貢納物輪送として使われてきた東山道は、中世に至って、荘園年貢物の輪送、さらに中央諸都市の発達と地方の領主層の成長に伴う地方産業の勃興により、商品輪送路としての役割を果たしたのである。又、前代末期に興った新仏教である時宗や禅宗が東漸したのもこの時代である。このような状況の中足利は、前代の郡衙・駅家が位置し東山道が近傍を通っている周辺に寺院が建立され、又市が立つなど、この地方の主邑として発展してきたが、このことは東山道を媒介とした文化や技術の伝播・交流が繁く行われてきたことを物語っているものと思われる。本稿ではこれらについて詳述した。[中世・道路・地域開発]
著者
小川 進 清原 徹也 阿部 忠行
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.520, pp.135-141, 1995-08-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
25
被引用文献数
3 1 8

街路景観の定量的評価をフラクタルにより試みた. 景観の評価は色彩と形態の2因子で行い, いずれもフラクタル次元を算定した. この結果, 街路景観のフラクタル次元は色彩と形態のいずれも自然景観よりも高く, かつフラクタル性 (相関係数) が低いことが判明した. さらに, CADにより環境調和を考慮した街路景観の修景設計を試みたが, フラクタル性は環境調和を定量的に評価しうる量と考えられる.