著者
長谷川 彩子
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2021-IOT-55, no.8, pp.1, 2021-08-30

高度な ICT 技術が実システムに導入される一方で,それら技術の意図とユーザの認識・行動との間に齟齬があることが技術誤用の要因や技術普及の阻害要因となっている.ユーザブルセキュリティ・プライバシーと呼ばれる研究分野では,ICT 技術のセキュリティ・プライバシー側面に対するユーザの認識・行動を理解してその知見を実システムに反映する研究が行われている.当該研究分野は,セキュリティ・プライバシーの最難関国際会議における採択本数が増加するなど,その重要性が認識され存在感が増している.本講演では,当該研究分野の概要を紹介し,当該研究分野の技術が実システムや実社会を改善する可能性について議論する.また,講演者のこれまでの研究事例を通じて,当該研究分野の方法論を紹介する.具体的には,オンラインアカウントに対するユーザのプライバシー認識,およびフィッシング攻撃に対するユーザのセキュリティ行動に関する研究事例を取り上げる.
著者
坂本 篤裕 清水 淳 鈴木 規仁 松村 純也 小川 龍
出版者
The Japanese Society of Intensive Care Medicine
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.15-19, 2001-01-01 (Released:2009-03-27)
参考文献数
29
被引用文献数
2 2

エンドトキシンショック時には,誘導型一酸化窒素合成酵素による一酸お化窒素(NO)の過剰産生とともに,誘導型ヘムオキシゲナーゼによる一酸化炭素(CO)の過剰産生が病態進展に重要な役割を担うことが示唆されている。NOとCOはともにグアニリルシクラーゼのヘム分子に結合し,cGMP増加による血管平滑筋弛緩作用を示すとされるが,その結合の競合作用や,産生酵素活性の抑制作用などの相互調節機構も存在することが示されている。一方,リポポリサッカライド(LPS)などの過剰な刺激における両者の相互影響や病態進展への役割については不明であり,本研究ではラットエンドトキシンショックモデルにおいてnitrosyl hemoglobin (NO-Hb)およびcarboxy-hemoglobin(CO-Hb)を指標に,それぞれの合成酵素阻害薬であるL-canavanine(CAN)およびzinc protoporphyrin (ZPP)による影響を血圧変動とともに検討した。LPSの投与により経時的血圧低下とNO-HbおよびCO-Hbの増加を認めた。CANおよびZPPはともに血圧低下抑制効果を認めたが,CANはNO-Hb増加のみを,ZPPはCO-Hb増加のみを抑制した。致死的エンドトキシンショック時にはNO産生系とCO産生系抑制はともに血圧低下抑制に有用であるが,それぞれの産生酵素阻害薬の効果からみた場合,生体調節機構に有用と考えられる相互作用は認められなかった。
著者
青木 学聡
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2021-IOT-55, no.7, pp.1-5, 2021-08-30

研究データ管理 (Research Data Management,RDM) は,研究の開始から終了までを通じ,どのような研究データをどのように扱うかを定め,これを実践することである.この中には,研究データの入手,保存,共有,公開,破棄といった,研究データに対するあらゆる操作が含まれるが,多くの場合,これらは研究者毎の裁量下において選択されている.この一方,今日のオープンサイエンスの浸透,学術機関におけるガバナンス強化を背景とし,組織単位での RDM 手法の統一,共通化が求められている.組織単位での RDM 支援サービスの導入は,組織と研究者の意向,費用対効果等,様々な対立軸が存在し,これらのギャップを明確にしながら,組織と研究者の合意点を探る必要がある.本稿では,組織が RDM 支援サービスを導入する場合に想定するビジネスモデルの考え方,またこれを実現するためのエンタープライズアーキテクチャの構成方法について検討する.
著者
荒井 克一
出版者
日経BP社
雑誌
日経情報ストラテジ- (ISSN:09175342)
巻号頁・発行日
vol.13, no.7, pp.26-30, 2004-08

今年3月、キリンビールのCIO(情報戦略統括役員)兼CFO(最高財務責任者)から現職に。グループ力を生かして、当面の目標である「2006年、5000億円企業」の実現を目指す。主力商品を「生茶」「午後の紅茶」「アミノサプリ」「FIRE」の4本柱から6本柱に増やせるかどうかがカギだ。●キリンビールのCIO兼CFOからキリンビバレッジの社長に就任して2カ月余りたちました。
著者
髙島 周志 竹中 博美 泉 由紀子 齋藤 伸一 住谷 哲 中村 秀次 佐藤 文三
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.44-49, 2010 (Released:2013-02-28)
参考文献数
20

目的:非アルコール性脂肪性肝障害(Nonalcoholic Fatty Liver Disease:以下,NAFLD)の患者の多くでインスリン抵抗性を示すことが報告されてきている.しかし,インスリン抵抗性がNAFLDの原因なのか結果なのか,脂質代謝に如何に関与するのか,抵抗性がインスリン作用発現機構のどのステップで生じているのか等は不明な点が多い.今回我々は人間ドック受診者を対象に,NAFLDにおけるインスリン抵抗性が生じる機構について検討した.方法:当センターを2008年に受診した3,698名の中で,アルコール飲酒の習慣がなく,糖および脂質に関する薬を服用していない男性521名,女性575名を対象とした.インスリン抵抗性の指標としては,糖代謝関係のHOMA-Rと,脂質関係のTG/HDL-Cを用いた.脂肪肝の有無は腹部超音波検査で判定した.結果:HOMA-R値上昇とともに脂肪肝の発生頻度も上昇した.一方TG/HDL-C値上昇とともに脂肪肝の発生頻度も増加し,ROC解析でTG/HDL-C値はHOMA-Rと同等の脂肪肝検出能を持っていた.結論:NAFLDの発生頻度はHOMA-R値上昇につれ増加し,インスリン抵抗性はNAFLDの病態に関与することが示唆された.また,インスリン抵抗性はレセプター以降の,糖質制御経路と脂質制御経路の分岐以降で生じていると考えられた.
著者
木下 徹 藤井 健志
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.8-17, 2019 (Released:2019-07-20)
参考文献数
23
被引用文献数
2 3

高齢化社会の大きな問題のひとつに認知症がある。近年のコホート研究において,血中コエンザイムQ10(CoQ10)濃度が高い者ほど認知症発症リスクが低いとの結果が報告されている。本研究では地域住民を対象とし,ユビキノール(還元型CoQ10)の摂取による血清ユビキノール濃度および認知機能の変化を評価した。愛媛県上島町在住で,1日100~150mgのユビキノールを6か月~2年間継続摂取した61名(男性26名,女性35名,33~87歳)について,摂取前後での血清ユビキノール濃度及び1分間のDigit Symbol Substitution Test(DSST)スコアを評価した。さらに,3か月間の非摂取期間後の血清中ユビキノール濃度とDSSTスコアについても分析した。ベースラインにおいて,年齢とDSSTスコアは強い負の相関を示したが,血清ユビキノール濃度とDSSTの間には有意な相関は認められなかった。ユビキノールの長期摂取により,血清ユビキノール濃度は有意に上昇し,DSSTスコアも有意に上昇した。また,3か月間の非摂取期間後,血清ユビキノール濃度はベースライン値まで有意に低下したが,DSSTスコアについては有意な変化は見られず高い値が維持された。本研究は単群試験であり結果の解釈には留意が必要であるが,ユビキノールの長期摂取によって認知機能が改善する可能性が示された。
出版者
日経BP社
雑誌
日経X trend : 新市場を創る人のデジタル戦略メディア (ISSN:24340219)
巻号頁・発行日
no.36, pp.34-39, 2021-04

午後の紅茶の好意度が急上昇したのは、ブランドのパーパスブランディングが奏功しているからだと同社では見ている。キリンビバレッジは19年から、ブランドのパーパス(社会的な存在意義)を打ち出し、ユーザーの共感を得て好意度を高めていくパーパスブラン…
著者
加藤 悠宇汰 大場 春佳 水野 信也
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2021-IOT-55, no.6, pp.1-6, 2021-08-30

新型コロナウイルスの蔓延により,世界中でウイルス感染防止の施策が行われている.コロナ禍以前は,混雑が発生した場合,人の密集は当然のことと認識されていたが,現在は人の密集を発生させない取り組みをしなければならない.しかしながら,建造物や施設構造の変更は容易でないため,人の動線の分散や滞在時間の短縮などで,密集を防ぐ必要がある.適切な施設内での密集回避のためには,現実的なシミュレーションで評価を行う必要がある.混雑度を評価する手法に待ち行列理論があるが,待ち行列理論およびそのシミュレーションは,人と人との間隔,待ち行列と建物構造との関係,経路上の混雑を考慮していない.そこで,本研究では,施設密集度を定義して,待ち行列シミュレーション上に実在する施設環境を取り込み,待ち行列理論では確認することができない混雑や密集を施設密集度として評価できるシミュレーション環境を提案する.これにより,今後の社会に必須となる施設密集度を実モデルとして評価でき,社会にフィードバックできると考えられる.
著者
富山県統計調査課
出版者
富山県
巻号頁・発行日
vol.平成28年, 2018-03

1 0 0 0 OA 法令全書

出版者
内閣官報局
巻号頁・発行日
vol.明治34年, 1912
著者
高橋 徹
出版者
一般社団法人 日本エンドトキシン・自然免疫研究会
雑誌
エンドトキシン・自然免疫研究 (ISSN:24341177)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.62-65, 2018 (Released:2018-11-22)
参考文献数
6

HSR incites pulmonary inflammation that leads to acute respiratory distress syndrome (ARDS). However, there have been no definitive pharmacological therapies against ARDS. CO is a toxic gas due to the generation of carboxyhemoglobin (COHb). However, trace amount of CO is endogenously produced by the enzymatic reaction of heme oxygenase-1 (HO-1) that is induced by oxidative stress to confer protection against various inflammatory disorders. Recent studies have indicated that low dose of CO exerts potent cytoprotective effects on inflammatory organ damage in animal models by its anti-inflammatory property. We also demonstrated that CO inhalation at 250 ppm ameliorated HSR-induced pulmonary injury in rats. However, this dose of CO increased blood COHb level to approximately 20% that may be toxic to humans. Very recently, to overcome the disadvantage, CORMs have been developed by coordinating CO with a transition metal carbonyl complexes. Among various types of CORMs, CORM-3, a water-soluble CORM, spontaneously liberated and deliver CO to various tissues under physiological condition through intravenous administration. We found that CORM-3 treatment mitigated HSR-induced lung injury without any increase in blood COHb levels through its anti-inflammatory property. We propose that CO/CORMs are possible pharmacological agent to treat ARDS.
著者
大谷 寛
出版者
The Gemmological Society of Japan
雑誌
宝石学会誌 (ISSN:03855090)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1-4, pp.175-189, 1999-12-31 (Released:2017-01-16)

本稿は日本における宝石学の歴史について述べるものではなく,その歴史年表についての記載内容を解説するものである。宝石学の意図するものは,宝石そのものの科学的性質,歴史的意義について研究するものと考えられている。宝石の存在価値として,第一に装身に用いられる材質の一つであることがあげられる。そうした観点からこの年表作製にあだってある程度,鉱物学的見地,装身的見地からその項目の選定が行われても当然であると考えた。日本の宝石・装身具の歴史を考えた場合,その研究を専門とする学問分野はなく,したがってその専門学者の存在もなく,一部の鉱物学者・考古学者・服飾学者がその歴史に興味を示し,本来の研究のかたわら,記述・発表しているに留まっているのが現状である。今後,この分野での専門家の誕生が待たれており,当宝石学会においても,この分野の研究がなされることが強く望まれる。しかしながら,鉱物学者,考古学者による研究の内容は,宝石学の研究の一部門として非常に優れた内容をもっている。ただ,これらの学者と宝石学の関係者との接触が密ではなく,その研究の成果が十分に宝石学にとりいれられていないのが現状である。したがって,この年表においても,その内容の多くは鉱物学者,考古学者の研究の成果を記述するものとなり,他学会の発表内容も記載するものとなっている。