著者
山澤 德志子 小林 琢也 呉林 なごみ 村山 尚
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.157, no.1, pp.15-22, 2022 (Released:2022-01-01)
参考文献数
33

骨格筋のCa2+放出チャネルである1型リアノジン受容体(RyR1)は,骨格筋の興奮収縮連関時に筋小胞体からCa2+を放出する重要な役割を果たしている.RyR1の遺伝子変異は,過剰にチャネルを活性化して悪性高熱症(MH)を惹き起こし,一部の重度熱中症にも関与している.1960年代に開発されたダントロレンは,唯一承認されている治療薬である.しかし水溶性が非常に悪く,血中半減期も長いという欠点がある.そこで我々は,オキソリン酸誘導体のRyR1阻害物質である6,7-(methylenedioxy)-1-octyl-4-quinolone-3-carboxylic acid(化合物1,Cpd1)を開発した.Cpd1の治療効果を調べるため,新規MHモデルマウス(RYR1-p.R2509C)を作出し,イソフルラン吸入麻酔により誘発されたMH症状がCpd1投与により改善されることを明らかにした.また,このマウスは外気温の上昇による熱中症を引き起こしたが,Cpd1の投与は熱中症に対しても延命効果を示した.さらに,Cpd1は水溶性が高く,血中半減期が短いことが明らかとなり,ダントロレンの欠点を大きく改善した.本稿では,新規MHモデルマウス(RYR1-p.R2509C)と,Cpd1の治療効果を中心に概説する.
著者
武田 龍三郎 金澤 尚史 潮 俊光
出版者
自動制御連合講演会
雑誌
自動制御連合講演会講演論文集 第52回自動制御連合講演会
巻号頁・発行日
pp.21, 2009 (Released:2010-01-22)

政府や企業などの社会集団が意思決定を行う際には,複数の所属部署の意見を考慮し,様々な評価基準に基づいて最終的な決定が行われるものである.本報告では,多面的な評価基準を有する集団において,複数の内部戦略に基づき集団の戦略が決定されるゲームの提案を行う.特に,囚人のジレンマゲームにおいて,「仲間からの報復」という評価基準を設け,そのプレイヤーの戦略への影響について考察する.
著者
市島 龍 水上 真美子 枝松 秀雄
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.233-238, 2015-08-30 (Released:2016-02-04)
参考文献数
20

要旨: 高周波数領域での加齢による変化を検討するため, 8kHz 以上の聴取能測定と DPOAE 記録を20歳から41歳の純音聴力正常者14名 (男性12, 女性2) で検討し, 検査音にはモスキート音と呼ばれる主要周波数12.5kHz (A音), 16kHz (B音), 20kHz (C音) の3種類の高周波数音を使用した。A音は14名全員で聴取可能となり, B音は聴取可能7名と聴取不能7名に分かれ, C音は14名で聴取不能であった。B音の聴取可能群の平均年齢は聴取不能群より10.9歳有意に低かった。一方, DPOAE ではB音聴取可能群の7名中5名が5,042Hzから6,348Hzにかけて DP レベルが上昇するパターンを示し, 聴取不能群では全員が5,042Hzにピークを形成し6,348Hzでは低下するパターンを示した。 聴取能測定による心理学的検査と DPOAE による他覚的検査の組み合わせにより, 高周波数領域での加齢変化を簡便に早期から検出できると考えられた。
著者
原三正編
出版者
人間の科学社
巻号頁・発行日
1979
著者
赤堀 四郎 桃谷 嘉橘
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學會誌 (ISSN:03694208)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.608-611, 1943-05-28 (Released:2009-12-22)
参考文献数
13
被引用文献数
3

著者等は芳香族アルデヒドとアミノ酸との混合物を加熱するときは一般に次の如く反應してアルカミンを生ずることを認めた.〓R, R′はH或はCH3この反應によつてエフェドリン,ノルエフェドリン, 1-フェニル-1-オキシ-2-メチルアミノエタン, 1-アニシル-1-オキシ-2-メチルアミノエタン及びメチレンアドレナリンを合成することが出來た.
著者
金尾 清造
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.1927, no.540, pp.102-120, 1927-02-26 (Released:2010-11-30)
参考文献数
33
被引用文献数
1
著者
北 将樹 武仲 敏子 別所 学 Andres D. Maturana 木越 英夫 大舘 智志 上村 大輔
出版者
天然有機化合物討論会実行委員会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集 第60回天然有機化合物討論会実行委員会 (ISSN:24331856)
巻号頁・発行日
pp.109-114, 2018 (Released:2021-09-26)

1.はじめに 新規神経毒の化学的解明は,薬理学,神経科学,精神医学など,広範な生命科学の発展に寄与する.自然界からは様々な生物から有毒物質が見いだされているが,毒を持つ哺乳類は非常に稀であり,食虫目トガリネズミやソレノドン,単孔目カモノハシなどしか知られていない.またこれらの毒は稀少かつ不安定であり,活性物質は長らく未解明であった.トガリネズミは唾液に毒を持ち,ミミズなど獲物を麻痺させる小型哺乳類である.北米に棲息するブラリナトガリネズミBlarina brevicaudaは特に強い毒を持ち,カエルやネズミなど脊椎動物も餌としてしまう(図1).演者らはこれまでに,この種の顎下腺から脊椎動物に対して麻痺と痙攣を引き起こす致死毒ブラリナトキシンを発見し,その構造を分子量35 kDaの糖タンパク質と決定した1).ブラリナトキシンはセリンプロテアーゼの一種カリクレインと高い相同性を示し,またセリンプロテアーゼ阻害剤によりその酵素活性およびマウス致死活性が阻害されることから,致死毒の本体であると結論づけた. 一方で,ブラリナトキシンを獲物に注入してから毒性を示すまで数時間以上かかること,およびトガリネズミが主な餌とするミミズや昆虫など無脊椎動物には効かないことから,この動物の唾液成分にはタンパク毒素とは異なる麻痺物質が含まれると予想し,顎下腺抽出物の分離を再検討することとした.
著者
Hoichi Amano Kazunobu Yoshimura Ryutaro Iijima Kaito Waki Keisei Matsumoto Hitomi Ueda Yasuko Ito Kimihiko Akimoto Takashi Yokoo Kazuo Inoue Hiroyuki Terawaki
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
Internal Medicine (ISSN:09182918)
巻号頁・発行日
vol.59, no.21, pp.2679-2685, 2020-11-01 (Released:2020-11-01)
参考文献数
36
被引用文献数
1 4

Objective A low-normal albumin level is associated with a high risk of cardiovascular disease and mortality in the general population. However, the relationship between the serum albumin level and the future decline in the kidney function is unclear. We evaluated the effect of the serum albumin level on the decline in the kidney function in the general population. Methods The data used were from 11,000 participants in a voluntary health checkup program conducted between 1998 and 2006 in Japan. The primary outcome for the kidney function was a difference in the estimated glomerular filtration rate (ΔeGFR) of≥3 mL/min/1.73 m2/year. The association of the risk of a decreased kidney function with the albumin level was determined using a logistic regression analysis. We fit separate multivariable logistic regressions for the serum albumin levels (g/dL) as a continuous variable and as categorical data, classified as ≤4.3 (n=2,530), 4.4-4.6 (n=5,427), and≥4.7 (n=3,043). Results Of the 11,000 participants, 346 had a ΔeGFR/year of≥3. Compared with the participants with albumin levels of≥4.7 g/dL, the risk of a decline in the kidney function was higher not only in those with albumin levels of ≤4.3 g/dL [adjusted odds ratio (OR) =2.10, 95% confidence interval (CI): 1.20-2.93] but also in those with levels of 4.4-4.6 g/dL (adjusted OR=1.53, 95% CI: 1.14-2.05). Conclusion A decreased albumin level is an independent risk factor for a rapid decline in the kidney function, even within the normal range.
著者
村田 晃
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.1843-1845, 1990-12-15 (Released:2008-11-21)
参考文献数
17
被引用文献数
5 4