著者
小幡 明雄 松浦 勝
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.11, pp.768-773, 1997-11-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
26
被引用文献数
2 1

大豆磨砕時に起こる豆乳の色調変化について調べた.(1) 大豆の磨砕温度の上昇に伴って豆乳のL値,b値は減少し,a値は上昇した.これらの変化は豆乳中の過酸化物価の変化と相関していた.(2) リポキシゲナーゼの関与を調べるために,リポキシゲナーゼ欠失大豆を用いて同じ条件で磨砕したところ,磨砕温度が上昇しても色調の変化はほとんどなく,リポキシゲナーゼが色調の変化を起こす原因酵素であることがわかった.(3) リポキシゲナーゼにより退色する黄色成分について調べた.豆乳のb値を反映しているこの黄色色素は,限外濾過による挙動から,水溶性低分子成分であることがわかった.酵素反応前後の差スペクトルから,420nm付近の吸光度の減少が観察された.HPLCを用いて420nmで分析したところ,多くの成分が酵素反応後に消失していた.その中のメインピークの吸収スペクトルは415nmに吸収極大を有しており,カロチノイド系色素の吸収スペクトルとは異なっていた.
著者
畠山 修司 小池 和彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.98, no.7, pp.1733-1741, 2009 (Released:2012-08-02)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

インフルエンザウイルスは日々変化を遂げ,時にダイナミックに変化する.薬剤に対してもまた,年々その特徴を変えながら,確実に耐性を獲得する方向にシフトしているようにみえる.2003年以降,世界的にアマンタジン耐性ウイルスが拡がった.かつて,ノイラミニダーゼ阻害薬耐性ウイルスは低頻度にしか生じず,たとえ生じたとしてもヒトの間で拡がる可能性は低いと考えられていた.しかし,2007/2008年には,オセルタミビル耐性A(H1N1)ウイルス(Aソ連型)が広く流行する結果となった.今後は以前に増して,流行しているウイルスの薬剤耐性に関する情報と,患者のインフルエンザ関連合併症のリスクをもとに,個々的確な治療法を判断する必要がある.ノイラミニダーゼ阻害薬耐性ウイルスの生物学的特性はまだ十分に解明されておらず,さらなる知見の集積が望まれる.
著者
Yuiko Matsuura Satoshi Iizuka Keisuke Koizumi Keisuke Okuno Koji Kaneoka
出版者
Japan Society of Physical Education, Health and Sport Sciences
雑誌
International Journal of Sport and Health Science (ISSN:13481509)
巻号頁・発行日
pp.201820, (Released:2019-01-31)
参考文献数
13

Trunk stabilization exercises improve injury prevention and performance, but the effect of deep trunk muscle training for underwater competitive performance and posture has not been clarified. If trunk stability can be obtained immediately after trunk stabilization exercises, such exercises may lead to performance improvements during underwater swimming and improve lumbar lordosis alignment during swim motions. The purpose of this study was to clarify the immediate effects of deep trunk muscle training on lumbar lordosis angle and swimming speed in underwater motion. The trial examined underwater motion before and after two different types and intensities of trunk stabilization exercises (low-intensity and high-intensity). Underwater motion was observed with an underwater high-speed camera placed 7.5 m from the pool wall, while lumbar lordosis angle was measured from the angle formed by markers affixed to the Th12, L3, and S1. During the glide swim, dolphin kick, and flutter kick trials, the maximum lumbar lordosis angle was calculated. Lumbar lordosis angle and swimming speed were calculated before and after two different intensities of trunk exercise interventions. There were significant differences in lumbar lordosis angle after both exercises during all three underwater motions. The high-intensity intervention elicited a significantly lower lumbar lordosis angle during glide swim, dolphin kick, and flutter kick, while swimming velocity was also improved during glide swim and flutter kick (P<0.05). Performing trunk exercise before practice or competition may help improve competition performance by reducing underwater resistance.
著者
内田 雅之
出版者
一般社団法人 日本統計学会
雑誌
日本統計学会誌 (ISSN:03895602)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.245-273, 2022-03-03 (Released:2022-03-10)
参考文献数
105

離散観測データに基づく確率微分方程式モデルのハイブリッド型推定法および確率偏微分方程式モデルの適応的推定法について考察する.離散観測データを用いて確率微分方程式モデルの最尤型推定量を求める際に,疑似対数尤度の最適化を成功させるためには適切な初期値が必要である.初期値として縮約データおよび間引きデータを用いた初期ベイズ型推定量を導出して,その初期ベイス型推定量を用いて最尤型推定量を求める.この推定量をハイブリッド型推定量とよぶ.初期ベイズ型推定量とハイブリッド型推定量の漸近的性質について示し,数値シミュレーションによって初期ベイズ型推定量とハイブリッド型推定量の漸近挙動について検証する.次に,高頻度時空間データを用いて微小撹乱パラメータをもつ2階線形放物型確率偏微分方程式モデルのパラメータ推定問題を取り扱う.確率偏微分方程式モデルの未知パラメータの適応的推定量を導出し,得られた推定量の漸近的性質について考察する.さらに,大規模数値シミュレーションにより,適応的推定量の漸近挙動を検証する.
著者
陸戦史研究普及会編
出版者
原書房
巻号頁・発行日
1967
著者
藤崎 洋子 島瀬 初美 五十嵐 隆夫 山田 康子 小林 收 佐藤 尚
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.25, no.9, pp.668-677,692, 1976-09-30 (Released:2017-02-10)
被引用文献数
3

マツ花粉飛散の多い新潟市に約20年間居住した後発症したマツ属花粉症の2症例を報告した.2症例はマツ属のほかイネ科, ヨモギ属の複合感作をうけているが, 毎年マツ飛散期に一致した4月より6(7)月まで眼, 鼻症状がおこり, クロマツ, アカマツが主要抗原であると診断し, 各花粉液による減感作両療法で著効をえたものである.症例1の皮内反応はクロマツ10^<-3>液でlateの反応を示し, 症例2の皮内反応陽性閾値はアカマツ10^<-5>であった.症例1のP-K反応は8時間後に最大となる皮膚反応を示し, 症例2のP-K反応は陽性であった.2症例ともマツによる鼻粘膜試験は陽性, 結膜試験は陰性であった.新潟市におけるマツ属花粉飛散期間は4月ないし6(7)月で, 5月初旬に最高飛散となる.新潟県内居住の小児気管支喘息患者について皮内反応を行い, クロマツ1.6%, アカマツ1.7%の陽性率をえた.また両者の共通抗原性は特に認められなかった.これらの結果から, マツ属花粉は抗原性が弱いとはいえわが国における花粉症抗原の1つとして検索をすすめるべきものと考えられる.
著者
加藤 達也 町 岳
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.93-102, 2021-06-10 (Released:2021-06-18)
参考文献数
26

本研究では,小学校4年生の社会科で,半年間にわたり単元統合型授業に学習方略活用支援を加えた授業デザインを実践したことの効果を,社会科の思考力である概念化・一般化及び,問題解決過程に合わせた学習方略活用の2点から検討した.ノートに記述された2つの大単元(4つの小単元)を貫く問いに対する答えを各単元の前後で比較した結果,3つの小単元と2つの大単元で,単元後に概念化・一般化が促進されることが示された.また,社会科の問題解決過程に合わせた学習方略を提示し,方略活用を段階的に児童に移譲したことの効果を質問紙調査と児童が立案した学習計画により検討した結果,児童が予見段階と遂行段階において学習方略を活用していることへの意識の向上や,学習計画の質の向上が示された.本研究の結果は,学習内容論に重点が置かれがちだった社会科授業研究に,新たな研究の視点を提示する可能性を示唆している.
著者
安藤定 編
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
vol.巻之5〜7, 1887
著者
アナ アギレラ 千代 章一郎
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
no.757, pp.733-741, 2019-03

&nbsp;This study aims to clarify the correlation between the Jos&eacute; Villagr&aacute;n's theory and its adaptation to the design process by analyzing the National School of Architecture project. The authors have explored on <i>Jos&eacute; Villagr&aacute;n's architectural theory</i>, sketches and historical documents according to his design methodology applied in the National School of Architecture to establish the correlation between them. Based on this exploration, it appears that, Villagr&aacute;n applied the analysis of the program in his theory and design process after Mexican architects within constant awareness of the importance of avoiding foreign styles and rescuing tradition.
著者
内山 聡至 日詰 正文 古屋 和彦
出版者
独立行政法人 国立重度知的障害者総合施設のぞみの園
雑誌
国立のぞみの園紀要 (ISSN:24350494)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.30-45, 2021 (Released:2022-03-10)
参考文献数
8

本研究では,発達障害者支援センター,地域包括支援センター,社会福祉協議会を対象に,発達障害の診断がある高齢者および発達障害の可能性がある高齢者とその家族等からの相談の実態調査を行った.その結果,各機関において一定数の高齢期発達障害者の存在が確認された.相談内容の主訴として,発達障害者支援センターでは発達障害に関すること,地域包括支援センターでは高齢に伴う諸問題に関すること,社会福祉協議会では金銭に係わる生活困窮に関すること,が傾向としてみられた. 各機関の高齢期発達障害者の支援経験は乏しく,地域連携や研修会等も行われていないのが現状であった.調査結果より,高齢期の発達障害者への支援に関する今後の課題について,①家族支援の構築,②支援者の研修体制の構築,③精神保健,医療を含めた地域連携の構築,④発達障害理解のための啓発活動の推進の4点が挙げられた.
著者
土屋 雅稔 中村 純哉
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.879-894, 2022-03-15

大学を含む公的機関にとって, 各種の異常事態に対する事業継続性の確保は, 重要な課題の1つである. 本論文では, 2つの観点から認証基盤システムの事業継続性について検討する. 第1に, 大規模災害に対する事業継続性について検討する. 大規模災害に対する事業継続性を確保するには, 情報システムを安全な遠隔地に設置するだけでなく, 異常時の挙動について十分に検証する必要がある. 本論文では, 認証基盤システムを遠隔地に設置する場合の設計上の留意点と, 平常時の停電を利用して異常時の挙動を定期的に検証する運用経験について述べる. 第2は, 感染症によるロックダウンに対する事業継続性である. キャンパスがロックダウンされた場合, 従来は対面形式で行われていた各種手続きをオンライン化する必要がある. しかし, 安全な認証という前提を保ちつつ, 各種手続きをオンライン化することは, 決して容易なことではない. 本論文では, 複数の多要素認証手段を組み合わせることにより, できるだけ安全に各種手続きをオンライン化する方法と, COVID-19パンデミックにおける対処経験について述べる.
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.1060, pp.76-82, 2015-11-25

「星のや富士」は、欧米で広がりつつある「グランピング」と呼ばれるアウトドア体験をコンセプトに掲げた高級リゾートホテルだ。客室すらも、宿泊客をアウトドアに誘い出す拠点としてつくられている。 客室のドアを開けると、窓いっぱいの富士山が目に飛び込…