著者
大山 修一
出版者
Japan Association for African Studies
雑誌
アフリカ研究 (ISSN:00654140)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.71, pp.85-99, 2007-12-31 (Released:2012-08-13)
参考文献数
36

ニジェール共和国では,砂漠化(土地荒廃)の問題が深刻である。砂漠化の進行にともなって,農業生産の低迷や国民の生活レベルの低下,貧困の蔓延,国家財政の破綻が懸念され,多くの地域で人びとの生命や生活が脅かされている。本稿では,ニジェール中南部に居住するハウサの農耕民がもつ砂漠化に対する環境認識と荒廃地の緑化に関する生態的知識を明らかにすることによって,砂漠化問題の原因に関する試論を提示し,砂漠化問題の解決と「人間の安全保障」に貢献する筆者の試みを紹介する。ハウサ農村での住み込み調査の結果から,ハウサの人びとは屋敷地から畑ヘゴミを運搬し,荒廃地の土壌肥沃度と植物生産力の改善を図っていることが明らかとなった。しかし,聞き取りの結果,市場経済化にともなって農村における経済活動が活発になり,人びとが積極的に農・畜産物を定期市へ販売することによって,農村社会の内部で循環する有機物が減少している現状が浮かびあがってきた。一方,首都ニアメでは人口が急増し,住民は大量の農・畜産物を消費し,都市内部にゴミを廃棄しつづける結果,不衛生な状態を作りだし,雨季にはコレラやチフスなどの感染症が蔓延している。農村地域では有機物量が減少し,土地生産力が低下するという砂漠化が顕在化する一方で,都市域ではゴミとして有機物が蓄積し,不衛生な状態を招くというアンバランスな状況が生まれている。筆者は,ニジェールにNGO「OLDCS-shara(砂漠化防止と都市衛生改善プロジェクト)」を創設し,分別した都市の生ゴミを農村域の荒廃地に散布するという計画を立案している。農村における自給食料の確保(「食料の欠乏からの自由」),都市における衛生問題の改善(「感染症に対する恐怖からの自由」)をめざすことによって,「人間の安全保障」に貢献したいと考えている。
著者
内務省 編
出版者
内務省
巻号頁・発行日
vol.第2号, 1920
著者
千葉県 編
出版者
千葉県
巻号頁・発行日
vol.第1輯, 1926
著者
松田 忍
雑誌
ミツバチ科学 (ISSN:03882217)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.145-154, 1994-10-10
著者
遠山 嘉博
出版者
關西大學商學會
雑誌
關西大學商學論集 (ISSN:04513401)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3-4, pp.323-352, 1992-10-25

寺尾晃洋教授古稀記念特集
著者
Qiang LIU Bo JIANG Li-Ping JIANG Ying WU Xiao-Guang WANG Feng-Ling ZHAO Bao-Hua FU Turai ISTVAN Enhai JIANG
出版者
Journal of Radiation Research Editorial Committee
雑誌
Journal of Radiation Research (ISSN:04493060)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.63-69, 2008 (Released:2008-02-01)
参考文献数
12
被引用文献数
47

On 26 April 1999, three persons were accidentally exposed by high dose 60Co irradiation. They suffered from severe (one case) or moderate (two cases) hemopoietic form of acute radiation sickness (ARS). As part of the comprehensive treatment, strict reverse isolation and granulocyte-macrophage colony-stimulating factor (GM-CSF) therapy were applied. All the patients recovered after an appropriate treatment for 83 days. In our experience, the correct diagnosis and effective treatment at an early stage proved to be helpful to the patients in pulling out from the critical stage of acute radiation sickness. To avoid menstruation by the female patient just in the critical stage, we modified her menstruation cycle by testosterone. In our view, GM-CSF should be given as early as possible with enough dosage for promoting early hematological reconstruction. The experience obtained from the medical management of these patients is valuable for the treatment of such patients in the future.
著者
西田 哲也 佐藤 秀一
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.1-8, 2022-03-31 (Released:2022-03-31)
参考文献数
19

歯周病患者は歯を喪失することが多いため,歯周治療において欠損補綴は比較的頻度の高い治療である。また,歯周病により歯を喪失した場合,十分な残存歯数や咬合支持組織量がないばかりか,歯冠歯根比など力学的なバランスも悪化する傾向にあるため,欠損補綴は難症例となることをしばしば経験する。欠損補綴には様々な手法がある。従来型の欠損補綴であるブリッジや有床義歯は,欠損した歯が担っていた咬合負担を残存歯や顎堤に分散させるが,インプラント治療では残存歯に負担をかけることなく,また,連結することによる再治療の確率の上昇,非生理的な咬合負担,口腔清掃の煩雑さなど様々なリスクやディメリットを回避し欠損補綴を完了することができる。すなわち,インプラント治療は歯周治療の欠損補綴に多大な恩恵をもたらす治療法といえる。しかしながら,歯周病患者のインプラント治療は,細菌因子,宿主因子,環境因子などの影響を受けるため,厳密な管理や処置が必要となる。そこで本論文では,歯周病患者におけるインプラント治療の上部構造体の装着法について考察する。
著者
渡邉 美喜
出版者
アート・ドキュメンテーション学会
雑誌
アート・ドキュメンテーション研究 (ISSN:09179739)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.12-26, 2011-03-31 (Released:2021-06-25)

百貨店を会場とした美術展やそれに類する文化的な催事は、日本の美術界特有の現象であると指摘されてきた。しかしながら百貨店を会場として、美術作品を展覧することが目的のもの(美術館的催事)と、美術作品を販売することが主たる目的である催事(画廊的催事)がともに行われ、またこうした催事が行われるに際し、いかなる組織が百貨店の内と外で関与しているかに対して、あまり関心が払われていない。 そこで本論文は、百貨店の催し会場の仕組みを明らかにしたうえで、百貨店内の一つの組織が単独で運営する美術画廊催事に着目した。髙島屋美術部を事例にとり、歴史的な経緯とこれまでの髙島屋刊行物に記載された活動記録について検討を行う。さらに今日、髙島屋美術部で生み出されている記録類を明示し、それをもとに網羅的な催事記録を作成した。年間における催事の頻度、制作物の数などをまとめ、百貨店美術部の活動を考える上での基盤資料の構築を試みた。
著者
篠原 美都
出版者
一般社団法人 日本女性科学者の会
雑誌
日本女性科学者の会学術誌 (ISSN:13494449)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.1-10, 2019-03-01 (Released:2019-03-01)
参考文献数
18

精子幹細胞はほぼ個体の一生にわたって毎日莫大な数の精子を産生する。その基盤が幹細胞特有な現象である自己複製分裂である。精子幹細胞にウイルス遺伝子導入により固有の標識を施し精子形成への寄与の動態を調べたところ、その寿命は極めて長いことがわかった。一方精子幹細胞には休眠期がなく全てが分裂していた。これらは精子幹細胞が活発かつ長期の自己複製活性を持つことを示す。精子幹細胞を試験管内で長期に増幅する培養法(Germline Stem; GS細胞)により幹細胞を大量に調製することが可能となり、生化学的解析や遺伝子改変により精子幹細胞の自己複製制御機構などバイオロジーの解明に役立った。またGS細胞は子孫を作成できるため、新しい生殖工学発展の可能性を秘めている。今後この技術が幅広く非齧歯類にも展開し、不妊治療や疾患モデル動物の作成などに繋がることが期待される。
著者
村上 弦 Tatsuo SATO Tohru TAKIGUHI
出版者
International Society of Histology and Cytology
雑誌
Archives of Histology and Cytology (ISSN:09149465)
巻号頁・発行日
vol.53, no.Supplement, pp.219-235, 1990 (Released:2011-10-26)
参考文献数
14
被引用文献数
18 22

This article aims to clarify the topographical relationships of the bronchomediastinal collecting lymph vessels to other structures, in particular the great vessels, the trachea, the esophagus and the mediastinal pleura. Minute dissection was performed on eight cadavers with special reference to the converging collecting lymph vessels which form the bronchomediastinal trunks.On the right side, the trunks were consistently observed on both the right brachiocephalic vein and the subserous surface of the mediastinal pleura (anterior and posterior mediastinal trunks). The pathway from the right recurrent chain nodes ran laterally behind the carotid sheath and led either into the deep cervical nodes situated on the scalenus anterior or directly into the right venous angle.On the left side, the trunks showed varying courses. The nodes from which the trunks arose were constant, and classifiable into three groups: the uppermost paratracheal nodes near the recurrent chain nodes, the anterior mediastinal nodes (the left phrenic nodes) surrounding the phrenic nerve in front of and inferior to the aortic arch (the origin of the superior mediastinal trunk), and the left tracheobronchial nodes (the origin of the inferior mediastinal trunk).The large transverse superficial communicating vessel between the right and left sides was usually found in front of the trachea above the aortic arch; it was often connected to the nodes of the brachiocephalic angle. Deep communications were also found in front of the carina and behind the trachea.These findings allow the collecting vessels from the thoracic viscera to be divided into two pathways on each side: the anterior and posterior mediastinal trunks on the right side, and the superior and inferior mediastinal trunks on the left side. In addition to the four trunks, the superficial communicating vessel between the right and left sides is also drained from the superior mediastinum. The internal mammary lymph chain, which often emptied directly into the venous angle or into the deep cervical nodes, occasionally joined with the right anterior mediastinal trunk or the left superior mediastinal trunk.
著者
石原 美里
出版者
Japanese Association of Indian and Buddhist Studies
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.1144-1148, 2010-03-25 (Released:2017-09-01)

Mahabharata(Mbh)のプーナの批判校訂版(C.ed.)では,天女であるUrvasiとArjunaに関する一説話(U-A説話)が省略されている.本研究ではその説話成立の背景に関しさらに深い考察を加え,そこに浮かび上がる天女Urvasi像を解明することを主眼とする.まずC.ed.において,UrvasiはU-A説話以外に明確な人格を持った物語の主役としてMbhの表面に現れることはない.その点に関してだけでもU-A説話は特に独自性を持つ説話であると位置付けられる.また,Urvasi以外にも天女が登場する説話は数多く存在するが,それらは概ねステレオタイプ化された一定のモチーフの発展形と言える.ところが,U-A説話はそれらの天女関連説話とは大きく内容を異にする.主な相違点は二つ,Urvasiが自分の意志で積極的に相手を誘惑するという点と,誘惑を拒まれた為に激怒して相手を呪うという点である.唯一このモチーフと類似する説話がBrahmavaivarta Puranaに収められている.Brahmavaivarta Puranaは最新層に属するプラーナであり,そのモチーフの類似性からU-A説話の創作された時代が叙事詩時代よりも,プラーナ最新層時代により近いという可能性が指摘されうる.ゆえに,U-A説話に見られる天女Urvasi像は,古来の伝統的な天女像ではなく,非常に新しい時代における天女像を反映したものであると考える事が出来る.また,U-A説話が創作された時点ではすでに,ArjunaがUrvasiの夫,Pururavas王を祖先とする系譜に属するという暗黙の了解がなされている.しかしMbhが現在の形に整う以前の古い時代には,Pururavas王を祖先とするPaurava一族はKaurava一族とは全く別系統のものであった可能性がある.つまり,Pandava五王子の系譜の正統性を高めようと目論んだある人物が,ある時点においてPururavasをその祖先として位置付け,Paurava=Kauravaという構図をMbhの中に埋め込んだと推測できるのである.そのような側面からも,U-A説話はMbhがほぼ現在の形に整えられた後に付加された,かなり新しい時代の挿入部分であるということが言えよう.

1 0 0 0 OA 江戸名所図会

著者
斎藤長秋 編
出版者
博文館
巻号頁・発行日
vol.十九, 1893