著者
中島 美幸
出版者
愛知淑徳大学
巻号頁・発行日
pp.1-229, 2003-09-05
著者
金城 克哉 Kinjo Katsuya
出版者
琉球大学法文学部国際言語文化学科欧米系
雑誌
言語文化研究紀要 (ISSN:09194215)
巻号頁・発行日
no.20, pp.17-38, 2011-10

この論文は査読により、「研究論文集-教育系・文系の九州地区国立大学間連携論文集-」第5巻第2号(通巻第9号)に採択されたものである。
著者
杉下 守弘 腰塚 洋介 須藤 慎治 杉下 和行 逸見 功 唐澤 秀治 猪原 匡史 朝田 隆 美原 盤
出版者
認知神経科学会
雑誌
認知神経科学 (ISSN:13444298)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.91-110, 2018 (Released:2018-06-26)
参考文献数
21
被引用文献数
7

【要旨】Mini-Mental State Examination(略称MMSE)は世界で最も使用されている認知症スクリーニング検査(原版は英語)といわれている。しかし、その日本語版は、翻訳や文化的適応が適切でないものが多く、十分な標準化も行われていなかった。MMSE原版は国際的に使用されているので、日本のデータと世界の他の国のデータを比較するために、MMSE原版と等価なMMSE日本語版の作成は急務と考えられた。そこで、2006年、原版に忠実な翻訳と適切な文化適応を目指したMMSE日本語版(MMSE-J)が作成された。MMSE-Jは国際研究「アルツハイマー病神経画像戦略(ADNI)」の日本支部(J-ADNI)で使用され、そのデータを基に、2010年、MMSE-Jの妥当性と信頼性が検討された。 ところが、2012年3月、日本のADNI(J-ADNI)データの改ざんが指摘され、2014年3月には東京大学調査委員会に改ざんやプロトコル違反など問題例が報告された。その後、第三者委員会報告書はこれらの問題例を問題ないとした。しかし、この判断は誤りであることが明らかにされた11-13)。 杉下ら (2016)は、杉下らの論文(2010)のJ-ADNIデータのうち改ざんやプロトコル違反などの問題例を削除してMMSE-Jの妥当性と信頼性の訂正をした。また、次の3つの問題を指摘した。1)日本の被験者では 100-7課題が難しくはないので、100-7の代わりに逆唱を行うのは適切でない。2)J-ADNIのデータには、AD、MCIおよび健常者の診断がMMSE 得点を見て行われている例があり、算出された妥当性に問題がある。3)J-ADNIデータはMCIのADへの変換率が通常の研究に比べ約2倍であるなど問題があるので、日本のADNIのデータを使用せず、新たにデータを集め、信頼性と妥当性を検討する必要がある。本研究ではこれら3つの問題を解決し、MMSE-Jの標準化を完成するため、1)100-7と逆唱の問題はMMSE(2001)の注意・計算課題を施行して検討した。2)妥当性の検討では、外的基準としてDSM-5 とFASTを用い、その後、MMSE-Jを行った。3)J-ADNIのデータを使わず、新たに381例のデータを集め、標準化を行なった。妥当性と信頼性は100-7を拒否した2例を除き379例を対象として検討した。 その結果、MCI群と軽度AD群では性別、年齢、教育年数は得点に影響しなかった。健常者群では教育年数が低い場合と、年齢が高い場合、MMSE-J得点が低かったが、性別は得点に影響しなかった。被験者で100-7課題が出来ない者は5名、拒否した者は2名でごく少数であった。ROC分析で、MCI群と軽度AD の最適カットオフ値は23/24(感度68.7%、特異度78.8%)、健常者群とMCI群の最適カットオフ値は27/28(感度83.9%、特異度 83.5%)であった。MMSE-J原法の最適カットオフ値の弁別力は健常者とMCIとの弁別には満足のいくものである。しかし、MCIとADとの弁別は満足できる程度より低い。これらの結果は、MMSE-J原法が高くはないが妥当性があることを示している。再検査を行った67例のtest-retest の相関係数は0.77であり、再検査信頼性は高い。本研究で得られたMMSE-J原法の妥当性と信頼性は、MMSE-J原法が認知症のスクリーニング検査として使用可能であることを示している。内容目次はじめにI. 方法 1. 対象とした被験者 2. 被験者の分類 3. MMSEの注意・計算課題の施行法 4. 本研究で検討した4つの研究課題II. 結果 1. MMSE-J原法の「計算・注意課題」の検討 2. MMSE-J原法得点 への性別、年齢および教育年数の影響 1) 健常者のMMSE-J原法得点への性別、年齢および教育年数の影響 健常者A群175名(23-88歳)の分析 健常者B群127名(55-88歳)の分析 2) MCI群のMMSE-J原法得点への性別、年齢および教育年数の影響 3) 軽度AD群のMMSE-J原法得点への性別、年齢および教育年数の影響 4) 健常者の年齢別のMMSE-J原法得点 3. MMSE-J原法の妥当性とカットオフ値 1) 健常者B群(55歳以上)対MCI群の最適カットオフ値 2) MCI 群 対 軽度AD 群の最適カットオフ値 3) 健常者BおよびMCI群 対 軽度AD 群の最適カットオフ値 4. MMSE-J原法の信頼性III. 考察 1. MMSEの翻訳の問題点 1) MMSE1975年版の翻訳の問題点 2) MMSE2001年版と日本語版MMSE 2. 日本語版MMSEの著作権 3. MMSE-J原法の標準化の長所 4. MMSE-J原法の「計算・注意課題」について 5. MMSE-J原法得点への性別、年齢および教育年数の影響 6. 妥当性およびカットオフ値について 7. 再検査信頼性について 8. MMSE-J原法のスクリーニング検査としての役割おわりに
著者
小林 和夫 Kazuo KOBAYASHI
出版者
創価大学社会学会
雑誌
SOCIOLOGICA (ISSN:03859754)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.24-50, 2020-03-20

本稿では,日本占領期ジャワにおける宣伝班の最初期の活動の1つであった巡回映画が,ジャワ住民に対する「身体の占領」の嚆矢となったことをあとづける.本稿では,このため「ジャワ・バリー宣伝部隊」をとりあげる.本稿では,ジャワにおける映画とラジオの登場による社会変容を「視聴覚の産業化と社会化」と位置づけたあとで,ジャワ宣伝班の特徴と限界,ジャワ・バリー宣伝部隊の結成,巡回映画の概要について論じる. 分析の結果,最初期の宣伝部隊の巡回映画の「成功」が,日本映画の水準や内容にのみ負うものではなく,「視聴覚の産業化と社会化」を享受できた社会層がきわめて限定されていたこと,ジャワ上陸作戦の早期終了という外在的な要因がきわめて大きかったことが明らかになった.また,巡回映画の「成功」が,その後の啓民文化指導所の指導制とジャワ映画工作に影響を与えたことが示唆された.
著者
有馬 哲夫
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

従来原爆はアメリカが開発し、使用を決定したとされてきた。本研究では原爆はケベック協定ののもと英米加の3カ国が共同で開発し、資源開発もし、使用にあたっても、英米の合意と加の了承が必要だったことを明らかにした。しかしながら、原爆完成後はアメリカはケベック協定を一方的に破棄したため、イギリスとカナダは原発などを独自に開発しなければならなかった。また大戦終結後にソ連と共に核拡散および核兵器の国際管理の体制を築かなければならなかったが、イギリス、カナダの協力が得られなかったために、これもできなかった。
著者
日本集中治療医学会集中治療における薬剤師のあり方検討委員会
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.244-247, 2020-05-01 (Released:2020-05-01)
参考文献数
24
被引用文献数
1

2007年に厚生労働省より「集中治療室(ICU)における安全管理指針」が公表され, ICUにおける薬剤師の活動に期待が寄せられた。しかし,現状のICUにおける薬剤師の業務は,各医療機関の機能や運営体制,人員配置などにより多彩である。 ICUの患者管理では,多くの薬剤を必要とし,薬物治療も複雑になる。したがって,ICUの薬剤師には,薬学の専門家としての知識やスキルを活用することにより,薬剤師の観点から総合的に患者の薬物治療を評価し,投与計画の立案を行い,効果と副作用をモニタリングすることが求められる。この度,日本集中治療医学会集中治療における薬剤師のあり方検討委員会は,「集中治療室における薬剤師の活動指針」をとりまとめた。本指針は,ICUにおける薬剤師業務の標準化が推進することを目的とし,本内容を参考とすることで,薬剤師がチーム医療の一員としてICUの患者管理に貢献できることを目標としている。
著者
井口 由布 アブドゥル・ラシド
出版者
カルチュラル・スタディーズ学会
雑誌
年報カルチュラル・スタディーズ (ISSN:21879222)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.27-45, 2019 (Released:2019-10-21)
参考文献数
38
被引用文献数
1

「女性器切除female genital mutilation: FGM」をめぐって国際社会では、女性の人権と健康の侵害であるという「普遍主義」と現地の伝統であるとする「文化相対主義」によって対立がくりひろげられてきた。本論考は、「FGM」論争を言説としてとらえ、ポスト植民地における女性の身体とセクシュアリティをめぐる政治のなかに位置づけることで、この対立がいずれも近代医学の普遍性という暗黙の前提の上に成り立っていることを示す。なお本論考は「FGM」を自明のカテゴリーとしてあつかわないためカギ括弧をつけて使用している。「FGM」論争は、国際機関や西洋フェミニストによる「普遍主義」と「FGM」をさまざまな身体加工の一つとして考える文化人類学者による「文化相対主義」との対立によって特徴づけられてきた。1990 年代からこの論争を言説の問題としてとらえる動向が開始し、ポスト植民地における自己表象、西洋における家父長制の隠蔽、西洋のフェミニストによる帝国主義的搾取への加担などの問題が論じられた。 本論考は、「FGM」論を言説としてとらえるこれまでの動向において、じゅうぶんに着目されてこなかった医学的なまなざしについて論じる。女性の身体を対象化する医学的なまなざしの強力さは、研究者たちの分類への執拗なこだわりから見てとれる。「FGM」の研究と分類のプロジェクトは植民地における医療の制度化とともに開始し、人類学者の研究や宗教指導者の議論をも包摂し、現在の世界保健機構による4分類において頂点を極めている。「FGM」を医学的に分類するプロジェクトは、国際機関や各国が行う保健政策、NGOによる人道支援、宗教組織の行う施策へと変換され、植民地において開始した近代医学における管理体制の、ポスト植民地的な展開の一つといえるかもしれない。本稿は、「普遍主義」と「文化相対主義」の双方における暗黙の前提ともなっている医学的なまなざしを検証することによって、「FGM」論争における対立の超克をめざす。
著者
天野 晶子 石神 昭人
出版者
公益社団法人 日本ビタミン学会
雑誌
ビタミン (ISSN:0006386X)
巻号頁・発行日
vol.87, no.9, pp.492-496, 2013-09-25 (Released:2017-08-10)

Vitamin C (VC, L-ascorbic acid) transport is mediated by specific transporters, such as sodium-dependent vitamin C transporter (SVCT) 1 and 2. SVCT1 and 2 have a functional role in secondary active transport of VC from the outside to the inside of cells at the expense of sodium electrochemical gradient across the cell membrane. Recent studies revealed that the effect of SVCTs gene polymorphisms on risk of preterm birth and any diseases. Moreover, some paper reported that the effect of SVCTs gene polymorphisms on VC concentration in human blood and interactions with other antioxidant related genes. In this paper, we review recent insights into the relationships between SVCTs gene polymorphisms and health and disease risk.
著者
川上 光雄
出版者
日本民族衛生学会
雑誌
民族衛生 (ISSN:03689395)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.48-49, 1948-03-30 (Released:2010-11-19)
著者
古屋 芳雄
出版者
日本民族衛生学会
雑誌
民族衛生 (ISSN:03689395)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.57-58, 1947-03-30 (Released:2010-11-19)
著者
大森 政美 長神 康雄 橋木 里実 川西 美輝 神代 美里 中川 英紀 力久 真梨子 加藤 達治
出版者
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
雑誌
日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 (ISSN:13438441)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.37-45, 2018-04-30 (Released:2019-03-07)
参考文献数
15

【目的】 摂食嚥下障害は,高齢者によく認められ誤嚥性肺炎を引き起こすといわれている. VFや VEは摂食嚥下障害の診断に最もよい検査法であるが,高齢者肺炎患者においては認知症や全身状態から必ずしも実施できない. The Mann Assessment of Swallowing Ability(MASA)は, 2002年にアメリカで開発された初発の脳卒中患者の摂食嚥下機能評価法である.この研究の目的は,高齢者肺炎患者に対する MASAの摂食嚥下機能評価法としての有用性の検討である.【対象と方法】 この研究は前向き研究であり, 2014年 12月から 2015年 6月までに入院した 153例の肺炎患者(平均年齢 85.4±9.9歳)を対象に,入院 3日以内に MASAを施行した.評価項目は,経口摂取の有無と 30日以内肺炎再発とした.【結果】 経口摂取群と非経口摂取群,肺炎再発なし群と肺炎再発群の平均 MASAスコアには有意な差を認めた(p< 0.001). ROC曲線を用いて AUCを計算したところ, MASAスコアと経口摂取・肺炎再発の AUCは 0.87・ 0.76であった.経口摂取,肺炎再発のカットオフ値は 113点と 139点であった.多変量解析では, MASAスコアは肺炎再発の独立した危険因子であった.【結論】 MASAは高齢者肺炎患者の摂食嚥下機能評価法として有用であった.
著者
芦谷 道子 友田 幸一 土井 直 土井 直
出版者
滋賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

器質的な難聴を伴わない聴こえの問題をもつ聴覚処理問障害(APD: Auditory Processing Disorder)の小児に対し、医師と臨床心理士が心身両面からの評価と支援を試みた。多くの事例で問題は多軸にわたっており、心身にわたる多軸的評価と、多職種協働による支援システムの必要性が考察された。聴覚処理障害事例では補聴システムの利用や学校や家庭との連携による環境調整が有効であった。また多くは二次的に機能性難聴を併発しており、心理療法が有効であった。欧米におけるAPD評価支援システムの標準的確立をモデルに、日本においても特別支援教育への位置づけを踏まえた評価、支援の充実が望まれる。