著者
小清水 実 津田 大介 馬場 和夫
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.25, no.10, pp.19-24, 2001-02-08
被引用文献数
6

紙とディスプレイの長所を融合した新規なドキュメント表示媒体「電子ペーパー」に求められる形態的特性を検討した。既存ディスプレイ、紙、電子ペーパー試作品及び重さ、厚さ、硬さの違うモックアップ媒体を用いて、複数ページ文書の比較、判断を伴う2種類の解読の読解タスクをのべ76人の被験者に実施した。被験者の行動観察やパフォーマンス測定、主観評価値の因子分析により、表示媒体の複数ページ閲覧性が画質因子と独立して重要であり、タスクのやりやすさと相関が高いこと、手持ち可能な表示媒体はユーザの姿勢と媒体配置の自由度を高め、適度な剛性感(コシ)と軽薄感を両立したモックアップ媒体が読みやすさの点で紙を上回ること、を示した。
著者
宮崎 斉 高橋 桂太 金子 正秀
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.37, no.7, pp.55-58, 2013-02-09

本論文では、人間とロボットが円滑なインタラクションを行うための手法を提案する。同伴対象である人間に対し、ロボットから積極的に「手つなぎ動作」を提案し、つないだ手で様々な行動をとることによって、的確に人間にロボットの意図を伝えることを可能とする。さらに「手つなぎ」状態を人間からロボットへの意思伝達手段にも利用し、人間の手の動きや接触の状態などをセンシングすることで速度調節などの人間側からの要望を即座にロボットに伝達する。このように人間からロボットへの意思伝達機能、ロボットから人間への意図伝達機能をもって、人間-ロボット間の相互的な意図の伝達を実現する。手法の応用例として案内ロボットについて述べる。
著者
坂庭 紳悟 笹倉 万里子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. MPS, 数理モデル化と問題解決研究報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.126, pp.89-92, 2008-12-10
参考文献数
7

男子体操競技における各種日の「演技」は次々と実施される「技」によって構成される.演技構成の採点は演技構成内のそれぞれの単独の技に対して点を与えるものと技の実施の並びに対して点を与えるものからなる.採点対象となる技は採点規則で明記されている.本研究では,採点対象を「技の列」であるど捉え,その列を走査する機能を持つコンピュータプログラムにより体操競技における演技構成に対して採点を行うシステムを構築する.採点規則は,主に自然言語を用いて記述されているが,本研究ではそれを形式的に表現する.構築するシステムは演技の「技」の列を入力とし,形式的に表現された規則を用いてそれを自動的に採点する.このシステムを用いることにより採点の曖昧性を排し,誤採点をなくすことが可能である.
著者
松田 勇祐 金子 寛彦
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.13, no.5, pp.613-619, 2014 (Released:2014-12-26)
参考文献数
16

Humans have various impressions for visual stimulus such as order/disorder and aesthetic preference, but the brain characteristics that each impression reflects are not readily apparent. We hypothesized that perception of order/disorder reflects the stimulus processing fluency. We conducted one preliminary experiment and two main experiments. The preliminary experiment simultaneously presented two stimuli to participants, who judged which stimulus was the more disordered. We scored perception of order/disorder using participants' responses. The main experiments used a same-different judgment task to assess the hypothesis. We presented two stimuli simultaneously, scored with perception of order/disorder. Participants reported whether the stimuli were the same or not. Participants easily judged whether the two stimuli were the same or not when the same-difference task included the stimulus perceived as orderly. Results suggest that the impression of order/disorder reflects the processing fluency for each stimulus.
著者
安藤 史江
出版者
南山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、組織学習論の観点からみて望ましいと考えられるチーム・マネジメントを分析・考察した。具体的には組織アンラーニングやダイバーシティ、組織アイデンティティなどの他の概念とリンクさせて、効果的なチーム・マネジメントに必要と考えられる条件やメカニズムを探るとともに、それを実証するために、協力いただいた1社に対して、デプス・インタビューを行った。その結果、成果をあげているところは、チームのもつ多様性を活かすというよりは、統制しすぎることなく、共有する価値を基盤として柔軟に対応している様子が確認された。また、それにより組織内外の統合性を実現している可能性もうかびあがってきた。
著者
安藤 史江
出版者
南山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、さまざまな企業の組織学習のタイプや水準を明らかにするとともに、その成立を可能にしている要因を探った。その結果、雇用形態や職務の違いよりも、そうした違いを乗り越えて、組織メンバーに一種の自己効力感や当事者意識を持つことを許されたと感じさせるような仕組みづくりに成功するときに、各組織が期待するような組織学習が成立すること、その状態が広いほど高次な組織学習が可能になる傾向が見いだせた。
著者
安藤 史江
出版者
南山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

完成年度である本年度は、昨年度までに得られたデータを分析し、組織学習活動や当該組織における従業員各々のキャリア開発に対してモチベーションを高める環境要因、組織要因、個人要因を掘り下げる作業を行った。とくに、上司との関係、組織内地図の有無、企業の従業員育成制度のあり方、自己に対する自信などが、注目されるべき要素として浮かび上がってきた。その結果の一部は、本年度(2006年度)の夏(8月)に開催された三菱国際カンファレンスにおいて、英語で報告をし、参加者の方々から、貴重なご意見をいただくことができた。また、そのご意見をもとに考察を重ね、2006年10月には、東京大学大学院経済学研究科におけるワークショップ、2007年1月には、専修大学を会場としたシステムダイナミクス学会日本支部研究会で発表を行った。また、著作物としては、本研究内容に基づいた明治安田生活研究所への寄稿、南山大学経営学部の紀要への投稿なども行った。このような機会を得て、また、分析手法などについてその分野の専門家に教えを乞う機会も得ることができたことにより、さまざまなご意見・ご助言を得ることができた。しかしながら、まだ分析結果に納得がいかない点も残っているため、今現在でも改善作業中である。来年度の前半の完成を目指しているが、そのためには、来年度の初期にでも追加的なインタビューを行う必要性を、現在のところ改めて強く認識している。一方で、昨年度得られたデータは、比較的年齢の高いもの(若い人々も含まれているが、主対象は、40代の従業員)であったため、別の企業群が対象ではあるが、20代の従業員に対して追加的な調査も実施した。その結果、やはり上司との関係や組織内地図、育成の仕組みが、彼らの学習活動や行動、モチベーションなどの心理面などに大きな影響を及ぼしている可能性が確認された。この成果については、調査協力および事務局となっていただいた社団法人のもとで報告書を作成するとともに、やはり2007年1月に報告会を実施している。ただし、昨年度来のデータを論文にする作業を優先しており、今年度得られたこのデータについては、まだ論文執筆作業に着手していない。こちらもあわせて、来年度の課題としたい。
著者
安藤 史江
出版者
南山大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
2000

本年度は、人事異動の主目的の1つである人材育成に焦点をあて、その人材育成のあり方が組織学習やその必要条件の1つである組織内地図とどのような関係をもちうるのかということを研究した。その結果、新たな雇用関係に移行する中、人材育成のあり方にも大きな変容、異なる役割が期待されていることがまず明らかになったが、それと同時に、組織学習の質を保ったり、活発な学習活動を実現するためには、先行研究が今後必要であるとする新たな雇用関係に関わるいくつかの施策を単純に、あるいは組織一律で導入することはあまり適切ではないとの考察が得られた。組織学習の活発化だけでなく、有能な人材の流出問題の改善にも貢献する組織内地図がどれだけ発達しているかによって、新たな雇用関係に関わる施策が良い方向に機能する場合もあれば、逆効果になる場合もあることが明らかになったのである。現在、この考察・分析結果については投稿中である。
著者
THAWONMAS Ruck
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

ネット上の仮想三次元空間であるメタバースのセカンドライフ(Second Life,以下SL)での体験学習を支援するための,「移動・行動分析」,及び「体験集約」に関する研究成果が得られている.SL での体験学習は,実世界での体験学習と同じように,仮想の博物館などの見学を通じて問題の解決や探究活動に主体的,創造的,共同的に取り組む態度を育てると期待できる.これらの研究成果は,体験学習支援に止まらず,SL のようなメタバース内での効果的な教育サービスの創出につながると期待できる.
著者
中村 健
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.121, no.5, pp.357-364, 2003 (Released:2003-04-26)
参考文献数
28
被引用文献数
2 2 2

神経細胞は複数の細胞内カルシウム上昇メカニズムに加え,機能的に異なる構造を持っている.神経細胞が興奮した場合,それぞれのコンパートメントでどのようなメカニズムでどのように細胞内カルシウム濃度が上昇するのか,そのような局所的カルシウム濃度変化をそれぞれの部位でいかにして捉えるか,以下テクニカルな面を中心に解説する.