著者
久留島 美紀子 本田 可奈子 豊田 久美子
出版者
滋賀県立大学
雑誌
人間看護学研究 (ISSN:13492721)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.93-96, 2005-03-31

背景 近年、コンピュータの普及により、基礎看護教育において、マルチメディアの導入が盛んに行われるようになっている。我々は、DVカメラとパソコンを使用し、グループ単位で映像を撮影、編集し発表するグループワークを導入するにあたり、その操作方法についての説明会を実施した。目的 説明会・グループワークに関するアンケート調査を実施し、今後の説明会の内容構成の資料とする。方法 本学部一学年の学生62名を対象に、操作方法の説明会を行い、グループワーク終了後、説明会に関するアンケート調査を実施した。得られたデータは統計的に処理した。結果 説明会には33名(54.1%)の参加があった。教員2名で対応したことにより、学生からの質問を受けやすく、また進行状況に合わせての説明となったので、録画、編集ならびに保存の一連の作業を全て行うことができた。アンケートの結果、12名(36.4%)が説明内容を「わかりやすい」、19名(57.6%)が「ややわかりやすい」と回答した。また、説明会がグループワークでの作業に役立ったかについては、「役立った」20名(62.5%)、「やや役立った」12名(37.5%)であった。「あまり役立たなかった」、「役立たなかった」の回答はなかった。結論 説明会の参加者は33名と約半数であったが、学生から積極的な質問が出た。また、アンケート結果より、説明内容のわかりやすさ、グループワークの作業への有効性の両方で高い評価を受け、説明内容が妥当であったことが示された。
著者
大城 安弘 Oshiro Yasuhiro 沖縄開発庁沖縄総合事務局農林水産部 Agriculture Forestry and Fishery Division Okinawa General Bureau Okinawa Development Agency
出版者
沖縄農業研究会
雑誌
沖縄農業 (ISSN:13441477)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.7-16, 1989-08

Life history of the Okinawa-kuchiki cricket, Duolandrevus sp. was studied in Okinawa Island by rearing and field investigations. The materials were collected from Fusato, Tamagusuku Village (Okinawa Island) ; Haneji-River, Nago City (Okinawa I.) and Yona, Kunigami Village (Okinawa I.) from 1981 through 1983. The average egg period was 34~36 days for the eggs laid in April-June, 102~112 days in December-January. The vast number of nymphs hatched from 4:00 to 8:00 hours of a day. None of them hatched during the hours from 14:00 to 20:00. A few of them hatched during the other hours. The average nymphal period was 266 days in 1982~1984. Pre-oviposition period was 10 to 20 days in summer season, and 30 to 40 days in winter season. The number of oviposited eggs reached a crest during the period from 40 to 60 days after emergence of the adults in summer season, and 70 to 100 days in winter season. The longevity of adults was 74 to 83 days in summer, 95 to 103 days in winter. The average number of eggs laid per female was 726 in summer, 449 to 510 in winter. Field investigations showed that each stage of nymph and adult was observed in the whole year, 20% of all stages (excluding egg stage) were adult from October to March, and 50% June to July. However, all developmental stages were found through the year. From the field surveys and laboratory rearing experiments, the species wintered in nymph and adult, and new adult emerged from April onward, and the new adult oviposited from May onward. There is no indication for diapause in this species, and is uni-voltine cricket in Okinawa Island. This species is to be tropical in origin.沖縄島産オキナワクチキコオロギ Duolandrevus sp. の生活史を沖縄島において,室内実験及び野外観察によって調査した。1.卵期間の平均日数は4月~6月に産下されたもので34日~36日,12月~1月のそれは102日~112日であった。2.孵化は4時から8時にピークを形成し,14時から20時には全く孵化せず,その他の時間帯に僅かずつ孵化した。3.平均若虫期間は266日であった。4.産卵は5月~9月においては羽化後10日~20日に始まり,40日~60日にピークを形成し,その後130日頃まで続いた。1月~4月においては30日~40日に始まり,70日~100日にピークを形成し,150日頃まで続いた。5.成虫の平均寿命は4月~9月においては74日~83日,12月~7月は95日~103日であった。6.1雌当たりの平均産卵数は5月~9月産卵においては726個,1月~4月のそれは449個~510個であった。7.野外において,成虫は10月頃から翌年の3月頃までは卵を除いた全個体の20%前後を占め,6月~7月には50%前後を占めるが,8月頃になると20%前後を占めるようになる。8.室内及び野外の調査結果から,本種は主に若虫と成虫で越冬しているが,成虫は冬季でも暖かい日は産卵している。越年若虫は4月頃から羽化し,その新生成虫は5月頃から産卵を始め,沖縄島においてほぼ1年で1世代をくり返しているものと推定された。9.本種には休眠 stage がないことや上述のこと等から熱帯起源のコオロギであることが推測された。
著者
丸山 友希夫 松本 耕成 山本 久志 中澤 智秀 田邊 昌宏
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 = Journal of Japan Industrial Management Association (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.283-292, 2004-12-15
被引用文献数
3

1日の配水量予測については, 需要に影響を与える要素と配水量との相関関係から, 重回帰分析による予測方法が提案されている.本論文では, 給水地域の経済状況の変化等をトレンドとして考慮した1日の配水量予測の方法を提案し, 実測値と予測値の予測誤差率を用いて予測精度の評価を行ったところ, 既存研究より予測精度が向上する結果を導いた.さらに, 予測精度は予測式を導く際に必要となる調整要素に関わると考え, 予測精度を向上させると考えられる調整要素について統計的手法を適用して追及した.その結果, 本論文における予測範囲内においては, 予測方法, 回帰データ選定期間, 使用した過去年数に有意差が認められた.
著者
里見 朋香
出版者
京都大学高等教育研究開発推進センター
雑誌
京都大学高等教育研究 (ISSN:13414836)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.89-97, 2009-12-01

After the incorporation of national universities on 1 April 2004, many of their administration experienced reorganization and personnel changes. Staff members are encouraged to develop their skills to participate more positively in university management. However, these ad-hoc measures are not always effective in making staff more active. In order to establish the university administration that works, the following ten key measures should be taken in order to create a system as a whole: 1) notification of job description, 2) clarification of targets, 3) assignment of right persons in the right position (more specifically, assignment of higher ranks with leadership), 4) establishment of career steps according to staff's expertise, 5) promotion of staff development, 6) establishment of performance evaluation system, 7) improvement of working conditions, 8) employment by various means, 9) clarification of staff's responsibility and competence, and 10) faculty-staff cooperation.
著者
陳 晋
出版者
沖縄大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究は「世界の工場」になりつつある中国の製造業を取り上げ、企業戦略論の枠組を適用しつつ、最も代表格にあげられる自動車産業と家電産業に参入して大量生産の確立を目指す中国上位メーカーの競争力蓄積の成果と問題を比較し検討した。あわせて、WTOの加盟にともない、中国製造業のダイナミックな変化、およびグローバル化を踏まえた企業行動の行方を分析した。中国の自動車メーカーと家電メーカーはともに1950年代中期に現れたが、70年代の中期まで国際比較から見れば、自動車メーカーの生産規模や技術水準は家電メーカーよりかなり上であった。その後、1970年代末の改革開放から今日までの20数年間の発展を経て、ともに政府の産業保護、政策支援を受けながら、両産業の競争力は逆転し大きな格差が現れてきた。以上の認識のもと、本研究の問題関心は次のとおりである。すなわち、WTO加盟にしたがって中国の自動車と家電メーカーの間で、顕在化しつつある競争力の格差は、どのように生じたのか、その要因はなにかである。具体的に、いままでの政府による産業政策などといった外部環境要因とともに、それぞれ産業における内部競争の度合いおよび各自上位メーカーの戦略構築過程とどのような関係があるかなどである。結論として、両産業それぞれの外部環境要因、業界内部の競争の度合いおよび各上位メーカーの戦略構築過程の差異は、それぞれ上位メーカー間に行動重心の政策適応から市場適応へ修正する時間差を発生させ、競争力の格差を形成させたことを明らかにした。まず、中国の自動車メーカーにおける競争力の蓄積は、政府の一貫した競争排除政策、とくに需要がトラックから乗用車へ移行しはじめた80年代の後半に採られた中央政府の厳しい参入制限と競争排除政策によって強く制約された。これに対して、家電メーカーに対する政府政策の直接介入は80年代の後半になると、多数の新規参入と大量生産能力の導入によって、家電製品の生産が売り手市場から買い手市場へ転換したため、ほぼ不可能になった。また、大手国有自動車メーカーは、業界の中核的な地位を占めながら、終始政府政策や計画投資の依存から抜けられないので、市場環境の変化に備える競争力の構築は大きく立ち遅れた。これに対して、80年代に後発した非国有企業を中心とする家電メーカーは、初めから政府の計画投資などに期待せず、市場ニーズに応え、厳しい国内市場競争でしのぎを削ってたたかい、市場経済の波に乗って業界の上位に上り、競争力を着々と伸ばして強くなっていた。
著者
若林 隆三 伊東 義景 原田 裕介 北村 淳 杉山 元康 明石 浩司 前田 徹 戸田 直人 土屋 勇満 加藤 久智 池田 慎二 D Mark RYAN
出版者
信州大学農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究センター
雑誌
信州大学農学部AFC報告 (ISSN:13487892)
巻号頁・発行日
no.5, pp.107-131, 2007-03

1995年~2004年の10シーズンにわたり,信州大学演習林研究室(現AFC 研究室)では中央アルプスの山岳林標高1300~2700mの比高100m毎の15定点において,毎月積雪全層の断面観測を行った。総数500ピット(深さ平均112㎝,累計558m)のうち,密度を測った雪層数は2610層(平均厚さ15.6㎝)である。観測結果と考察の大要は以下の通りである。1.中央アルプスは厳冬期には麓から気温が低いため,標高にともなう雪質の変化が少なく,造晶系(こしもざらめ,しもざらめ)の雪が多い。多雪年には焼結系(こしまり,しまり)が増加し,寡雪年には造晶系の雪が増加する。2.標高と雪層密度の正相関は液相系のない1月2月の厳寒期に高い。3.積雪が多い厳冬期には,新雪が供給される上層と,長期間の変態を経た下層では,雪質と密度が大きく異なる。下層は圧密により密度が増大し,上層は風成雪により密度が増大する。4.上載積雪荷重と層密度との相関は,焼結系で高く圧密が顕著で,造晶系,液相介在系(氷板,ざらめ)の順に相関が低くなる。5.標高が高いほど,細粒のこしまり雪が出現する。高所では低気温と強風により吹雪で雪粒が粉砕される機会が多いことを,粒度が示している。12~2月の粒度が細かいこしまり雪では,粗いものよりも密度が高い。上載積雪荷重が小さい雪面付近でこの傾向が顕著である。したがって標高が高いほど吹雪頻度が高く,微少な結晶破片の堆積した雪面の隙間に氷の粉塵が充?され,焼結の進行によって高密度の風成雪が生まれると推定される。6.12~6月の月積雪深は標高と1次の正相関を示す(相関係数0.91以上)。一方,積雪の全層密度と標高とは中程度の1次の正相関を示す。これらの結果,毎月の積雪水量は標高との2次曲線関係で増加する。7.積雪深が50㎝をこえると,地面と接する積雪下層の平均温度は0℃に近い。
著者
熊本 博光
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

自動車運転の認知行動アニメーションにおいては、個々の自動車の追従ならびに操舵制御が基本アルゴリズムとなる。そこでまず、車両を状態方程式でモデル化し、スライディングモード制御法を用い、追従と操舵に対して新たな制御器を構築した。この結果、車両や路面状態の不確定部分に対してロバストな運転が可能となり、人間運転者と同様の良好な制御結果が得られた。たとえば、圧雪路での急激な車線変更時には、熟練運転者に見られるカウンタ・ステアも実現され、車両位置と方向は安定を保ちながら隣接車線に一致した。次にこれらの基本的制御アルゴリズムをもとに、現車線前方車への追従制御、隣車線前方車への追従制御、自由走行、車線保持制御、車線変更制御、停止制御などに関する認知判断モデルをアルゴリズム形式で明らかにし複数目標下での複雑な状況にも対応可能にした。さらに、自動車群の認知行動アニメーションのために、2車線周回道路環境を3次元仮想現実ソフト上に作成し、様々な視点からのシミュレーションを可能にして、認知行動モデルの有効性を視覚的に示した。すなわち、道路、交差点、信号、建物などをオブジェクトとして作成し、10台の自動車運転車両を走らせ、自由走行から先行車への追従制御、交差点での停止制御、車線変更制御などをアニメーション化し、フロントガラス及び上空から見た情景を視覚化した。このアニメーションに際しては、設備備品として購入したパソコンが重要な役割を果たした。将来の課題としては、雪道などの路面状況の変化を道路環境に含めること、懸架系をも考慮して車内から見た状況をより現実感のあるものにすること、交通事故状況の再現などがある。
著者
堀内 昶 池田 清美
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.38, no.11, pp.836-844, 1983-11-05

原子核のクラスター模型は, はじめは殻模型を補完するものとして, 最近では広い質量数及びエネルギー領域に適用しうるものとして用いられ, 軽い核の構造とその動的性質を記述するに不可欠な模型の一つとなっている. クラスター模型は"原子核内で核子が局所的に強く相関しあう部分的小集団"であるクラスターを単位とし, そのクラスターの集合体で取扱う模型である. それ故クラスター相関が強く現れる際には, クラスター間相対運動が原子核の運動様式の基本となるとする立場の模型である. この意味で, 殻模型とは立脚点が質的に異なる模型である. この解説は, 原子核の分子的 (クラスター) 構造の我国を中心とする研究について概説し, 近年活発となって来ている周辺研究分野との結びつきについて紹介するものである.
著者
徳田 貴志 河合 浩志 岡田 裕 福井 泰好
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. A編 (ISSN:03875008)
巻号頁・発行日
vol.76, no.770, pp.1255-1262, 2010-10-25
被引用文献数
3

Although three-dimensional finite element analysis has become a common tool in the industries to perform their design analyses, there still exist some difficulties in performing three-dimensional fracture analyses. One of them is that although automatic mesh generation techniques are available for tetrahedral finite elements, hexahedral finite elements are commonly used in three-dimensional crack analyses. The other is that the analysis models tend to be large in their scales. Therefore performing a three-dimensional fracture analysis takes much manual labor in the analysis model generation processes and computational time. In present research, the authors have been developing a fracture mechanics analysis system that minimizes the manual labor. The key components in the analysis system are a mesh generation software and the virtual crack closure-integral method (VCCM) for the second-order tetrahedral finite element to evaluate the crack parameters (the energy release rates and the stress intensity factors). Based on them, the software system was carefully designed to handle large scale analysis model. In this paper, as the first report, the outlines of the system and the finite element model procedures are described.
著者
秋田大学付属幼稚園
出版者
日本幼稚園協会
雑誌
幼児の教育
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.36-41, 1962-02-01
著者
鈴木 和秀
出版者
昭和音楽大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:09138390)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.67-79, 2005-03-15

クラシック音楽の録音では、作り手である録音制作者がその過程で行う情報の解釈による音楽の再構築が重要な役割を果たしている。しかし、録音された音楽にその過程が与える影響はこれまで明らかにされていない。そこで、本研究は、CD制作現場等における知見及び、これまでの研究を踏まえ、情報の解釈に注目した。そして、新たに同一演奏を3名の録音エンジニアにより同一条件で同時収録した録音3種類を制作し、これを試料に専門パネルによる官能評価[Sensory analysis]を行い、情報の解釈とサウンドポリシーとの関わり、そして、音楽の再構築にどのように影響を及ぼすか分析を試みた。