著者
小板橋 又久
出版者
一般社団法人 日本オリエント学会
雑誌
オリエント (ISSN:00305219)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.53-62, 2013

The goddess Ashtart is mentioned several times in the Ugaritic texts, but appears relatively rarely in the mythological texts. A. Caquot and M. Sznycer say that at Ugarit, Asthtart was a "colourless deity". On the other side, "the singer of Ashtart" (šr. 'ṯtrt), whom We can find in the administrative text (KTU2 4.168: 4) , is very unique in the ancient Near East. Why does the "colorless deity" in the mythological texts need her professional singer?We can find the entry ritual of Ashtart in several ritual texts (KTU2 1.43: 1-2 ; 1.91: 10; 1.148: 18). The goddess's entry into the royal palace suggests the royal attention paid to her. It appears likely, from a comparison of the Ugaritic texts with the Mari evidence, that the entry ritual of Ashtart is a kind of kispu-festival. We can see that Ashtart is invoked in some incantational texts related to vanquishing venomous serpents (KTU2 1.100; 19b—20a; 1.107; 39b—40a).The Keret epic (KTU2 1.14: III: 41-42 ; VI: 26-28) and a mythical text (KTU2 1.92) show that Ashtart is beautiful but powerful, and she is a good skilled huntress. The Baal myth (KTU2 1.2: IV: 28-30) and a song to Ashtart (RIH 98/02) indicate that Ashtart has the overwhelming power to subdue hostile forces. We can also see that Ashtart is called together with the god Horon in the king Keret's curse (KTU2 1.16: VI: 54-57).Ashtart is the protective goddess to kings of Ugarit, because of her power of breaking enemies. Ashtart is important for the protection of Ugaritic kings against their hostile forces. Because of her physical and magical power, the singer of Ashtart might be necessary for the rituals related to the protection of Ugaritic kings against their enemies and fears.
著者
末森 明夫
出版者
九州大学大学院比較社会文化研究院
雑誌
障害史研究
巻号頁・発行日
no.2, pp.99-110, 2021-03-25

本稿は上古・中古日本の文献および先秦より宋明期にいたる中国の文献にみる啞字彙・啞語彙の位相を対照し、唐代中期の啞語彙位相と上古・中古日本の啞語彙位相のずれに焦点をあて、その中に『日本書紀』「巻27天智天皇紀」にみる建王関連記述「啞不能語」の位置づけをはかった。その結果、「啞不能語」の「啞」は日本の文献において《不言》の意味で用いられた「啞」の最初期用例であると共に、《笑声》と《オフシ》という意味の二重性を内包する可能性が窺われた。This paper focuses a Chinese character 啞 in a sentence, citing a deaf member of the imperial family in Japan, Takeru-no-Miko, in a historical chronicle "Nihon Shoki" on the basis of comparison between history of words related to the deaf-mute in Japan and China in the ancient and middle ages. The consideration suggests that the sentence was the earliest example as the 啞 meaning the deaf-mute observed in historical documents in Japan, and that the 啞 would be used as a polysemic word implying not only the deaf-mute but also smiling.
著者
池谷 のぞみ
出版者
関東社会学会
雑誌
年報社会学論集 (ISSN:09194363)
巻号頁・発行日
vol.2019, no.32, pp.12-22, 2019
被引用文献数
1

<p>"Ethnomethodological studies of work" may be located as one branch within ethnomethodology and conversation analysis. It is a research program Harold Garfinkel, the founder of ethnomethodology had been concerned with during his later years. Studies of work have investigated how work is conducted in workplaces to feed information about the actual organization of work practices into design of work, technologies, and social policies. Thus, studies of work have been conducted in various interdisciplinary contexts. This paper looks into hybridity, i.e., the ambition to merge ethnomethodological studies with the investigative topics treated within the settings being studied, which Garfinkel introduced as a set of criteria studies of work should satisfy, to reflect on how Garfinkel intended this policy to be implemented. Two studies in emergency medical settings are examined in light of hybridity, and also in light of how studies prompted people to think reflectively about social issues.</p>
著者
佐藤 嘉彦
出版者
横浜国立大学
雑誌
横浜国立大学教育人間科学部紀要. IV, 自然科学 (ISSN:13444646)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.9-15, 2009-02

I investigate seed plants growing wild in Manazuru Peninsula. I wrote comment about the plants of Manazuru Peninsula with Okada in 2007 and We included the plant list which was not yet completed in the comment. I continue the investigation afterwards and found some other plants which I had not collected on the plant list. I will describe that I was provided from the observation in three kinds of these plants. They are Epipogium roseum (D. Don) Lindl., Liparis nervosa (Thunb.) Lindl. and Chloranthus japonicus Sieb. Though Epipogium roseum of the Orchidaceae is a very rare plant in Japan, it was observed a lot in Manazuru Peninsula in 2007 and 2008. Because there was an error in a description of Debregeasia edulis (Sieb. et Zucc.) Weddell of the comment (Okada & Sato 2007) that mentioned above, I will describe the correction.この数年、真鶴半島に自生している維管束植物の調査を続けている。真鶴半島に自生している約160種類の種子植物の目録を、2007年には岡田とともに発表した(岡田・佐藤 2007)。真鶴半島は神奈川県西部の静岡県との県境付近に位置している、およそ3km2ほどの小さな半島である。この半島のある相模湾は海深が深く、表層には黒潮が流れ、深部には親潮の末端が流れ着いており、半島周辺は良好な漁場となっている。その漁場を守るために半島には魚付き保安林が設定され、真鶴町の管理の下で、大切に保全されている。この保安林はクスノキを優占種としたアカマツなどの常緑樹を交えた林である。真鶴半島の海岸線には海岸に特有の植物相が見られ、魚付き保安林の中には山地性の植物も自生している。魚付き保安林としてのこのクスノキ林を宮脇等(1969)は、林の構成の植物社会学的な調査と林内に全くクスノキの幼樹が見られないことに基づいて、人工的に作られたものであると考察している。しかし、自然度の高い林である。目録を発表して後の調査で、目録の作成時には観察できなかった数種類の植物の自生が明らかになった。そのうちの3種類について記述をし、次いで2007年のヤナギイチゴの記述(岡田・佐藤 2007)の訂正と追記をしておきたく、この報告文を作成した。
著者
殷 燕軍
出版者
関東学院大学経済経営研究所
雑誌
関東学院大学経済経営研究所年報 (ISSN:13410407)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.131-150, 2013-03

中国では,11月8日から始まった共産党第十八回代表大会は,2002年に最高指導者となった胡錦濤(Hu Jintao)の替わりに,習近平(XI Jinping)を総書記とする新執行部が選ばれた。また今年の3月に開かれる全国人民代表大会にて国家主席にも選ばれ,名実ともに中国の最高指導者になった。まさに10年一度の世代交代である。2002年胡錦濤氏をはじめとする中国指導部から10年経ったいま,中国の対外政策の変化も見え始めている。本稿は,21世紀最初の10年における胡錦濤体制の対外政策を振り返りつつ,習近平新体制の対外政策を予測してみたい。
著者
福田 千紘
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会(日本)講演会要旨
巻号頁・発行日
vol.40, pp.21, 2018

<p>ガラスは古代より装飾品として使用されており各所の遺跡の出土品からも様々な形態の装飾品が報告されている。現在は天然素材を用いた宝飾品が高く評価されるためガラスを用いた装飾品は主にアクセサリーとして流通している場合が多い。 19 世紀頃からは装飾品にするために様々な工夫を凝らした特殊なガラスが製造されていた。本研究では主に 19 世紀から 20 世紀中ごろまでに製造されたいくつかの特殊な外観を呈するガラスについて主に化学組成と特徴を報告する。</p><p>今回入手した試料はそれぞれサフィレット、アイリスグラス、ドラゴンブレスと呼ばれ流通しているガラスである。</p><p>サフィレットは19世紀にチェコで製造され、その後製法が途絶えてしまったが 20 世紀に入ってから旧西ドイツで復刻生産されたと報告されている。主に青色透明で背面に反射膜を有するものと無い物が存在する。強い自然光や人工光下で褐色に見え一見すると変色性のような特徴を持つ。アイリスグラスはアイリスクォーツを模して造られたガラスで無色のガラスに赤、青、緑系の各色ガラスが混入されている。背面には反射膜を有する物と無い物が存在する。ドラゴンブレスは主に赤~オレンジ色を呈するガラス中に不規則な青色の干渉色を呈する事を特徴とし背面には反射膜を有する。</p><p>EDXRF にて組成を分析した結果、主要成分はいずれも Pb、 Si、 K に富み B に乏しく、一般的に"クリスタルガラス "と 呼ばれるガラスであった。また着色原因と考えられる元素としてサフィレットからは Fe、 Cu、アイリスグラスからは Cu、ドラゴンブレスからは Se がそれぞれ微量検出された。アイリスグラスの赤色部は紫がかった色調から金コロイドによる着色が考えられるが Au はXRFでは検出出来なかった。そこで可視分光分析を行い現在生産されている金コロイドの赤色鉛ガラスと比較した。また、サフィレットはその外観から何らかの金属コロイドの存在が考えられこれの検出を試みた。ドラゴンブレスは 2 層の異なる組成のガラスから構成されておりガラス組成の差と境界面の構造から青色の干渉の原因を考察した。</p>
著者
斎藤 嘉孝 木村 忠正
出版者
一般社団法人社会情報学会
雑誌
日本社会情報学会学会誌 (ISSN:09151249)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.45-58, 2004-09-30

情報化の進展によって人びとが懸念することの1つにデジタルデバイドの問題があるが, 本稿ではデジタルデバイドへの懸念が日本社会において集団間で差があるかどうかを検証する。性別や年齢といった人口学的集団で差がみられるのか。あるいは階層集団によって差があるのか。あるいは情報機器(PC, 携帯電話)の使用の有無で差があるのか。これらの議論の根拠となるのは, 橋元(2001)の提示した「合理的無知」という概念であり, それによれば人びとは情報機器を使用しないことをあえて選択することが少なくない。つまり, デジタルデバイドの懸念を感じるような社会的認識に, 日本社会は至っていないと解釈できる。情報化の進展は目まぐるしいが, はたして橋元の調査以降もこのような状況が続いているのかどうか, 2001年と2003年に収集された全国対象のパネルデータを用いて検証する。また, 2時点での変化も考慮し, 使用機器の開始や中止, あるいは地位移動がデジタルデバイドへの懸念に影響を与えたかどうかをも検証する。さらに, デジタルデバイドへの懸念を2時点間で増加させた層がいるとしたら, それはどのような人びとなのかも分析する。結論として, 集団間でデジタルデバイドへの懸念があまり存在しないということが, 分析結果からいえる。2時点の変化を考慮しても同様の結果だった。それが意味することは何なのか, 日本社会の情報化の特質をふくめ詳しく検討する。
著者
松野 哲哉 河本 大地 馬 鵬飛
出版者
奈良教育大学次世代教員養成センター
雑誌
次世代教員養成センター研究紀要 = Bulletin of Teacher Education Center for the Future Generation (ISSN:21893039)
巻号頁・発行日
no.5, pp.175-184, 2019-03

本稿は、1960年代の山間地域における「へき地教育」について、奈良県吉野郡十津川村の大字出谷の事例を中心とした調査により、現代的評価をおこなうことを目的とする。玉井(2016)の挙げるへき地小規模校教育の良さを指標とした。本稿で調査した旧十津川村立出谷小学校は、標高約600mの山頂部に位置し、児童は毎日長い時間をかけて山道を上り下りして通学していた。また栄養状態が悪く、学習面のみならず、環境の面でも「遅れた」状態であった。しかし、児童の自然体験は豊かだった。また、授業以外にも教員と子ども、および子ども同士の信頼関係が深いことを示す出来事が多数みられた。例えば、学校で使うための木炭づくりや、水の確保、通学路の整備などである。子どもたちはその生活を通して、リーダーシップや社会性を身につけた。こうした教育を実施するにあたり、保護者のみならず地域社会全体が学校に対し、非常に好意的、協力的であったことがわかる。これにより、教員は一層子どもと向き合う時間を確保でき、深い信頼関係を構築することができたと考えられる。
著者
姜 暻來
出版者
日本比較法研究所
雑誌
比較法雑誌 (ISSN:00104116)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.75-102, 2012

近年、韓国では、児童を対象とする凶悪な性暴力犯罪に対処するため、2000年に性犯罪者の身上公開制度(インターネットでの性犯罪者の個人情報の公開及び閲覧制度)、2005年に電子監視制度(性犯罪者へのGPS機能を搭載した電子足輪の装着)、さらに、2008年には、性的倒錯(小児性的嗜好及び加虐性愛)等の性的性癖がある者を治療監護対象者とする新たな対策を次々と導入してきた。しかし、その後にも児童を対象する凶悪な性暴力犯罪が発生したため、化学的去勢(chemical castration)を主な内容とする「性暴力犯罪者の性衝動薬物治療に関する法律」を2010年に制定し、2011年7月から施行している。これは、性犯罪者に対する薬物治療を通して性衝動を抑制することで、再犯を防止することを内容とする制裁手段の一つであるが、身体に直接影響を与えるために人権侵害等の問題等が指摘されている。そこで本稿では、化学的去勢の意義と効果、「性暴力犯罪者の性衝動薬物治療に関する法律」の概要等に対して分析を加え、韓国の化学的去勢に関して論議されている問題点について論じることにした。
著者
霍間 郁実 四日市 章
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.421-430, 2013
被引用文献数
1

本研究では、手話から日本語への同時通訳(読み取り通訳)の量的な側面を明らかにするために、訳出率と変換作業について分析を行った。分析対象とした手話話者の発話の文節数は307文節であり、各通訳者5名が発話した文節数は207~283文節であった。訳出率は41.7%~71.8%であり、通訳資格をもつ者の中でも差が大きいことが示された。通訳者は重要語を選択的に訳出しており、訳出率の高い通訳者は少ない発話数で効率よく訳出を行っていることが推察された。訳出における変換作業は「同等」「言い換え」「付加」「省略」「誤り」に分類され、「言い換え」や「省略」では、通訳者が共通して選択する文節があることが示された。
著者
野中 璃大
出版者
法政大学大学院デザイン工学研究科
雑誌
法政大学大学院紀要. デザイン工学研究科編 = Bulletin of graduate studies. Art and Technology (ISSN:21867240)
巻号頁・発行日
no.10, pp.1-2, 2021-03-24

My research is to point out the location and topographical characteristics of the mysterious tans that have occurred in various parts of Edo based on Edo's geography, oral traditions, and entertainment, and to decipher the city of Edo from the perspective of mystery. is there.