著者
堀江 秀樹
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.346-351, 2012-10-05

グアニル酸がグルタミン酸の味を強めることはよく知られている。何種類かの野菜(ナス,トマト,ニンジン,ダイコン,ネギ,ホウレンソウ)の蒸し処理によりグアニル酸が生成することを見いだした。ニンジンジュースへのグアニル酸の添加(蒸し野菜に含まれる濃度レベル(10mg/l))をパネルは官能的に判定できた。蒸し野菜に含まれるグアニル酸はグルタミン酸のうま味を強めることにより,味に寄与することが示唆された。トマトのオーブン加熱は呈味成分を濃縮し,グアニル酸も生成した。焼いたトマトのうま味は,濃度の増加したグルタミン酸とグアニル酸の間の相乗効果のために,生のトマトよりも非常に強いものとなる。グアニル酸含量は調理野菜の味研究における重要な指標となるものと考えられる。
著者
福井 弘教
出版者
法政大学公共政策研究科『公共政策志林』編集委員会
雑誌
公共政策志林 = Public policy and social governance (ISSN:21875790)
巻号頁・発行日
no.6, pp.89-103, 2018-03

ギャンブルは,正負両面共に強調されて,実際に何が課題となっていて,いかなる方策を必要とするか見えづらい点は否定できない。本稿では隣国,韓国との比較を通じて,ギャンブル政策の正負両面を明らかにしながら,日本のギャンブル政策理論を構築した上で,将来的に導入される可能性が高まった新規のギャンブル事業であるカジノの運営方式(マネジメント)から,依存症対策(ケア)に至るまでの政策提言までを射程として考察した。日本・韓国の公営競技におけるマネジメントに関しては一定の評価ができるものの,いずれも組織の肥大化を招いており,日本はケア対策の欠如も明らかとなった。宝くじ・スポーツ振興くじについては未だにギャンブルを自称せず,これら公営ギャンブルの負の側面を,「グレーゾーン」ともいえる私営ギャンブルのパチンコに強いてきたのが日本のギャンブル界である。他方,韓国では国(文化体育観光部)が主導して,ソウルオリンピックを契機とした跡地利用やスポーツ・文化行政との融合,適切な大小の規制を併用して,ギャンブル政策を運用してきたといえるが,逆に不法賭博を蔓延らせる要因ともなっており状況に応じた規制緩和も不可欠となろう。ギャンブル政策に正解はなく,常に模索を続ける必要がある。
著者
福島 可奈子
出版者
日本映像学会
雑誌
映像学 (ISSN:02860279)
巻号頁・発行日
vol.98, pp.5-24, 2017

<p>【要旨】</p><p>鶴淵幻燈舗は、明治期に文部省の委託で初めて西洋幻燈を製作・納品し、その後の幻燈の普及に多大な影響を与えている。しかし鶴淵幻燈舗の事業の実態については、現存史料が少ないために、先行研究では断片的にしか明らかにされてこなかった。本論は、近年新たに発見された鶴淵幻燈舗発行の機関誌をも参照しながら、同舗の製造・宣伝・販売事業と、販売先のひとつである博文館の雑誌『少年世界』が主宰するお伽幻燈隊の活用方法について検証し、「通俗教育」事業としての幻燈と諸メディアのつながりの一端を明らかにしようとする。なぜなら同舗製作の幻燈は、近代国家としての「国民」の形成を目指していた明治政府にとって必要不可欠な教育ツールと目されたからであり、また明治期は現在考えられているような概念やメディアが定着・分離する以前であり、写真、幻燈、児童雑誌など多様なメディアが混在していたからである。そして「通俗教育」の名のもとにそれを横断する形で、鶴淵幻燈舗の製造・販売事業、お伽幻燈隊の受注事業があった。本論では、メディア考古学の観点から、メディアの多様性と相互の連関に注目するとともに、従来等閑視されてきた幻燈の実際面、製造・販売者や使用者の視点からの、技術的側面や具体的使用例を検討しつつ、明治期の「教育」現場での、他メディアとのつながりをも含む幻燈の果たした役割を明らかにする。</p>
著者
鈴木 恒男
出版者
日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.153-161, 1991
被引用文献数
10

色再現に於いては肌色の再現が一番重要であるとよく言われている。その為に, 肌色の特性及びその再現に関しては多くの研究がなされている。しかし, その肌色再現の人種間の比較に関しては研究が非常に少ない。本報告では, 日本人と欧米人の好ましい肌色を白人女性の写真を使って調査した。その結果, 日本人は欧米人よりも赤みの肌色を好む事が分かった。この事は従来白人及び日本人で独立に行なわれた研究とも対応するものである。
著者
小嶌 正稔
出版者
東洋大学
雑誌
経営論集 (ISSN:02866439)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.21-37, 2005-03
著者
屋名池 誠
出版者
東京女子大学
雑誌
東京女子大学比較文化研究所紀要 (ISSN:05638186)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.23-40, 2003

Japanese has a unique writing system, which allows you to write horizontally as well as vertically. It was not until late Edo Period or Early Meiji Period (around 1860 -1870) that horizontal writing was introduced. Before then there was only vertical writing. This paper examines the reasons why the horizontal writing was possible to occur in these periods. The reasons are: 1. When a language with a different direction of writing contacts another, it is not unusual that they influence each other and produce variants. 2. However, it is not easy for a variant to settle in an already existing language. In order for it to settle down, there should be some conditions in which the new variant would be socially accepted in the speech community. 3. Horizontal writing may have been accepted as part of the extensive Westernization that was carried out in those periods. This would be a reason why the innovation in the direction of Japanese writing occurred in the middle of the 19th century.
著者
山本 浩三
出版者
同志社大学
雑誌
同志社法學 (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.46-57, 1959-06-30

資料
著者
石上 文正
出版者
人間環境大学
雑誌
人間と環境 電子版 (ISSN:21858373)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.1-22, 2015-03-31

映画「男はつらいよ」シリーズの劇中において映画のタイトルが表示されるときの口上、「わたくし、生まれも育ちも葛飾柴又です。帝釈天で産湯を使い、姓は車、名は寅次郎、人呼んでフーテンの寅と発します。」および寅さんが生きている社会・世界をN. フェアクラフの批判的ディスコース分析と社会分析を用いて考察する。批判的ディスコース分析から、寅さんの口上には多くの矛盾が認められ、彼が両義的人間であるという結論に至った。また、社会分析によっても彼が生きている世界は両義的世界であることが判明した。その結果、次の2 点が導かれる。(1)この映画では矛盾がさまざまな局面に存在することが、緻密にそして整合的に製作されている、(2)フェアクラフ理論は、社会とことばの分析において、今回のケースでは有効であった。寅さんおよび彼が生きている世界と同様に、現実の世界も矛盾や両義性に満ちていている。いっぽう、フェアクラフ理論の基本は、世界の整合性に基づいている。では、何故フェアクラフ理論が有効であったのだろうか。それは、整合性に基礎を置いている理論だからこそ、矛盾や両義性を検出しやすいのである