著者
町頭 義朗 佐藤 克明
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. 第3部門, 自然科学・応用科学 (ISSN:13457209)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.7-15, 2012-09

平面上に4点を与えたとき,その4点を通る放物線が存在するための必要十分条件は,4点が凸四角形の頂点となることである。また一般に,その時2本の放物線が存在する。放物線はコンパスと定規だけでは作図出来ないが,4点が与えられたときに,その4点を通る放物線の焦点と準線をコンパスと定規で求めることは可能である。本論文では,その求め方を論じ,幾何学ソフトウェアKSEG で,4点を通る放物線を描くやり方を述べる。
著者
中村 光宏 林 恭守 澤田 秀之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. MUS,[音楽情報科学] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.135-140, 2006-08-07
参考文献数
7

発話機構を全て機械系によって構成することにより、人間のような発話動作に基づいた音声の生成が可能となる。主に肺、声帯、声道部、鼻腔、聴覚部から構成される本発話ロボットは、声のピッチを変化させながら発話を生成することが可能である。ピッチ制御には複雑な声帯振動の解析が必要であるが、ここではシリコーンゴムを皮膚程度の柔度で成形した二枚の振動体の張力と、空気の流量を、モータにより操作することによって実現した。一方、調音のための共鳴管をシリコーンゴムで成形し、これを外側から棒で押し引きして声道断面積を変化させることにより、共鳴特性を変化させて母音や子音音声を生成することが可能である。本稿では、まず発話ロボットの構成について紹介し、次にニューラルネットワークを用いた聴覚フィードバック学習に基づく音声、音階の獲得と、楽譜作成インタフェースを用いた歌声生成について述べる。
著者
山田 尚勇
出版者
国立情報学研究所
雑誌
学術情報センター紀要 (ISSN:09135022)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.249-290, 1994-03-28

アルファベットによってことばを表記している国ぐにでは、表記法の問題は前世紀の終りごろまでにだいたい片付いているが、日本では今にいたっても、ときどきまだ大きな変化が起こっている。そしてそのほとんどが、実は漢字の借用に始まる、おおよそ1500年にも及ぶ問題の細部の表明である。 本稿ではこの漢字の問題を、主権在民の情報化社会の立場に立って、日本語の側から展望した論説である。
著者
城ケ原 貴道 小倉 剛 佐々木 健志 嵩原 建二 川島 由次
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.29-37, 2003-06-30
被引用文献数
6 3

沖縄島北部やんばる地域におけるノネコ(Felis catus)および集落におけるネコの食性と在来種への影響を把握するために,糞分析による食性調査を実施した.その結果,ノネコおよびネコの餌動物は多くの分類群にわたっていた.林道においてノネコは,昆虫,哺乳類,鳥類および爬虫類を主要な餌資源としていることが推察され,集落においては,人工物および昆虫が主な餌資源となっていることが推察された.ノネコの餌動物には多くの在来の希少動物が含まれており,沖縄島固有種で国指定特別天然記念物であるノグチゲラ(Sapheopipo noguchii)をはじめ8種の希少種がノネコの糞より検出された.やんばる地域に生息するノネコおよび集落に生息しているネコは,沖縄島の生態系において陸棲動物のほとんどを捕食できる高次捕食者として位置づけられると考えられた.今後,やんばる地域の生態系を維持するためには,ノネコの排除が必要であり,さらに供給源としての飼いネコの遺棄を防ぐ県民への啓蒙普及活動が不可欠である.
著者
嵯峨 景子
出版者
日本マス・コミュニケーション学会
雑誌
マス・コミュニケーション研究 (ISSN:13411306)
巻号頁・発行日
no.78, pp.129-147, 2011-01-31

This paper aims at examining the process of creation and change of readers' community in the magazine "Jyogaku Sekai". For this purpose, I analyzed the letters from readers, and discussed about the historical transition of their writing and communication style. Through a past quantitative analysis, it became clear that a large change has occurred around 1916. At first, a major function of the readers' column was exchanging information about daily life, postcards, books, and etc. However, around 1916, the function of exchanging information disappeared, and the letters of readers became more fictional, romantic, and daydreaming. A use of pen name, graceful style of writing, and sentimental motif spread among girls, these elements established the friendships of readers, and the romantic community was made by the function trough the magazine. I summarize that the large change has occurred based on the decline in the age of readers, the expansion of female magazine market, and development of girl culture in Taisho era.
著者
柴田 勝征
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.50, pp.1-6, 2008-05-16

2000年から3年置きに実施されているOECDによる15歳国際学力調査(PISA)で日本がトップの座から次第に順位を下げていることについて、教育界やジャーナリスムの世界では「学力の低下」とセンセーショナルに論じられており、PISAの問題自体やOECDの掲げる理念そのものを真っ向から批判する論調は日本では皆無と言って良い。本論文ではPISAへの根底的批判と生徒たちの解答に反映されている日本人特有のメンタリティーについて解説する。
著者
竹田 聡
出版者
日本財務管理学会
雑誌
年報財務管理研究 (ISSN:09171738)
巻号頁・発行日
no.26, pp.101-107, 2015-05-01

1. 本稿では,まずMPT(現代ポートフォリオ理論)に基づくインデックス運用を実践するための株式ポートフォリオとはどのようなものかを考察し,その上でグローバル・マクロ投資戦略を巡る問題を考察する。その結果,ETF(上場型投資信託)を用いたグローバル市場ポートフォリオを提示し,この10年間の新興国の株価高騰は特異な例外的事象であったことを指摘する。2. MPTに基づくインデックス運用とは,たとえばTOPIX連動型のインデックス・ファンドを指すわけではない。株式市場とは単一の国の株式市場ではなく,世界の株式市場であり,市場ポートフォリオとはグローバル市場ポートフォリオを指す。したがって,MPTによれば,世界中の株式市場の各銘柄を,その時価総額で加重して分散投資を行うインデックス運用こそ最も優れた株式投資法ということになる。3. カン[2008]は日本においてETFによる資産運用を先駆的に提唱し,「投資とは,未来の変化にお金を託すこと」であると主張している。そうした発想から,カン[2008]はETF投資の資金配分比率を,米国25%,米国以外の先進国25%,新興国50%とすることを提唱している。具体的には,投資資金の配分比率をiシェアーズCore S & P 500(IVV)に25%,iシェアーズMSCI EAFE(EFA)に25%,iシェアーズMSCI Emerging Markets(EEM)に50%とすることによって高い投資パフォーマンスを実現しようとする。これは新興国の経済成長を背景とした新興国の株価上昇によって,2030年までには新興国の株式時価総額が先進国のそれに匹敵するものとなることを想定した投資戦略である。4. カン[2008]の提唱するグローバル市場ポートフォリオは,未来の世界経済や株式市場を予測するマクロ投資戦略を取り入れたポートフォリオである。したがって,MPTによる経済学的に最も合理的な株式投資法とは異なる。ポートフォリオの投資資金の配分比率をIVV 45%,EFA 45%,EEM 10%とするならば,それはほぼMPTに基づくインデックス運用となる。5. 2000年代は新興国経済の躍進を背景に新興国の株式市場が拡大した。すなわち,ヘッジファンドなどの海外主体が低金利で調達した円資金をドルに転換して,米国金融市場をはじめとする高金利の金融市場で運用する円キャリートレードが行われた。04年以降は巨額の経常収支黒字を稼ぐ中国がグローバル投機マネーの供給者に加わり,巨大化した投機マネーはコモディティ(一次産品)市場に流れ込み,原油をはじめとする資源価格を高騰させた。6. 1998年からの米国株高やその後の資源バブルが発生した要因として,米国の財政収支の黒字化が挙げられる。すなわち,米国の財政収支が98年度におよそ30年ぶりに黒字化したため,新規の米国国債の発行が減少したのである。このため,経常収支黒字国からや円キャリートレードによって米国に流入したグローバルマネーは,米国の国債市場では消化できなくなり,当初は米国株式市場に流れてITバブルを引き起こす。その後,コモディティ市場に流れ込み資源価格を高騰させ,さらに米国不動産市場に流入してサブプライム問題を準備し,同時に2000年代の新興国株式市場の拡大をもたらした。7. この意味で,この10年の新興国株式市場の拡大は,グローバル・インバランスの拡大や中央銀行の金融緩和がもたらしたグローバル投機マネーによるものである。FRB(連邦準備制度理事会)による量的緩和の段階的縮小が進み,2014年10月にはQE3(量的緩和第3弾)が終了するなかで,新興国の株価上昇を今後も持続的なものとみることは困難である。つまり,この10年の新興国の株価高騰は,特異な例外的事象であると思われる。