著者
矢吹 太朗 伊庭 斉志
出版者
日本シミュレーション学会
雑誌
シミュレーション (ISSN:02859947)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.177-182, 2004-09-15

Swarm, a software package for multi-agent simulation of complex systems, is introduced. This library supplies researchers with varieties of graphical user interfaces and a useful scheduler for discrete time step simulation. We first explain tutorials for beginners of complex systems and Swarm. We then show two practical simulation examples implemented on Swarm, e.g., percolation on a two dimensional tetragonal lattice and Turing's model of morphogenesis. For the readers' information, we give the installation manual of Swarm in Windows system in the appendix. We also discuss some Swarm's defects and possible extensions for the purpose of future research.
著者
嶋田 総太郎
出版者
社団法人人工知能学会
雑誌
人工知能学会誌 (ISSN:09128085)
巻号頁・発行日
vol.16, no.6, 2001-11-01

本論文はクラシファイアシステムに高次ルールを導入することによって, 従来のクラシファイアシステムでは学習が困難であった非マルコフ環境および動的環境において, 学習性能を改善できることを論じたもので, 8章よりなる.第1章は序論であり, クラシファイアシステム研究の現状における問題点, ならびに本論文の目的などを述べている.第2章では, 従来提案されてきた代表的なクラシファイアシステムの概要を述べた後, クラシファイアシステムにおける諸問題およびその改善策に関する研究を総括している.そして, クラシファイアシステムの性能改善に求められる要件を明らかにし, 本研究の目的を述べている.第3章では, 第2章での検討をもとにして, クラシファイアシステムにおいて動的に高次ルールを生成する機構を提案している.特に非マルコフ環境において高次ルールを導入することで性能を改善できることを詳しく述べている.第4章では, マルコフ環境をべ一スとした動的環境の枠組みを提案している.従来のクラシファイアシステムの研究では動的環境についてはほとんど扱われておらず, 著者はまず動的環境の性質について議論した後でその定義を与えている.第5章では, 第4章で与えた定義に基づいて, 動的環境における高次ルールの機能について議論を行っている.そして環境の変化に合わせて高次ルールを動的に分割・結合するメカニズムを提案している.実験によって提案メカニズムが有効に機能することを示し, さらに従来のクラシファイアシステムでは学習が困難な環境変化が頻繁に起こるような場合でも提案システムは安定して学習を進められることを示している.第6章では, 本研究により得られた結果に対して総合的な考察を行っている.第7章では, クラシファイアシステム以外の研究分野における高次ルール研究を総括し, 本研究との関わりについて考察している.最後に第8章で, 本論文を総括している.
著者
槫松 理樹 山口 高平
出版者
社団法人人工知能学会
雑誌
人工知能学会誌 (ISSN:09128085)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.585-592, 1996-07-01
被引用文献数
3

Although Case-Based Reasoning comes up in order to solve knowledge acquisition bottleneck, a case structure acquisition bottleneck emerges there in CBR instead of it. Because we cannot decide an appropriate case structure in advance, a framework for CBR should be able to improve a case structure dynamically, collecting and analyzing cases. Here is discussed a new framework for knowledge acquisition using CBR and model inference. Model Inference tries to obtain new descriptors (predicates) with interaction of a domain expert, regarding the predicates as the slots that compose a case structure, focusing on the function of predicate invention. The framework has two features: (1) CBR obtains a more suitable group of slots (a case structure) incrementally through cooperation with model inference, and (2) model inference with predicate invention capability discovers the rules which deal with a given task better. The system has been applied to the legal analogy problem to acquire new legal interpretation rules from given precedents. The system has invented two important legal predicates and generated two legal interpretation rules including some legal doctrine related to the problem. And the case structure has been improved using the two invented predicates. The experimental results show us that the framework is promising to acquire knowledge in the field of legal interpretation.
著者
山口 高平
出版者
社団法人人工知能学会
雑誌
人工知能学会誌 (ISSN:09128085)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.461-466, 2007-07-01
被引用文献数
3
著者
竹内 成博 森田 武史 和泉 憲明 山口 高平
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. KBSE, 知能ソフトウェア工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.212, pp.43-48, 2007-09-03

セマンティックWebを実現するためには,既存のWebページに対して機械可読なRDF形式のデータを提供する必要がある.しかし,Web上にはすでに膨大なHTML形式のWebページがあり,それらに対して人手によってRDF形式のデータを提供することは困難である.本研究では,HTMLで記述されたWebページからデータを抽出し,オントロジーを用いることでRDF形式のデータに変換する手法を提案する.この手法により,従来の手法と比べて,HTMLからRDFを抽出するコストを下げることが出来る.
著者
佐々木 稔 新納 浩幸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.23, pp.145-152, 2003-03-06
被引用文献数
3

本稿では,文書要約の支援を目的としたシソーラスの自動構築を行うために,大規模な単語集合に対するクラスタリング手法の提案を行う.これまでの単語クラスタリングに関する研究は,索引語・文書行列を利用してさまざまな要素間類似度やアルゴリズムを用いてクラスタリングが行われている.この索引語・文書行列を利用した場合,索引語の分布はどのような文書内容で出現するかを統計的に示したもので,文書内における語と語の間にある意味的なつながりはそれほど強くない.そのため,結果として出力されるクラスタにはある話題に共通する単語が集まりやすくなると考えられる.意味的につながりを持つクラスタを構築するために,共起関係を持つ単語の組を抽出し,ある単語に対して意味的につながりやすい単語を統計的に表現し,それをクラスタリングすることで意味的な共通性を持つクラスタの自動構築を目指す.In this paper, we propose a new clustering algorithm for large scale document size to construct the thesaurus automatically in aid of summarization. The existing word-clustering systems use various similarity and clustering algorithm based on the context of the information retrieval. In case of the clustering using term-document matrix, the distribution of the index word represents the frequency of the word appearance in a certain contents of a document. Therefore, semantic relation between these words in the document is not so strong. As a result, the words which appear frequently in the contents tend to be gathered for one cluster. To construct a cluster set in which semantic relation between these words is contained, we show a word clustering using a pair of words with cooccurrence relation automatically. We further show that our clustering is effective for word sense disambiguation in comparison with using term-document matrix.
著者
萩原 洋一 池田 諭 中森 眞理雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告アルゴリズム(AL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.33, pp.33-40, 1999-05-10

マージソートは時間計算量がO(n log n)(nはソートされるレコードの個数)であり高速であるが,内部ソートとして実行する場合,作業場所として大きさnの配列を要するのが欠点であるとされている.本論文では,作業場所として数語だけを要するマージソートを提案する.新しいマージソートの時間計算量はO(n log^2 n)であり,従来のアルゴリズムより悪いが,これは作業場所とのトレードオフの結果である.Mergesort is one of the fastest sorting algorithm, since it requires only O (n log n) of computing time. Mergesort, however, requires an array of size n as working area, when executed as an internal sort. In the present paper, we propose an algorithm which is a modified version of mergesort. The space complexity of the proposed algorithm is only O. The time complexity is O (n log^2 n), which is worse than the existing merge sort and is the result of the tradeoffs between time and space complexities.
著者
吉内 英也 星 徹 河地吏司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.30, pp.57-62, 2005-03-18

複数のコミュニケーションアプリケーションをグループ化し,グループ内アプリケーションのプレゼンス情報について,処理ポリシーを設定できるシステムの検討を行う.メディアの種類,デバイスの競合状況などに応じたアプリケーションのグループを,ユーザが自分の要求に沿った形に設定することにより,精度の高いプレゼンス情報を他のユーザへ提供する機能を実現する.We propose management system for presence information based on grouping of communication application. In our system users can set application groups according to the type of communication media and resources that communication applications use. Proposed system also enables to configure processing rules of presence information in a group and provide high precise presence information.
著者
橋本 憲幸
出版者
一般社団法人日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3, pp.348-359, 2007-09

本稿の目的は、一般に開発途上国と呼ばれる国々のとりわけ初等教育に対する国際的な教育援助の正当化を、留保を付しつつ行なうことである。2000年の「世界教育フォーラム」を経て、開発途上国(政府)-<彼/彼女ら>-の教育の内容・価値に関わる問題が国際共同体-<われわれ>-の問題としても位置付けられている。しかし、そういった<彼/彼女ら>の教育問題は、政治・文化を越えて<われわれ>の問題になりうるのか。<われわれ>は国境線を越えて<彼/彼女ら>の教育問題に関与・干渉できるのか。本稿では、ポール・リクール、ジョン・ロールズ、そしてマーサ・C・ヌスバウムといった哲学者の所論と国際レヴェルでの合意事項を手がかりに、<われわれ>による<彼/彼女ら>への教育援助は「適切な教育」に向けられる限りにおいて正当化されるとの結論が導かれる。だが、「適切な教育」とは何であるのか、その回答が課題として残された。
著者
河原 国男
出版者
日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3, pp.321-334, 2007-09

16-7世紀、教育慣行の結果、世俗内職業労働を「天職」として励んだという事例を究明したM.ヴェーバーの工業労働調査論を本稿では中心にとりあげ、同時代の20世紀初頭の工場労働を通じて意図的、無意図的にどう資質能力が形成されるか、という認識を、人間形成契機としての自律化を視点に跡づけた。その結果、国民を対象とする政治教育の課題認識と繋がりつつ、機械化とともに、自律化の契機も同等に探究されていた様相が明らかにできた。すなわち、工場内分業労働での「練習」を通じて、労働外の価値関係的関心にも導かれながら合理的に「考量」しつつ、また中世職人のように最終生産物を生産するように市場的関心をもって働くこと、そうした「実践」を通じて自己自身を人間形成的に配慮するという自律化の可能性が、工場機械化のただなかでも探究されていた。
著者
新保 達也 橋本 直己 高橋 裕樹 中嶋 正之
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.25, no.85, pp.13-18, 2001-12-14

3次元物体の衝突検出アルゴリズムとして, 衝突する可能性を持つ面を絞り, 最後に面ペアの衝突検出をする方法がこれまでに提案されている.この衝突検出アルゴリズムでは, 最後の面ペアの衝突検出処理が全体の大半を占めている.そこで本研究は, 分散メモリ型PCクラスタを用いて, 面の衝突検出を並列化する実験をおこなった.その際, マスタノードから各クライアントノードに面ペアを送り, 並列処理を行う手法を用いた.8台のクライアントを用いて, 実験を行った結果, 逐次処理を行う場合の16%の実行時間で衝突検出を行うことができた.
著者
岡崎 博和 阿萬 裕久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. KBSE, 知能ソフトウェア工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.159, pp.1-6, 2007-07-17

本稿はソースコードの変更率(保守容易性に関する尺度)とコメントの頻度に着目している.コメント文にはソースコードの理解を助ける働きがあり,コード中へ適切に記述していくことで開発者によるコードの自己レビューが推進される.それによりコード中に含まれるフォールトが検出されやすくなり,ソースコードの品質向上も期待される.これまでの研究では,ソースコードにおけるコメント文の行数と保守容易性との間について統計的に有意な関係が見出されている.本稿ではさらなる解析として,オープンソースソフトウェアEclipseにおけるバージョンアップ4,521件について統計解析を行い,中規模以上のソースコード(LOC≧67)において,コメント文の量が多ければソースコードの変更率は低くなる傾向が確認されている.ただし,その中でもコメント記述の頻度が高い場合においては,逆にソースコードの変更率が高くなる傾向も得られている.
著者
密山 幸男 Andales Zaldy 尾上 孝雄 白川 功
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DSP, ディジタル信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.146, pp.89-94, 2001-06-22

AES(Advanced Encryption Standard)をはじめとする次世代128ビットブロック暗号の高性能化を実現する"burstモード"と呼ばれる新しい暗号モードが提案されている. burstモードは, ストリーム暗号型の暗号モードであり, 16回のブロック暗号処理によって64ブロックの平文に対して暗号処理を行うため, 従来の暗号モードと比較して, 処理速度を大きく向上させることができる. 本稿では, ブロック暗号アルゴリズムにAESを用い, burstモードをソフトウェアおよびハードウェアによって実装し, それぞれの実装結果について比較評価を行う. burstモードのすべてをソフトウェアで実装する場合には, 従来の暗号モードと比較して約2倍の処理速度が達成できることがわかった. 一方, ハードウェアで実装する場合, すなわち, ソフトウェアで実装したAESとburstモードのアクセラレータコアを併用する場合には, 処理速度が4倍まで向上でき, 最大1.3Gbpsの処理速度が達成できることがわかった.
著者
若林 明彦
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.77, no.3, pp.703-725, 2003-12-30

環境問題を根本的に解決するための思想や哲学の構築において、日本は七〇年代に「水俣病」をその象徴とする悲惨な公害被害体験をしたにもかかわらず、欧米に比べて遅れていると言わざるを得ない。近年になってやっと、欧米の「環境倫理学」が注目され、その研究が盛んになったが、そのー方で、そうした「環境倫理学」に対抗するかのように、その倫理学的アプローチを皮相的なものとし、古代日本に見られる自然共生的エトス(心的傾向)を再生することこそが根本的な解決に繋がるとする梅原猛・安田喜憲らの「森の思想」や岩田慶治の「ネオ・アニミズム」論も注目されている。本論文では、まず欧米の環境思想の主要な理論を概観し、それらが共通して倫理学的アプローチをとっていることを指摘し、次にそれと対比的にエトスからのアプローチをとる「森の思想」や「ネオ・アニミズム」論の問題点を指摘する。最後に、両アプローチの相補的関係について述べる。