著者
大常 雄基 安田 啓司 朝倉 義幸
出版者
日本ソノケミストリー学会
雑誌
ソノケミストリー討論会講演論文集 25 (ISSN:24241512)
巻号頁・発行日
pp.39-40, 2016 (Released:2017-07-21)

To investigate generation of ultrasonic cavitation in gel, sodium polyacrylate swollen in potassium iodide solution was used as a sample. After ultrasonic irradiation at 500 kHz, absorbance and viscosity of sample were measured. The absorbance and viscosity changes are originated from oxidation reaction of potassium iodide and decrease in the degree of polymerization of sodium polyacrylate, respectively. The absorbance started to increase after several minutes irradiation. On the other hand, viscosity decreases immediately after irradiation. This is because polymer is degraded due to shear stress of ultrasonic propagation in addition to cavitation. After sample viscosity fully decreased, it is able to generate ultrasonic cavitation and chemical reaction occurs. As sample temperature became lower, the viscosity decreased and the absorbance increased. To use this sample, detection of cavitation generation in gel is possible.
著者
三栗谷 久敏
出版者
杏林医学会
雑誌
杏林医学会雑誌 (ISSN:03685829)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.459-474, 1997-12-31 (Released:2017-02-13)
参考文献数
40
被引用文献数
1

黄色ブドウ球菌エンテロトキシン(エンテロトキシン)の催吐作用について,食虫目のスンクス(Suncus murinus)を用いて検討した。スンクスはエンテロトキシン,特にエンテロトキシンA(SEA)の腹腔内投与に対して感受性が高く,低濃度で再現性のある嘔吐作用を示した。SEAによる嘔吐のED_<100>は雄スンクス10μg/kg体重,雌スンクス22.5μg/kg体重であった。スンクスのSEAによる嘔吐は,腹腔内の迷走神経切断(Vagotomy)により阻止され,セロトニン5-HT_3阻害薬によって用量依存性に抑制された。さらに,セロトニン枯渇薬の投与によっても嘔吐は阻止された。これらのことから,スンクスのSEAによる嘔吐は,腸管に多く存在する腸クロム親和性細胞から放出されたセロトニンが,腹部迷走神経末端にあるセロトニン5-HT_3受容体を活性化し,その刺激が嘔吐中枢に伝達され,惹起されると考えられた。スンクスにおけるSEAによる嘔吐の誘発に,免疫系の関与は明らかでなかった。
著者
松永 裕樹 高橋 正道 大倉 淑寛 志水 祐介 前原 弘武 北川 幹太 山川 潤 杉山 和宏 三上 学 濱邊 祐一
出版者
一般社団法人 日本外傷学会
雑誌
日本外傷学会雑誌 (ISSN:13406264)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.353-358, 2022-10-20 (Released:2022-10-20)
参考文献数
9

外傷性腹部大動脈損傷は稀だが, 死亡率が高く, 迅速な診断・治療が肝要である. 当院はCTと透視装置を備えたハイブリッドERを有し, 移動を伴わず, 蘇生・診断・治療が可能である. ハイブリッドERで, resuscitative endovascular balloon occlusion of the aorta (以下REBOA) で出血を制御し, ステントグラフト留置で救命した1例を経験した. 70歳代男性. ワゴン車乗車中の事故で, ショック状態で搬送された. CTで血管外漏出を伴う腹部大動脈損傷がみられた. REBOAを大腿動脈からZone3に留置し, 出血制御後, 手技中の循環安定のため, 左上腕動脈からの留置に変更した. コイリング, ステントグラフト留置で止血を得た. ハイブリッドERでのステントグラフト治療は, 移動を伴わず迅速な診断・治療が可能である.
著者
松田 真輝 澤野 誠
出版者
一般社団法人 日本外傷学会
雑誌
日本外傷学会雑誌 (ISSN:13406264)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.349-352, 2022-10-20 (Released:2022-10-20)
参考文献数
6

大量腹腔内出血を伴う肝損傷でcoagulopathyやhypothermia等を伴う場合には一般的にDamage control surgery (DCS) が施行され, 他部位損傷を合併している場合は, abbreviate surgeryが行われることが多い. 本症例では肝損傷 III bに右腎動脈損傷を合併したが, すべて一期的根治術を達成できた. 症例は18歳男性, 交通外傷にて搬送された. 術前造影CTにて肝損傷 III b+右腎動脈損傷の診断となり, 緊急開腹術を施行した. 大量輸血および術中操作にて循環動態を安定化させ, 一期的に肝右葉切除および右腎動脈再建術を施行した. 大量腹腔内出血を伴う腹部外傷であっても, 詳細な術前診断が重要であり, また循環動態の安定化を維持することができれば, 長時間手術も可能であり, 一期的な根治術を行うことができる症例も存在する.
著者
坂本 秀樹 安川 文朗
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
pp.2022.005, (Released:2022-10-14)
参考文献数
22

超高齢化社会を迎える日本にとって,日常生活のQOLや生産性を低下させるだけでなく,認知症発症の要因となり得る難聴の対策は喫緊の課題の一つである。しかし,難聴対策として有効な補聴器の装用率は,他の先進国と比較して日本が著しく低く,補聴器の普及について改善の余地が大きい。補聴器はこれまで聴覚障害者のための福祉補装具の一つとして認識され,流通やビジネスの視点からはほとんど議論されてこなかった。欧米先進国では認知症発症抑制への期待や技術イノベーションによる補聴器の機能向上から装用対象者の拡大が進み,補聴器ビジネスの潮流に変化が生じつつある。世界の補聴器の99%は欧米のメーカーが生産しており,日本でも輸入補聴器のシェアは70%を超えることから,今後,海外の補聴器ビジネスの変化が,日本のそれにも大きく影響を与えることが予想される。そこで本稿では,これまであまり議論されたことが無かった日本の補聴器ビジネスに焦点を当て,欧米の現状と比較しながら,今後その規模が拡大してゆくと考えられる日本の補聴器業界のビジネスモデルにおける現状の分析と課題,および今後の展望について検討を行った。

1 0 0 0 将棋月報

出版者
将棋月報社
巻号頁・発行日
no.35, 1926-12
著者
山内 宏太朗 渡辺 圭子 山本 和郎
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住宅総合研究財団研究年報 (ISSN:09161864)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.209-218, 1994 (Released:2018-05-01)

近隣ストレス尺度構成のために,集合住宅に住む主婦(N=415)を対象に,質問紙法による社会学的調査を実施した。日常の地域生活(集住生活)で経験するトラブル・イベント全50項目(本分析では42項目),子どもの行為音,生活行為音,プライバシー・テリトリー,近所づきあい,及び,モラル・ルールの5カテゴリーから構成される「近隣ストレス尺度(暫定版)」を作成し,近隣ストレス度,地域生活行動,及び,住生活意識の各要因との間の関係について分析を行ない,以下の結果を得た。1.近隣ストレス-トラブル・イベント42項目の中で,音(騒音)に係わるイベントは一搬的に,発生率(イベントを経験する人の割合)が高く,同時に,反応率(そのイベントを経験する時に何らかの心理的困惑を経験感じた人の割合)が高かった。また,自分自身が発生させる(行為率)場合には周りに気がねをしやすい(気がね率)イベントでもあった。すなわち,音に係わるイベントは,集住生活では被害者にもなりやすく,また,仕方なく加害者になりやすいイベントであった。2.モラル・ルールは,発生(経験)率に対する反応率の割合が最も高く,全体として心理的困惑度が大きなイベントである一方,行為率は低かった。すなわち,実際のイベントの発生は少ないにもかかわらず,近隣の人びとがトラブル・イベントとして受け止めやすく,困惑度の高いイベントであった。3.近隣ストレス度(総得点)と5個のカテゴリー別ストレス得点を外的基準にし,生活行動と住生活意識に係わる諸要因を説明変数とした数量化理論Ⅰ類による分析を行なった。一般的に近隣ストレスの各項目に対して,居住年,対象者の年齢,居住階及びトラブルの対処法などの各要因の寄与が大きいことが見い出された。
著者
長山 昭夫 井﨑 丈
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.I_865-I_870, 2022 (Released:2022-10-18)
参考文献数
11
被引用文献数
1

2021年8月の東京都小笠原諸島の大規模噴火起因の軽石群が約1,400km離れた沖縄・奄美地方の沿岸域に漂着し,観光業や漁業に甚大な被害を与えた.しかしながら,多量の軽石群が沿岸域に漂着した後の港湾施設内の滞留過程について検討した例はほとんどない.そのため本報では港湾施設内での軽石の埋没現象を解明するために,風洞水槽内に狭窄部を設け狭窄部内での軽石群の移動特性につい検討した.その結果,狭窄部内での軽石の移動速度は風速が支配的であり,軽石の通過流量については狭窄部幅が影響し,これらの軽石群の堆積と流下過程が異なることがわかった.また風による軽石に作用するせん断力を推算し,その推算値から軽石の移動速度が推算可能であることがわかった.
著者
高橋 紘一朗 宇多 高明 野志 保仁 中田 祐希
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.I_727-I_732, 2022 (Released:2022-10-18)
参考文献数
4
被引用文献数
1

2021年8月13日,小笠原諸島の海底火山「福徳岡ノ場」が噴火し,この噴火により発生した大量の軽石が2021年10月17日頃から沖縄本島北部を中心に漂着した.沖縄本島北西部に位置する大宜味海岸でも大量の軽石が漂着し,サンゴ礁起源の白い砂浜を埋めた.そこで2021年10月28日に緊急調査を行い,UAVを用いて軽石の漂流・漂着状況を観測した.また,軽石の漂着した前浜で掘削調査を行った.これによれば,軽石は最大厚66cmをなして前浜に厚く堆積していた.この海岸の南部では突堤が設置されていたために,漂着した軽石は突堤の北側で一度トラップされた後,突堤先端で剥離した沿岸流に乗り突堤から離れた下手海岸へと運ばれたことが分かった.
著者
中田 祐希 宇多 高明 高橋 紘一朗 野志 保仁
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.I_733-I_738, 2022 (Released:2022-10-18)
参考文献数
5
被引用文献数
1

2021年8月13日,小笠原諸島の海底火山「福徳岡ノ場」が噴火し,この噴火により発生した大量の軽石が10月17日頃から沖縄本島北部を中心に漂着した.沖縄本島北西部に位置する大宜味海岸でも大量の軽石が漂着し,サンゴ礁起源の白い砂浜を埋めた.そこで2021年10月28日,UAVを用いて軽石の漂流・漂着状況を観測した.また軽石の漂着した前浜で掘削調査を行った.これによれば,軽石は厚さ約40cmをなして厚く堆積していた.大宜味海岸では離岸堤が設置されていたために,離岸堤間で浮遊軽石の集積が起きていた.
著者
白木 喜章 片山 理恵 凌 千恵 小野 信幸
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.I_871-I_876, 2022 (Released:2022-10-18)
参考文献数
9

2021年10月以降,奄美・沖縄地方に大量の軽石が漂着し,漁業や観光業等が深刻なダメージを受けた.この軽石は,小笠原諸島南部に位置する海底火山「福徳岡ノ場」の噴火に伴い発生したものであり,海洋の流れや風により漂流してきたとされている.火山地帯に位置する我が国では,今後も大規模な軽石災害が起こり得ることから,漂流経路や漂流時期を予測できる手段の整備が課題となる.本研究は,沖縄沿岸域を対象として軽石漂流を想定した粒子追跡シミュレーションを実施し,とくに大浦湾における軽石の接岸・離岸の再現性を検証した.また,潮汐・海流による流動シミュレーションを事前に実施しておき,予報する際に風圧流を考慮した粒子追跡シミュレーションのみを実行することで実用的な予報ツールになることを提示した.
著者
増井 啓太 田村 紋女 マーチ エヴィータ
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.89, no.6, pp.602-610, 2018
被引用文献数
2

<p>The Global Assessment of Internet Trolling- Revised (GAIT-R) has been developed to assess internet trolling. We developed the Japanese version of GAIT-R (J-GAIT-R). First, the eight items of GAIT-R were translated into Japanese. Then, we conducted an online survey of Japanese people (<i>N</i> = 535). In Study 1, exploratory and confirmatory factor analyses indicated that J-GAIT-R had a unidimensional structure. The internal consistency of J-GAIT-R was adequate. Moreover, partial correlation coefficients indicated adequate concurrent validity of the scale. In Study 2, we confirmed a good test-retest reliability for J-GAIT-R. It was concluded that J-GAIT-R was suitable for assessing internet trolling in Japan.</p>
著者
金 瑛
出版者
日仏社会学会
雑誌
日仏社会学会年報 (ISSN:13437313)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.33-45, 2020-11-30 (Released:2022-02-18)

Le but de cet article est de discuter de la relation entre la sociologie et la psychologie, en se concentrant sur l'école durkheimienne de sociologie française. La sociologie et la psychologie sont des disciplines indépendantes, mais il existe également des disciplines qui portent le nom qui indiquent leur affinité, comme la psychologie sociale. Cependant, la psychologie sociale actuelle est plutôt séparée de la sociologie. Dans cet article, du point de vue que cette situation est un problème à la fois pour la sociologie et la psychologie, nous allons discuter pourquoi l'intégration des deux est nécessaire, en réinterprétant la sociologie de Durkheim et Halbwachs.
著者
松本 雄一 Yuichi Matsumoto
雑誌
商学論究 (ISSN:02872552)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.37-100, 2015-03-10

1 0 0 0 OA 舌骨症候群例

著者
勝見 直樹 岩武 博也 富澤 秀雄 肥塚 泉 加藤 功
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.93, no.3, pp.223-228, 2000-03-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
19
被引用文献数
5 3

We describe the case of a 25-year-old man with pain on turning his head to either side attributable to a malformation of the hyoid bone. When the neck was turned further to the left, the greater cornu slipped over the tuberculum anterius of the processus transversus, and locked in front of the tuberculum posterius. At the same time the thyroid cartilage caused an upward movement and separated the locked greater cornu. At the moment of this separation, a clicking sound was produced. Diagnosis was established using 3-dimensional reconstruction of CT imaging. The greater cornu of the hyoid bone was noted to be elongated and malformed, and the left greater cornu was obviously blocked by the processus transversus of cervical vertebra V. Excision of both greater cornua relieved the symptoms.
著者
江上 周作 川村 隆浩 古崎 晃司 大須賀 昭彦
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2018, no.SWO-044, pp.08, 2018-03-18 (Released:2021-09-17)

Urban areas have many problems such as homelessness, illegally parked bicycles, and littering. These problems are influenced by various factors and are linked to each other; thus, an understanding of the problem structure is required in order to detect and solve the root problems that generate vicious cycles. Therefore, we propose constructing an urban problem linked open data (LOD) system that would include urban problems' causality. In addition, we propose a method for detecting vicious cycles of urban problems using inferences from the LOD. We first designed a Linked Data schema that represents urban problems' causality. Next, we instantiated actual causes and effects using crowdsourcing, supported with techniques based on natural language processing. In addition, we complemented the constructed LOD by drawing inferences using Semantic Web Rule Language (SWRL) rules. Finally, using SPARQL queries, we detected several root problems that led to vicious cycles, then urban-problem experts evaluated the extracted causal relations.