著者
新堀航大 兵頭 和幸 砂山 享祐 三上 貞芳
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.1170-1180, 2009-03-15

探査作業のような未知環境の下でロボットを用いるような研究が進められているが,ロボットのパーツの破損によって移動不可となる可能性などについては,まだ研究の余地が残されている.本論文では,ロボットが破損した場合でも,回収が困難な場合には破損部以外の利用可能なアクチュエータを用いることで移動法を再獲得するようなシステムを想定し,想定外の状況にもある程度適応できるような移動法獲得を,強化学習を用いて実現する.提案する手法では,脚形状から車輪形状などの想定外の形状へのアクチュエータモジュールの換装もある程度可能なシステムを前提とする.このような前提では新たな移動手順を広く探査することになるが,ロボットの移動機能を迅速に回復するためには,なるべく有用な行動を速く探査し利用することに重点を置く必要がある.このため,本研究では強化学習手法に対して,時間的信頼性に基づいた「行動価値の成長」と呼ぶ再探索手法を導入する.3D物理シミュレータによる6脚移動ロボットの実験により,提案する方法が比較的高速に良い候補となる移動法を獲得できていることが示されている.
著者
高山 眞策
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測と制御 (ISSN:04534662)
巻号頁・発行日
vol.37, no.10, pp.708-715, 1998-10-10 (Released:2009-11-26)
参考文献数
14
被引用文献数
1
著者
山崎 真巳
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.122, no.1, pp.47-56, 2002-01-01 (Released:2003-02-13)
参考文献数
36
被引用文献数
2 2

A molecular biological approach was applied to the study of diversity and regulation of secondary metabolism in medicinal plants at various levels. For the inter-species diversity, RFLP (restriction fragment length polymorphysm) and RAPD (random amplified polymorphic DNA) analyses of genomic DNA were performed on the plants, belonging to the same genus or family and containing related compounds. Phylogenetic trees of lupin alkaloid containing plants and other medicinal plants, based on RFLP and/or RAPD profiles, showed the relationship between the diversities in genomes and secondary metabolisms. The chemotypes regarding anthocyanin production in Perilla frutescens var. crispa, were subjected to the study on intra-species diversity. The structural genes and the regulatory genes involved in anthocyanin biosynthesis were isolated and their expression in red and green forms was determined by Northern blot analysis. The expression of all structural genes examined was co-ordinately regulated in form-specific manner and by light illumination. The anthocyanin production was enhanced in transgenic plants over-expressing Myc homologue genes from perilla. These results suggested that a protein complex including bHLH factors might regulate the expression of a series of structural genes. Additionally, cDNAs coding anthocyanin 5-O-glucosyltransferase and anthocyanidin synthase were isolated and characterized using recombinant proteins for the first time. In conclusion, it was indicated that the molecular biological techniques are powerful tools for the investigation of diversity and regulation of and for the genetic engineering of secondary metabolism in medicinal plants.
著者
小嶋 知幸 宇野 彰 加藤 正弘
出版者
The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.360-370, 1991-10-20 (Released:2010-06-22)
参考文献数
7
被引用文献数
3 2

22例の失語症者に対して, 実用的なコミュニケーション補助手段として, 日常生活上重要性が高いと考えられる事物の写真, 絵, 文字をカテゴリー別に貼付したノート (以下コミュニケーションノート) を作成し, 活用の状況を調査, 検討した.その結果, 1.コミュニケーションノートを自発的に活用するためには, 知的機能, コミュニケーションへの積極性, 社会的関心, コミュニケーション環境などの条件を良好に満たしている必要がある, 2.ノートは, 比較的発症初期から実用的なコミュニケーション補助手段となりうる, 3.ノートが有効でない話題もあり, 話題に応じたコミュニケーション手段の使い分けが必要である, 4.ノートの活用に際しては, 患者のみならず, 日常生活上患者と身近に関わる家族や介護者を含めた総合的な指導が必要である, と考えられた.
著者
齋藤 義正 大江 知之
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

我々は、これまでに難治性がんの代表である胆道・膵臓がん患者由来のがん細胞を対外で培養・維持することに成功し、さらに薬剤スクリーニングにより水虫の治療薬である抗真菌薬が胆道・膵臓がん細胞の増殖を抑制することを明らかにした。本研究では、抗真菌薬を基盤とした胆道・膵臓がんに対する革新的な新規治療薬を創出するため、増殖抑制効果の分子機序の解明、抗真菌薬の合成展開、動物実験での効果の検証などを行う。
著者
佐々木 宣介 飯田 弘之
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.43, no.10, pp.2990-2997, 2002-10-15

本研究では,ゲームのルール変遷の根底にあるゲームの性質の変化に着目し,将棋の歴史的変種を比較する.最初に,ゲームの性質に関する比較を行うための2つの指標を提案する.これらの指標はそれぞれ,ゲームの面白さとゲームの決定複雑性を表すもので,平均可能手数,平均終了手数に基づいて算出される.すでに廃れてしまった将棋種に関しては,コンピュータプレイヤを用意し,それらのデータを採取した.本研究で用いたコンピュータプログラムは駒価値をベースにした評価関数を持ち,先読み探索を行う.各将棋種に対して駒価値を自動学習するために,Temporal Difference学習法を適用した自動対戦の実験を行い,各将棋種に対するデータを採取し,比較を行った.重要な知見として,大駒付加よりも持ち駒使用ルールがルール変遷の過程でより大きなインパクトを与えていること,そして,あまり難しくなりすぎないようにルールが洗練されてきたことが分かった. : This study explores how the evolutionary changes of the rules affect the characteristics of the games in the Shogi species from the viewpoint of evolutionary selection. For this purpose, we propose two measures based on the average number of possible moves and the average game length: (1) measure for entertainment, and (2) measure for decision complexity. For games where no grandmaster games are available, the statistics of specific features, such as the average number of possible moves and the average game length, are obtained by the method of self-play experiments. Then we made computer programs that performed lookahead search using an evaluation function based simply on piece-material balance. To obtain the appropriate piece values of Shogi variants, we apply Temporal Difference Learning method. Based on the data obtained by the above self-play experiments, Shogi variants including the modern Shogi and ancient Shogi variants are analyzed and compared. Through the analysis, we observed that the inclusion of the reuse rule was more important step than the inclusion of the major pieces in the course of evolutionary changes from Heian Shogi toward modern Shogi. We believe that the proposed measures are useful tools for building a genealogical tree of chess-like games.
出版者
上毛郷土史研究会
巻号頁・発行日
no.230, 1936-06
著者
上原 章寛
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

塩化カルシウム6水和物は、常温で液体の濃厚電解質である。濃厚電解質中でのイオンの挙動は希薄な電解質水溶液中と異なる挙動を示すため、本研究ではこの液体を「常温無機イオン液体」と名付け、次のことを明らかにした。ウランイオンはU(VI)からU(V)に電気化学的に還元され、その後不均化反応によってU(VI)及びU(IV)を生成する。また、希薄な電解質中では短寿命のU(V)は常温無機イオン液体中では比較的長寿命で同化学種を電解吸光分光法により検出することに成功した。U(VI)を含む水相と酸化還元体を含む有機相の界面において水相中のU(VI)の還元及び有機相の還元体の酸化に起因する電子移動電流を検出した。
著者
佐藤 洋祐 松田 律史 民谷 健太郎 増井 伸高 松田 知倫 瀧 健治 丸藤 哲
雑誌
第46回日本集中治療医学会学術集会
巻号頁・発行日
2019-02-04

【背景】我々はしばしば悪性症候群(NMS)に遭遇する。またICU-acquired weakness(ICU-AW)が知られているが、近位筋が侵され中枢神経に影響はない。今回我々はNMSに中枢神経を含む全身性の神経疾患を合併した一例を経験したので報告する。【臨床経過】60歳代男性。搬送3日前より四肢の脱力・感覚鈍麻を自覚、歩行困難・呂律障害も出現し当院搬送となった。既往症は双極性障害と脂質異常症で、内服薬は炭酸リチウム 600mg/日、クロチアゼパム 15mg/日、メコバラミン 1.5mg/日、フルニトラゼパム 2mg/日、ゾテピン 25mg/日。来院時現症:GCS E4V5M6, 瞳孔 4+/4+、RR 12/min、SpO2 98%(室内気)、HR 134bpm、BP 161/118mmHg、BT 36.8℃。頭部・胸腹部および脳神経(II-XII)に異常所見認めず、上下肢の脱力及びdermatomeに一致しない感覚鈍麻を認めた。頭部CT/MR、CXR、胸腹部CT、ECG及びUCGに特記所見は認めなかった。血液検査で軽度の白血球増多およびCRP高値を認めた。23年来のLi内服者で、血中Li濃度は低値だったが晩期リチウム中毒として入院加療を開始した。補液により感覚鈍麻は改善したが、四肢の脱力と、横隔膜の筋力低下を認めた。髄液検査では蛋白細胞解離を認めたが、原因は不詳であった。GBSやCIDPを考慮し各種検査を追加したが、オリゴクローナルバンドやGQ1b抗体、GM1抗体は陰性で、髄液HSV抗体は既感染パタンだった。血清IgG抗体は高値を示したが、IgG4は正常範囲に留まった。HIVは同意が得られず検査できなかった。第4病日に意識レベルの低下と頻脈を認め、第5病日に発熱、眼球の上転、著名な発汗をきたし、NMSを疑い診断基準を検討したが、CKの上昇や筋強剛は認めなかった。EEGでは群発波・鋭波を認めた。神経伝導速度検査で潜時の延長および振幅の低下を認め、末梢神経脱髄と判断し、最終的に振戦のないNMSと診断した。ステロイドパルス療法(mPSL 1000mg/day)を3日間施行し、意識状態および頻脈・血圧高値の改善を得た。脱力も改善した。しかし脳波異常および髄液検査異常を説明できず、精査を目的に第10病日に神経内科へ転院した。【結論】NMSに、末梢神経の脱髄性ポリニューロパチー、蛋白細胞解離および鋭波を伴う中枢神経が関与する病態の一例を経験した。ICU-AWを考慮したが横隔膜の筋力低下を伴っていた。本症例では中枢神経が侵されており、全身性疾患の一部であった可能性は否定できないが原因は不詳であった。