著者
永田 武 清水 吉雄 Takesi NAGATA Yoshio SHIMIZU
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.661-668, 1960-03

第1次および第3次南極観測隊派遣の際,古地磁気学研究の目的をもって,東オングル島昭和基地附近の先カンブリア紀の片麻岩(biotite horn-blende granodioritic gneiss)を方向をつけて採集してきた.これらの岩石の自然残留磁気(NRMと略す)の測定結果から,岩石生成時の地球双極子の方向を計算すると,Lat.=19°N,Long.=167°Wとなる.また,岩石の片理面が岩石生成時には水平面であったと仮定し補正しても,Lat.=3°N,Long.=107°Wとなる.いずれにしても岩石のNRMの方向から推定される地球双極子軸の方向は,西太平洋赤道地域にあったこととなり,先カンブリア紀以来,地球磁極(すなわち地軸も)および南極大陸相互は,広範な移動および回転をしてきたことが示された.この論文では,以上の結論を確認するため,岩石のNRMが岩石生成時から,そのまま保存されてきたかどうかというテストを実験室で行なった結果についても同時に示されている.
著者
秋谷 裕幸
出版者
神戸市外国語大学
巻号頁・発行日
2017-09-27
著者
高橋 一幸 Temsiririrkkul Sila 池田 心
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2017論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.19-25, 2017-11-03

日本では「不思議のダンジョン」シリーズで名高いローグライクゲームは,マップや敵配置がランダムなこと,そのため臨機応変にアイテム等を使い分ける必要があることなどを特徴とする一人用ダンジョン探索ゲームの総称である.囲碁や将棋などよりは複雑で,StarcraftやCivilizationなどよりは単純なこのゲーム群は,短期的戦術と長期的スケジューリングの両方を要するなど,高度なゲームAIを研究するうえでの良い課題をいくつも持つ.本論文では,学術用プラットフォームを共有できるようにするために,ローグライクゲームの最低限の要素を持たせたゲームのルールを提案した.そのうえで,ルールベースのコンピュータプレイヤ,短期的な戦術行動を改善するためのモンテカルロ法プレイヤ,長期的な視点での行動が取れるようにするための教師あり学習を提案した.
著者
高橋 晃 宮﨑 眞 TAKAHASHI Akira MIYAZAKI Makoto
出版者
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13472216)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.503-516, 2015-03-01

近年、日本の乳幼児期における早期診断・早期療育体制については全国的に確立されているが、自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorders 以下ASDと略す)をもつ子どもへの発達支援に有効とされる指導については、ASDへの根本治療が発見されていないため、いまだ一貫した知見は得られていない(富永・森,2006)。そのような現状においてASDは脳神経の異常により、様々な行動に影響を及ぼす症候群であるという観点から、適切な行動の獲得を支援するために応用行動分析(Applied Behavior Analysis 以下ABAと略す)が有効であり、集中的な指導の中で繰り返し練習することで、ASD児の行動や認知機能の改善が見られることもある(Richman2001,Lovaas2003)。ABAによる就学前のASD児への早期療育プログラムとしては、ASD児へ週40時間の行動介入を実施したLovaas(1987)による離散試行型指導(Discrete trial training 以下DTTと略す)を中心とした研究実践において、ASD幼児の発達を促進させたと報告されている。DTT以外の介入方法では、ASDの中核的症状の一つである交互交代の理解の困難さに治療の焦点をあてた機軸行動発達支援法(Pivotal Response Treatment 以下PRTと略す)が開発された(Koegel,2006,近藤・山本,2013)。他にもASDが獲得困難とする質問行動や会話などの社会的行動の始発の促進を指導するためにスクリプト・スクリプトフェイディング法(以下S・SF手続きと略す)が開発され(Krantz&Mclannahan,2005)、その有効性が報告されている。しかし、稲田・神尾(2011)は北米におけるABAの週数十時間の集中的な介入は日本では非現実的であるため、家族による有効な家庭療育が可能になるような負担の少ない家族支援のあり方を検討するべきであると指摘している。それに対し、奥山・杉山・藤坂(2009)は就学前のASD幼児へ週当たり平均10時間程度のABAに基づいた親中心の家庭療育を実施し、発達を促進させたと報告している。そこで、本研究では以下の点について検討する。稲田・神尾(2011)が指摘した保護者にとって負担の少ない家庭療育について奥山・杉山・藤坂(2009)の先行研究をもとにDTTやPRT、S・SF手続きの研究報告を調べて、実施可能と思われる療育プログラムの有効性を検討する。
雑誌
リベラル・アーツ = Liberal arts (ISSN:18816746)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.29-43, 2008-01-01

This paper aims to focus on Diaspora Jews in Joyce's Ulysses. The Jewish population of Dublin in 1866, the year of Leopold Bloom's birth, was about 200: The figure in 1901 became 2,169. This small ethnic group, who had primarily emigrated from the Pale of Settlement, Russia, and Eastern Europe, chose to settle in Dublin rather than in other cities of the United Kingdom because the city was attractive for Jewish immigrants. The Diaspora group could embody a powerful economic principle and became a great threat to the local Irish people, that caused anti-Semitic movements. The Limerick pogrom occurred in January 1904. Joyce precisely reflected on this mood, but sometimes tactically manipulated it in his fictional world. The reader may believe Bloom's thought that Reuben J. Dodd was "really what they call a dirty jew" (U 8.1159) but the real Dodds were not Jewish but English in origin. John Stanislaus Joyce , a biography of Joyce's father John Stanislaus by John Wyse Jackson and Peter Costello, takes the view that John Stanislaus fabricated Dodd's Jewishness in revenge blaming him for his financial disasters (179). It indicates the common prejudice that moneylending is a typical Jewish job. In the novel, many "real" Jewish people (Julius Mastiansky, Moses Herzog, J. Citron, etc.) and anti-Semites are often observed. How did Irish Jewish people live in Dublin? How does Ulysses reflect the truth? Using some historical and socio-economic data acquired from Cormac 6 Grada's Jewish Ireland in the Age of Joyce, other sources and Ito's on-site study, Irish Jewish lives in the Jewish quarter called "Little Jerusalem" or other parts of Joycean Dublin are examined. Since the foundation of Israel in 1948, the Jewish population of Dublin and other parts of Ireland has remarkably declined. However, together with the Irish Jewish Museum, Joyce's Ulysses has been greatly evoking Gentile people's attention to Irish Jews.
著者
仲川 浩世 Hiroyo Nakagawa
出版者
関西外国語大学・関西外国語大学短期大学部
雑誌
研究論集 = Journal of Inquiry and Research (ISSN:03881067)
巻号頁・発行日
vol.108, pp.257-267, 2018-09

本研究の目的は、英語ライティング・フィードバック研究の概観を振り返り、今後の日本の英語教育への導入を示唆することである。フィードバックとは、言語学習の発達を促進するため、発話に対する口頭訂正フィードバックと、L2(第二言語)ライティング・フィードバックに分けられる。本稿は、英語ライティング・フィードバックに焦点を当てる。L2ライティングにおける訂正フィードバックは、 内容や構成に関するものと文法に対するものがある。さらに、初期のL2ライティング研究とその後の第二言語習得(SLA)研究は観点が異なる。すなわち、L2ライティング研究のフィードバックは、形式面と内容に重点を置いていた。これに対して、SLA研究では、習得を目指すため、文法項目の訂正フィードバックに関するものが大半を占め、長期的に定着しないという批判もある。今後は、情意要因を考慮し、質的な調査に取り組むことが望ましいと考えられる。
著者
小松 孝徳 山田 誠ニ
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.79(2008-HCI-129), pp.35-42, 2008-07-31

著者らは,ユーザがインタラクション前のエージェントに対して予測した機能と,実際のエージェントとのインタラクションにてユーザが感じた機能との差を 「適応ギャップ」 として定義し,適応ギャップの値がユーザのインタラクションに対する様々な側面に与える影響について調査を行っている.本稿では,適応ギャップの値が,特にユーザの主観的な側面にどのような影響を与えているのかを実験的に調査し,その結果を考察した.
著者
硲野 継 伊藤 祥一 藤澤 義範
雑誌
第78回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, no.1, pp.699-700, 2016-03-10

手話は聴覚に障害を持った人々にとって重要なコミュニケーション手段である. しかし, 特別支援学校において, 手話を習得するためには教員による手本が必要であるため, 自主的に学習することが難しいという現状がある. そこで本研究では,コンピュータシステムを用いることによって手話の自主学習を支援し, 手話の学習効率の向上を図る. 本研究では手話の中でも指文字に注目し, 指文字を学習するためのシステムを開発する. 指文字には手の動作を伴う表現があり, 二次元的な図のみでは理解することが困難である. そのため, 本研究では手の形をした3Dモデルを手本とし, 拡張現実技術を用いて直感的な理解を促す.
著者
井原 久光
出版者
長野大学
雑誌
長野大学紀要 = BULLETIN OF NAGANO UNIVERSITY (ISSN:02875438)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.61-83, 2002-06-30

行政上の理由や決定や立案過程の問題から従来の商業地域活性化プロジェクトが抱える難しさを指摘し、商店街が衰退する理由を外部要因と内部要因から分析した。その上で、東京の巣鴨地蔵通り商店街や長野県小布施町、滋賀県長浜市の事例を研究し、商店街を活性化するために必要なポイントを整理した。
著者
長 健太 大須賀 昭彦 本位田真一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.12, pp.3165-3178, 2006-12-15

多数の小型センサから構成されるワイヤレスセンサネットワーク(WSN)を用いたビルオートメーションシステム,環境モニタリングシステム,サプライチェーンモニタリングシステムなどが実現されつつある.WSN 内の大量のセンサ群は環境に広範に分散配置され,かつそれらに搭載されているバッテリはきわめて限られているため,WSN アプリケーションにおいては電力消費量を抑えることが重要になる.WSN アプリケーションを実現するためのフレームワークは,消費電力と応答性能の間で発生するトレードオフを正しく扱える必要がある.我々は,複数の知的移動エージェントを用いてマルチパーパスなWSN アプリケーションを構築するというアプローチをとった.我々のフレームワークはエージェント群の動作方式を変化させることで,アプリケーションごとに異なる応答性能の要求に適応することができる.また,ビルディングオートメーションにおける移動エージェント群の動作をシミュレートすることで,消費電力と応答性能に関する評価を行った.
著者
戸辺 義人
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.117(2008-DPS-137), pp.41, 2008-11-20

近年進められているセンサネットワークの研究は,スマートダストの影響も大きく,おびただしい数のセンサ・ノードが相互に無線通信でつながるネットワークが前提となることが多い。しかし,産業界での実運用では小規模のシステムで十分であり,学会と産業界との乖離が見られる。本講演では,JST CREST で進める OSOITE プロジェクトの内容も含めて,センサネットワークの今度の研究の方向を論ずる。
著者
浅田 豊 山本 春江 竹森 幸一 神 美保 石岡 幸子 三上 淨子 秋田 敦子 白戸 江美子 福嶋 真樹
雑誌
青森県立保健大学雑誌 = Journal of Aomori University of Health and Welfare (ISSN:13493272)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.53-61, 2004-03

The purpose of this study is to develop a new educational model : the TYA method 2002 for public health education, and to investigate the learning process of the participants in the salt restriction class held in S village in Aomori Prefecture. The subjects were 42 people in the class above mentioned. The model developed, the TYA method, means Try Angle : in other words, a trial to construct new theory, policy and strategy in health education. This method has the following two original features : 1) participants start and continue their learning based on a scenario, that is a story about one couple's daily life in which some problems of lifestyle are included. The learning process is self-directed. The learning comes from each participant's ideas and speech in group discussion, that is to say, from their rich knowlege and life experiences. 2) the learning is supported by a tutor who supports the learners' independent learning. Through this TYA method, the self-directed learning process of the participants was observed. The main results were that, in the learning process, 1) participants could learn through problem solving based on the scenario. 2) with the suppot of the tutor, participants could learn through independence and cooperation. 3) participants could learn because the contents of the scenario were closely connected to real life habits.
著者
石上 浩美 芳田 茂樹 Hiromi ISHIGAMI Shigeki YOSHIDA
出版者
大手前大学CELL教育研究所
雑誌
大手前大学CELL教育論集 = Otemae University CELL journal of educational studies (ISSN:21855641)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.001-008, 2017-03-31

本報告の目的は、本学教職課程の現状と課題について整理することである。そこで、まず、本学教職課程の概要と、4年間における教職課程カリキュラムの履修指導について概説した。次に、中学校教員免許状取得においては必須となる、介護等体験参加者数及び実施施設などを示した。さらに、卒業生の教員免許状取得者数と進路状況データから、本学教職課程における指導のあり方について考察した。