著者
粟野 宏
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要. 人文科学 = Bulletin of Yamagata University. Humanities
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.1(196)-11(186), 2006-02-15 (Released:2015-08-21)

Gutenberg's. system of technique did spread all over the western world, as soon as it was established in the first half of 15th Century. Compared with the arts of typographic printing in West Europe, they were established much earlier in East Asia, but they did not spread all over East Asia. The situation that was ever seen in the East is in sharp contrast to the situation in the West. It has been repeatedly said that, in order to explain the contrast, the predominant factor is the difference of writing systems, simple alphabetical one being used in the West and complicated Chinese characters as ideograms and hieroglyphs. Nevertheless, We discuss here additional significant factors which are inherent within the technological context. Both the clay (ceramic) movable-types, invented in China four centuries before the Gutenberg revolution, and the wooden movable-types, succeeded to be utilized in China in the early 14th century, were fabricated without molds one by one. The metal movable-types, first initiated in Korea in 13th century, were cast with prototypes and matrices, but the prototypes made of beeswax or paraffin wax completely melted down and the matrices made of clay or sand were destroyed on each occasion. On the contrary, both the prototypes (punches) and matrices in the Gutenberg technical system could be used repeatedly and almost permanenently. Thus, thd Gutenberg technical system has gained a higher ripeness of reproduction technology. Such difference has determined the ups and downs of early arts of typographic printing in the East and the West.
著者
深津 周太 FUKATSU Syuta
出版者
名古屋大学大学院文学研究科
雑誌
名古屋大学人文科学研究 (ISSN:09109803)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.33-46, 2009-02 (Released:2018-02-21)

17世紀書写の大蔵流虎明本に存在する「ナ」の1例について、従来の見解ではこれを呼びかけの感動詞と解釈するのが一般である。ただし、同時期の他の文献を合わせても類例を見出せないことなど未詳な部分も存在し、あくまで消極的な認定が行われているにすぎない。本稿では他の呼びかけ感動詞の使用実態と照らし合わせながら、当該の「ナ」がそれらとどのような関係にあるかを実証的に提示し、呼びかけ感動詞としての解釈が困難であることを主張する。さらに統語的な条件を根拠に、間投助詞や終助詞、禁止の意味をあらわす副詞としての可能性を否定する。それを踏まえて、この「ナ」はその出現位置(文頭)からして感動詞とみなさざるを得ないが、それは積極的に他者への呼びかけの意味を持つものではないと結論づける。
著者
小野 悠
巻号頁・発行日
2016-03-24 (Released:2017-10-23)

学位の種別: 課程博士 審査委員会委員 : (主査)東京大学准教授 城所 哲夫, 東京大学教授 浅見 泰司, 東京大学教授 小泉 秀樹, 東京大学准教授 瀬田 史彦, 東京大学教授 大月 敏雄
著者
平 辰彦 Tatsuhiko TAIRA 尚美学園大学総合政策学部非常勤 Shobi University
出版者
尚美学園大学総合政策学部
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 = Bulletin of policy and management, Shobi University (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.67-98, 2017-09-30 (Released:2018-01-11)

この論文は、比較文学の視点から「禅」と「ユーモア」に焦点をあてR.H. ブライスの英語による川柳の翻訳を考察したものである。戦前までの川柳の英語による翻訳の系譜を辿り、戦後のブライスの川柳の翻訳が、それ以前の日本人による翻訳とどのように違うのかを原句と比較しながら、考察した。形式の面では、ブライスの川柳の翻訳は、俳句の翻訳と同様に三行形式で訳されている点に特色がある。ブライスの俳句や川柳の翻訳には、「禅は詩」であり、「禅はユーモア」であるという視点が強くあらわれている。ブライスは、俳句の翻訳を通して「禅は詩」であるという視点を表明し、川柳の翻訳を通して「禅はユーモア」であることを明らかにしている。ブライスにとって〈禅と詩とユーモア〉は三位一体のものなのである。韻律の面では、ブライスの翻訳は川柳も俳句も17音よりも短い音数で創作されている。翻訳に用いられる言葉は、口語的な表現が使われ、詩的な技法には、擬人法やメタファー(暗喩)などが用いられている。ブライスは、日本人以上に川柳という文芸を俳句と対等に論じ、両者の相違点を理解した禅の実践者であり、比較文学の視点を身につけた、日本と西洋の融合文化を実践した国際人であったと結論づけることができる。 Mark’s House near the Tor Road in Kobe.With the arrival of the American occupation forces, Blyth was freed and was able to play a significant part in the peace process, to the benefit of Japan. After the war, he and Harold G. Henderson(1889-1974) were prominent go-betweens in the cause of peace between Japan and the Allies.Henderson, also, a haiku scholar, was on the staff of General Mac Arthur’s GHQ. Blyth went to see him, and learnt that Mac Arthur wanted to close down Gakushuin University.Blyth persuaded him to let it continue, opening it to the general public. Blyth began teaching at Gakushuin University after the war. At the same time, Blyth became private tutor to the Crown Prince Akihito, and was to say that the Prince was the pupil he taught longest.Blyth’s first book, Zen in English Literature and Oriental Classics was published in 1942 in the midst of the war. In the prison Blyth went on to write parts of the volumes on Haiku and Senryu.The first editions of Blyth’s four volumes of Haiku tranlations and commentaries, published between 1949 and 1952 by Hokuseido. He wrote assiduously: Senryu (1949), Japanese Humour (1954), Oriental Humour (1959), Japanese Life and Character in Senryu (1961) and so on.Blyth demonstrated that Zen is poetry through English translations of Haiku and Zen is humour through English translations of Senryu.A feature of Zen and Humour are admitted on the translations of Blyth’s Haiku and Senryu through in these works.The question whether Senryu is poetry or not has been debated by Japanese critics ever since the inception of Senryu.If it were accepted that Haiku is poetry, it would not be difficult to prove that Senryu is poetry.I conclude that Blyth was a cosmopolitan who practiced the Zen Buddhism and harmony & combination of cultures from a comparative point of view.
著者
星野 三喜夫 HOSHINO Mikio
出版者
新潟産業大学附属東アジア経済文化研究所
雑誌
新潟産業大学経済学部紀要 (ISSN:13411551)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.1-16, 2013-02

2012年8月に第3次アーミテージ・ナイ報告書が発表された。同報告書は米共和党、民主党の知日超党派・有識者による米国から日本への真摯な政策提言である。3次報告書は日米関係が漂流する中にあって、日本への叱咤激励と日本「一級国家」論を盛り込んでおり、日本は、本報告書にある熱いメッセージを強く認識すべきである。報告書に示された提言に日本が応えず、日米関係と日米安全保障体制の維持・強化について強い意思を示さなければ、報告書にあるように日本は国際社会において二級国家になり下がってしまう。3次報告書の提言の1つである日本のTPP参加について、日本が、国内の既得権益を守ろうとする組織や団体の圧力に屈し、21世紀の世界秩序を塗り替えるほどの大きな枠組みであるTPPへの参加を躊躇すれば、日本は、国際的なリーダーシップや発言力の低下を免れない。TPPは日米の「特別な関係」の構築にとって重要なツールでありプロセスである。日本はTPPの通商面に加え、政治安全保障上の意義を国際関係の中で正確に捉え、早急にこれに参加すべきであり、それが世界第3位の日本の東アジアとアジア太平洋、そして広く世界に対して果たす責務でもある。
著者
林 衛 瀬川 嘉之 山内 知也 藤岡 毅 柿原 泰
巻号頁・発行日
pp.1-94, 2014-11-15 (Released:2016-02-15)

日本の一部研究者が多用するトランスサイエンス,作動中の科学,予防原則といった概念の有効性と使い方を現実の放射線被爆問題を通して検証する。「健康管理のあり方」(瀬川),科学的な問題としてのシーベルトの困難性(山内),長瀧重信らのいう「科学的」とは何か(藤岡),それをとらえきれていない変容するSTSの問題点(柿原)を議論する。1980-90年代におけるSTSの形成過程について論じるOS「STSをつくる社会:日本における科学技術社会論の形成と立論構造の変化」に関連し、本OSでは,放射線問題をテーマに,そのようにして形成されたSTSの今日的課題を浮かび上がらせる。 2014年度 第13回科学技術社会論学会年次学術大会,日程:2014年11月15日(土)~16日(日),会場:大阪大学豊中キャンパス 林衛「【問題提起】被爆による人権侵害問題を通してSTSの到達点と変容を検証しよう」 瀬川嘉之「犠牲を強いられているのは誰か : 「東電原発事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」を分析する」 山内知也「シーベルトで被爆影響は測れるか : 要素還元主義の間違い」 藤岡毅「中川保雄の被曝史研究から引き継ぐべきもの : 科学的とは何か」 柿原泰「放射線リスクコミュニケーションのもたらすもの : 放射線リスクをめぐる科学技術論の変容」
著者
吉田 竜也
出版者
早稲田大学教育会
雑誌
学術研究 : 国語・国文学編 (ISSN:09130152)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.13-25, 2009-02-25 (Released:2016-11-23)
著者
中野 由章 中山 泰一 Yoshiaki Nakano Yasuichi Nakayama
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会第79回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
pp.4-441-4-442, 2017-03-16 (Released:2017-03-17)

情報処理学会第79回全国大会, 2017年3月16日‐3月18日, 名古屋大学東山キャンパス コンピュータと人間社会, 一般セッション, 情報処理教育, 5E-01 (講演日3月17日)
著者
松井一乃 金髙一 池部実 吉田和幸
雑誌
マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2013論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.772-778, 2013-07-03 (Released:2013-12-24)

現在広く利用されているspam対策技術のひとつにgreylistingがある.greylistingは「spam発信MTAは再送をしない」との仮説に基づき送信者に対して一時エラーのレスポンスコードを返し,再送をうながす対策手法である.greylistingはspam排除の効果は高いが,適用する全てのメールに再送要求をするため,通常メールにも大きな遅延が生じる.そこで大分大学ではmilter managerを導入し,S25R,SPFの判定結果によってメールをgreylistingに適用するかを決定している.SPF,S25Rを用いて通常メールとspamを判断することで, SPF,S25Rによる検査のみで受信できるメールが増え,greylistingによる再送遅延を軽減できる.また,SPF,S25Rによって誤検知された通常メールはgreylistingによって救済することが可能となる.milter manager導入後,通常メールのうち約70%はSPF及びS25Rが処理しているため,greylistingを適用せずに受信できるようになった.また,受信した通常メールに対するgreylistingの再送要求割合を比較すると,milter manager導入前と導入後では43.1%から12.4%まで減少していた.このことから,milter managerを導入することで配送遅延がかかる通常メールが減少したといえる.
著者
筧 捷彦
雑誌
情報処理学会論文誌教育とコンピュータ(TCE) (ISSN:21884234)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.1-3, 2015-01-23 (Released:2015-01-20)

論文誌「教育とコンピュータ」の誕生に際して,折から起きている初中等教育からのプログラミング教育も含めた情報教育推進の流れの中で当学会の果たすべき役割に対する雑感を述べて,論文誌とその対象とする研究領域の発展に期待するところを記す. Our government declares its initiative to promote ICT education in K-12 by introducing programming activities in primary and secondary schools. The author takes notes on what IPSJ shall and can do for the initiative, and expects that the Transaction on Computer and Education will bring a lot of contribution in this respect.
著者
守川 知子 稲葉 穣
出版者
京都大學人文科學研究所附屬東アジア人文情報學研究センター
雑誌
東方学資料叢刊
巻号頁・発行日
vol.19, 2011-03

『ノウルーズの書』解説 [i] 第一部『ノウルーズの書』訳注 序文 [1] 『ノウルーズの書』の始まり [3] アジャムの帝王達の慣習について [20] 大モウベドの来訪とノウルーズの祝賀 [28] 金とそれに関する事柄について [31] 指輪とそれに関して知っておくべき事柄 [38] 大麦の苗とそれに関して知っておくべき事柄 [44] 剣とそれに関して知っておくべき事柄 [48] 弓矢とそれに関して知っておくべき事柄 [54] 筆とその特性とそれに関して知っておくべき事柄 [61] 馬とその能力およびそれに関して知っておくべき事柄 [68] 鷹とその能力およびそれに関して知っておくべき事柄について [77] ブドウ酒の益とそれに関して知っておくべき事柄について [81] 美しい顔の特性について [92] 参考文献 [99] 索引 [103] 第二部 ペルシア語テキスト
著者
安田 豊
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.1244-1247, 2016-11-15 (Released:2016-11-09)

筆者の所属する学部では2016年度入試から科目「情報」に基づいた試験(ペーパーテスト)を実施している.その目的は従来的な英数理等の科目試験だけでは充分に測ることができないと考えられる,情報系の資質をもった学生を正しく選別することにある.我々は2008年から検討を開始したが,一般入試に選択科目として「情報」を追加することは容易でなく,結果的に我々が以前から行っていた作品応募によるAO入試に,筆記試験型を追加することで実現した.本稿ではそこに至るまでの検討過程を追いながら,AO入試として情報入試を実施することで得られる価値や継続的な作問の可能性について論じる.
著者
国文学研究資料館
出版者
国文学研究資料館
雑誌
和書のさまざま――国文学研究資料館通常展示図録(2017年版)――
巻号頁・発行日
pp.1-16, 2017-01-20 (Released:2017-02-22)

和書すなわち日本の古典籍は、千二百年以上に及ぶ長い歴史を持ち、その種類の多様さと現存する点数の多さは世界的にも稀です。国文学研究資料館では、和書のさまざまな姿や特色を紹介するため、通常展示「和書のさまざま」を毎年行っています。本冊子は、その展示内容の概要を収録したものとして作成しました。ささやかながら、和書の豊かな世界への手引きとなることを願っています。*本冊子の掲載資料はすべて国文学研究資料館所蔵です。*項目番号は実際の展示と一致しますが、紙面の都合で一部の項目を割愛したため、番号が飛んでいる箇所があります。*本冊子の掲載資料が実際に展示されているとは限りません。