- 著者
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中野 由章
- 雑誌
- 情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE)
- 巻号頁・発行日
- vol.2005, no.36(2005-CE-079), pp.17-24, 2005-04-23
2003年に三重県で行った教科「情報」に関する実態調査の対象を,近畿圏(大阪府 兵庫県 京都府 滋賀県 奈良県 三重県)の高等学校に拡張して2004年の秋に行った。質問項目についても拡張し,設定科目,必修科目設置学年,授業形式,授業時間,実習割合,代表的な実習テーマ・課題,実習で使用する主なソフトウェア,生徒の評価方法,教科「情報」の教育目標,授業で困っていること,授業実践を通して感じる問題点や改善すべき点等について調査した。新学習指導要領が施行されて2年目となり,大半の学校において本格的に授業実践が行われているため,その状況と現場の教員が抱える問題点も,より具体的かつ切実なものであった。授業形態については,約半数がTTである一方,半数は40人の生徒を1人の教員が指導している。実習テーマについては,プレゼンテーション オフィス系ソフトウェア,Webページ制作,情報検索が広く扱われている。また,殆ど全ての学校でMS Officeが使われており,PCリテラシーを教育目標にしている学校も半数近くに上った。生徒の評価については,試験の他,従来の実習系教科と同様に提出物を重視する一方,生徒による相互評価を積極的に取り入れつつある。授業においては,生徒の習熟度の差への対応に悩むなど,教員配当が不充分であることに起因する問題点が多く,改善が望まれる。さらに,教科の存在意義そのものに対する疑問の声も大きいことが明らかとなった。キーワード:教科「情報」,アンケート,近畿,高等学校