- 著者
-
中野 由章
- 雑誌
- 情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE)
- 巻号頁・発行日
- vol.2006, no.108(2006-CE-086), pp.33-40, 2006-10-21
全国の各都道府県の教育委員会を対象に行ったアンケート調査で,教育行政側が教科「情報」を現在どのように捉え,将来的にどのように位置づけたいと考えているのかを調べた。その結果,教育行政側は,教科「情報」には教育内容の精選と「情報社会に参画する態度」の指導強化を,また「情報」という-教科にとどまらない「教育の情報化」を望んでいることが判明した。そして几教科「情報」の教員が他教科を兼任して指導することや,陳腐化した実習設備等の現場の問題点を認識しており,将来的に教科「情報」のセンター試験実施,教科研究会等での教員間の情報共有,そして国の予算措置等の必要性を訴えていた。また,教育行政側の教科「情報」に対する考え方が反映すると思われる教員採用試験での現状を整理した。結果として,教科「情報」の採用試験を行っているのは特定の都府県市に限られており,その内容にも問題点が多いことが明らかになった。,iこれらの結果からゴ教育行政側は教科「情報jの将来を疑問視しており,それ故に問題点を認識しながらそれを積極的に改善することに鰭膳しているのではないかと感じられる。との疑念を払拭しなければ,教育環境の改善は望めない。これを解決するためには,教科「情報」の教育目標や具体的な教育内容を体系的に示し,学校教育の中における意味と位置づけを明確にする必要があると考える。