著者
高原 尚志 櫻井 幸一
雑誌
コンピュータセキュリティシンポジウム2015論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, no.3, pp.457-464, 2015-10-14

近年,インターネット上のコンピュータがマルウエアによる攻撃を受け問題となっている.通常のウイルス対策ソフトはシグネチャ型と呼ばれる個別のウイルスの特徴に注目して検知する方式を採用しているため,新種のマルウエアに対応できない場合がある.そこで本研究では,KDD CUP 99 Dataset を用いて機械学習の各手法によりマルウエアの侵入検知を試みる.その際,再現率 (Recall) を評価基準として,手法だけでなく,学習データ及び検知されるマルウエアといった 3 者の様々な組み合わせを試行する.これにより,過去のマルウエアのデータを学習データとして,新種のマルウエアの侵入を検知することができる汎用的な手法を考察する.
著者
赤坂 幸亮 大曽根 諒 天城 康晴 山口 高男 安部 惠一
雑誌
研究報告コンシューマ・デバイス&システム(CDS) (ISSN:21888604)
巻号頁・発行日
vol.2017-CDS-18, no.24, pp.1-9, 2017-01-13

本稿では,大規模災害発生時,ICT (Information and Communication Technology) を用いて避難者情報を収集し,救援ニーズを含む避難者名簿等を迅速に作成 ・ 発信,かつ避難者の在席状況を管理する避難所管理システム (Refuge Management System: 以下 RMS と呼ぶ)を提案する.我々が提案する RMS は,電力 ・ 通信インフラ断絶時を想定して稼動させるため,市販の組込みシステムを活用して一層の RMS の省電力化を行った.また RMS は太陽光発充電システムで充電したバッテリユニットを主電源としている.この 1 台の鉛バッテリユニット (DC12V,電流容量 20Ah) で約 3 日間 RMS を稼働すること (常時 LCD バックライト OFF のとき) ができる.さらにバッテリ交換時 RMS の電源をシャットダウンせずに満充電したバッテリと交互に交換する技術により,RMS の稼働時間を延長できた.さらに本稿では我々が開発したプロトタイプを実際に多くの方々に見てもらい,アンケート調査を行った.このアンケート調査の結果より,本研究で提案する RMS の有効性を確認できた.
著者
田中 俊明
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日文研叢書 (ISSN:13466585)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.417-436, 2008-12-26
著者
田中 秀幸 角 保志 松本 吉央
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2012-CG-147, no.3, pp.1-5, 2012-06-15

AR マーカは手軽に使える AR ツールとして有用であるが,正面付近から観測したときの姿勢精度が悪いという問題がある.我々は新しい原理に基づく AR マーカを開発し,この問題を解決した.本マーカは,レンチキュラーレンズまたはマイクロレンズアレイを用い,視線角度に応じて変化するモアレパターンを生成する.これを画像解析することで高精度 (画像上で 50 ピクセル程度あれば誤差 1 deg 未満) かつ安定した姿勢推定が可能である.
著者
長田 伊織 吉野 孝
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN)
巻号頁・発行日
vol.2013-GN-86, no.34, pp.1-8, 2013-01-09

近年,情報技術の発展に伴い,ライフログに関する研究が活発に行なわれている,しかし,ライフログデータを用いて他人とコミュニケーションを行なうことに着目した研究は少ない.そこで我々は,ライフログデータをもとに自動的にブログ記事を生成するシステム “BlogWear” を開発した.これまでの実験の結果,大量のライフログデータから作られる記事は閲覧者にとって変化が少なく,比較的早い段階でブログ記事として,飽きられてしまう傾向が見られた.そこで本研究では,ライフログデータに対して漫画表現を用いることで,よりエンターテイメント性のあるコンテンツを閲覧者に提供することを目指した.本研究の貢献は,次の 3 点にまとめられる. (1) 漫画表現を用いてライフログデータを提示することは,閲覧者に面白さを提供することを示した. (2) ライフログデータの提示手法によって,発生するコミュニケーションに違いが見られる可能性があることを示した. (3) ライフログデータを用いた漫画表現は,ライフログデータの閲覧を促す可能性があることを示した.
著者
吉井 勇也
雑誌
常民文化
巻号頁・発行日
no.31, pp.144-127, 2008-03
著者
建部修見 曽田 哲之
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.122(2007-HPC-113), pp.7-12, 2007-12-07

Gfarm v2ファイルシステムは,小規模環境から大規模PCクラスタ,広域分散環境までスケールすることを目指した広域分散ファイルシステムである.コモデイテイの利用,ファイル容量の動的増減,ファイル複製による高信頼性,分散アクセスによる高性能化に特徴がある.さらに,ファイルアフィニティを利用することにより,スケーラブルで効率的な分散データ処理も可能となる.本論文では,Gfarm v2の実装について述べると共に性能評価を行う.
著者
村上 直之 Murakami Naoyuki
雑誌
論集
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.135-150, 1985-12
著者
新村 毅

近年、動物福祉は思想から法律への具現化を急激に始めており、OIEの世界家畜福祉基準を始めとして、世界各国で法律・ガイドラインが制定されている。EUでは、2012年から産卵鶏のバタリーケージを廃止とする指令が法律として施行され、様々な代替システムが考案されつつある。このような状況において必要とされるのは、各システムの長短所を明瞭化することであり、その短所を解決する改良型飼育システムを開発することである。同時に、高福祉畜産物の差別化のために、各種の飼育システムを現場レベルで評価する福祉評価法を開発することも必須であると言えよう。本研究では、コンベンショナルなケージシステムから最も開放的な放牧まで、代表的な6つの異なる飼育システム(小型・大型バタリーケージ、小型・大型福祉ケージ、平飼い、放牧)を同一機関内に設置して、1年半にわたり約300羽の産卵鶏を継続的に飼育し、各システムの長短所を明瞭化すると同時に、その知見に基づいた福祉評価法および新型飼育システムを開発することを目的とし、以下の5つの実験を実施した。(1)6システムにおけるPecking behaviourの比較[1,2]:まず各システムにおける鶏の行動を詳細に比較検討し、産卵鶏が嘴を使用する合計頻度は、いずれのシステムでも一定であることを見いだした。この結果は、先行研究[3]から立てられた仮説、鶏は何かをつつくという強い動機づけを内在的に保有しているということを強く支持するものであった。すなわち、ケージの産卵鶏は、食草・敷料床つつきを発現できないことによるPecking behaviourの不足分を、餌・自身の羽毛・ケージワイヤーをつつくことで補っている、言い換えればこれらの元となる動機づけは共通していることが明らかとなった。(2)6システムの総合評価[4]:福祉レベル、生産性、免疫反応の評価により、6システムを多面的に評価し、Five freedoms(飢えと渇きからの自由、苦痛・傷害および疾病からの自由、恐怖および苦悩からの自由、物理的不快からの自由、正常行動発現の自由)の観点から長短所を明瞭化した。(1)の結果を考慮して、敷料床つつきなどのPecking behaviourの発現量は、評価指標から除外した。非ケージシステム、特に放牧は、正常行動発現の自由についての評価が高くなる一方で、苦痛・傷害および疾病からの自由についての評価は低くなり、また生産面では卵殻色が薄くなる傾向にあった。小型福祉ケージの総合的な福祉レベルおよび免疫反応は、平飼い・放牧と同等に高かった一方で、大型福祉ケージは、バタリーケージと同様の低い評価であった。(3)福祉評価法の開発[5]:評価の確実性の向上および評価法の推敲・維持の容易さを達成するため、世界中の産卵鶏の福祉研究1000件以上をデータベース化し、それを基に新たな福祉評価法を開発した。さらに、代表的な評価法であるAnimal Needs Index(ANI)との比較および(2)で得られた動物ベースの評価値との関係から、本モデルを評価した。本モデルおよびANI、いずれの評価法も動物ベースの評価値と強い相関関係にあったが、本モデルは、ANIと比較して福祉レベルの検出力が高く、有用性がより高いことが示唆された。(4)新型福祉ケージにおける社会的順位と資源利用の関係[6]:(2)・(3)は、いずれも福祉ケージの高い潜在価値を示していたが、大型福祉ケージにおいては、活動量が増加する一方で、グループサイズの増加により資源競争が激化することを示唆していた。これらの知見と先行研究[7-13]を基に、資源競争を緩和させる資源分散型の中型福祉ケージを新たに考案した。従来型の資源集中型福祉ケージでは、上位個体が砂浴び場を優先利用する一方で、資源分散型では、いずれの順位の個体も同等に利用していた。(5)新型福祉ケージの総合評価[14]:(5)ではさらに、行動・健康状態・生産性からの多面的測定により、資源分散型の中型福祉ケージを総合的に評価した。資源分散型福祉ケージは、行動の多様化・健康状態の改善という福祉ケージの利点を保持しつつも、運動量が増加するという中型ケージの利点を示していた。また、資源集中型福祉ケージと比較すると、砂浴び場への競争が緩和されており、それにより敵対行動が減少し、生産性が高く維持されていた。これらのことから、資源分散型福祉ケージの高い有用性が示された。 以上の実験から、各種飼育システムの長短所を明らかにすると同時に、有用性の高い評価法を開発した。これらの研究は、福祉ケージの高い潜在価値およびケージデザインの重要性を示していた。大型福祉ケージでは、資源競争が激化する短所が見受けられたが、それは資源を分散することで解決されうることが示された。これらの成果は、システムを採用する生産者サイドへ多くの示唆を与えるのみならず、今後の家畜福祉学の発展においても大きく貢献するものと考えられる。発表論文[1]Shimmura et al. Applied Animal Behaviour Science 115,44-54 (2008).[2]Shimmura et al. British Poultry Science 49,396-401 (2008).[3]Shimmura et al. Animal Science Journal 79,128-137 (2008).[4]Shimmura et al. British Poultry Science (in 3rd revision)[5]Shimmura et al. Animal Science Journal (under review).[6]Shimmura et al. Applied Animal Behaviour Science 113,74-86 (2008).[7]Shimmura et al. Animal Science Journal 77,242-249 (2006).[8]Shimmura et al. Animal Science Journal 77,447-453 (2006).[9]Shimmura et al. Animal Science Journal 78,307-313 (2007).[10]Shimmura et al. Animal Science Journal 78,314-322 (2007).[11]Shimmura et al. Animal Science Journal 78,323-329 (2007).[12]Shimmura et al. British Poultry Science 49,516-524 (2008).[13]Shimmura et al. Animal Welfare (in press).[14]Shimmura et al. British Poultry Science (in press).
著者
横山 重俊 浜元 信州 政谷 好伸 合田 憲人
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2016-IOT-34, no.11, pp.1-6, 2016-06-18

群馬大学では,授業などで利用する Linux サーバ専用に準備して運用している.このサーバに教育用端末 (Thin-Client) や学内から ssh クライアントを用いて利用できるし,教育用端末からはXウィンドウ接続できる環境を持っている.授業の際には一斉にアクセスがあるための用意しているマシンは比較的大規模なものとなっている.しかし授業が無い多くの期間は部分的にしか使われていない状態になっておりリソースの有効活用の観点から課題がある.さらに,この環境をいくつかの講義で共用しているため,それぞれの講義に合わせたカスタマイズに手間がかかり,その管理・運用が難しくなっている.また,学生間でも環境を共有しているために思い切った実験ができないことも解決したい課題である.加えて構築した講義・演習環境を他の教員との間で流通させることも難しく,それぞれが個別に対応しなければならないことも課題である.本研究では,これらの課題を解決するためにクラウド基盤間の可搬性を持つクラウドアーキテクチャー Overlay Cloud を活用し,その仮想クラウド上に Linux 講義・演習環境を構築する手順書を Jupyter notebook で記述するという手法を提案する.くわえて群馬大学での講義に適用して実施している実験についても現状を報告する.
著者
宗森 純 木村 鷹 伊藤 淳子
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.176-188, 2017-01-15

温度知覚インタフェース「サーモアクター」を持ち表情アイコンを使用する感情伝達システム「Ther:com」を提案する.本システムは対戦ゲーム場面における利用者間の感情表現を豊かに伝えることをめざし,通信相手に対して「温度刺激」と「表情アイコン」を伝達することができる.また,参加者が同時に表情アイコンを送信したときに発生する共鳴に特徴がある.Ther:comの評価を検証するため温度刺激がある場合とない場合で比較実験を実施した.実験にはパズルゲームの一種の「ぷよぷよ」を使用して感情や存在感の伝達,ゲームの臨場感や面白さに関して検討を行った.実験の結果,温度刺激を付加したことにより以下のことが分かった.(1)温度刺激のある嬉しさの強い感情を示すアイコンが有意差が出るほど多く伝達された.(2)「相手の存在を身近に感じた」「表情アイコンは感情共有に役立った」「共鳴機能は感情共有に役立った」の評価が有意差が出るほど向上した.(3)面白さに関する「盛り上がり」と「またやってみたい」の評価が有意差が出るほど向上した.
著者
石田 繁巳 三村 晃平 劉 嵩 田頭 茂明 福田 晃
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.89-98, 2017-01-15

ITS(Intelligent Transportation Systems:高度道路交通システム)において,道路を走行する車両をカウントすることは重要なタスクの1つである.車両の通過をリアルタイムに検出するために車両カウントシステムの導入が進められているが,導入・運用コストが高いことから導入は一部の道路に限られている.本論文では,歩道上に設置したマイクロフォンを用いた低コスト車両カウントシステムを示す.本システムでは2台のマイクロフォンを歩道に設置し,車両が発する音を各マイクロフォンが受信した時刻の差を示す「サウンドマップ」を描くことで通過車両をカウントする.環境ノイズなどの影響により実環境ではサウンドマップに多くのノイズが含まれるため,本論文ではシンプルな画像処理手法を開発し,ノイズの影響を軽減したうえで自動カウントアルゴリズムを適用する.片側1車線の道路で提案システムの実証評価を行い,F値0.92という高い精度で通過車両の台数をカウントできることを確認した.
著者
BEHRENS Kristian KANEMOTO Yoshitsugu MURATA Yasusada
出版者
GRIPS Policy Research Center
雑誌
GRIPS Discussion Papers
巻号頁・発行日
vol.16-26, 2016-12

Extant studies take it for granted that there is a one-to-one mapping from a change in the equilib- rium allocation to a change in welfare. We show that such a premise does not apply to fairly standard mod- els of monopolistic competition. For any change in the equilibrium allocation, there exist an infinite number of possible welfare changes when the mass of varieties consumed differs between the two equilibria. Our re- sults thus reveal a fundamental difficulty in measuring welfare changes when varieties are endogenous.
著者
三浦 貴大 藪 謙一郎 荻野 亮吾 堤 可奈子 檜山 敦 廣瀬 通孝 伊福部 達
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.21-29, 2017-01-15

高齢者や障がい者の円滑な移動のために,さまざまな場所のバリアフリー化が進展している.しかし,当事者が事前に一連の経路の状況を知るには,さまざまな団体が提供した情報を総合する必要がある.一方で,アクセシビリティ状況を発信するボランティア団体もあるが,継続的なアセスメントには労力を要するため情報更新が滞りがちである.そこで本研究の目的を,実地でのアクセシビリティ状況を共有するためのシステム開発と,ボランティア支援の効率化スキームの提案とした.我々が開発したシステムでは,各地点のバリアフリー状況を地図上に概要マーカとして表示するほか,その地点の画像,関連テキストなどを記録できる.また,投稿された情報をボランティアが簡易的に整理できる.本システムの支援効果を確認するために,2つのボランティアグループにて本システムを評価した.この結果,本システムは実地でのアクセシビリティ状況の収集・整理に効果的だと分かった.また,ボランティアの経験や知識,参加意識の高さに応じて支援方策を変える必要性を示した.
著者
酒井 哲也
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.147-158, 2006-02-15

本稿では,「正解レベル」を扱うことのできるもの,かつ比較的最近提案されたものを中心に,情報検索システムの評価指標について簡単に解説する.一口に情報検索といっても,なるべくたくさんの「正解」が欲しい場合もあれば「正解」が1件見つかれば充分な場合もあり,適切な評価を行うには利用シーンに適した信頼性の高い指標を用いるべきである.また,古典的な情報検索の枠組みでは手に負えない質問応答,特許検索およびXML検索という新しいタイプの検索タスクの評価の難しさについて紹介し,これらのタスクにおける検索評価指標の適用可能性についても触れる.