著者
栗山 繁
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.8, pp.1657-1666, 2015-08-15

画像検索では各データに付与された関連キーワードをクエリとして用いる方法が一般的であるが,画像認識の分野では類似のシーンや物体を含む画像をクエリとして用い,その特徴量から類似内容の画像を検索する手法が数多く提案されている.イラスト素材となるクリップアート等の画像は,描かれている内容だけでなく作画のスタイルでも絞り込み検索ができれば,画風や画調に統一感のあるコンテンツを制作する際に役立つものと考えられる.本論文では,作画スタイルが類似したクリップアートやイラスト等の素材画像を検索する際等に利活用できるスタイル識別子の生成方法を提案する.数千枚のイラスト画像群を用いた実験により,50バイト以下の識別子で既存手法よりも高い検索精度が得られることを確認した.
著者
徳差 雄太 松谷 健史 空閑 洋平 中村 修
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.8, pp.1593-1603, 2015-08-15

遠隔地間におけるより複雑なインタラクションのために,低遅延な映像通信システムがますます求められている.一般的な民生用カメラではクロックを同期するためのクロック入力が利用できないため,送受信間で発生するクロックの誤差を吸収するバッファが必須となり,そのバッファリングによって通信遅延が増加していた.そこで,本論文では,民生用カメラおよびディスプレイを用いて,HD画質の非圧縮伝送を行うための低遅延映像通信システムを市販のFPGAボードを用いて設計実装した.送受信間の映像同期信号のジッタを最小限に抑えるための同期システムをFPGA上に実現し,受信側のバッファを最小限に抑えている.本映像通信システムの通信遅延とそのジッタを高輝度LEDと照度センサを用いて計測したところ,カメラとディスプレイを除くシステム間における遅延を1ms以内に抑えることができた.これは同期機構を用いない市販の映像通信システムにおける遅延のたかだか5%であり,この差は体感的にも有意である.
著者
守田 了 石田 亮太郎
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.2014-CVIM-193, no.4, pp.1-7, 2014-08-25

スポーツ解析では動体視力が重要であり,この測定では高速で高い精度が要求される一方で,周辺視野のような視覚も重要であり,この測定ではカメラレートでの解析で十分である.いろいろな精度で眼球運動を計測することがスポーツ解析には重要である.実際に眼球運動を計測することの重要性があっても,眼球運動を計測する装置がスポーツ時の激しい運動に耐えらないことや,コードが必要であったりするため,屋外で使えないシステムであったり,実際にスポーツ時の測定を行おうとすると困難な問題が発生する.そのため実際のスポーツ時の視点移動計測は研究室の中で測定できるものや TV ゲームを利用したものなど限定的なものに止まっているのが現状である.本研究では屋外で激しく動くスポーツに用いるカメラを用いて,スポーツ時に適用できる眼球運動計測装置を作成し,スポーツ時の眼球運動を分析し,スポーツの向上に役立てる.近年激しいアクション時の撮影に使用される小型カメラを用いて眼球運動計測装置を実現する.本研究ではテニスの競技時の眼球運動を計測し,提案する眼球運動計測装置の有効性を示す.
著者
大岩 秀和
雑誌
人工知能
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.704-704, 2015-09-01
著者
北村 祐貴 狩野 均
雑誌
研究報告バイオ情報学(BIO)
巻号頁・発行日
vol.2009-BIO-19, no.12, pp.1-8, 2009-12-10

近年、インターネット上のスパムメールによる被害が深刻な問題になっている。そのため、スパムメールと正規メールを精度よく分類するためのスパムフィルタが多数提案されている。本論文では、分類の前処理として k-means 法によるクラスタリングを行うことにより分類精度を向上させる手法を提案する。前処理後の分類方法としては、通常のベイジアンフィルタまたは SVM フィルタを用いる。まず、学習に使うメール集合に対して k-means 法を適用し、その後クラスタごとにどのような特徴が表れているかを分析する。その結果に基づいてクラスタごとにフィルタの調整を行うことで分類精度の向上を達成した。TREC Public Corpus を用いた評価実験から、本手法の有効性を確認することができた。
著者
森勢 将雅 河原 英紀 小川 真
雑誌
研究報告音声言語情報処理(SLP)
巻号頁・発行日
vol.2012-SLP-90, no.9, pp.1-6, 2012-01-27

急速に普及した動画共有サイトとコンテンツ制作支援のソフトウェアは,アマチュアクリエイタにも作品を公開する場と技術を与えた.現在では,複数のクリエイタの協調的な創造活動により,高い品質のコンテンツが多数生み出されている.また,クリエイタが利用するためのソフトウェア開発に関しても協調的な創造活動が行われ,優れたソフトウェアが創出されている.本稿では,歌声合成ソフトウェアをターゲットとし,誰でも利用可能な歌声合成技術を開発・公開することで,歌声合成ソフトウェア開発者間で協調的創造活動が創出されるか社会実験を試みた結果について示す.
著者
古橋知大 大村廉
雑誌
マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.138-143, 2014-07-02

看護や介護において,ベッド上での患者の状態を把握することは非常に重要である.例えば,ベッド上で長時間同じ姿勢でいることは褥瘡を発生させる原因となり,一日のうち長時間をベッド上で過ごさなければならない患者にとって非常に大きな問題となる.また,医療の質の向上には,ベッド上での異常な動きの検出による迅速な対応や,患者の動作の支援などが必要不可欠である.本研究では,Microsoft Kinectセンサを用いて患者の姿勢を取得するシステムの開発を行い,医療分野へ応用していくことを目的とする.本システムでは外れ値にロバストなモデルフィッティング手法として知られるRANSAC法(Random Sampling Consensus)によってベッド平面を推定し,距離画像から除去して,そこから人体認識を行う手法を提案し,ベッド上の患者の姿勢を取得する手法を提案する.実装したシステムについて,4名の被験者を対象に,仰臥位,側臥位,腹臥位の姿勢で実験を行った.出力から,すべての姿勢においてベッド平面の推定,除去,人体骨格の抽出に成功したことを確認した.
著者
鹿野 清宏 Cincarek Tobias 川波 弘道 西村 竜一 李晃伸
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.107(2006-SLP-063), pp.33-38, 2006-10-20

筆者らは生駒市北コミュニティセンターに、音声情報案内システム「たけまるくん」を設置して、2002年11月から4年間運用している。最初の1年半あまり、精力的にシステムの改良を行い、現在では、子供を中心とする多くの市民に利用されている。このシステムは、大語彙連続音声認識プログラムJulius を用いた4万語あまりの大語彙の連続発声認識を中心に構築された本格的な自由発話による音声情報案内システムである。また、入力された音声や雑音はすべて収録され、とくに最初の2年間は書き起こしが終了している。この2年間の書き起こしデータを用いることによるシステムの性能の向上の予備評価についても報告する。このたけまるくんの成果を活かして、今年の3月末に、奈良先端大の近くの近鉄の駅「学研北生駒」に、独立した2つの音声情報案内システム「キタちゃん」と「キタロボ」を設置した。駅は60dBAと、コミュニティセンターに比べて、騒音レベルが10dB程度高く、厳しい音声認識の利用条件である。「キタちゃん」は、たけまるくんと同様にCGエージェントが応答する型で、タッチパネルも併用できる大人向けのシステムである。「キタロボ」は、ロボット型インタフェースで、どちらかというと子供向きのシステムである。この両システムの運用も6ヶ月間になるが、良好に動作している。たけまるくんからこの両システムへのポータビリィティについても述べる。
著者
安彦 智史 池辺 正典 丸山 広 長谷川 大
雑誌
情報教育シンポジウム2015論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.103-108, 2015-08-10

近年の高等教育においては,e-Learning システムは一般的な学習方法の1つとして認識されつつあり,授業等での活 用件数も増加し,広く普及している.そして,e-Learning システムでは,受講者の学習状況を把握するために,教材 の学習回数や閲覧時間等の情報を蓄積する機能が実装されているものが多い.しかし,これらの機能のみでは,受講 者の学習実態を詳細に把握することは困難であり,受講者のより多くの種類の情報を蓄積することが求められてい る.このため,本研究では,e-Learning システムの受講者の学習状況を詳細に把握するための情報を取得することを 目的とする.具体的には,一般的なパソコンに容易に設置が可能な Web カメラを用いて,e-Learning システムの受講 者の顔画像を取得し,画像処理による目領域の特定から視線検出行う.そして,視線情報から教材学習時の注視点を 取得・蓄積することで,学習態度を把握するための方式を検討する.
著者
野村智洋 牧野友哉 白石陽
雑誌
マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2013論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.131-138, 2013-07-03

近年,携帯端末の中でも,GPSや加速度センサなどの様々なセンサを搭載したスマートフォンの普及が進んでいる.そのような携帯端末を利用することで,粒度が高く多種多様な情報を大量かつ容易に収集することが可能となってきた.このような情報をネットワークを介して共有し,新たな情報を生成するプローブ情報システムが注目されており,現在,交通情報や環境情報の共有に活用されている.本稿ではこのように共有される環境情報の中でも,自動車の快適な運転や乗り心地に関わるものとして,路面状況に着目する.路面状況は変化するものであるため,特に冬期においては「轍が発生した」などという事実も共有する必要がある.既存研究として,固定カメラや車載カメラ,加速度センサを利用した研究が存在するが,導入コストの削減やロバスト性の向上,路面状況の変化の検知ができないなどの課題がある.そこで,本稿ではスマートフォンを用いて路面状況を推定し,路面状況変化を検知する手法を提案する.提案手法では,自動車に設置したスマートフォンのセンサを用いて路面状況を推定し,過去の推定結果と比較することで路面状況の変化を検知する.