著者
石田 雅樹
雑誌
宮城教育大学紀要
巻号頁・発行日
vol.47, pp.27-36, 2012

本稿はハンナ・アーレントの政治理論をシティズンシップ教育論の視点から検証したものである。アーレントが能動的市民の政治参加を強調しながらも、シティズンシップ教育の可能性に至らなかったのはなぜなのか。この疑問に対して、本稿はアーレントとバーナード・クリックの政治理論とを比較し考察を行った。アーレントもクリックもともに能動的市民の政治的意義を認めながらも、前者はシティズンシップ教育に消極的であるのに対して、後者はそれを強く推進した。本稿は、この両者の相違が「政治」と「市民」の認識の隔たりに由来することを論証した上で、両者の隔たりの中にシティズンシップ教育のジレンマがあることを明らかにした。
著者
阿蘓 広明 平中 幸雄 立花 和広 細谷 俊彦 竹林 聡 星 武史 嘉藤 雅文 高橋 良雄
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第55回, no.コンピュータと人間社会, pp.522-523, 1997-09-24

山形大学シラバスを96年度版作成からオンライン処理化している. データが入力された後は出力までを自動で処理するシステムの作成を目指しており, その中で利便性向上の為にデータベース化を図ることや, FAX返送によるプレビュー機能など付加している. 本システムの特微を述べる. ・入力から出力まで一貫した自動処理システムの実現. ・データの入力には基本的に電子メールを用いる. ・データの最終出力は, 印刷用版下とHTMLの2種類. ・執筆者に印刷見本をFAXで返送し, 内容を確認することができる. ・入力データをデータベース化. ・DB利用により項目毎の修正や, 登録データの呼び出しも可能.
著者
古瀬 徳雄
出版者
関西福祉大学研究会
雑誌
関西福祉大学研究紀要 = The Journal of Kansai University of Social Welfare (ISSN:13449451)
巻号頁・発行日
no.7, pp.21-44, 2004-03

ラフマニノフの無伴奏混声合唱曲『晩祷』作品37(1915)は、ロシア正教会の流れを背景に誕生した。宗教音楽、中でも教会音楽という限られた分野で、ロシア正教会の音楽を身近に感じさせてくれる傑作となっている。カトリック教会同様、ロシア正教会も長い間、単旋律による聖歌が歌われていたが、17世紀に始めてロシア独自の多声による礼拝音楽が現れ、そこには西欧の教会音楽の影響も随所に見られ、18世紀には多声と西欧の折衷的になり、19世紀前半にはペテルブルクを中心にドイツ的和声法を取り入れた無伴奏合唱形式を完成させた。19世紀後半から20世紀初頭にかけては、典礼音楽の改革運動があり、単旋聖歌を単純で類型的な和声付けでさらに高い芸術性を目指そうとした。この時期に、ラフマニノフの作曲した典礼音楽が『晩祷』である。この感動的な『晩祷』の作品を分析するにあたって、西欧音楽の業績を受け継いだ面と、それと異なり西欧音楽の規範とは相反した方向による対比的な二つの視座に立って、作品の検証を審らかにし、芸術的に孤高で、より斬新な響きを導き出すに至った、その構造の仕組みと原点を探っていく。
著者
高村 大也 松本 裕治
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.44, no.SIG03(TOD17), pp.1-10, 2003-03-15

Latent Semantic Indexing(LSI)などの次元圧縮手法による構成的帰納学習法を,サポートベクターマシン(Support Vector Machine,SVM)と組み合わせて文書分類に応用した場合の振舞いを論じる.SVM の分類能力は,通常用いられる次元圧縮では向上させることが困難である.しかし,次元圧縮手法により変換された文書ベクトルを素性として元のベクトルに追加することにより,その向上が可能であることを示す.実験では,次元圧縮に用いる未知データの量が十分大きい場合に精度改善が見られた.
著者
高橋 基治 タカハシ モトハル Motoharu Takahashi
雑誌
人文・社会科学論集
巻号頁・発行日
vol.28, pp.33-56, 2011-03

It has widely been believed that when it comes to learning a new language as asecond/foreign language,"the younger the better"is the rule that applies. On the otherhand, recent studies have demonstrated that although younger learners may have anadvantage in mastering native-like pronunciation, adults might actually learn second/foreign languages more easily and quickly than younger learners in such areas asvocabulary acquisition and syntax.The claim that an authentic pronunciation of a second/foreign language isunattainable after a certain age has been supported by certain kinds of evidence.However, at the same time, it is also true that there are, in actuality, some individualswho have acquired a native-like accent even after the so-called "critical period."With this conflicting evidence in mind, in this paper, I will discuss theprobability of obtaining native-like phonological performance by reviewing the existingempirical and theoretical literature on Second Language Acquisition, especially thatwhich focuses on the Critical Period Hypothesis and foreign accent. In addition, I willconsider the viability of direct phonological instruction as a subject in school basedon the information and insights gained through this review of key studies in the field.
著者
高橋 恵利子 畑佐 由紀子 山元 啓史 前川 眞一 畑佐 一味
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:21888957)
巻号頁・発行日
vol.2015-CH-107, no.5, pp.1-4, 2015-08-02

本研究の目的は,外国人日本語学習者の発音能力を簡易に診断するシステムを開発することである.その目的を達成するためにはさまざまな問題があるが,本稿では音声データの収集形式の問題と評価者の問題を取り上げる.音声データの収集方法としては,短文を読み上げ,それを録音する方法 (読み上げ課題) と,同じ短文をあらかじめ録音したものを聞いて発音したものを録音する方法 (リピート課題) の 2 つを検討する.録音の評価者は,全員日本語母語話者 (日本語教師,日本語教育未経験者) とし,これらの条件で,6 名 (母語話者 2 名,ほぼネイティブ水準の発音技能を持つ者 2 名,顕著な外国人訛りを持つ者 2 名) の音声提供者の録音資料を用い,一対比較法による評価実験を行った.実験の結果,データの収集方法については,いずれの方法によっても 0.86 以上の相関係数が得られたが,リピート課題 (0.86 以上) よりも読み上げ課題 (0.92 以上) の方が,若干高かった.これにより,今後のシステム設計計画では,一般の母語話者を評価者とし,あらかじめ音声材料を準備する必要のない読み上げ課題によるデータ収集方式を採用することにした.
著者
孫 昊 李 鍾賛 金 明哲
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:21888957)
巻号頁・発行日
vol.2015-CH-107, no.8, pp.1-4, 2015-08-02

日本初のノーベル文学賞を受賞した川端康成にまつわる数多くの代作問題があり,その一つは 「花日記」 である.「花日記」 は新潮社 1981 年版の川端全集第 20 巻に収録されているが,本作は当時川端康成を師事した主婦作家・中里恒子の代作という説がある.本研究は文章から抽出した文字・記号列の Bigram,タグの Bigram,文節パターン特徴量を基に,統合的分類アルゴリズムを用いて代作問題を検証した.
著者
田中 禎一 谷口 浩平 高橋 良明 高橋 辰郎
出版者
独立行政法人国立高等専門学校機構 熊本高等専門学校
雑誌
熊本高等専門学校 研究紀要 = RESEARCH REPORTS OF KUMAMOTO NATIONAL COLLEGE OF TECHNOLOGY (ISSN:18846734)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.7-14, 2011-12-20

Japanese traditional bow, so called ‘Wakyu’, has been made from a bamboo. On the other hand, a bow which is made from new material as a glass fiber or a carbon fiber has been developed from 1970’s. These new material bow are easy to handle and are durable. However the vibration of a new material bow is different from that of a traditional bamboo bow at shooting an arrow. Therefore it is expected to develop a new material bow which has similar to bamboo bow in vibration characteristics.The purposes of this study are to measure the vibration characteristics of bows by using accelerometer and to make clear the effect of material and structure to the vibration characteristics. For these purposes, an experimental setup to investigate some of vibration characteristics of bow was constructed.In this paper, it is explained that the developed experimental setup and the basically vibration characteristics of a new material bow at shooting an arrow.
著者
安原 宏 小山 法孝
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.1449-1455, 1995-06-15

近年、計算機を用いた文書整形技術は格段に進歩してきた。TEXと呼ばれる自動組版システムやPOSTSCRIPTと呼ばれる文字図形の記述言語の出現で電子出版が容易にできるようになった。これらの技術を利用すると従来の日本語行組版を変えるような新しい試みが可能となる。本論文では、日本語のべた詰め表記に対して欧米言語で取られているような単語分かち書きに近い手法の文書整形を提案し、実験システムの概要を述べる。整形処理は整形規則に基づいて実行しており、文書の種類によって異なる整形を施すことが可能となる。整形規則は単語や文字のサイズ、単語や文字の間隔を単語の見出しや品詞、構文構造などを用いて記述するため自然言語処理技術が必須となる。これらの規則を組み合わせると特定の単語を大きくしたり、助詞を小さくしたり、平仮名の続く文節の間には少し隙間を入れたりすることが可能になる。実験の結果、従来のモノスペース組版と比較してプロポーショナル組版の持つ読みやすさや自然さを出すことが可能になった。
著者
大家 眸美 宮下 芳明
雑誌
研究報告音声言語情報処理(SLP)
巻号頁・発行日
vol.2013-SLP-95, no.15, pp.1-2, 2013-01-25

Twitter 等におけるネガティブな感情表現の不快感を緩和する手法として,筆者らはこれまでポジティブな表現に言い換える手法を提案してきたが,本稿では,その文章の信頼性を下げる言い換えを行うことによって緩和する手法を提案する.信頼性を下げる手法としては,文章に文字化けを混入させたり,誤変換を行ったり,むやみなカタカナ語を使用したり,文末を変更することによって他人が言っていたことにしたり夢オチにすることによって実現している.
著者
黒田 勝彦 本村 元
出版者
長崎総合科学大学附属図書館運営委員会
雑誌
長崎総合科学大学紀要 = Bulletin of the Nagasaki Institute of Applied Science (ISSN:24239976)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.30-37, 2015-06-23

Sample sound of two kind of violin is examined through four better characteristics 1) rising of sound is early, 2) loudness of sound is large, 3) convergence of sound is early, and 4) there is a feature in switching of sound. After that, it is investigated to try to create structure of golf driver face with the characteristics of 2) and 3). The study is validated through numerical analyses, using a finite element method. Finally, questionnaire survey to the 4 features with continuous sound of violin and the 2 features with impact sound of driver face is performed to investigate correlative relationship between the violin sound and the face sound. As a result, the results of correlative relationship between them are effective except for the one of the convergence of sound.
著者
栖関 邦明 杉山 阿葵 長橋 健太郎 岡田 謙一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.2-13, 2010-01-15

災害時救急救命活動において特に緊急に治療を必要としない軽症患者や中等症患者の治療を一時的に遅らせることや,緊急度が高く助かる見込みのある傷病者をトリアージ(選別)することが災害時救急救命において行われている.現在のトリアージ活動において電子化がなされていないため傷病者の急激な容体の悪化などをリアルタイムで把握ができない,医療従事者が多数の赤タグ負傷者の搬送順を決められないことが問題点としてあげられる.本研究では我々は無線センサネットワークを利用し,傷病者を従来の絶対基準によるトリアージ評価により分類した後,生体情報と外傷の情報をもとに傷病者同士を相対的に比較し,同じ色に分類された傷病者集団の中でどのくらい治療を優先するのかを自動的に割り出すシステムを提案した.システムの機能検証用に作成した人間のバイタルサイン発生装置バイタルサインジェネレータを用いて実験を行ったところ,システムがリアルタイムに変化する傷病者の生体情報を取得し,バイタルサインが急激に変化している傷病者を割り出すことが可能であるという結果が得られた.
著者
志津野之也 濱川礼
雑誌
マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.646-656, 2014-07-02

本研究では,写真撮影時に自動的に構図を検出する事で,専門的な知識・技術を必要とせず,魅力的な写真撮影を可能にする構図マッチング手法を用いた,自動構図決定法について提案する.近年デジタルカメラの普及に伴い,写真を一般ユーザが撮影する機会が増えている.しかし,専門的な知識・技術が無い初心者にとって構図を考えながら魅力的な写真を撮影することは困難である.そこで本研究では,専門的な知識・技術を必要とせずに魅力的な写真を撮影する支援として,特徴点抽出やクラスタリング手法を用いて被写体を認識し,認識された被写体と被写体に適した構図をマッチングする手法を提案する.また本手法を用いた実システム『E-cose』を開発した.『E-cose』は被写体に適した構図を自動で決定してユーザに示唆,ユーザはその構図に合わせて撮影することで魅力的な写真撮影を可能にする.評価として愛知県豊田市周辺(屋内30種類,屋外70種類)で撮影された被写体100種類について各々5構図と構図無考慮の計6枚撮影し,魅力的に感じる1枚を被験者に選出してもらい,『E-cose』の選んだ構図と一致するかの比較評価を行った.対象は大学生26名である.
著者
四方田 雅史 ヨモダ マサフミ Masafumi YOMODA
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 = Shizuoka University of Art and Culture bulletin
巻号頁・発行日
vol.15, pp.45-56, 2015-03-31

「共産主義遺産」は中東欧において社会主義時代が残した文化財のことであるが、同時代には独裁やソ連の支配といった否定的なイメージ・感情がつきまとってきた。そのため、その「遺産」は、負の遺産か、そこまでいかなくとも論争的な遺産、両義的な遺産とみなされ、その保全・観光資源化について議論の対象となってきた。本論文では、それが伴うさまざまな課題とともに、それらが遺産化・観光資源化されている現状の背景について探る。具体的には、特にスターリン体制と不即不離にあるスターリン様式の集合住宅地区ポルバ(チェコ)などを主な例として、外国人観光客にとって異質な体験が可能な場としての視点があり、現地国民から見ると独裁時代の遺産と否定的に感じる一方で、土着文化を援用した装飾など、伝統との連続性に遺産の意義を見出す視点が登場していることを論じる。
著者
荒田 弘司 アラタ コウジ Kohji ARATA
雑誌
関西国際大学地域研究所叢書
巻号頁・発行日
vol.1, pp.67-79, 2004-03

企業(営利組織)・組織(非営利組織)は人々の生活や企業・組織の生産に必要な財を提供する役割を担った「社会の公器」である。しかし、最近はアメリカを中心にして、株主価値を最大にする「株主価値経営」が企業経営の基本であると喧伝されている。企業は株主価値を高めるために手段・方法を選ばないで、利益それも短期的な利益を獲得しようとする。そのために企業は安全性や法を軽視して事業を運営し、多くの事故や不祥事が発生し、信用を失い、経営破綻に追い込まれることもある。こんな時にこそ、企業・組織は社会における企業・組織本来の役割を正しく認識する必要がある。その基本は「株主価値経営」ではなく、多くの企業関係者が参画して「企業関係者経営」を推進し、多くの企業関係者の満足に貢献することにある。わが国には時代や業種を超えて事業運営の手本とすべき江戸時代の商家の家訓がある。本稿は商家の家訓に学びつつ、「企業関係者経営」に立脚して時代の要請に即した「経営理念」をまとめてみた。
著者
犬飼 己紀子
出版者
上田女子短期大学
雑誌
紀要 (ISSN:09114238)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.95-104, 1984-03-31