著者
小谷 真幸
出版者
日経BP社 ; 1985-
雑誌
日経マネー (ISSN:09119361)
巻号頁・発行日
no.420, pp.97-108, 2017-06

出そろった金融各社の新サービス相性抜群の積み立てNISAも2018年スタート2017年から現役世代は誰でも使えるようになった資産運用制度「iDeCo」。手厚い税優遇で、老後資産づくりに大いに役立つ。サービスが出そろった今こそ、選び、始める時だ。
著者
皆川 邦直
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.319-330, 1992-03-15

■境界例概念の変遷 我が国では井村37)が,Hochらの偽神経症性分裂病32〜34),Zilboorgのambulatory schizophrenial29,130)と,Knightの境界状態55,56)を中心に境界例概念を紹介した。続いて武田は,境界例(境界線症例)116)の臨床記述をしたが,Shenken105)の考えをも参照して,仮性神経症型,妄想反応型,混合型(中間型)3型に分類した。 ところでHoch,Zilboorg,Bychowsky5,6)らは境界例を分裂病概念の内側ないし辺縁にあるものとしてとらえていたといえるが,この流れはKetyらの境界分裂病50,122),ならびに分裂病型パーソナリティ障害110,111)に至るといえよう。我が国では武田,小此木-岩崎94),三浦-小此木ら74〜77),笠原-藤縄ら12,43),安永124),神田橋41,42),河合47),船橋-村上ら13,44,84)などの研究を含めることができる。
著者
阪井 裕一郎
出版者
Japanese Council on Family Relations
雑誌
家族研究年報 (ISSN:02897415)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.75-90, 2013-07-10 (Released:2017-02-14)
参考文献数
28

明治期から現在まで日本社会を描く際に、たびたび「家族主義」という言葉が使用されてきた。本稿の目的は、この言葉が登場した明冶から大正期における知識人の言説の分析を通じて、その意味を探究することである。最初に、明治期における家族主義を称揚する言説を分析し、この時期の家族主義が封建批判や救済事業とともに語られていた事実を確認し、その意味と目的を明らかにする(第2 節)。続いて、社会主義者や民主主義者といったいわゆる「革新」の側から提唱された、「家族主義」や「家庭」の言説を検討する。そこから家族主義批判が内包していたある種の逆説を明らかにする(第3節)。続いて、近年の政治哲学の議論を参照しつつ、社会統合の基盤としての「情念」に着目することで、家族主義と民主主義の関係を理論的に問い返す(第4節)。家族主義と民主主義を対立的に捉える従来の見方では看過されてしまう問題を明らかにし、そのうえで家族主義を克服する新たなつながりの可能性を展望する(第5節)。
著者
佐藤 遼次 佐藤 一郎 金子 雅彦 水野 貴之
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.2E6GS504, 2020 (Released:2020-06-19)

企業が事故や災害で被災し操業が中断した際に,その経済的ショックがサプライチェーンを介して取引先に波及するかどうかを明らかにするために,本研究では,サプライヤーの売上情報とその顧客企業の売上情報との関係を表現する回帰モデルを構築した.具体的には,主に上場企業に関する財務情報を収録したデータベースから,事故や災害による被災の有無に関わらず,2012年から2016年までの製造企業の売上情報(約7,500件)を整理した.これを企業の取引関係を収録したデータベースと突合することで,各決算年度におけるサプライヤーおよび顧客企業の売上成長率を紐づけたデータセットを作成した.これに,各企業の国籍や業種等の情報を加え,機械学習(LightGBM)を用いることで,サプライヤーの売上前年比を含む情報から,その顧客企業の売上前年比を回帰するモデルを構築した.そのモデルにおける特徴量の重要度を評価することで,企業の売上成長が,サプライチェーンを介した取引先のパフォーマンスによる影響を受けていることを明らかにした.
著者
赤羽 智幸 保坂 良資 室橋 高男
出版者
一般社団法人 日本医療情報学会
雑誌
医療情報学 (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.15-25, 2013 (Released:2014-10-10)
参考文献数
25
被引用文献数
1

病院内では,小型の輸液ポンプやシリンジポンプなどが随所で稼働している.これらの小型ME機器は病院のMEセンターで周期的に検査され安全性が維持されている.しかしながら,病棟が多忙な際などにはそれらが行方不明となることがある.もしもこれらの機器の検査が不十分であった場合,患者は危険な状況に置かれる可能性がある.そのため,これらの機器がMEセンターで定期的に管理されることが重要といえる.本論文では,これらの機器の所在管理に,UHF帯パッシブRFIDタグシステムを提案する.このシステムにより,医療職者の業務負担を増大させることなく,小型ME機器の所在管理が可能となる.本研究では,このシステムの実用性の確認のため,札幌医科大学附属病院で検証実験を行った.病院での応用を前提とした実験結果から,UHF帯パッシブRFIDタグを付した輸液ポンプが,院内で簡便かつ確実に定位できることがわかった.
著者
大澤 陽介
出版者
東京都立駒込病院(臨床研究室)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

スフィンゴ脂質シグナルは種々の細胞機能に関与している。そこで、大腸がんの肝転移モデルをマウスで作成し、スフィンゴ脂質を調節する酸性スフィンゴミエリナーゼの役割を解析した。酸性スフィンゴミエリナーゼは腫瘍のマクロファージを増加させることにより抗腫瘍効果を示すことを見出した。この効果は、悪性黒色腫の肝転移モデルでも認められた。また、肝臓内のマクロファージは肝線維化や原発性肝細胞癌に対してもβカテニンシグナルを介して重要であることを見出した。スフィンゴ脂質はマクロファージの機能を調節しており、種々の病態の治療標的になりうることが示唆された。
著者
村山 絵美
出版者
武蔵大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究課題は、ユタの「口寄せ」に注目し、「死者の声」を聞くと観念される行為が、依頼者のグリーフワークに与える影響について検討することを目的とするものである。平成26年度は、最終年度であるため、過去2年間の研究成果を踏まえた上での追加調査に重点が置かれた。具体的には、①平成26年6月に実施したフィールド調査、②追加資料の文献調査が挙げられる。まず、フィールド調査では、これまでに聞き取り調査を実施した関係者に、追加での聞き取りを行い、不明箇所を確認することができた。また、沖縄戦の慰霊の日である6月23日に、これまでの調査対象者に関連する慰霊祭に参加し、参与観察を行った。文献調査では、継続的に調査を行ってきた沖縄県立図書館郷土資料室を中心に追加調査を実施した。これにより分類作業のなかで明らかとなった不明箇所を確認することができた。今年度はフィールド調査、文献調査共に予定していた追加調査を実施することができたが、調査結果をまとめる予定であった後半の期間に療養を要する事態となり、これまでの成果を十分にまとめることができなかった。回復を待って、今後、随時成果をまとめ、公表していきたい。本研究課題の調査を通して、沖縄の戦後におけるユタの「口寄せ」に関する社会的な需要の状況を確認することができた。体系的な資料の整理などは、沖縄のシャーマニズムと近代化との関係を考える上でも、重要な成果といえる。ユタと依頼者とのやり取りのなかで「口寄せ」などのグリーフワークの役割を検討した研究は少ないため、研究の端緒を開くことができた意義は大きい。
著者
古谷 英樹 大河原 壮 浅沼 成人 日野 常男
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1-2, pp.30-39, 2005-04-20 (Released:2012-09-24)
参考文献数
28

イヌの健康増進、特に大腸癌の予防・抑制を目的として、スフィンゴミエリン(SM)の有効利用のための条件およびSM分解への腸内細菌の関与についての基礎的知見を得るための実験を行った。まず、マウスにSMを経口投与したところ、1,2-ジメチルヒドラジンで誘発した結腸・直腸の異常陰窩病巣(前癌病巣)の形成が抑制されることが確認された。マウスおよびイヌの糞中のスフィンゴ脂質を分析したところ、消化管内には内因性のSMおよびその分解生成物がかなり流入することが示唆された。しかし、それだけでは大腸癌の予防・抑制には不十分であり、食餌性のSMを補強することが重要と考えられた。また、大腸粘膜上皮細胞への取り込みのためには、SMはセラミド、特にスフィンゴシンに分解される必要があるが、かなりの量のSMおよびセラミドが糞中に排泄されたので、腸管内での分解は不十分と考えられる。一方、抗生物質によってマウスの腸内細菌を除去しても糞中のSM量は変化しなかったので、マウスはスフィンゴミエリナーゼ(SMase)をもつ腸内細菌を保有していないと考えられた。しかし、抗生物質の投与によって糞中のスフィンゴシンが減少したので、マウスの腸内にはセラミダーゼをもつ菌が存在すると推測される。イヌの場合は、個体によってはSMaseおよびセラミダーゼをもつ腸内細菌が存在することが明らかとなった。しかし、そのような菌をもつ個体は少なかった。SMaseおよびセラミダーゼをもつ菌を保有するイヌでは、糞中のSMが少なく、スフィンゴシンが多かったので、このような菌は腸管内でSMやセラミドの分解に寄与していると考えられる。以上より、SMの投与と同時にこれらの酵素をもつ菌をイヌに導入すればSMの効果が高まると思われる。