著者
若倉 正英
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.359-364, 2004-12-15 (Released:2016-12-30)
参考文献数
2

廃棄物処理ではさまざまな火災,爆発,中毒,挟まれ巻き込まれなどの行動災害が発生している.廃棄物の主要工程について典型的な事故事例を解析し,工程ごとの潜在危険性について解説した. 廃棄物は有害物の混入による事故,混合事故,堆積・保管物の蓄熱火災などが増加している.さらに,不注意や本質安全化の遅れによる労災事故も,一般製造業に比べてきわめて多い. 循環型社会の建設に向けて,廃棄物処理施設と地域社会との共存は重要な課題である.潜在的な危険性を低減して安全,安心の職場環境を構築することが市民の理解を得る重要なポイントである.
著者
瀬尾 政雄
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.1-13, 1982-07-24
被引用文献数
2

点字を常用する視覚障害者は、日本語が漢字仮名交り文を正書法とするため漢字・漢語の理解特に同音異義語の理解に困難がある。点字使用者のこの不利を明らかにするため同音異義の漢字を想起させてその結果を比較した。被験者は一般学生28名、弱視学生39名、点字使用学生28名。想起数の平均値を点字群と漢字群とで検定した結果0.1%水準で有意差が認められたが各群内の正眼と弱視、先天盲と後天盲では有意差は認められなかった。しかし、漢字群(正眼≒弱視)〉点字群(後天盲〉先天盲)の関係がすべての結果においてみられた。想起された漢字の出現順位は使用文字に関係なく、漢字使用経験の有無にも関係なく一致した傾向にあった。特に漢字経験のない先天盲グループの漢字の理解度も解答頻度から十分に理解したうえで解答していることが確認された。なお漢字・漢語の理解度は今後に予定している文脈における理解力の程度とその影響に関する調査により更に正確なものとすることが今後の課題である。

8 0 0 0 OA 大阪陣

著者
福本日南 著
出版者
南北社出版部
巻号頁・発行日
vol.前篇, 1918
著者
Ayako Ro Norimasa Kageyama
出版者
Annals of Vascular Diseases 編集委員会
雑誌
Annals of Vascular Diseases (ISSN:1881641X)
巻号頁・発行日
pp.oa.15-00088, (Released:2015-12-11)
参考文献数
30
被引用文献数
32

Objective: To clarify the histopathological characteristics of deep vein thrombosis (DVT) resulting in lethal pulmonary thromboembolism (PE).Subjects and Methods: We investigated 100 autopsy cases of PE from limb DVT. The distribution and chronology of DVT in each deep venous segment were examined. Venous segments were classified into three groups: iliofemoral vein, popliteal vein and calf vein (CV). The CV was subdivided into two subgroups, drainage veins of the soleal vein (SV) and non drainage veins of SV.Results: Eighty-nine patients had bilateral limb DVTs. CV was involved in all limbs with DVT with isolated calf DVTs were seen in 47% of patients. Fresh and organized thrombi were detected in 84% of patients. SV showed the highest incidence of DVTs in eight venous segments. The incidence of DVT gradually decreased according to the drainage route of the central SV. Proximal tips of fresh thrombi were mainly located in the popliteal vein and tibioperoneal trunk, occurring in these locations in 63% of limbs.Conclusions: SV is considered to be the primary site of DVT; the DVT then propagated to proximal veins through the drainage veins. Lethal thromboemboli would occur at proximal veins as a result of proximal propagation from calf DVTs.
著者
西村 則昭
出版者
仁愛大学
雑誌
仁愛大学研究紀要 (ISSN:13477765)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.41-55, 2004-03-31

魂とは, ひとそれぞれの個性や来歴とわかちがたくむすびついた, 心の「機微」や「深み」のことである. そうした魂の存在に気づくとき, われわれの意識は, 自我 (現実世界を合理的・意志的に生きる主体) から, 魂へとシフトする. そして魂の観点をもつようになった意識は, 世界の魂 (美) に開かれていく. 魂の現象学とは, そうした人間と世界の両者の魂の現象に即して, そこにみられる論理をたしかな言葉へともたらそうとする試みである. 本稿では, 服飾という現象が扱われた. 服飾とは, 人間の魂と世界 (服) の魂との相応・融合である. 本稿では, とくに創造的なブランド, コムデギャルソンの心理学的な分析検討がおこなわれた. コムデギャルソンの創造性は, 既成の意味の網目を慎重に, 大胆に, 巧妙に解き, 意味以前の物自体, 身体自体の次元に到って, そこにおいて創作をおこない, 人間の存在を問いつつ, 「エレガンス」の名に値する, 新たなものを樹立することであることがわかった. その背後にはたらく元型的な力として, ギリシア神話の神々が, 見通されえた. まずクロノスに言及され, その創造的にして保守的な特質, 抑うつを惹起する邪悪な力が, どのようにコムデギャルソンの創造性と関連しているかが, 論じられた. またコムデギャルソンの提示する異形のエレガンスの背後に, 母親に捨てられた醜怪な子, プリアポスが, その母, アフロディーテにいとおしげに抱きしめられる様が, 透見されえた. そして本稿では, ひとつの臨床事例が提示され, 以上の論にもとついて, その事例の理解が深められた.
著者
松見 俊 マツミ タカシ Takashi MATSUMI
出版者
西南学院大学学術研究所
雑誌
西南学院大学神学論集 (ISSN:03874109)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.109-198, 2011-03

わたし自身,元来組織神学を専門分野として研究し,西南学院大学神学部では実践神学を教える者であり,歴史的研究は門外漢ではあるが,2010年度前期にプラハに在外研究を許された者として,プラハとチェコの歴史にとって避けることのできない重要な人物としてのヤン・フスから彼の神学思想を聞きたいと考えた。この論文では,1.フスの生涯を当時の社会的,哲学的,教会史文脈で考え,2.彼の主著といわれている『教会論』をまとめて提示し,3.彼の生涯と『教会論』を中心とした著作群から見えてくる神学思想の特徴を考察・整理しようと試みるものである。プロテスタント宗教改革は,マルティン・ルターが1517年10月31日,ヴィッテンベルクの教会の扉に「95箇条の提題」を貼り出した時から始まったとみなされがちである。むろん,バプテストの場合は,それ以前のバルタザール・フプマイヤーやアナバプテストの歴史などにも光を当ててきたのである。もっとも,「宗教改革」そのものを無視して,聖書時代に遡ってしまう極端な立場も存在してきた。そのような極端な歴史理解は別にして,ルターの宗教改革は「始まりというより,むしろ,その時点に先立つ二世紀続いた運動の結果」であったと考えるのが適切であると思える。ヤン・フスの教会改革運動も,彼自身,かなり意固地で個性的な性格であったように見受けられるが,ある才能ある個人の孤立した運動というより,この時期の教会改革運動の流れの一部分として理解されるべきであろう。ボヘミアの哲学者・神学者であり,「宗教改革以前の宗教改革者」と呼ばれるヤン・フス(Jan Hus 英John Huss,独Johannes Huss)は,今日でもその評価が分かれている。異端として断罪され,火刑に処せられたフスは,本当に異端思想の持ち主であったのだろうか,あるいは,今日,聖者として名誉回復がなされるべきなのであろうか。そして,いずれにもせよ,今日に生きるわれわれに,フスが死をかけてまで問い掛けようとしたメッセージは何であったのだろうか。われわれキリスト者は,歴史の中から「危険な記憶」としてのイエスの物語と共に,いかなる「記憶」を心に刻み,また,伝承すべきであろうか。これがこの論文の基本的テーマである。

8 0 0 0 OA 旧事紀訓解

著者
三重貞亮 撰
出版者
明世堂
巻号頁・発行日
vol.上, 1944
著者
森川 美絵
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.129-135, 2009-06

フィンランド,ドイツ,アメリカ合衆国における介護人材の確保育成策について,インフォーマルな介護者への対応も含めた取り組みの概要,介護従事者の確保・労働条件改善にむけた施策,および,専門的な介護人材の養成に関する施策を検討した.介護供給の公私バランスやシステムは国ごとに異なるが,いずれの国においても家族介護者を支援するための公的施策が講じられ,その射程は,現金の手当・給付のみならず,休日の取得と代替介護の保障,社会保険料の負担(社会保険制度上の配慮),介護者向けのサービス・プログラムの利用支援,相談・指導など,広く設定されていた.介護従事者の確保・労働条件改善については,中高年失業者の再教育・資格取得支援のほか,賃金水準に対する公的部門の直接的な規制もみられた(ドイツ).また,賃金水準の設定については,個々の事業者内部での雇用契約を越えた,より大きな組織単位での協約や交渉が機能していた(ドイツ,フィンランド).人材の定着にむけて,低報酬と専門職としての向上機会の制限に対応する具体策として,キャリアラダーの仕組みづくりが事業者レベルで広がっている(アメリカ).また,専門的な介護人材の養成については,看護と介護の共通基礎教育や福祉と看護・保健医療の共通基礎資格の導入がはかられてきた(ドイツ,フィンランド).こうした共通基礎教育・資格の導入は,ケア人材の専門性・資質という観点のみならず,ケアサービスの構造変化に対応した柔軟な介護労働市場,介護労働力の創出という観点からも推進されていた.こうした諸外国での展開は,今後の日本における介護人材の確保育成に関する政策の枠組みや具体策の検討においても,参考となる.
著者
田中 英道 田中 俊子
出版者
イタリア学会
雑誌
イタリア学会誌 (ISSN:03872947)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.148-170, 1984

L'autore fini di stendere l'opera verso il 1330. Egli era alle dipendenze dei Bardi e rapresentava i loro interessi nell' isola di Cipro e di altri luoghi. Il libro fu da lui scritto con l' intendimento che fosse usato dai mercanti al servizio dei Barbi. Esso e una guida per esercitare la mercatura in Europa ed in Asia. Nella prima parte l' autore da utili indicazioni per poter commerciare con la Cina e l' Asia Centrale, allora possibile grazie alla Pax Mongolica. Nel suo libro egli dimostra quanto desse valore al Commercio della seta. Ed e proprio della stoffa di seta cinese che si puo riconoscere nelle opere di Simone Martini. Nel libro il Pegolotti tratta nei particolari dal valore delle varie monete e dei pesi e misure usati in molti paesi d' Asia ed Europa. Abbiamo provveduto alla traduzione della parte del libro che tratta del commercio con la Cina, cioe abbiamo tradotto i primi otto capitoli allo scopo di sottolineare come il commercio tra Italia e Cina fosse assai sviluppato. In Italia esistono pochi studi recenti su tale tema. Esiste, come e noto, la traduzione inglese di H. Yule e Cordier e lo studio di A.Evans del 1936. Con questa nostra traduzione, vogliamo incoraggiare studi ad alto livello sui rapporti commerciali tra l'Italia e l' Asia nella questa epoca.